鮮血少女と鮮血狼   作:熊田ラナムカ27

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 今回の話は投稿間隔から見て通りかなりの難産でした………。轟家の闇が深すぎてどう書くかの方向性が全く決まらず……このような長い間隔となりました……。

 批判点矛盾点などがある話かもしれませんが……なるべく過激なコメントなどはなしでお願いします………(切実)。
 
 
 


22 二つの狭間で

 

 

 

「今直ぐ休みたいのはわかっているがもう一人話たい子がいる以上、私にもあまり時間はない。そこを理解してくれると助かる」

 

「あくまで観客として来てるみたいですし、時間ならあとで作ればいいでしょう。俺は今直ぐでもリカバリーガールのとこに行って次の鋭児戦に備えたいんです。邪魔しないで下さい」

 

「これから10分の休憩時間があることだし、その間に行けばいいだろう。君こそNo4ヒーロー血影の息子であるいうことを理解したまえ」

 

「ならあんたはNo2どうこうの前に子供のことを気遣って下さい。治療もさせずに自身のことを優先させるってどんなやばい人ですか。さっさとどいて下さい」

 

「話をするまではどく気はない。君こそ観念をしたまえ」

 

 あまりに傲慢な態度に俺はかなり呆れながらも足を止めた。

 

 このおっさん話が終わるまでどかなそうだし、下手に攻撃して返り討ちに合うのも不味い。今は大人しくしているしかないだろう。

 

「で、あなたは何を聞きたいんですか?ヒミコの可愛さについてですか?それともヒミコの美しさについてですか?」

 

「冗談はそれくらいにしたまえ。私が聞きたいのはただ一つ、君の個性は親の二つの個性を強く受け継いでいるようだが、その個性をどのようにそこまで鍛え上げた?どうやって鍛え上げられた?」

 

 冗談など興味がないという様子で、エンデヴァーは俺に強く問いかけた。

 

 焦凍も俺と同様二つ個性の性質を持っている感じだし、同様に二つの個性の性質を持った個性を持っている俺に特訓の仕方を問いかけたといううわけか。もしかして息子思い?などと思いながら俺は口を開く。

 

「父さんからはモード狼、モード獣人の使い方を、母さんからは血液摂取による強化の使い方の指導を受け、あとは実践をひたすら続けたといった感じですね。母さんの特訓はかなりスパルタなので……内容は思い出したくはないですが……」

 

「なるほど、俺とやっていたのと同じか。となると、君の強さは二つの個性を使いこなした上での体術がある上で成り立っているというわけか」

 

「まぁそうですね。焦凍がいくら俺と同じ様に二つの個性の性質を持っているとはいえ、俺とはまた違うので役に立てるかは知りませんが」

 

「いいや、私の方針が間違っていないと知れただけ十分だ。これであいつを更に鍛えれば間違いなく君より強くなる。参考となる情報をありがとう」

 

「あいつ氷だけでも十分強いですし、炎を使いこなしたらとてつも強いんでしょうね。それでも俺は勝ちますが」

 

「当然だ。そうなるよう作り上げた仔だ。オールマイト超える義務がある以上、そうなってもらわないと困る」

 

 作り上げた仔?義務?急に現れた不穏な言葉に、俺は嫌な予感を感じた。

 

「作り上げたというのはどういうことですか?オールマイト超えるヒーローをあいつが目指すのはわかりますけど……義務というのは……」

 

「なんだ、君は違うのか。まぁいい、君には関係のないことだ」

 

「クラスメートを道具呼ばわりされたんじゃ興味も嫌でもわきますよ。どういうことですか?人を物扱いしていいわけないでしょ」

 

 少し声を荒らげ、俺はエンデヴァーに詰め寄った。奴から殺気は感じないが、なにか禍々しい怨念のようなものが増えていくのはわかる。

 

