コメディ感がついに消え…………今話を持ってシリアスに入らせてもらいます!!覚悟はよろしいでしょうか!?
再三言うようですが、原作とかなり展開が異なるものとなる他、人によっては見てて辛いものになるかもしれません…………。
ですが、これも再三言うようですがあくまでこれはコメディ!!
どれだけ辛くともいつかはハッピーエンドにして見せるので、どうか熊も読者様も頑張って!!これからのシリアスを乗り越えていきましょう!!!
ただし、最初の方はまだかなりコメディ!!安心して、しばらく見れないコメディを楽しんでください。
俺が寝てからあっという間に時が過ぎ、早くも林間合宿編3日目。
「どうしたお前等!?!?昨日よりも動きが断然鈍い!!!特に範太!!!始まって1時間も経ってないのにも関わらず59回目の気絶とはどういう事だ!?!?てめぇそんなに死にてぇのか!?!?あんっ!?!?どうにか言ってみろよゴラァ!?!?」
「わ、わりぃ…………。昨日のトレーニングの疲れと補習の疲れが相まって…………どうも眠くて仕方ないんだ…………。ヤバい………流石にキツイ………」
「死にはしないが十分キツイって言ったろ。期末テスト全体の評価としては悪くなかったが………体育祭のトーナメント然りお前はここぞという所で気を抜く癖がある!!!容量に加えテープの強度、射出速度の強化!!!そして常に緊迫感を持つ癖をつけるための精神面の強化とやることはたんまりとある!!!お前が何故他より疲れているか、その意味をしっかり考えて動け!!!」
「はい………すいません………。死なないようにしながら……………死ぬ気でなるべく頑張ります……………」
「そうよ。範太ちゃんならきっと自分の壁を超えられるわ。もしかしたら男の壁も…………プルスウルトラしちゃったりしてね♡」
「じょ、じょ、冗談でもそれは勘弁被ります!!!俺は自分の壁を超えることに集中します!!!」
「そうだ、その意気だ。性別の壁を超えるか否か個人の判断に任せるが、何をするにも原点を意識しとけ。向上ってのはそういうもんだ。何の為に汗かいて何の為にグチグチ言われるか、常に頭に置いておけ」
「おおっ………なんかいいこと言ってる…………」
「けど………性別の壁の話のせいでなんか色々台無しだ…………」
「お茶子ちゃん!!!三奈ちゃん!!!話してる暇はないですよ!!!お茶子ちゃんはゾーブの中に入りながらこの鉄球を浮かすのを1時間ほどやってもらいますし!!!三奈ちゃんにはゴム弾を避けるか溶かすかしてもらいながらこの鉄塊を1時間以内に溶かしてもらいます!!!さぁ!!早く手を動かしてください!!!頑張ってプルスウルトラです!!!」
「わーん!!自分の壁をプルスウルトラする前に!!!死線の壁をプルスウルトラしちゃいそう!!!」
「ヤバい………!!!これ1時間とかヤバ過ぎ…………!!!ちょっと紫鬼さんドラコさん……………!!!ゾーブを使ってキャッチボールしないで……………!!!!」
「誰か………頼む…………。水を………水をくれ……………」
「と…………頭皮そのものがなくなる………………。ヤバいハゲる……………。まだ20にもなってないのにハゲる…………………………」
「ハッ……ハハハッ………ハハハッ……………ハハハハッ…………ハハハハハハハハ………」
「…………俺が言ったこと…………誰も聞いてないな」
「そりゃそうでしょ。全員聞く暇があれば気絶してるか、チョップ待ちの壊れた機械状態ですし、流石に状況が悪すぎます。言うなら言うで、タイミングってものを考えてくださいよ」
「これは俺が悪いのか…………」
俺が呆れながら言葉を返し、相澤先生がため息を付いていると、気絶していた出久の意識がもとに戻りフラフラと立ち上がった。
そして、出久が相澤先生に尋ねる。
「そういえば相澤先生、もう3日目ですが」
「言ったそばからフラッと…………いや、多分というか絶対聞いてなかったな。それで?どうした」
