鮮血少女と鮮血狼   作:熊田ラナムカ27

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 コメントでクラス全員がキレる話になるという返しをしたのですが、それより良い文章が思いついたのでそちらを採用することにしました。

 コメント自体は書く上でとても参考になったので、これからも様々なコメントをお待ちしています。
 
 



体育祭編
17 新たな決意


 

 

 

「ちーーゆ。これで今日分は終わり、もう動けるだろうから今日からリハビリに励んでいいよ」

 

「ありがとうございますリカバリーガール。これで無事学校復帰に一歩近づきました」

 

「まったく無茶をして……死んでたらどうしてたんだい………」

 

「そんな生き死にの勘定なんてどうでもいいですよ。目の前で誰かが死ぬくらいなら迷わず自分の命をベットする。当然のことじゃないですか?」

 

「当然のことじゃないから怒ってるんだい!!仮にあんたが死んだら元も子もないだろう!!」

 

「そん時はそん時ですよ。そうならないために鍛えてますし、状況もしっかり判断してますから大丈夫ですよ」

 

 俺はどうということとないといった様子で腕を振り回した。

 

 ヒーローになる以上命はどちらにしにしろ賭けなければならないし、危うくなることはいくらでもある。こんな心配をかけないよう、俺も強くならないとな。

 

「……オールマイトの象徴論といい勝負だね。ヒーロー目指すならまずはあんたの命を気に掛けること!それをできなきゃいいヒーローだろうが誰も救えもしない。そんな発言、二度とするんじゃないよ!」

 

「わかりましたから杖で叩かないで下さい。結構痛いんですよこれ」

 

「言い聞かせるために叩いてるんだよまったく。じゃあ、私もそろそろ雄英に帰るね。今日も訓練が盛り沢山で忙しくなりそうだ」

 

「クラスの奴等によろしく言っといて下さい。それとヒミコをよろしくと」

 

「はいはい、伝えておくよ。あっそうだ、これを渡すのを忘れていた。相澤先生からの手紙だ」

 

 相澤先生という単語を聞いて、俺は思わず嫌な顔をした。

 

 あの人、無駄に過保護だから絶対説教の手紙だ。無駄に長いし、無駄に辛辣だから読みたくない。けど、読まなかったらどっかから話を聞いて余計怒るんだろうな。

 

 そんなことを思いながら俺は封を切り中身を取り出す。

 

「……一つはやっぱり説教の手紙、もう一つはえーっと………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

                                     ◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

  

 

 

「「「体育祭………!」」」

 

 

 

 

「クソ学校っぽいの来たぁぁ!!」

 

「待って待って!ヴィランに侵入されたばっかなのに大丈夫なんですか!?」

 

「それって血を飲み放題なんですか!?」

 

「いや、それはないだろ」

 

 体育祭という言葉に、あるものは色めき出し、あるものは困惑の声を上げ、あるものは訳の分からない事を言い出した。

 

 そんな生徒達をよそに、相澤先生は話を続ける。

 

「逆に開催することで雄英の危機管理体制が盤石だと示す…考えらしい。まぁこれには当然反対意見も出た訳で、私的な理由の反対も多かった訳だがそれは置いといて」

 

「(私的な理由?一体なんだ?)」

 

「(体制的な問題ではなく、私的な理由?)」

 

「(間違いなく刀花さんのことですね。私も少し嫌です)」

 

「警備は例年の7倍に強化、敷地に入る者も制限することで無事開催するって運びになった。何より、雄英の体育祭は………最大のチャンス(.・・・・・・)。ヴィラン如きで中止していい催しじゃねぇ」

 

 ヴィラン如きで中止していいイベントじゃない?いつもの解説役()がいないから思い出せませんね。

 

「ウチの体育祭は日本のビックイベントの一つ!!かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ、全国が熱狂した。今は知っての通り規模も人口も縮小し形骸化した……。そして日本に於いて今『かつてのオリンピック』に変わるのが雄英体育祭だ!!」

 

「あっそうだ、そんな感じのイベントでした。すっかり忘れてました」

 

「当然全国のトップヒーローも観ますのよ。スカウト目的で!」

 

「いつもは狼が解説するのでそこら辺の情報は覚えてないんですよね。勉強になります」

 

「狼ってマジで義兄兼保護者やってんだな……。ただのシスコンかと思ってた」

 

「とりあえず、シスコンなのは間違いないんじゃない?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘックション!誰がシスコンだ!!俺はあくまで義兄兼保護者だ!!」

 

