鮮血少女と鮮血狼   作:熊田ラナムカ27

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 あまり投稿間隔を挟まずですが、次話が出来たので投稿させていただきます。やっぱり、話の内容が定まってると早いですね。
 
 前回の話を見なかった人にあらすじを完結に説明すると、峰田が除きをしようとしたところで男湯にプリティーラブリーマン参戦!!結果、峰田は全裸で逃走した!!という感じです。
 
 改めて言いますが前回の話は人によってはキツイため、くぐれも自己責任で、お願いします。
 
 
 


48 嵐の前の日常

 

 

 

 ファティーグ伯母さんの存在で震えていたA組男子のほとんどに腕やら足やらを掴まれながら寝て数時間。あっという間に時は流れ、俺達は林間合宿二日目の朝を迎えた。

 

 いつも俺はこの時間体にはとうに起きており、一通りの朝のトレーニングをした後朝御飯を作るという生活習慣なため眠くはないが、午前5時30分起床という時間は他の奴等にとっては早すぎるらしく、皆眠たげでヘアセットも整っていない。

 

 そして、起床時間1時間前までひたすらファティーグ伯母さんに追いかけていたらしい実に限っては50歳年をとったかのようにフラフラであり、体のあちこちにキスマークが付けられていた。

 

 そんな俺達を他所に、いつも通りシャキっとした様子の相澤先生は話を始める。 

 

 「お早う諸君。本日から本格的に強化合宿を始める。今合宿の目的は全員の強化及びそれによる仮免の取得。具体的になりつつある敵意に立ち向かう為の心の準備だ。心して望むように。というわけで爆豪、コイツを投げてみろ」

 

「これ………体力テストの………」

  

「前回の… …入学直後の記録は705.2m………どんだけ伸びてるかやってみてろ」

 

「記録1位の狼が投げるんじゃないんですね」

 

「こいつの場合は気とかいうよくわからないものがあるし、前は魔血開放使ってなかったから、記録がエゲツないぐらい伸びること考えるまでもないからな。それじゃあこの3ヶ月の伸びが伝わらない」

 

「ちなみに前の俺の記録は901.54m。ヒミコの方の記録は870.87mで、お前の記録とは100m以上差が離れてる。今のお前に、この記録は超えられるかな?」

 

「けっ、舐めやがって。目に物見せてやるよ!!」

  

「ここ3ヶ月色々濃かったからな!900なんかとうに超えて!!1キロとか行くんじゃねぇの!?」

 

「このまんま言われたまんまってのはカッコ悪いからな!!行ったれバクゴー!!」

 

「んじゃよっこら…くたばれ!!!」

 

 

(((……くたばれって…)))

 

 

「最初の死ねよりはマシになってますけど、人というのは数ヶ月では変わらないものですね」

 

「馬鹿は何10年経っても馬鹿だからな。彼奴の口の悪さも、そう簡単に治るもんじゃねーよ」

 

「んだと!?死にてぇのかてめぇ等!!!」

 

 

「「「そういうところだ。そういうとこ」」」

 

 

「んじゃまぁ、これ結果な」

 

 俺とヒミコが勝己でいつも通り遊んでいる内に結果が出たらしく、皆興味津々に相澤の持っているデバイスの記録を見た。

 

 だが、俺とヒミコ以外は皆きょとんとした表情となる。

 

「709.6m?4mちょいしか伸びてなくね?」

 

「900どころか、800すらいってねーな」

 

「約三ヶ月間様々な経験を経て、確かに君らは成長している。だがそれはあくまでも精神面や技術面。あとは多少の体力的な成長がメインで、個性そのものは今見た通りでそこまで成長していない。…………まぁ、そこの2人は例外で殆ど個性が伸び切っているから、成長云々の話はまた別だがな」

 

「だから、今回の合宿では個性を伸ばし、よりできることを増やしていくわけなんだが………これが本当にキツい。俺達がやった外道な方法じゃなくても軽く死線は触れるし、人によってはマジで死にかける。まぁ、慣れていけば全然極楽だ。地獄を極楽と言えるように、たっぷりお前等を鍛え上げてやるから安心しろ」

 

「ど、どうしたんだ狼、ヒミコ?そんな圧の凄い表情で迫って…………。なんかすんごい嫌な予感がするんだけど…………」

 