「あれは……私が超えることのできなかった個性の限界という名の壁を超えさせるために作った最高傑作だ。二つの個性の性質を持ち、双方の弱点を補完できるようにな」

 

「個性の限界……双方の弱点の補完……まさかお前………!?」

 

 個性婚、歴史の授業の中で習った吐き気のする歴史の一節を思い出した。

 

 自身の個性を強化して継がせるためだけに配偶者を選び………結婚を強いる。倫理観の欠如した負の歴史だ。

 

 全身が燃え上がるような怒りを感じた俺はモード獣人の形態に変身し、奴に掴みかかる。

 

「そう拳を構える必要はない。君のお陰で焦凍が間違いなく強くなるという確信を得た。寧ろ感謝をしたいくらいだ」

 

「それであんたは自分の欲求を満たすため、焦凍を強くしようとしてるわけか。………ふざけるな!!お前は人を……焦凍をなんて思っているんだ!?!?」

 

「俺はただオールマイトを超えたいだけだ。そうしなければならない義務がある。もう………引き下がる事もできない」

 

「例えそうだとしても!!あいつにはあいつだけの未来と可能性がある!!!その未来まで手を差し出せるあんたが……手を差し出すだけの力があるあんたが!!!その差し出す手を自ら放す必要はないだろ!!!」

 

「何も知らない子供がこれ以上立ち入る領域ではない。これは俺とあいつの問題だ。お前が立ち入る場はない」

 

「お前家族をなんだと───」

 

 

 

 

 

「やめろ狼!!!親父とこれ以上関わるな!!!!」

 

 

 

 

 

 通路の奥から聞き覚えのある今聞きたくない声が聞こえ、俺は苦々しい顔で焦凍の顔を見た。ひとまずモード獣人から人型に戻り、エンデヴァーから手を放す。

 

「てめぇまさか狼に個性のことについて聞いたのか……!?あんたの勝手な野望にこいつを巻き込むな!!俺はお母さんの力だけで勝ち上がる!!てめぇの力なんていらないんだよ!!」

 

「すぐに限界が来る。その限界のときのために俺が備えるのは当然だろう」

 

「狼行くぞ!!こいつに関わるだけ無駄だ!!てめぇもさっさと消えろ!!!」

 

 焦凍はいつにもない苛つきようで俺の手を引き、その場から立ち去った。

 

 1分ほど無言でただただ歩き、スタジアムの反対側の通路で焦凍は立ち止まった。俺の方を向き、焦凍は頭を下げる。

 

「あいつが本当にすまねぇ……。お前が家族の事をどれだけ大切に思っているのかだって知ってるのに……あいつのクソみたいな野望にお前を巻き込んじまって………」

 

「過ぎたことだ気にすんな。それに俺も……冷静に考えれば勝手に家族の事情に踏み入っちまったわけだしな………。お前の事を考えず……余計な事を言って悪かったな」

 

「全部本当のことだからな気にすんな。全部あいつが悪いんだ……あいつが……」

 

 本当に苦しそうな様子で、焦凍はそう答えた。

 

 こいつにどんな過去があるかまではわからないが、こいつが左の炎を殆ど使わない理由は嫌でも理解できる。だが……もしそうなのであれば……

 

「………お前の個性は俺と同じ二つの個性の性質を持った個性だ。だが、お前は俺と違って本当に明るく、楽しそうに話してた。俺にも……こんな当たり前の未来があったらだなんて思うほどにな」

 

 ふと焦凍は話し出し、自らの右手を見つめた。焦凍は話を続ける。

 

「だからさ……どこかお前を羨ましいなって思ってたんだ。普通に家族と仲が良くて……普通に喧嘩して……普通に飯食って……そんな当たり前を夢見ちまうんだ。叶うはずも叶える事もできないのにな」

 

「……俺の家族もそう単純じゃねーけどな。それでよ………お前は本当にヒーローになりたいのか?親父を見返すためじゃなく……自らの意思で成りたいん……だよな?」

 

