ヤバいわ……脱字報告がマジで多すぎるわ。本当に………。
年明けまであと数日となり、報告が遅れましたがお気に入り登録者が400人を超えました!!この小説読んでいただいて、誠にありがとうございます!!
原作がシリアスを迎えつつあるように、この小説もまもなくシリアスに入らせていいただきます。果たして……狼とヒミコはどうなるのやら。
………んっ?あの魔王と大魔王はどうなるのかだって?………。俺にも制御できないからわかりません(諦め)
母さんがあんなことを言ったせいでエンデヴァーはかなりの大荒れだったそうだが、鉄田さんが事前に捕縛していた者を含めた脳無及び爆弾ヴィランは警察によって無事回収。
…………死んだ肉塊脳無の遺体は母さんと父さんの意向で危険性がないかの確認の後、近くの山に埋葬されたそうだ。(これに関しても、エンデヴァー含め数人のヒーローはヴィランの墓など建てる必要はないとして大批判。今朝方、そいつ等全員のSNSは大炎上していた)
病さんの手当もあって俺とヒミコ、焦凍は軽い検査だけですぐ退院。出久、天哉、そしてステインにやられたヒーロー、ネイティヴは応急処置だけでは処置できないほどの重傷を負っていたため、保須総合病院に入院することになったが、治療用ウイルスの効果もあって全員後遺症は残らず、今日の午後にはもう退院が出来るらしい。
「だってのに、なんで俺達病院に呼び出されてるんだ?焦凍の怪我も完全に治ってんだろ?」
「治ってるは治ってるが、まさかこんなに早く治るとは思ってなかったけどな。病さんだっけ?あの人も俺に打った治療用ウイルスってやつも凄いんだな」
「1ヶ月で作れる数は20人分ぐらいですし、高頻度で投与すると全身の細胞が老化して、死ぬ可能性があるからリカバリーガールの治癒よりは全然凄くないって、本人は言ってましたけどね。あの人もあの人で、かなり吹っ飛んだ力の持ち主なんですよ」
「というかうちのトップ戦力の鉄田さんにしろ、荒記さん達にしろ、父さんと母さんが色々おかしいから目立っていないだけで、あの人達もかなりおかしいからな………。黒江さんだって普通の事務所なら余裕で最高戦力になり得る実力だし………かなり基準がおかしいんだよ…………うちは」
「親父が大炎上したせいでうちの事務所は殆ど仕事出来ないし、そんな凄いんだったら残り期間俺もそっちに────」
「やめとけやめとけ…………!!」「自殺願望がないのならやめてください………!!」
「なんでだ?そんなに強いならなんか学べるかもしれないだろ?」
「あの人達の強さは母さんと父さんという死線を何万回も何回も乗り越えたからこそあるんだ……………!!俺も百回ぐらい死線を超えてるから言うが…………こんな外道な方法は冗談抜きでやめた方がいい!!……………最悪!!精神崩壊した上でそのままトレーニングやらされるぞ!!」
「死んだら地獄から引きずり戻して、また地獄に叩き落とすってを永遠に繰り返すのがトレーニングの基本ですからね………………。ああ………考えただけで震えとトラウマが………………」
「………………お前達も…………苦労してるだな」
「「はいっ…………。かなり苦労してます………………」」
焦凍に同情の視線を向けられながらも震えとトラウマをなんとか抑え、出久達の病室を開けるとそこでは起きた出久と天哉がベットに座って何かを話していた。
「ヒミコさんに狼君に轟君!君達も呼び出されたのか?」
「君達もってことはお前等もか。怪我の方は、完全に大丈夫そうみたいだな」
「うん。病さんの治療のお陰でね」
「左手のダメージが大きかったらしく、後遺症が残るそうだったんだが、病さんの治療のおかげでこの通り無事だ。後でお礼の手紙と菓子を書いて送らせてもらうよ」