「安心しろ死にはしない。死ぬほど痛いだけだ。慣れていけば、大したものじゃなくなるし、個性も体も格段に強くなる。頑張って地獄の入り口を楽しもうな」  

 

「今回は奥ではなく、あくまで入り口ですが、地獄はいつでもあなた達を待っています。そんな焦らず、怖がらず、少しずつ私達のところに来てください」

 

「一応正攻法なやり方なので、死ぬことはないと思うが死ぬほどキツイため…………死なないように頑張ってくれ」

 

 相澤先生のが不敵な笑みと、俺とヒミコの是非も言わせぬ様子に皆戦慄し、地獄の釜は今開かれたのだと、皆が確信した。

 

 そして、その数分後。遅れてやって来たB組もまた、その様子を見て戦慄する。

   

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

  

 

 

 

 

「はい!!もっとしっかり脇を固めろ!!!でなきゃ死ぬ!!!踏み潰される虫のように死に絶える!!!!さぁ潰される蛆虫なりたくなきゃさっさと立ち上がれ!!!!HARRY UP!!!」

 

 

「ほらそこ!!!手が止まっています!!!またそんなに密林コース50周やらされたいですか!?!?はい!!いいですよ!!それあと3時間継続!!!」

 

 

「甘いわよ!!甘いわよ!!もっとお尻がキューッとなるぐらい絞り出して!!!もっとあなたはできる!!!!最大まで絞り出すのよ!!!!」

  

 

「さぁ次の相手はですか!?この豪月丸のサビになる相手!!!いつでも掛かってきていいですよ!!!まぁ!!!掛かってこなくても戦いに行きますけど!!!!」

 

 

「はいもっと早く!!足に腕をたっぷり動かして!!!でないとその爆弾いつ爆発するかもわからないからね!!!そうそう!!!ファイト!!!ファイト!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 B組が見た光景はまさに現世の地獄そのものであり、ある者は背中に爆弾を付けられたまま走らされ、ある者はオカマに尻を擦られながら無理矢理個性を発動させ、ある者は鬼2人に追いかけ回され、ある者は迫りくるミサイルを打ち消しながら攻撃を捌き続けるという、悲鳴なんてものすらあげる余裕はないといった酷い有様だった。

 

 時折地獄に耐えきれず気絶し、倒れ込む者もいるがすぐ蘇生され、また倒れるという動作を繰り返している。

 

 もはやこれは特訓なんて生易しいものではなく、ただの無限地獄。そう言い切れるほど、状況はカオスとなっていた。

 

「な、何だこの地獄そのものは………!!つーかガチモンの拷問官っぽいのが5人ぐらいいるし!!!爆弾にミサイルって!!!完全に殺す気満々じゃねぇか!!!!」

 

「ってかあの拷問官よく見たら狼とヒミコじゃねぇか!!!!なんで!?!?なんで彼奴等拷問する側になってんだ!?!?!?」

 

「ああ、それは俺が頼んだからだ」

 

「意外にも2人とも結構ノリノリで………力が少し入りすぎちゃってるみたい」

 

「相澤先生!!黒影さん!!」

 

「先日一足先にトレーニングをやっている途中、午前中は彼奴等の個性伸ばしを手伝うように言ってな。それで『どういう風にやれば?』と聞いてきたから、『血影とフェンリルの特訓を1000分の1倍したものをやればいい』って言ったら、こういう風なことになった。まぁ、効率良いし、死なないから、別にいいかなと俺は思ってる」

 

「ああ、通りでいつもよりは楽だなとは、と思いました。1000分の1なんかにしたら、当然楽になりますもんね」

 

「えっ!?嘘だろヒスイ!?!?これでまだマシなのか!?!?!?」

 

「…………二人が行う最近の一番楽な特訓内容は…………360度から吹き荒れる爆弾や弾丸…………剣や槍を躱しながら足元の地雷を回避し、迫りくる魔王若しくは大魔王から一本入れるまで終われないという…………もはやただの処刑そのものみたいなやつですからね…………。ほら………時折休憩入れてるあたり………かなり優しいものですよ…………」

 

「あっ、時間だ。お前等一旦ストップ。10分経ったら再開するから、しっかり飲み物飲んで休んでおけよ。じゃあ、ヒミコ。その間に少し組手するぞ」

 

「はーい。了解です」

 

「じゃあ私もやります!」

 

「私も!」

 

