鮮血少女と鮮血狼   作:熊田ラナムカ27

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19 どんな方法でも

 

 

 

「まさかあそこで抜かれるとはな……。全く予想できなかった………」

 

「そ、そんな!あれはただラッキーパンチが上手く入っただけで、僕の実力はその………」

 

「Mr.自爆の爆速ターボを使うって発想を考えた時点で、それは間違いなく実力ですよ。ほんと、妨害合戦に熱くなって背後の警戒を疎かにするだなんて愚かにもほどがあります……」

 

「ヒミコちゃんも5位だから!十分すごいから!!」

 

「そうだぞヒミコ君落ち込む必要はない!逆にこの個性で遅れをとるとは……やはりまだまだ僕…俺は……!」

 

「はいはい、どちらも落ち込むのはそれぐらいにしとけよ。次もまだあるんだから」

 

 体育座りでなんか地面に絵を書いていじけてるヒミコと、出久みたいになんかブツブツ呟き出した天哉に軽く手を叩き、天を仰いだ。

 

 まさかあの状況で出久が跳んできた上、蹴りを受けても一切諦めの色を見せないとは思わなかった。

 

 ラッキーパンチだろうが、本人の実力で無かろうが、今回は絶対にこのまま勝てると思い込んだ俺の完全敗北だ。ほんと、こいつは凄い奴だよ。

 

『これにて予選通過上位42名がここに集った!!ここからが真の戦いだぞ!!!』

 

『残念ながら落ちちゃった人も安心なさい!!まだ見せ場は用意されているわ!!そして次からいよいよ本選よ!!ここからは取材陣も白熱してくるよ!!キバリなさい!!さーて第二種目よ!!私はもう知っているけど何かしら!!?

 

 

言ってるそばからコレよ!!』

 

 

 背後のモニターが動き、でかでかと騎馬戦と表示された。

 

「騎馬戦......!」

 

「騎馬戦......!」

 

「個人競技じゃないけどどうやるのかしら?」

 

 

『参加者は2~4人のチームを自由に組んで騎馬を作ってもらうわ!!基本は普通の騎馬戦と同じルールだけど一つ違うのが......先程の結果にしたがい各自にポイントが振り当てられること!!』

 

「入試みたいなポイント稼ぎ方式かわかりやすいぜ」

 

「つまり組み合わせによって騎馬のポイントが変わってくると!!」

 

「テレビ向けのわかりやすいルール設定ですね」

 

『シンプルイズベストと言いなさい!!ええそうよ!!そして与えられるポイントは下から5ずつ!! 42位が5ポイント41位が10ポイント......といった具合よ。

 

そして......1位に与えられるポイントは1000万!!!!

 

 ミッドナイトの言葉に、全員が出久に目を向ける。

 

『上位の奴ほど狙われちゃう──────下剋上サバイバルよ!!!』

 

 

「出久……たっぷり狙わせてもらうからな……」

 

「ついでに血もたっぷりもらいますね……」

 

「二人とも目がヤバイよ!!」

 

 その後は細かいルール説明が行われ、各自がチーム決めを行い始めた。

 

 逆転の鍵である出久は当然避け、俺はひとまず考えていたチームメンバーであるヒミコと響香を呼び、どうするかについて話し始めた。

 

「ヒミコは騎手で敵の分析及び作戦の立案を頼む。A組の奴らはともかく、B組の奴らの個性は全く把握できてないからな」

 

「乱戦になりやすくこの状況で闇雲に行くのは自殺行為、故に敵の分析即座にどんどんしてほしいってわけですね。わかりました」

 

「次に響香の方だが……」

 

「今のヒミコの話で大体わかった。うちを選んだのはは敵の索敵と周囲の状況の把握のためってとこでしょ。狼の鼻だけじゃ全部のことを把握できないからね」

 

「話が早くて助かる。あと問題は……」

 

「あと一人を誰にするかってところだね……」

 

 あまりいい案が出ず、俺達は頭を抱えた。

 

 このメンバーは一応得点が高い俺とヒミコが集まっている時点で殆どの奴にチーム勧誘を避けられており、唯一来てくれたのは響香だけだった。故に選択の幅は狭い。

 

 これでもし電気が来てくれたら無差別放電での一掃であっという間にポイントを取れるんだがな………。焦凍のところに行っちまったし、どうしようもないが。

 