「本人曰くヒーローとして当然の事をしただけって言ってましたし、お菓子まで送るほどかしこまらなくて大丈夫ですって」
「何を言うんだヒミコさん!体の障害になるはずだった傷を特に恩に着せる事なく治してくれたんだ!!この恩は千枚ぐらいの手紙じゃ表せるわけない!!1万枚の手紙で感謝を伝え───」
「なくていいわ馬鹿たれ!!うちのポストがパンクさせる気かお前は!!」
それを聞いた俺と天哉以外は大笑いし、ヒミコにかぎっては壁をバンバン叩きながら大笑いの声を上げた。
「だけど………冷静に考えるとお互いにすごい事しちゃったね…………。あんな奴等を相手にするなんてさ………」
笑いながらも少し思うことがあったのか、出久は静かに口を開いてそう言った。
笑っていたヒミコと焦凍や天哉も思うことがあったのか、静かに口を開く。
「…………ああ。そうだな」
「お互いにいつ死んでもおかしくなかったわけですし………確かにその通りですね」
「そっちの方はわかんねーけど………全員死ぬんじゃないかって………正直俺も怖かったよ」
「爆弾ヴィランに攻撃を仕掛けたヒーローが煙がズタボロになって出てきた時………私、その場から逃げたくなりました。刀花さん達が来てくれなかったら………どうなっていたことか…………」
「………ステインと戦った時………僕足をやられてさ…………。………これ多分………殺そうと思えば殺せてたと思うんだ」
「俺の怪我だってそうだ。俺等はあからさまに生かされた。…………あんだけ殺意向けられて、尚立ち向かったお前はすげぇよ。救けに来たつもりが逆に救けられた。わりぃな」
「いや………違うさ………。俺は────」
「おぉ、起きてるな怪我人共!」
「話してるとこ悪いな」
「ちょっと入らせてもらうよ」
「グラントリノ!」
「マニュアルさん………!」
「刀花さんに爪牙さんもですか!」
天哉が何かを言いかけたその最中、グラントリノにマニュアル、母さんと父さんがぞろぞろと病室に入ってきた。
「すごい…グチグチ言いたい…が」
「あっ…す…?」
「その前に来客だぜ。保須警察署署長の面構犬嗣さんだ」
「面構!!署…署長!?」
「掛けたままで結構だワン」
そう言いながらのそっと入ってきた署長さんの頭を撫でようとしているヒミコの手を抑えながら、この人の言いたいことを察した俺はそういうことかと、天井を見上げる。
「君達がヒーロー殺しを仕留めた雄英生徒だワンね。ウイルスヒーローペストの治療で多少マシではあったが、ヒーロー殺しは火傷に骨折となかなかの重傷で、現在治療中だワン」
「「「!」」」
「超常黎明期…警察は統率と規格を重要視し、個性を武に用いない事とした。そしてヒーローはその穴を埋める形で台頭してきた職だワン。個人の武力行使…容易に人を殺められる力。本来なら糾弾されて然るべきこれらが公に認められているのは、先人達がモラルやルールをしっかり遵守してきたからなんだワン。資格未取得者が保護管理者の指示なく個性で危害を加えた事、たとえ相手がヒーロー殺しであろうともこれは立派な規則違反だワン。君達3名及びプロヒーローエンデヴァー、マニュアル、グラントリノ、この6名には厳正な処分が下されなければならない」
「待って下さいよ」
「轟君………」
「飯田が動いてなきゃネイティヴさんが殺されてた。緑谷が来なけりゃ二人は殺されてた。誰もヒーロー殺しの出現に気付いてなかったんですよ。規則守って見殺しにするべきだったって!?」
「焦凍君の言う通り3人は死ぬ気で目の前の人を守る為に行動しただけです!!それにそんなことを言いだしたら私だって規則違反ですし!!緊急事態でしたんですから仕方ないでしょ!!」
「ちょちょちょ」