「今回はちょっと本気出しちゃうわね!」 

 

「ホントだ………変なところで優しい……………」

 

「つーか………休むというより気絶してるの間違いじゃね………?全員………立ったまま気絶しねーか………あれ……。…………あっ、組手に巻き込まれて青山が虚空の彼方に飛んでいった。本当に大丈夫だなんですよね………?」

 

「気絶してるだけで死んでませんから、全くもって問題ありませんよ。そういうとこを気にしてたら…………何もやっていけませんからね…………」

 

「いやいや………かなり問題があると思うんですけど…………。というか黒影さん、相澤先生。目が死んでます…………。死んだ魚の目よりも死んだ目になってます………………」

 

「け、けど私達も入れると43人だよ?そんな人数の個性、あの5人だけでで管理できるの?」

 

「だから、お前達B組の方は、彼女等に担当してもらう」

 

「そうなのあちきら四位一体!」

 

 死んだ目の相澤先生がそう言うとともに、待っていましたばかりに後ろの4人が飛び出してきた。

 

 

  

 

 

 

 

 

「煌めく眼でロックオン!!」

 

 

「猫の手手助けやってくる!!」

 

 

「どこからともなくやって来る…」

 

 

「キュートにキャットにスティンガー!」

 

 

 

 

 

「「「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!!」」」」

 

  

 

 

 

 

 

 

 そう言いながらマンダレイさん、ピクシーボブさんと、昨日いなかったラグドールさんと虎さん達はお得意の登場(フルVer)をし、B組達に説明をする。

 

「あちきの個性『サーチ』!この目で見た人の情報100人まで丸分かり!!居場所も弱点も!」

 

「私の『土流』で各々の鍛錬に見合う場を形成!」

 

「そして私の『テレパス』で一度に複数の人間へアドバイス」

 

「そこを我が殴る蹴るの暴行よ………!!」

 

 

「「「(どうしよう………最初にあれを見たせいで最後のが色々駄目だと思わなくなってきてる…………)」」」

 

  

「お前等には今やってるA組と同じ様に、許容上限のある発動型は上限の底上げ。異形型・その他複合型は個性に由来する器官・部位の更なる鍛錬などを行ってもらう。通常であれば肉体の成長に合わせて行うが……………」

 

「まぁ、時間ないんでな。B組も早くしろ」

 

「発動型の個性の子達は私の所に来て。基礎的な個性指導と、瞬時に個性を使えるようにする為の訓練を行うわ」

 

「単純な増強型の者!我の元に来い。我ーズブートキャンプでお前達の筋繊維を千切りまくってやる………!それで足りないのなら、ルプス・プレゼン・マッスルトレーニング(ビギナーコース)に参加してもらうことになるが………………」

 

「さぁ今だ撃ってこい!!俺を殺す勢いで撃ってこい!!!」

 

「ご、5%デトロイトスマッ──────」

 

「はい遅い!!そんな拳じゃハエ1匹殺せんわ!!そして鋭児は硬化の硬度が柔らかすぎ!!猿夫の尻尾の硬さは綿か!?全員爆弾ランニングからやり直し!!!」

 

「「「イ、イエッサー………」」」

 

「声が小さい!!爆発タイムを1分早めてやろうか!?」

 

 

 

「「「イエッサー!!!」」」

 

 

 

「よしっ!!いい声だ!!ご褒美に爆発タイム2分早める!!爆死したくなかったら死ぬ気で走れ!!!」

 

 

 

「「「イエッサー!!!」」」 

 

 

 

「………で、どうする?あっち行くか?」

 

 

「「「ブートキャンプでお願いします!!!覇王に殺されるのは嫌です!!!!」」」

 

  

「じゃあ午前中はプッシーキャッツの下で頑張れよB組。午後からはより大変だらな」

 

「ま、まさか………もしかして…………」

 

「…………午前と午後でトレーニング内容をローテションし、A組は午後プッシーキャッツの下でトレーニング。B組はフェンリル事務所及びプリティーラブリーマンと特訓をしてもらう。午後から狼達も本格的にトレーニングを始めるため、事前に連絡したようにヒスイ。お前は代わりにサポートに回れ。わかったな?」

 

「はい。わかりました」

 

 

 

「「「(こんなことならヒスイにもっと媚でも売ればよかった…………)」」」

 

 

 