「今回オールマイト…あ、いや、他の先生方って来ないんですか?」
「合宿前に言った通り、ヴィランに動向を悟られぬよう人員は必要最低限」
「よってあちきら4人の合宿先と」
「臨時講師の私達ってわけ」
「…………そして特にオールマイトはヴィランの目的の1つと推測されている以上、来てもらうわけにはいかん。良くも悪くも目立つからこうなるんだあの人は…………」
「それに加えて教師としての仕事とか、ヒーローとしての仕事もあるだろうからな。毎回毎回来る事は出来ないだろうよ」
「そっか………そりゃそうか…………」
「まぁ、そんな肩落とすなって。ムチの後にはアメがあるって言うだろ?今日は今日で、ちゃんとお楽しみがあるからな」
「ねこねこねこ………今日の晩はねぇ… ……クラス対抗肝試しを決行するよ!しっかり訓練した後はしっかり楽しい事がある!ザ!アメとムチ!」
「ああ………忘れてた!」
「怖いのマジやだぁ………」
「闇の狂宴……」
「イベントらしい事もやってくれるんだ」
「対抗ってところが気に入った」
「そうよ。ムチはムチで頑張って、アメはアメでたーっぷり楽しんで頂戴。ところで物間ちゃん…………ちょっといいかしら?」
「な、なんです………?あ、あまり近づかないでくださいよ……………」
プリティーラブリーマンはそう言いながらビビる赤点パシリに近づき、肉食獣が草食獣を見る目で体のあちこちをじーっと見て回った。
右手を顎髭に付けて考える素振りを見せた後、うんうんとプリティーラブリーマンは赤点パシリの肩を掴む。
「昨日見たときから思ってたけど…………やっぱりあなたにはあるわ…………
「は、は、放せ!!!放して!!!!ぼ、僕はそんな壁を超えるつもりはない!!!!オカマになんてなりたくないぞ!!!!!」
「まぁまぁ、そう言わないで。今日は少し
「嫌だァァァァ!!!放してェェェェェ!!!!助けてくれェェェェェ!!!!!」
「「「物間ぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」」」
「まぁ………少し女装させられるだけだと思うから………大丈夫だと思うけどな……………多分…………。………俺とヒミコも………通った道だしな」
「えっ、何?狼とヒミコちゃんも女装男装させられたの?なにそれ見たい見たい」
「写真とかないの?写真とか?」
「実は記念に1枚、写真を撮ってもらったんです。これがその時の写真です」
「おおっ………どっちも滅茶苦茶に似合ってやがる……………」
「この白髮ロングの人が………もしかしなくても狼か?…………儚げ美人って感じだし、下手したら耳郎なんかよりもずっときれ────グフッ!!!!」
「お前等そろそろ休憩時間は終わりだ!!!そろそろトレーニングにもど─────きょ、響香?………またその眼ですか………?やめてくれない…………?そのゴミを見る目…………」
「あんた………女装にあってたね。ほんと………私なんかよりずっと綺麗だったよ。この際………取ってきたらいいんじゃないかな」
「じ、耳郎………流石にそれは言い過ぎじゃ────って狼?狼!?どうした!?!?立ったまま気絶してるぞ!!!」
「ざまーないですね犬頭!!そのまま永遠の眠りについてください!!」
「そんな事言ってる場合じゃないだろ!!おいっ!!マジで一体何があったんだ!?一体耳郎に何をされたんだ!?一体どんな恐怖を感じたんだ!?!?おいっ!!!しっかりしろ!!!!」
「茶番はそれくらいにして、お前等早くトレーニングに戻れよ。…………それと耳郎。お前狼に一体なに─────」
「別に。何もしてませんよ」
「………そうか………ならいい…………。聞いて悪かったな…………」
「「「相澤先生が耳郎にビビった!?!?耳郎!!一体何を────」」」
「んっ?なんか言った?」
「「「い、いえ……………すいません……………。お互い頑張りましょう…………………」」」
謎のオーラを出す響香様に皆ビビりながらも、トレーニングをして数時間。訓練の時間は終わり、早くも夕食の時間となった。