「まったく、それはあまりに甘すぎる考えってもんだろ。それいうのがまかり通らないからこそ、社会が成り立ってるんだ。間違いを間違いを犯したならで、それ相応のけじめをつけるってのは当然の話だろ」
反論した焦凍とヒミコに対し、天井を見上げていた俺は少し空気をピリつかせながらそう言い放った。
俺の言葉に対し、二人は怒りを露わにする。
「狼!!お前までそんなこと言うつもりか!?人が目の前で死ぬかもしれなかったんだぞ!!」
「死ぬかもしれないと感じたあなたが何を言っているんですか!?撤回してください!!今の言葉!!」
「撤回はしねーし、間違いは間違いだ。まずヒミコ。お前は自分も規則違反と言ったわけだが、俺達は保護管理者の許可の下戦闘を行っていたわけだからそもそもの前提が違う。ですよね?署長さん」
「………ああ。彼の言う通りだ。狼君は限定効果であるとはいえ国際ヒーロー仮免資格を持っているし、ヒミコ君は資格こそ持っていないが、保護管理者の指令があった上、その保護範囲が及ぶ範疇で戦闘を行っていた。そもそも前提が違うワンね」
「次に焦凍。ヒーローを自分の意志で目指し始めた事は嬉しい限りだが、その過程で罪を犯したのに関わらず、けじめをつけねーってのはどういう話だ?俺はそんな自分のけつを拭けない奴を、ヒーローと認めるつもりはないぞ」
「…………人を………救けるのがヒーローの仕事だろ」
「『結果オーライであればいくら罪を犯しても人を殺しても構わない。』
………言い方を変えればそう言う意味を持つ言葉を言った事を、お前は自覚しているのか?」
「……………んっ」
「…………罪の大なり小なりにしろ、俺はその罪を永遠と後悔する奴も、その罪を永遠に認めず、永遠に罪を犯し続ける奴も俺は見てきた。お前等はまず、その選択を軽い気持ちで誤った選択しかけたって事を自覚しろ。そんな事が出来ない奴はあのステインと同じ…………!!ヴィランの足元にすら及ばない糞野郎なんだよ…………!!!」
僅かばかりの怒気と威圧を込めた言葉に対し、ヒミコと焦凍はなにか言いたげにしながらも引き下がり、押し黙るしかなくなった。
「…………まぁ、本当に正しい事をした奴が、報われなけばならないってのも本当の事だ。だからこそ、あなたはここに来たんでしょ?」
多少応えた様子の2人を見て、俺は静かに署長さんそう言った。
少しため息をつきながらも、署長さんは口を開く。
「つい先程言ったことが、警察としての意見。で、処分云々はあくまで公表すればの話だワン。公表すれば世論は君らを褒め称えるだろうが処罰は免れない。一方で汚い話公表しない場合、ヒーロー殺しの火傷跡から、血影を功労者として擁立してしまえるワン。幸い目撃者は極めて限られている。この違反はここで握り潰せるんだワン。だが君達の英断と功績も、誰にも知られる事は無い」
面構は、親指を立てながら言った。
「どっちがいい!?一人の人間としては…前途ある若者の『偉大なる過ち』に、ケチをつけさせたくないんだワン!?」
「まぁ、どの道監督不行届で俺らは責任取らないとだしな」
「申し訳ございません………」
「よし!他人に迷惑がかかる!わかったら二度とするなよ!!」
「私としても、マスコミ引きつける餌はあんま作りたくはないんだけどね。それにしても面構さん。功労者をエンデヴァーにするってのじゃだめだったのかい?」
「彼に関しては目撃情報が大量にありましたし、適任があなたしかいなかったですよ。国が行うであろう発言の責任追及の緩和剤になると思って、どうかお願いします」
「まぁ、それなら仕方ないし、やってやるがお前等!!狼があんたらにしっかり言ったから私としてはあまり言うつもりはないが、罪を犯したことを認めないなんてことを二度と言うんじゃないよ!!罪ってのは死んだとしても消えることはないこの世で最も重いものだ!!お前達は人の善意によってそれを背負わず!!永遠に続く償いをしなくていいってことをちゃんと自覚しておくんだよ!!わかったかい!?」