 ヒスイを除いたB組全員はそう後悔しながら午前のトレーニングを行い、そして迎えた午後のトレーニングでは案の定死屍累々の光景となった。

 

 そして、午後のトレーニングでA組は苦しみの落差のあまり時折嬉し涙を流すとともに、明日もこの様になるのだと時折絶望の涙を流し続けていた。

  

 こうしながらも時は進み、早くもPM4:00。

 

「さぁ、昨日言ったね。『世話焼くのは今日まで』って!!」

 

「己で食う飯くらい己で作れ!!カレー!!」

 

 

「「「「「イエッサ……」」」」」

 

 

「まぁ、そう落ち込むなって。普通なら協力してやるところだが、流石の俺達にもトレーニングの負い目がある。野菜と肉全部適当切っといてやるから、お前等はカレーのルーと米の方をやっててくれ。さて、これでA組の分の人参は終わりっと」

 

「はやっ!?ってか手際よ!」

 

「刀花さんと爪牙さんも忙しい身ですから、家事関係は全部交代でやってるんです。たまに受刑者の御飯作り手伝う時もありますから、このくらいの量チョチョイのチョイです」

 

「あっ、けど紫鬼さんこと鬼塚さんは絶対に料理場に近づかせないでくださいね。あの人前に料理と称して一ダークマターを振る舞って………受刑者と看守の半分以上を殺しかけたんです…………。間違っても厨房には…………」

 

「ヒスイ後ろ………もう遅い…………」

 

「皆さん出来ましたカレーです!!頑張って沢山作ったのでたっぷり食べてくださいね!!」

 

「な、なんだあのダークマター…………。カレーというには黒すぎるだろ…………」

 

「黒すぎるっつうか顔が浮き出て動いてね…………?しかも声上げてる気がするんだけど気の所為だよな…………」

 

「ふっ、お前等臆病だな。俺は食うぜ、あれを」

 

「み、峰田!?無茶だよせ!!!」

 

「あんな巨乳美人が作った料理、男の一人として残せるわけないだろ?そう………味さえ良ければ全て問題な────」

 

 カ、カララッ…………。

 

「み、峰田?大丈夫か?スプーン落としてから固まってるけど大丈夫か!?!?」

 

「み、峰田の顔色が………赤に緑に青にと色んな色に変わり続けてやがる…………!!!しかもなんか呪詛っぽい言葉を呟き始めたぞ!!!!!

 

「ふ、触れるな!!!あれは完全にダークマターそのものだ…………!!!」

  

「あ、あれ?不味かったですかね?では!もう一度作り直し───」

 

「いいえ結構です!!!手を煩わせるのが申し訳ないです!!!」

 

「み、みんな!!紫鬼さんの手を煩わせるのは本当に申し訳ない!!手分けをして世界一美味いカレーを作るぞ!!」

 

 

「「「オオーッ!!!!」」」

 

 

 鬼塚さんの料理を見て死を察知したのか、皆飯田の言葉に続くように飯盒や水、切った材料を持ち、A組とB組共同でテキパキとカレーを作り始めた。

  

 なお、鬼塚さんは峰田を医務室に運んだ上鳴の通報を受けて駆けつけた、一応上司あり教育係である黒江さんとドラコこと竜宮さんに捕縛されるとともに連れて行かれ、向こうで説教をされている。

 

「轟ー!こっちも火ィちょーだい」

 

「爆豪爆発で火ィ付けれね?」

 

「付けれるわクソが!」

 

「ええ…!?」

 

「皆さん!人の手を煩わせてばかりでは、火の起こし方も学べませんよ」

 

「そうだぞ。こういう機会はなかなかないんだ。しっかり自分の手で火を起こすことも覚えなきゃいけない。まず適当な棒と板を用意して、棒を板にぐりぐりしてでだな………」

 

「いや!!あんたのやり方は原始的すぎるでしょ!!無人島じゃないんだよここは!!」

 

「そうですよ狼。響香ちゃんの言う通りここは無人島じゃないんですし、せめて錐揉み式の方法でやらないと駄目じゃないですか」

 

「道具を使わないだなんて事は、原始人以下の考えです。弓切り式のやり方は、まず弓となる物を棒と適当な蔦で作って………」

 

「いやお前等のやり方も十分原始的なやり方だよ!!八百万!!真面目にメモらなくていいから!!轟は実践しなくて───」

 

「あっ、ついた」 

 