「……あと一人なんですけど、私が選んででもいいですか?」

 

 頭を抱えている中、一人手を顎に当てていたヒミコが口を開いた。

 

「別にいいけど一体誰?」

 

「1回会っただけなので名前は知りません。それに顔見知りぐらいでさほど話してもないです。ただ、その人がいると少し面白いことになる気がするんですよ」

 

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 

 

 

 

 

   

  

 

 

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『さぁ起きろイレイザー!15分のチーム決め兼作戦タイムを経て、フィールドに12組の騎馬が並び立った!!』

 

『………なかなか面白ぇ組が揃ったな』

 

 モード狼に変身した狼の上に他の二人同様跨がり、私は鉢巻きを巻き直した。

 

「狼!!響香ちゃん!!人使君!!全力でいきますよ!!」

 

「了解!!」

 

「わかってる!!」

 

「………おう」

 

『さぁ上げていけ鬨の声!!血を血で洗う雄英の合戦が今!!狼煙を上げる!!!

 

 

 

………………START!!!!

 

 

  

 プレゼント・マイク先生の声とともに多くの騎馬が出久君に殺到、1000万ポイントを取りに行く。

 

「じゃあ私達も行くますよ!!」

 

「ああまずは先手必勝!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逃げるんだよぉ!!スモーキーーーーッ!!そこをどけーッヤジ馬どもーッ!!」

 

 

 

「「「「わあーーー!!なんだこいつ!!スモーキーって誰だ!?」」」」

 

 

 

 脇目も振らず私達は逃走の道を選んだ。予想外すぎる行動にA組もB組も止めることができない。

 

「……なぁ、本当にこれでいいのか?他の奴等は1000万取りに行ってんだぞ」

 

 響香ちゃんの後ろに乗っている人使君が甚だ疑問という様子で私に問いかけた。どうということはないといった様子で私は口を開く。

 

「流れに任せて突っ込むことこそ愚策です。敵の情報がわかっていない状況、下手に突っ込めばB組の個性に圧倒されてる間に鉢巻きを取られてしまいます。今は逃げの一手が最善です」

 

「これでヒーロー達の評価が下がるとしてでもか?」

 

「そんなものはどうでもいいです。どんな方法であろうと最終的に勝ち残れば否が応でも評価は大逆転です。そんな細かいこと気にしてたらハゲますよ」

 

「俺の毛根はまだ全然生きてるっての………」

 

「二人とも話してる暇ないよ!!後ろから二騎来てる!!それもB組だよ!!」

 

 響香ちゃんの言う通り、角が頭についてる女子と獣化している男子がこちらに猛スピードで向かっていた。狼は響香ちゃんの声に反応し、迂回する形で二人の攻撃を躱す。

 

「ヒャッヒャッヒャッ!ここまで来て逃がすかよ!!」

 

「お前等は特に飛び道具を持ってねーからな!遠距離からどんどんいかせてもらうぞ!!」

 

「鉢巻きウバワせてモライます!!」

 

 遠距離攻撃ができる個性だったようで、刃と鱗、そして角がこちらに向かってきた。ボンドみたいな人を盾にする形で攻撃を避け、そのまま接近する。

 

「逃しはしないよぉ!お前も捕まえてやる!!」

 

「おっと!下手に行ったら捕まるなこりゃ!!ボンドみたいな奴に下手に近づくのはダメと」

 

「またこっちに来てる!またあの接着剤を飛ばす気だよ!!」

 

「了解って!?あの角ここまで飛ばせんのか!?安全地帯ねーじゃねーか!!」

 

「また鱗と刃!あとなんかデカい岩と吹き出し!?が迫ってる!!」

 

「ああもうっ!!少しは俺を休ませろ!!」

 

 次々に跳んでくる飛び道具を狼は持ち前の嗅覚と響香ちゃんの聴覚で回避し、ひたすら逃げを続ける。

 

 鋭児君と似ている個性の人の騎馬はMr.自爆を執拗に狙っているようでこちらを狙ってこそこないが、それを除いたB組全員を相手取るのにも限度がある。早く把握を────

 

「ヒミコ!後ろだ!!」

 

「えっ───」

 

 人使君の声に返事をするとともに私の体は動かなくなり、声も出せなくなった。

 

 しかしそれが幸いしたようで、後ろから来たもう騎馬の手を躱すことができた。

 