「はいっ………心しておきます…………」
「勝手なこと言って………すいませんでした………」
少し応えた様子の3人を見て、俺と出久もまた頭を下げた。
「大人のズルで君達が受けていたであろう称賛の声は無くなってしまうが………せめて、共に平和を守る人間として………ありがとう!!」
面構もまた、5人に深く頭を下げた。
◆◆
「とりあえずだな。お前等にはこんぐらい言ってやらないとお灸にはならないと思ってだな。少し思いっきり言っちまった。その………なんだ?言い過ぎて………すいませんでした。ハブだけはマジでやめてください………。お願いします…………」
「狼は俺達のこと言ってくれたんだし、謝ることないって………。………俺こそ、勝手なこと言ってごめんな」
「まぁ確かにヴィラン更生をする立場からしたら当然の考えですもんね………。………私も………勝手なこと言って本当にすいません」
「わかったならもうハブにしないで………。マジで胃と心にダメージヤバいから…………。ほんと俺自殺する勢いでヤバいから…………」
「なんか話しづらかっただけで………ハブにするつもりはなかったんだが………まぁとりあえず、頭上げろよ」
「本当にハブるつもりはなかったんですって………。ただ喋りづらかったから目を合わしてなかっただけなんですって………。ほんと………元気だしてくださいって」
「ならハブらないで………。俺をハブらないでくれ………」
署長さんとグラントリノさん達が帰った後、検査を受けている出久と天哉を待っている二人に対して、俺はついさっきと打って変わってとんでもなく震え声を出しながら土下座の体制で2人に謝っていた。
まぁ間違ってることだから言わないと駄目だと思ったし………たっぷりお灸を据えないとまたやるから言ったけどさ………。あの後2人………俺と距離を話す上に俺と目を合わせないようにしてたし………飲み物買いに行くときも殆どハブられるみたいな感じで病室で待たされることになるもんだから…………流石に申し訳なさすぎる気持ちで一杯になったわ…………。
ほんと………ハブだけはマジでやめてください………。それだけで俺の胃にダメージいくから…………。マジで即死級のダメージが100回ぐらい入るから……………。ほんと………色々すいませんでした…………。
「3人ともおまた────せってどうしたの3人とも!?!?」
「何故狼君が土下座をしている!?僕達が検査に行ってる間に何があったんだ!?!?」
何故か病室で土下座をしていた俺に驚きながらも、二人は荷物を整えて病室に入ってきた。
つい先程の病院服と違って二人は完全に私服だし(出久の服に関してはかなりツッコミを入れたいが)、検査としてはやはり問題はなく、無事退院できるのだろう。
「気にするな気にするな………。大したことのないじゃれ合いみたいなもんだ…………。そんな事より、お前達の検査の方は問題はなかったみたいだな。俺とヒミコは家に帰って職場体験を続けるつもりだがお前等はどうするんだ?家に帰るんだったら送ってくが」
「………いや。俺としてもすぐ事務所に戻って、職場体験を続けたいと思う。今回の事で、まだまだ足りない事があると思い知らされたからな」
「僕もグラントリノさんのところに戻って、職場体験を続けるつもり。ハーフカウルの感覚も掴めてきたし、もっと組手と教授をしてもらうつもりだよ。……土壇場で骨にヒビ入っちゃったし、もっと練習しないとね」