「……さぁな……わかんねーよ……そんな事。俺はただ……俺の中にいるあいつを……完全否定したいだけだ。それだけしか……考えてこなかった……」

 

「……そうか、それがお前の意思か。…………けどよ、もしお前がお前の意思でヒーローに成りたいのなら───」

 

 

 

 

『小休憩の時間は終了だ!!まもなく今体育祭トップの成績者達の試合が始まる!!!オーディエンスもプレイヤーも準備をしてくれ!!!』

 

 

 

 プレゼントマイクの声が響き渡り、第2回戦1試合目の時を辺りに知らせた。

 

 言いかけた言葉をしまい、選手でない俺はこの場から立ち去ろうと立ち上がった。

 

「もう試合の時間か。まぁとりあえずなんだ、頑張れよ次の試合も」

 

「わかってる。俺は絶対に勝つ。勝って親父を否定する。今は……それだけだ」

 

 そう返した焦凍を悲しくもう一度見ると俺はその場から立ち去った。

 

 同じ性質の個性の俺じゃ……ヒーローの息子である俺じゃ……あいつの呪縛を壊すことはできない。だがもし……あいつの呪縛を壊すものがいるとしたら………。

 

「んっ出久?なんでこんなとこに隠れてんだ?」

 

 観客席に行こうとしていた矢先、階段の奥でなんか身を隠していた出久の匂いを感じ、隠れていた出久を見つけた。なんか慌ただしい感じで出久は口を開く。

 

「や、やぁ狼君、試合の怪我はもういいの?」

 

「やぁって…………。お前そんな事言うキャラじゃないだろ。変なもんでも食ったか?」

 

「別にそういう事はしてないかなーうん。じゃあ、僕は行くね」

 

「待てよ出久。なんで俺とエンデヴァーの話を盗み聞きして、なぜそれを俺を言おうとしない。俺の鼻をごまかせると思っているのか?」

 

 あたふた出久をその言葉でその場に留め、俺は出久に近づいた。

 

 エンデヴァーとの会話の場にいたのは焦凍だけではない。通路の奥で出久もその話を聞ける位置にいた。

 

 俺の言葉に観念したのか、出久は口を開き始める。

 

「うん……一応話は聞いてた。轟君達が行っちゃってからのことは全くわからないけど……」

 

「ああそうか。まぁ色々複雑なんだあいつも。かなりややこしいし、忘れた方が楽だ。あんま気にせず戦った方がいいぞ」

 

「あの話だけじゃない……僕は轟君の過去についても知ってる……。だから……何かせずはいられないなんだ」

 

 その言葉に俺は空気を少しピリつかせた。何を言おうとしてるんだ俺はなどと思いながら出久に言葉を投げかける。

 

「例え気にしたとしてお前には何ができる?ここまで個性を使いこなせず、ラッキーパンチでここまで戦ってきたお前が……焦凍には到底及ばないお前がどうやってあいつに何ができる?力が及ばず……お前はよりあいつを傷つけるかも知れないんだぞ」

 

 鋭く、冷たい言葉だなと思いながらも言葉を投げ続ける。

 

「一応俺もあいつもヒーローの息子という肩書を背負ってここにいる。その重みを知らず、力を持っていないお前がなにかするだなんてことは限りなく無駄に近しい行為だ。それでも何かをするのか?」

 

「確かに僕のしようとしていることは余計なお世話だ。でも……だからって何もせずにはいられないんだ。だって余計なお世話はヒーローの本質だから」

 

「その本質が人を救うとは限らない。時にその本質は人の命を奪い、人の心に直しようのない傷跡をつけることもあるんだぞ」

 

 そう強く言うが、出久が折れる気配はない。

 

 

 

「君達の重みと比べたら……僕のやろうとしてることは愚かな行為なのかもしれない………。でも………ここでなにかしなかったら……僕は永遠に……笑って応えられるようなカッコいいヒーローになることはできないんだ……!!