「あれっ?なんで避けられたのかな?あのまま取れる流れだったのに」

 

「ヒミコ大丈夫!?鉢巻きは!?」

 

「あっ、ありがとうございます響香ちゃん!人使君のお陰でなんとか無事です!!」

 

「へーっ、一応A組にも状況を直ぐ判断しようとする奴もいたのか。脳筋の猿だけじゃないってわけだね。これは失敬失敬」

 

「誰が脳筋のエテ公だ!!お前こそ謎の大物感出して何だ!?如何にも小物臭さそうなのに!!」

 

「その場限りの優位に執着して、鉢巻きを取られた君のお仲間よりはマシさ。ほんと単純だよねA組は。ただヴィラン関わっただけでいい気になるなんてさ」

 

 如何にも小物臭そうな人は既に取っていた鉢巻きを見せびらかす形で私達に見せた。

 

 後方の透ちゃんのもののようで、足をついさっきの接着剤で固定されたらしく、身動きがとれていない。

 

「やっぱり、私達A組の個性を後ろから観察してたってわけですか」

 

「その性格などもね。おおよその目安を仮定し、その順位以下にならないように走ってたわけさ。もっとも、そこの普通科の奴(ヒーロー科に入れなかった奴)がこの場にいるのは予想外だったけどね」

 

 人使君を指を指し、小物臭そうな奴はそう言った。少し苛つきながらも冷静に口を開く。

 

「普通科でも全然強い人はいると思いますし、寧ろこんな煽っておいて鉢巻きを一つしかとれてないあなたの方が100倍情けないと思いますけど」

 

「高ポイントの君達から鉢巻きを取れば嫌でもそうは言えなくなるさ。それに君達を狙っているのは僕達だけじゃない」

 

 小物臭そうなな人の言葉を表すように、今まで私達を狙ってたB組の面々が集結し、私達を囲む陣形をとっている。ここから逃げるのは一苦労だろう。

 

「誰が鉢巻きを取れるかどうかは恨みっこなしだし、拳藤と鉄哲達は緑谷と爆豪のを取りに行っちゃったから全員はいないがこの数だ。卑怯だなんて言ってくれるなよ」

 

「そんな事は最初から言うつもりはありませんよ。下手にあの1000万ポイントの争いに行ってやられるよりはロスが少ないですし、ポイント有利というリターンも大きい。私も取れることならその作戦を取ってます」

 

「血気盛んな奴が多いA組にはできない作戦ってわけだ。普通科の奴を入れる時点で君達はたかが知れて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「黙れ。バラバラに引き裂くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 怒りの沸点を超え、私はその怒りをそのままあの野郎にぶつけた。怒気に怯んだのか、彼奴等は一歩下がった。

 

「自身の個性に劣等感を持っているかなんなのかは知りませんが、ゴチャゴチャゴチャゴチャ御託をまぁよく言えますね。口じゃなく拳でものを言えよビビリ野郎」

 

「追い込まれた君達には言われたくないね……。そんなよくわからない奴を入れた時点で君達は──」

 

「その言葉を述べてる時点でビビりなんですよ。あなたの発言には全て一種の恐れがある。それは自身の力が一番劣ってるって思ってる証拠なんじゃないですか?」

 

 全ての把握と解析を終え、私は全身に力を入れる。

 

 

 

「……私の個性も散々ヴィラン向けと呼ばれてますし、そこまでの決定力がないと自ら自負してます。だからなんですか?だからどうしたんですか?そんなのはどうでもいい。全てが結果だっていうなら私はどんな方法であろうと使い、結果を出します。それが如何に卑怯と呼ばようとね。………把握と解析は終了、今から殲滅フェーズに移行します

 

 

 私の合図とともに狼は片足を噛み血を啜った。

 

 

「……魔血30%開放、モード戦争狼(ウォーウルフ)!!」

 

「狼は敵の攻撃をかいくぐりながら私の指示通りに突撃!!響香ちゃんは随時敵の位置を随時私に敵の位置の情報の伝達!!人使君は鉢巻きの確保及び自らの判断で個性の発動をお願いします!!」

 

「全員警戒!!こいつらなにか───」

 

 

 バシッ!!