「焦凍の方はエンデヴァーの大炎上で仕事できないみたいですけど、あとの数日はどうするつもりなんですか?………もし嫌でないなら、爪牙さん達のトレーニングはなしな方向で、話し通しておきましょうか?」
「………いや。ついさっき仕事ができるぐらいには落ち着いたらしいから、俺もあいつんとこ戻ろうと思う。どうしようもない親父だが………あんななりでも一応ナンバー2ヒーローだからな。…………それに、俺の意思でようやくヒーローになろうって決めた以上、自分だけで少しずつ正しい事がなんなのかっても見つける時間っての必要だと思うんだ。次こういう時あった時、俺は俺なりの覚悟を持って行動しねーしな」
「………そうですか。なら、一緒に強くなるってのはまた別の機会ですね」
「ああ。俺は必ず強くなる。絶対に、お前を超えるからな」
「それは別に構わねーんだが……。…………お前等、いつからそんないい雰囲気になりやがった?まさかあれか?吊り橋効果でなったとかいうあれか?俺はまだ絶対に認めないからな!!俺に勝てない奴を認めるつもりは絶対にねーからな!!わかったか!?」
「ああ。わかったけど吊り橋効果ってなんだ?あと、認めるってなんだよ?」
「いつか勝てるようにするつもりはつもりですが、認めるってのは本当になんなんですか?あと、吊り橋効果って一体何ですか?」
「あーくっそ!!お前は無駄に顔が良いんだからそういうのわかってくれよ!!そしてこいつを誑す無駄にイケメンな顔はこれか!?てめぇ無自覚誑かし罪でぶっ飛ばすぞ!!ちくしょうめ!!」
「ちょっ!ちょっ!落ち着いて!!轟君の顔を引っ張らないであげてって!!」
「黙れ誑かし1号!!てめぇも同罪みてーなんもんだ!!」
「何やってんだあんた等?車の準備できたから行くぞ」
誑かし2号をもうちょっと問い詰めたかったが、母さんが関わってくると面倒なため、俺は仕方なく焦凍の頬から手を放した最中、ずっと黙っていた天哉が母さんに頭を下げた。
「この度は!!ステインに謝罪の言葉を言わせて頂いて本当にありがとうございます!!本当になんとお礼を言っていいかとても言葉に言い表せません!!」
「何を勘違いしてるのかは知らないが、私は言いたい事を言いたいふうに言っただけだ。そんな頭を下げられることなんてしてないぞ」
「………俺、兄さんが殺られた事で頭が真っ黒になって………あいつを殺すことしか考えられなかった。俺が本当になりたかったものが何なのか………わからなくなってしまったんです。兄さんが……復讐なんて望んでいないことは誰よりもわかっていたはずなのに………!!」
天哉はそう言うと更に頭を下げ、目から少しばかりの涙を流した。
「…………インゲニウム。自分が弱いのを自覚してるからこそ他者を誰よりも思いやり、他者と力を合わせることで生まれる力が何にも勝るって事を誰よりも理解していた、本当に良い奴だったよ」
頭を下げる天哉に対して、少し遠くを見ながらも母さんはそう呟いた。少し泣き止んだ天哉の頭に手を起きながら母さんは話を続ける。
「そんないい兄を持ったからこそお前はあいつを許せず、今回の行動に至ったわけだ。…………その罪を、償うつもりはあるんだろうね」
「俺は兄さんを超えるヒーローになる……!!インゲニウムという意思を………!!必ず繋いでみせます………!!」
「ならさっさと頭を上げな。あんたのやるべきことは、憧れの兄さんを超えるヒーローになることなんだ。こんなとこで立ち止まってる暇はないだろうが。………それでも本当に心配なら、多くのヴィランと関わっている私が、今ここで断言してやる。自身の罪を自覚し、その罪と向き合おうと決めた者は強い………!!あんたは間違いなくヒーローになる事が出来るさ………!!飯田 天哉………!!………いや待てよ。その名前は少し古かったな。お前の名前はなんだ?お前がなるべき者の名前はなんだ?」