 

 

 

 

 そう出久は言い放ち、俺に強く言い放った。その言葉に……俺は深い安堵の息を吐く。

 

「そうか……それがお前の意志か。その何にも曲げられない意思ならばあいつを……焦凍の呪縛を壊せるかもな」

 

「それって……僕のやろうとしてることを止めないってこと……?」

 

「止めるも何も俺は最初から止めるつもりはなかったよ。一応お前の意思を確認したかったもんだから少し試させてもらったけどな」

 

 少し困惑してる出久の肩に手を置く。

 

「お前はあいつにやってやりたいことを全力でやってやればいい。迷っている人の心にとって折れない意思は人の心のを壊すものと成りうる事もあれば人の心の鎖を壊すこともある。全てはお前しだいなんだよ」

 

 こいつにはあって俺にはないもの……それは折れない意志の有無だ。

 

 ……俺にできるのはあくまで差し出された手を掴むことであり………手を自ら差し出すことはできない。そんな俺では……手を差し出すことを拒み続けているあいつを助けることはできないのだ。

 

 そしてこいつには俺の考え通り確かにその意志があった。きっと……なんとかなるという安堵が俺の中に巡る。

 

「狼君の言ってることはよくわからないけど僕はできることを全てやる……!!そして君にも勝つ……!!」

 

「精々ここまで上がってこい。そして戦おうぜ。どっちが強いか証明するためによ」

 

 そう言うと出久はステージへと続く通路へと向かっていった。リカバリーガールの治療を後回しにし、俺も観客席に行く。

 

「遅かったな狼!次はおめーとだからよろしくな!!」

 

「了解。速攻でけりをつけてやるよ。」

 

「言ってくれるじゃねーか。でどうよ?緑谷 対 轟 の試合どうなると思う?」

 

「さぁな。どっちにとっても負けられない試合だし、どっちにも勝つっていう熱があった。………とりあえず言えることは一つ」

 

 

 

『今回の体育祭 両者トップクラスの成績!!まさしく両雄並び立つ!!』

 

 

 

 暗い廊下を抜け、両者がステージへと辿り着く。同時にプレゼントマイクの声がスタジアムの熱気を高らかに燃え上がらせる。

 

 

「今回ばかりはかなり面白い試合になりそうだ」

 

 

 

 

『緑谷!! 対! 轟!! START!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 現在の第1回戦トーナメントリサルト

 1試合 緑谷 対 心操
 
 原作通り緑谷の勝利。原作よりは心操君がネガティブじゃない。

 2試合 轟 対 瀬呂

 原則通り轟の勝利。瀬呂ドンマイ!!

 3試合 上鳴 対 耳郎

 序盤中盤までは上鳴が電気を放出して優勢だったものの、終盤の電気切れを狙って投擲された石が上鳴の顔面に激突、その隙に耳郎に近づかれイヤホンジャックを刺された事で気絶。耳郎が勝利。上鳴もドンマイ!!

 4試合 八百万 対 常闇

 原作通り常闇の勝利。原作と内容が全く同じ過ぎて書くことがない。

 5試合 飯田 対 尾白

 飯田のスピードのつけた攻撃を尾白がカウンターで返す接戦。体力切れになり、ガードできなかった尾白を飯田が場外に蹴り飛ばしたことで尾白が場外。飯田が勝利。次はヤバい奴(爆豪)と対決だ。

 6試合 麗日 対 爆豪

 原作通り爆豪の勝利。原作を見返したけど観客がやっぱりうざい。

 7試合 芦戸 対 切島

 酸による加速で切島を場外に投げようと芦戸が奮闘するが加速していた芦戸を切島が捕獲。場外に芦戸を投げ飛ばしたことで切島が勝利。次の相手とどう戦うか切島君模索中。

 8試合 狼 対 被身子 

 21話に内容を書いたので閲覧お願いします!!


 
 
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