「火つくのかよ!!」

 

 一波乱がありつつも、こうしてダークマターではないちゃんとした普通のカレー出来上がった。

 

「店とかで出たら微妙かもしれねーけど、この状況も相まってうめーーー!!」

 

「やっぱルーはとろれろルーで決まりだな」

 

「何言ってるんですか?ルーはコクれろルーに決まってるでしょ」

 

「あんっ?何だと魚頭?いい年こいて辛口食えないで甘口食ってるお前が、カレーの何たるかを語るのかよ」

 

「辛口ばっか食って頭パーになった犬頭こそ、カレーの何たるかを語るとはお笑い草ですね」 

 

「こんなとこで喧嘩すんなすんな!どっちもうめーからいいだろ!!」

 

「ヤオモモがっつくねー!」

 

「ええ。私の個性は脂質を様々な原子に変換して創造するので、沢山蓄える程沢山出せるのです」

 

「うん─────」

 

「瀬呂君それ以上は駄目です。お口直しにダークマターは如何ですか?」

 

「ヒ、ヒミコ!?どっからそれ出した!?そして狼と耳郎はなんで俺の事押さえつけてる!?ヒスイはヒスイでなんで俺の口無理矢理開けてんだよ!?!?」

 

「食事中に出してはいけない言葉を出そうとした以上、こればかりは仕方ありません」

 

「ヒミコが飯食ってる最中にそんな事言うとはよほど頭を強くぶつけようだから、頭の中掃除してやろうと思ってな」

 

「ヤオモモの事考えずにそんな事言う奴は、一度頭の中真っ白にして出直してきたほうがいいんじゃない?峰田がもうあっち行ってるし、一人ではないから大丈夫だと思うしね」

 

「そ、それって実質地獄行きと変わらな─────んっ!!?!?!?!?!?んっんっ!?!?!?!?グッ────────」

   

「あらっ?瀬呂さん倒れたようですけど何かあったんですか?」

 

 

「「「「別に?何にもなかったよ」」」」

 

 

「俺は見逃してなかったからな…………。とりあえず………医務室には運んでやれよ…………」

 

 百が知らない所で撲殺された範太を医務室に運ぼうとしていた途中、洸汰は何か呟いたかと思うとその場を去ってしまい、緑谷は席を立つと洸汰君を追うといって山の方に行ってしまった。

  

 そして、倒れた範太と実。戻ってきた出久が合流するとともにその日は解散となり、部屋でUNOやトランプをしてる内にあっという間に消灯時間となった。

 

「そんな中………宿を抜け出してる俺は………こんなとこで何やってんだろうな…………。まぁ、寝るには早すぎるし、少し自主練でも─────」

 

「何やってんだ狼?もうとっくに消灯時間は過ぎてる。そんな中抜け出すとはお前とんだ馬鹿らしいな」

 

「ゲッ……もう見つかった………。けどやっぱり、自主練してないと落ち着きませんし…………ちょっとだけでも……………」

 

「駄目だ。早く部屋に戻れ退学処分にされたいのかお前は?それとも何だ?この事を血────」

 

「はいっ。わかりましたすいません。すぐに戻るので母さん達には連絡はしないでください」

 

「わかったならいい。さっさと戻るぞ」

 

 電話を取り出してダイヤルをしだした素振りを見せた相澤先生に俺はすぐ反応して足を止め、飛んで来た捕縛布に巻かれるまま大人しく来た道を戻っていった。

 

 会話のないまま俺と相澤先生は歩き続け、少し気まずい雰囲気が流れる。

 

 「…………ヒミコには、あの事喋ったのか?あの日起きたことを包み隠さず………全て話たのか?」

 

 相澤先生は顔を向けず、前だけを向きながら突如そんな事をいいだし、俺にそう問いかけた。

 

 別に、といった感じで、俺は言葉を返す。

 

「いいえ、何も。知る必要もないことですしね。メリッサの奴が勝手に凛の事を話したりはしたみたいですが、確信となる部分は何も伝えていませんよ」

 

「そうか………わかった。お前がそう考えているのなら………今はそれでいい」

 

「相澤先生はメリッサやヒスイみたく、ヒミコにあの事を話せとは言わないんですね」

 

「別に無理して話すことでもないし、そんなに軽い事情ではないことは理解している。だがな。秘密ってのはいつまでも隠し通せるものではないってことは、頭の中に入れておけよ」