「………インゲニウム!!僕が憧れた………!!ヒーローの名前です………!!」
「あいつが心半ばで繋げなかったその意思を、これからはお前が繋いでいけ。………まぁ、あのお人好しバカも、こんなところで立ち止まるような奴ではないだろうがな。しっかりやっていきな!!インゲニウム!!」
「はいっ………!!」
下げていた頭を上げ、天哉は確かにそう言い放った。
あいつが復讐心なんてものを持っちまった時は心配だったが、もうそんな心配する必要はないみたいだ。あいつは確かに自分の意志となるべきを見つけて、それに向かって少しずつ進もうとしている。
「………寧ろ、うかうかしていられないのは俺の方か」
「話は終わったし!!早く家に戻るよ!!あんた達のやるべきことも!!沢山あるんだからね!!」
「わかってるよ母さん。さっさと職場体験の続きを始めよう」
「私達も負けていられませんし!!早く続きを───」
「んっ?何を勘違いしてるんだい?とっくにあんたらの職場体験は終わってるよ」
…………んっ?今なんて言った?上手く聞こえなかったな。
「なんだ?上手く聞こえなかったのかい?あんた達の職場体験は終わり。今日からルナティック圧縮トレーニングの開始だ………!!一応言っておくが、逃がすつもりは一切ないからな……………!!!」
つい先程まで浮かべていたヒーローの表情の代わりに現れた大魔王の表情に、俺とヒミコは全身から大量の冷や汗を流し、大魔王から一歩距離をおいた。謎の笑みを浮かべながら、大魔王は話を続ける。
「今回の事件の戦闘………はっきり言ってお粗末という言う以外表せない程ひどいものだったからな。あんな筋肉ダルマぐらい、片手でなんとかしてみせろってんだよ」
「いやいやいや!!あれ一応劣化版とはいえUSJ脳無と同じ奴だからね!!あんなの片手でなんとか出来るわけないだろ!!」
「打撃以外は効くことわかってんだし、所見じゃないんだからどうにかなるだろ。あとあんなの相手にしただけで少し怖かっただ?笑わせんな。あんなの如きでビビるんじゃねーよゴラァ」
「き、基準がおかしいだけ!!基準がおかしいだから!!!あんなの普通怖いに決まってるでしょ!!!」
「まぁ怖かったら怖かったらで?それ以上の恐怖を与えて特訓させるだけだから、もう怖がることはないと思うから安心しろ。まぁなんだ?二人共」
死んでも引きずり戻してやるから安心して死んでこい!!!
「「安心してでなんか死ねるかぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」
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「…………んで?そんな事があったから、こんなふうになって帰ってきたと」
「うん………。ステインはステインで怖かったけど…………血影さんも血影さんでかなり怖かったよ……………」
「俺に言葉を掛けてくれた時の表情はまさにヒーローそのものだったが…………あの表情はまさに大魔王そのものだったよ…………」
「うん………。とりあえず………めちゃくちゃ怖かった……………」
「そんな地獄に何度も行った………お2人さん………。とりあえず………なんだ?…………お疲れ様」
「怖かった!!脳無の何倍も怖かったです!!!」
「帰ってきた!!500回は死んだけどなんとか帰ってきたぞ!!!」
ヒミコは三奈の、俺は鋭児の胸に顔埋め、学校に無事?帰って来た喜びと、あの時の恐怖による震えで俺達は大量の涙を流していた。
残りの数日間の事を言葉にしたら間違いなく阿鼻叫喚になるから言うつもりはないが…………とにかく俺達は地獄を乗り越え!!無事?職場体験を終えることが出来た!!