「うるさいよ!静かにしなさい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「当然、名のあるヒーロー事務所に入ったほうが経験も話題性も高くなる。時間は有限、プロに見込まれればその場で将来が拓けるわけだ。年に一回……計三回だけのチャンス。ヒーローを志すなら絶対に外せないイベントだ!……っていうわけで話は以上、各自2週間後の体育祭に備えてくれ」

 

 

「「「はいっ!」」」

 

 

 

 

 

 

四限目 現代文終了 昼休み

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、もう体育祭のシーズンか。なんだかんだでもうそんな過ぎてんだな。色々ありすぎて時間経つなんて忘れちまってたよ」

 

『その色々が濃すぎると思うけどな。濃縮カルピスを原液で飲んでんのと同じよ。感覚的に』

 

「その例えは色々語弊があると思うけど。っていうか、怪我の方は大丈夫なの?こないだまでは点滴でご飯食べれなかったじゃん」

 

『ようやくリカバリーガールがリハビリの許可と食事を今日許可してくれたんだ!ほんと点滴は毎回無の感情だから嬉しいのなんの……』

 

「ただ液体体に入れられてるだけだもんね。そりゃそんな感想になるわ」

 

『画面越しとはいえ、一緒に飯食えるだけ嬉しいよ。なんせ静かすぎるうえに、暇すぎるからなここは』

 

 そうしみじみと言いながら、画面越しの狼は病院食を味気なさそうに口に入れた。

 

 ここはサポート科がある関係上、wifi完備されているお陰でこうした画面越しでの食事がすることができている。

 

 これを許可してもらうにあたり、相澤先生の説教を喰らったそうだがそれはどうでもいいだろう。

 

「しかし皆さんすごいノリノリでしたね。お茶子ちゃんに限っては完全にうららかじゃなかったですもん」

 

「そんぐらい張り切ってるって事で熱いじゃねーか!ライバルって事で燃えてくるぜ!!」

 

『燃えるのはいいけど鋭児君、優勝は俺するから精々いい結果出せるよう頑張ろうな』

 

「煽るね狼も。ヒミコの方はどうなの?」

 

「優勝どうこうはどうでもいいですけど、とりあえず狼には勝ちたいですね。」

 

「へぇー、それはどうして?」

 

『こいつが俺に1勝もしたことがないからだよ。もっとも、これからも1勝することは永遠にないけどな』

 

「この顔が苛つくからですよ。画面越しじゃなかったら刺してます」

 

「やっぱりこいつ腹黒かったか。とりあえずヒミコ、危ないからナイフしまえ」

 

 やはり私に勝って笑顔で煽ってくる様子は苛つきますね。血を関係なしに刺したくなります。これが病人じゃなかったらとりあえず殴ってたでしょうに………。

 

『じゃあ、俺はそろそろ上がるな。リハビリに励まなくちゃいけないとだからな』

 

「またお見舞いに行くね。体育祭!負けるつもりはないから!」

 

『了解。お互い、本気でぶつかろうな』

 

 そう言うと画面は切れ、狼はいなくなってしまった。

 

「狼の奴、けっこー元気だったな。本気で一位目指しに行くつもりだなありゃ」

 

「実際、A組の中でも頭抜けてる方だよね。轟と爆豪辺りは対抗心出して宣戦布告してきたりして」

 

「爆豪はともかく轟もするか?そういうタイプじゃないだろ」

 

「焦凍君は結構熱い性格だと思いますけどね。ただなにか押さえつけてるだけで」

 

「押さえつけている?なにを?」

 

「さぁ?そこまではわかりませんよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 放課後

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何事だあ!?」

 

 お茶子ちゃんは扉を開け、思わずそう叫んだ。

 

 敵情視察のためなのか、同じヒーロー科であるB組の他にも、普通科のC組など集まっている。

 

 私としては練習したいので早くどいて欲しいのですが。

 

「出れねーじゃん!何しに来たんだよ」

 

「敵情視察だろザコ」

 

「爆さん、癖かは知りませんがいい加減ナチュラルに悪口言うのやめませんか?失礼だと思いますよ」

 

「ならお前は人を爆さん爆さんって言うのをやめろ!!この八重歯!!!」

 

 

「「爆散って……(笑)」」

 

 

「こうやって笑いを取れるんですからいいじゃないですか。いい名前だと思いますよ、爆さんって」

 

「せめて別のにしろ!!別のに!!聞いててイライラするんだよ!!!」

 

「なら、イガグリ、パイナップル、Mr.自爆、のどれがいいですか?今なら好きなのにしていいですよ」

 