 

「わかってますが、先生達と父さんと母さん。伯母さん達は一体何を隠しているんですか?ここまでの大人数集めて、隠せると思っていたんですか?」

 

「話すことでもないし、知った時にはもう終わっているだろうからな。………お前になら話していいが、誰にも話すんじゃねーぞ」

 

 相澤先生は少しため息を付きながら真面目な眼となり、口を開く。

 

「先日、血影が中部地方で集めた情報からヴィラン連合のアジトの位置を割り出し、警察が周囲の調べを行った結果、神野区のとあるバーに間違いなく弔と呼ばれるヴィラン連合のボスがおり、周囲の工場の一角に脳無製造工場があると思われるものがあるとわかった。脳無製造工場についてはまだ確定情報ではないようだが、ほぼ間違いなく黒と考えて間違いないだろう」

 

「ヴィラン連合のアジトと………脳無製造工場の場所が…………!?じゃあ早くヒーローを─────」

 

「もうやってるし、明日には奇襲作戦を仕掛ける。収集を掛けたヒーローはオールマイトにエンデヴァー。血影にフェンリル、ベストジーニストにエッジショット、ギャングオルカと、全員がヒーローランキングに名を連ねる猛者ばかりだ。だが、攻撃を仕掛ける瞬間こそ隙が生まれ、一番襲われる可能性があるのは生徒だ」

 

「だからA組B組の生徒を林間合宿と称して集めた上で…………少数精鋭のヒーロー達で俺達を守ろうって事ですか」

 

「ああ、そういう事だ。急なタイミングで林間合宿の場所を変えたため知るものは限られるし、どのヒーローも信頼が置ける者ばかりだ。………だからお前も力を抜け。こんな時だからこそ、日常を楽しんでおいて損はないし、秘密ってのも気が進んだら話せばいい。…………日常がどれだけ幸せだって事は、お前が一番知ってるだろ?」

 

「…………ええ、わかっています。今は今で、たっぷり楽しむとしますよ」

 

「どこ行ってたんですか狼………。こんな夜遅くに…………」

 

「ああ、心配掛けて悪かったな。今そっちに戻るよ」

 

 相澤先生の言葉に俺はどこか安心して力を抜き、大切な仲間の下に、いそいそと戻っていくのであった。

  

 だが、だからこそ、俺は忘れていた。

 

 嵐の前の夜はこんなにも静であり、こんなにも綺麗であったことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                   ◆◆ 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うんっ。こっちのこともう察知したのかと思ったけど、気の所為だったみたいだね。イレイザーヘッドのオーラも、狼君のオーラも宿に戻っていくよ」

 

「だというのに、つまらなそうだね。荼毘さんの命令はまだ様子を伺えなのに、なんでそんなにつまらなそうなの?」

 

「そりゃ当然でしょ。あんな日常的でThe当たり前な感じは、見ててなんだかムカムカするの。荼毘君?もう行っちゃ駄目かな?」

 

「疼く…疼くぞ……早く行こうぜ…!」

 

「まだ尚早。それに、無理して派手な事しなくていいって言ってなかった?」

 

「弔の奴、聞いてた話の何倍もボスっぽい面で俺たちに言いやがったからな。ここは律儀に守ってやろう。今回はあくまで狼煙だ。虚に塗れた英雄達が地に堕ちる。その輝かしい未来の為のな」

   

「けど、その狼煙で死んでしまう子もいるかもしれませんよ」

  

「狼煙ってのは下手な火事よりも恐ろしい。種火はちっちゃな癖に、誰にも気づかせぬまま燃え続けて最後には全部燃やしちまうかもしれませんからね。無理してって事は、無理しなければ派手な事いいんでしょ?」

 

「おおっ来たか。遅かったな」

 

「すいません、すいません。フランスで着いた返り血がなかなか落ちなかったもので」

 

「こないだ手に入れた玩具で遊んでたら、あっという間に時間が過ぎてしまったんです。まぁ、壊れてしまったので、新たに玩具を手に入れなければいけませんけどね」

 

「仕事……仕事………」

 

 そう笑いながら頭が妙に大きな小柄な年老いた男と、妖艶という言葉をそのまま形にしたような女。そして、全身を黒い高速着で包んだ男が音もなく現れ、荼毘と呼ばれた男もまた静かに笑う。

 