 

 

 目で追うのが困難な速度の狼が小物臭そうな人の横を速度で通り過ぎ、人使君がまず透ちゃん達の鉢巻きを剥ぎ取った。

 

「悪い、1本取り損ねた。考えてた倍早いな、お前」

 

「取り損ねた事は気にすんな。また何度でも突撃する」

 

「左に3!中央に1!こんな感じで伝えていけば大丈夫!?」

 

「ええ十分です!!まずはボンドの人に突撃!!ボンドの射程に入らぬよう右腕部位置に向かってください!!その後はまた指示します!!!」

 

「了解!!死ぬ気で捕まってろよ!!!」

 

 狼は私の指示通り右腕部に突撃、鉢巻きをまた一本剥ぎ取った。

 

「吹き出しの人、物の大きさをサイズを変更できる人、ボンドの人の個性は全て範囲攻撃!!攻撃ができぬよう他の騎馬を巻き込む位置で再度突撃!!跳んでくる角の本数は4!!常に警戒!!」

 

「右に1!左から鱗が来る!!」

 

「鱗には発射制限があるため角ほど警戒はしなくて大丈夫です!!右の騎馬の突撃を優先して下さい!!それから───」

 

『おいおいおいおいイレイザーどうなってんだよ!?B組の包囲網が瞬く間に崩壊していくぞ!!一体何が起こってるんだ!?!?』

 

 外部の人間から見れば明らかに異常的な光景だった。なにせ赤い光を発した狼が全攻撃を躱し、誰も注目してなかった普通科の男が鉢巻きを次々と取っていく。これを異常と呼ばずして何があるだろうか。

 

 大混乱しているプレゼントマイクをよそに、のんびりと相澤は口を開く。

 

『別に、大したことじゃない。緑谷が個性をあまり上手く使えないからこそ思考するのと同じ様にあいつも考え、それを実行してるだけだ。驚くほどじゃない』

 

『それじゃああの包囲網をくぐり抜ける事ができてる理由にはならないだろ!!まさか普通科の奴の個性か!?』

 

『あいつの個性はたしかに強いが大層なもんじゃねーよ。真血 ヒミコは以前の屋内戦闘訓練、先のUSJで総指揮をとり、戦闘を勝利に導いた。そんな奴に時間を与えればまぁそうなる。問答で人を集める時間を稼いだのは間違いだったなB組』

 

「(くっそ!!全てはあの女の手のひらの上だったってことか!?ふざけやがって!!せめてこの鉢巻きを守って一矢───)」

 

「物間!!こっちに来てるぞ!!」

 

 B組の回原がいう頃には他の騎馬の鉢巻きを全て剥ぎ取り、もう目と鼻の先までヒミコ達は迫っていた。瞬きをする瞬間すら惜しいほどの速度で迫る様には恐怖すらに滲み出てくる。

 

「円場!!防御(ガード)!!」

 

「言われなくても!!」

 

 空気の見えない壁が形成され、狼は一瞬速度を緩めた。その隙に物間は個性を発動させる。

 

「(円場の個性をコピー!円場との連携で身動きを封じてやる!!ここまでみんながしてくれたんだ!!せめてこの鉢巻きだけは───)」

 

 

 

 

 

 

「おい物間」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああわかってる!!このまま終われ───」

 

「物間!?どうしたんだ物間!?!?」

 

 焦った物間は誰が話したのかすら判断できず、その言葉に答えてしまった。それが一番警戒してなかった奴の個性の発動条件だと考えもせずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                   ◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで俺を誘った?俺は普通科の、それもお前等に宣戦布告してきた奴だぞ」

 

「大した理由はありません。単に面白そうだったから誘ったんです。ダメでしょうか?」

 

 俺が真剣にどう人を洗脳するかと考えてる最中、こいつは急に現れた。急な事に洗脳を発動できず、普通に話してしまうほどだ。

 

 どうせ個性を見たら気味がってこの話をなしにするだろうと思い、個性を発動させ話しかける。

 

「俺がヒーロー科に落ちてもなお夢を諦めきれない奴だと知ってなおの言葉か?それともただの冷やかしか?」

 

「冷やかしなわけ───」

 

 女が問答に答えたことで洗脳が発動、女は何もできなくなった。

 

「これが俺の個性だ。こんなヴィラン向けな個性でも本気で勝ちたいって思ってるんだ。冷やかしなら勘弁してくれ」

 

「………これがあなたの個性。これって───」

 

 ヴィラン向け。そう言うんだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すごい個性じゃないですか!!それもヒーロー向けの!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?!?」