「まともなのにしろつったろ!!特に最後のは何だ!?Mr.自爆ってのは!!!」

 

「えっ嘘!?自分をいつか自爆するって運命なの知らないんですか!?こういうツンデレは最終的に自爆するって流れなのに………」

 

 

「「「Mr.自爆にツンデレって………腹が……………(笑)」」」

 

 

「笑った奴等出てこい!!全員殺してやる!!!」

 

 鋭いツッコミを入れながら、私を掴もうとするMr.自爆の手をひらりひらりと躱した。

 

 やはりツッコミがいないとシャッキリしないですから一人はこういう人がいると良いですね。いつものツッコミ役がいないので違和感あったんですよ。これが。

 

「どんなもんかと見に来たが随分と偉そうな奴と面白い奴がいるなぁ」

 

「偉そうな奴ではなくMr.自爆なのでお間違えなく」

 

「八重歯は黙ってろ!!」

 

「こういうの見ちゃうとちょっと幻滅するなぁ」

 

 奥から普通科と見られる隈の多い人が現れ、Mr.自爆と私に言い放った。彼は話を続ける。

 

「普通科とか他の科ってヒーロー科落ちたから入ったって奴けっこういるんだ、知ってる?体育祭のリザルトによっちゃヒーロー科編入も検討してくれるんだって。その逆もまた然りらしいよ…」

 

「そうなんですね。じゃあお互い頑張りましょ」

 

 

「そんな仲良しごっこをするつもりはねーよ。敵情視察?少なくとも普通科()調子乗ってっと足元ゴッソリ掬っちゃうぞっつー宣戦布告しに来たつもり

 

 

 静かそうに見えてこの人も熱かったようで、大胆不敵にその人も言い放った。

 

「………宣戦布告ですか。それはありがとうございます。ですが一つお間違いなく。私達の中には真に調子に乗ってる人はいませんよ」

 

「………というと?」

 

 

「あのUSJで私達は無力感と未熟さを痛感しました。故にこれはヒーローになるための通過点でしかありません。あくまで私達が目指すのはヒーロー、その打一歩と言える体育祭ではしゃぐ人がいるだなんて………私のクラスを舐めないでください

 

 

 大胆不敵な言葉に対してまさかの大胆不敵な言葉で返したヒミコの言葉に辺りは静まり返り、廊下は一度静寂に包まれた。

 

「……なるほど、これは調子に乗ってるってわけじゃなさそうだ。お前達のクラスを馬鹿にしたような事を言って悪かったな」

 

「いえいえ、わかってくれたなら何よりです。まぁ、一位は私が取りますが」

 

 

 

「………えっ?」

 

 

 

「狼が、重症の義兄なんですけど、一位を取るってもう既に言ってるんですよね。それに勝つのであれば必然的に私が一位になるしかないんですよ。なので私が一位になるのでどうぞよろしくお願いします」

 

「おい待て八重歯!!優勝するのはお前でもあの犬顔でもなくこの俺だ!!!そこんとこ間違えるんじゃねー!!!!」

 

「いえ、間違えてませんよ。取るとしたら私が一位、狼が二位っていう話だけです。Mr.自爆は三、四位ぐらいじゃないですかね」

 

「一位取るっつてんだろこのアホ!!あと俺のことをMr.自爆と呼ぶんじゃね−よこのアホ面女!!!」

 

「ちょっと待って下さいよ。今のはただの悪口ですよね?せめて特徴で言っていただけますか?」

 

「誰がやめるかこのアホ面女。やめたきゃ力ずくで止めてみろ」

 

 

 あっ、これはヤバい。この場の二人以外のA組の思考が完全に一つになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいでしょう、あなたをこの場で倒させていただきます。ついでに血をあなたの血を貰って体育祭優勝の前祝いとさせていただきましょう……!!」

 

 

 

「上等だこら!!!ここで決着つけてやるよアホ面女!!!」

 

 

 

「「「「ちょっと待て!!!!」」」」 

 

  

 

 その後は大騒ぎとなり、相澤先生が現場に到着するまで騒ぎが収束することはなかった。

 

 それとともに、A組全員(やはり爆豪は除く)は思い知った。ストッパーがいないとヒミコは色々ダメだということを。

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「胃が………胃が……………」

 

「先生!!つい先程までリハビリに励んでいた真血 狼君が倒れました!!どうにも胃痛を訴えているようです!!」

 

「つい先程まで元気にしていたんだぞ!?一体何があった!?」

 

 別のところにも被害は出ていた。

 

 

 

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