「威勢だけのチンピラをいくら集めた所でリスクが増えるだけ。やるなら経験豊富な少数精鋭ってのが鉄則だ」

  

「奇襲作戦においてのセオリーであり基本だからね。あんたの命令があれば、私はいつでも行くよ」

 

「3人揃っての久々の仕事ですからね。本当にウズウズします」

 

「あの子達はどんなうめき声を上げるのか………考えただけでもニヤケが止まらん。………じゃが、作戦は決行は…9人全員揃ってからじゃったな?」

 

「ああ、そうだ。だが、9人揃った瞬間………もう我慢の必要はない。まずは思い知らせろ…テメェらの平穏は俺達の掌の上だという事を」

  

 夜を照らす月は神無月を迎え、魔物達が蔓延る魔の夜が、今始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 




 
 
 オリキャラ 人物紹介
 
・鬼塚 紫  ヒーロー名:紫鬼
 
 個性 鬼

 名前の通り童話や伝説上の鬼と同じ怪力・勇猛を持ち、鬼っぽいことは大体できる。その気になれば、Mt.レディ以上のデカさの建物も持ち上げたりぶっ飛ばすことも可能。
 
  
 フェンリル事務所に入った新人ヒーローの一人であり、先輩の黒影のサイドキック。
 
 異形型個性故の自身の角や常人よりも力が強い為、家族以外周りから鬼と罵られ一度だけ半ば人生を諦め心が閉されそうになったが、フェンリル事務所と血影がヒーロー活動する場をTV越しで視聴し、敵よりも敵寄りだと噂されていた彼等の威風堂々たる姿に突き動かされヒーローになる決心をしたという経歴で、フェンリル事務所に入所。(士傑のOG)
 
 入所当初から実力面は折り紙付きであり、フェンリル事務所の地獄の訓練(ノーマルモード)をこなしており、フリーでもヒーローをやっていけそうなのだが、自分的にはまだヒーローとして未熟で満足できるものではない、と感じているため訓練は1日も怠たったことはなく、暇さえあれば組手や愛刀の大剣【豪月丸】の手入れをしている。
 
 ただし、実力があるものの欠点も多く、料理の腕は壊滅的であり(本人は無自覚)、料理と称したダークマターを振る舞って受刑者と看守を殺しかける事件を度々起こす上、かなりのドジっ子である為何かある度にやりすぎたりやらかしてしまう。
 
 その度、上司兼教育係である黒影と同期で同じくサイドキックであるドラコには正座されられた上でところ構わず説教されをされているような。
 
 なお、彼女はかなりの巨乳である。
 
 
 
・:竜宮 乱子  ヒーロー名:ドラコ
 
 個性  竜人化
 
 手足を竜特有の四肢へと変換することが可能であり、変換した部位の身体能力が通常の倍以上に上がる。発動時には瞳孔が獣特有の縦長になり、竜特有の角、尾、翼を出すこともができる。
 
 
 紫鬼同様フェンリル事務所に入った新人ヒーローの一人であり、黒影のサイドキック。
 
 幼い頃、珍しくテレビで報道されていたフェンリルと血影の活躍を見てからずっと2人のファンであり、実力ともにフリーでも申し分なかったのだが見聞を広めると理由と、元から憧れてた理由でフェンリル事務所に入所(雄英のOG)。
 
 家事全般が得意で、お茶目ではあるが律儀であり、度々誰にも言われたわけでもなく事務所の周りと受刑者の牢共々綺麗に掃除して回り、食堂の厨房に進んで入ってはヒーロー達や受刑者達に食事を振る舞っては胃袋を掴んでおり、影で彼女の事をお母さんと読んでる人も少なくないとか。(特に受刑者達からは大好評で、肉じゃがを作った日なんかはお袋の味を思い出して涙を流しながら、珍しく皆静かに御飯を食べていた)
 
 だが、それ故に、紫鬼が食材を無駄にしてダークマターを作る事については誰よりも怒っており、紫鬼が勝手に厨房に入り暗黒物質を生み出し被害が出る度に同期である彼女を正座させ、黒影ともに説教をしている。(この状況をどうにかしようと、黒影と共に度々紫鬼の料理についての指導し、特訓に付き合っているのだが、結果はあまり芳しくないらしい)
 
 紫鬼ほどではないが、彼女もまたかなりの巨乳である。
 

 
 
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