 

 いつもの言葉が来ない事に驚き、俺は一歩後ずさった。目を輝かせ、女は話を続ける。

 

「これなら騎馬戦でも大活躍間違いなしですよ!!じゃあ早速私達のチームに───」

 

「待てよ!!気味が悪いとは思わないのか!?俺はお前を操ったんだぞ!?」

 

「いえ全然。凄いヒーロー向けなのになんで普通科にいるんだろうと思いはしましたけど」

 

「なんでそんな………」

 

「個性の使い方なんて結局人それぞれじゃないですか。これで気持ち悪いだなんて言ったらそれこそ全人類ヴィラン向けですよ。これはあなたの凄い力、それだけでしょ?」

 

 当たり前といった様子で女は飄々と語った。

 

 ………俺にはわかる。この女は嘘なんて一片たりともついてない、全て本心で言っている。………これがヒーロー科がヒーロー科たる所以か。

 

「………わかったが、真正面からの戦いだなんてもんは期待するなよ。俺の個性はいわば初見殺し、タネが割れればそこで終わりだ」

 

「了解です!あなたには────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                 ◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「余裕を残しながら勝つあんたらも凄いけどよ、俺の個性をヒーロー向けだなんて言うこいつの方が凄かったよ。悪いが勝たせてもらうぞ」

 

 人使君は鉢巻きを奪取、B組包囲網を完全に脱した。

 

「あと残り数秒!!できるだけ早く走って焦凍の下に!!急いで!!!」

 

「わかってる!!」

 

 狼が猛ダッシュするが電気君の発した電撃と焦凍君の氷に阻まれ

 

 

 

 

 

『TIME UP!!そこまで!!!』

 

 

 

 

 

 

 制限時間のコールがなされてしまった。後少しで届かなかった1000万ポイントの鉢巻きを前に、私と狼は悔しみの声を上げる。

 

『早速上位4チーム見てみようか!!

 

1位 轟チーム!!

 

2位 真血チーム!!

 

3位 爆豪チーム!!

 

4位 緑谷チーム!!

 

以上4組が最終種目へ………到達だああーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!』

 

 プレゼントマイクの声が辺りに響き、爆発のような声援があふれるが、鉢巻きを取れなかったことで狼と私はふて寝した。

 

「くっそ……ドーピング使ったのにとれなかった……あんな大見得きったのに………」

 

「もっと早く把握と解析を終わらせてれば勝ててたのに…………」

 

「これで終わりじゃないんだ。次勝てばいいだろ」

 

 倒れ込む私達に人使君は笑みを見せ、手を差し出した。

 

「あーわかったよ!!次こそは絶対に勝つ!!!」

 

「最後に勝てばいいんですもんね!!わかりましたよ!!!」

 

「ウチも負けるつもりはないからね!!!」

 

「ほんと、ヒーロー科ってのはうるさい奴等ばっかだな。………俺も負けるつもりはないけど」

 

『これにて第二種目は完全終了!!次の戦いに備えてくれよな!!!お疲れー!!!』

 

 プレゼントマイクのその言葉を締めくくりとして、私達の第二種目はこうして幕を閉じた。

 

 

 

 




 書かれなかった上位3組の様子
 
 緑谷チーム

 原作ではいた発目 明の代わりに尾白を勧誘。麗日の負担が増えたものの、それを麗日自身の頑張りと尾白の尾による攻撃でそれを無事カバー。その後は轟組と戦いになり飯田切り札、レシプロバーストにより1000万ポイントの鉢巻きを取られる。その後は轟の1000万の鉢巻きを取ろうと緑谷が奮闘するが、八百万のすり替えにより拳藤チームの鉢巻きを取ることに。そのままタイムアップで4位。

 轟チーム

 B組の殆どがいなくなったことで緑谷達と序盤から戦う。それ以外は全て原作通り。
 
 爆豪チーム

 なんか絡んできた鉄哲チームと戦闘、鉢巻きは奪い取れたものの個性の相性の悪さで大幅なタイムロス。1000万ポイントに手が届かなかった。おまけとして切島と鉄哲が仲良くなった。
 
 
「いい………勝負だった!!」

「絶対優勝しろよ!!切島!!」

 
 爆豪ドンマイ。


「クソがァァァーーーーー!!!!」
 
 
 
 
 
 
 

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