まぁただしあのトレーニングは今日の明け方まで続いていたわけで………俺とヒミコは1時間ぐらい気絶するほどのダメージ受け………相澤さんが車で迎えに来た上、満場一致で授業時間が1時間遅れるという非常事態が起きることにはなったが…………なんとか無事に?帰ってくる事が出来た。本当に良かった…………。本当に………良かった……………。(その車には実も乗せられており、ヒミコを見るや何故か恐怖の声を上げて震えていた)
「1番大変だったのはこいつらだけど…………1番変化があったのはお前等3人だな!」
変に同情的な雰囲気になっていた教室の様子を見て、電気は話題を変えるようにしてそう言った。
「そうそうヒーロー殺し!!」
「…心配しましたわ」
「命あって何よりだぜマジでさ。大魔王………じゃなかった。血影さんが救けてくれたんだってな!さすがナンバー4だぜ!」
「…そうだな。救けられた」
「「うん」」
「俺、ニュースとか見たけどさ。ヒーロー殺し、ヴィラン連合とも繋がってたんだろ?もしあんな恐ろしい奴がUSJに来てたらと思うとゾッとするよ」
「ヴィラン連合の脳無も爆弾ヴィランもヤバかったらしいし、俺達もそううかうかしていられないのかもな?」
「けど!!そんな中ヴィラン連合の奴等を速攻で倒したフェンリル事務所にステインにビシバシ言った血影さん!!結構カッコよかったよな!!」
「…………まぁ確かに、ヒーローとしてはかなり尊敬できるし、普通にめちゃくちゃカッコいいからな母さんは。………大魔王だけど」
「皆さんとても強いですし、ヒーローとしてはとてもカッコいいですからね。………爪牙さんは魔王で、刀花さんは大魔王ですけど」
「だよな!!お前等もべた褒めじゃんかよ!!………でも、魔王と大魔王なんだ?」
「ああ。ヒーローをしてる魔王と大魔王だ」
「ヒーローをしている悪魔と大悪魔とも言いますね」
「それは最早………ヒーローではないと思うがな…………」
踏陰が呆れた表情を浮かべるとともにチャイムが鳴り、入ってきた相澤先生が授業開始の挨拶をするとともに、俺達のいつも通りの平和な時間がまた始まったのだった。(すれ違った何人かの先生には青い顔をされ、何人かの先生には同情の視線を向けられたのだが)
血闘術 1〜6式の解説
•1式 D-101デリンジャー
洗練していていない純粋な気を武器や拳に集めて放つ一撃。気を洗練していないため威力が低い上、初心者でも簡単に実践で使うことができる。爪牙が乱打と鎌崎放った一撃は、これによるものである。
•2式 M9バヨネット
切ることに特化させて洗練した気を武器や手刀に集めて放つ切断技。手刀でも使う事ができるが、武器を使って行う方が気が安定するため使い安く、威力も上昇するという特性を持つ。
•3式 SAMスティンガー
跳躍力に特化させて洗練した気を足に集めて放つ蹴り技。この技を使用するため、足に気を集めていると跳躍力と俊敏性が増し、移動速度を早くすることができる。解原を除いたフェリル事務所初期メンバー全員が使う事ができる技であり、全員がこれでスピードを早めている。
•4式 MGLダネル
武器や石に気を込めて放つ投擲技。体から物を放した状態で気を込めた状態を維持するのは難しく、この技が難易度から格段的に増していく。また、刀花の放つ弾丸一つ一つにはこれが使われており、威力が格段に上乗せされている。
•5式 GAU-8アヴェンジャー
細かく分割した気を連続で放ち、敵に何もさせないことを目的とした連打技。気を分割できるようになるまでは気の消費が大きく、連続で使うことは不可能であるが、気の分割ができるようになった状態で使うと格段に気の消費を抑えられる上、血闘術を使用することで消費する体力を抑えることができる。
•6式 M82バレット
圧縮して研ぎ澄ませて洗練した大量の気を放ち、敵の体を内部から破壊することを目的とした技。この技を使うに当たっては大量の気を消費するため連発はできず、5式を習得する際に得ることができる気の分割技術がない状態で使うと大量の気の消費によって意識を失う危険性があるため、使うには技術と練度がある事が不可欠である。