「犬。こっちのボール洗っといて」
「はい……わかりました………」
「あと、こっち飯盒の様子も見といて」
「はい……わかりました………急いでそちらもやります……………」
「おい…………目が覚めてから狼の奴一体どうしちまったんだよ?死んだ魚の目で耳郎の言うことを従順に聞いてるぞ………………」
「上鳴……………耳郎に何したか聞いてこいよ」
「嫌だよ…………なんか女帝みたいなオーラ漂ってるもん………………。下手なことしたら俺等も───」
「何ぼさっとしてるの2人共?早く仕事やりな」
「「は、はい!!わかりました!!すいません耳郎様!!」」
俺にああ言ってからずっと女帝のようなオーラを出してる響香様の言葉にビビり、無駄話をしていた上鳴と瀬呂は逃げるようにして水道に水を汲みに行った。
俺も何故、響香が響香様になったのかまではわからないが………あの時の目は完全にガチだった…………。あの感覚は………間違いなく蛇に睨まれた蛙の気持ちそのものだった…………。
女子に対しては普通に接してるみたいなのに………男子に関して(特に俺と上鳴)は完全に女帝と下僕の対応とか…………マジで怖すぎる……………。ほんと………彼奴の中で一体何が目覚めたんだよ……………。
「どうしたの犬。手が止まってるよ?B組の分の皿洗いはもう終わったの?」
「い、いえ!!すいません!!!まだ行っていませんでした!!!只今直ちに終わらせます!!!!」
「あとアホ面。あんたもあっち手伝ってろ」
「は、はい!!わかりました!!!急いで皿洗いに行ってきます!!!!」
「耳郎さん………A組もB組も肉じゃがは完成したんだ………。2人を少し休ませても……………」
「いや、飯田。彼奴等にはまだ仕事が大量にある。彼奴等の休みなんてもの最初から実質ないようなもんなんだから………あんぐらい丁度いいんだよ。じゃあ、早くご飯食べよ」
「あ、ああ………そうかわかった…………。じゃ、じゃあみんな!!夕食にしよう!!!」
「響香ちゃん、なんだかカッコいいですね。まるで女王様みたいです」
「そうだな。何というかスゲーな、あれ」
「轟………ヒミコ…………あれはカッコいいんじゃない………怖いなんだ…………」
「つーかこの状況であれカッコいいって…………お前等の目には一体何が見えてるんだよ…………」
結局、食べ終わったA組B組全員の皿を洗うまで、俺と電気の皿洗いは終わらず、俺と電気は飯を完全に食い損ねた状態で肝試しの時間を迎えた。
腹が減りすぎて動くこともままならず………ベンチでぐったりとなっていた俺達に相澤先生がついさっきくれた………カロリーメイトとゼリー飲料が本当に腹と心に染み渡る…………。
空腹こそ最高のスパイスって言うし………俺もそう思ってきたけど………それは違う…………。真の飯の最高のスパイスは優しさだ…………優しさこそが最高のスパイスであり癒やしだ………。
「ほんと………優しさって素晴らしいな………」
「カロリーメイトとゼリー飲料だなんてと舐めてたけど………優しさがあるとこんなにも美味しくなるんだな…………。今まで食ってきた飯の中で一番うめーかもしれねーよ…………」
「ははっははは………それはよかったね…………。………さて、2人も腹もふくれた事だし!皿洗いもとっくに終わってる!!お次は………」
「「「肝を試す時間だー!!」」」
「その前に大変心苦しいが………瀬呂お前はこれから俺とブラドと補習授業だ」
「ウソだろおい!?!?ここに来て俺だけ補修かよ!?!?!?」
「すまんな。日中の訓練が思ったより疎かになってたので、こっちを削る」
「うわああ堪忍してくれえ試させてくれえ!!!けど………物間!!彼奴等も赤点だから俺は一人じゃ─────」
「ああ、彼奴は今日は特別に補修をなしとする話になった。本人曰く…………」
『大切なものを………失くした………………』
「って感じで、補修なんか受けれる状態じゃないんだ。よって瀬呂。俺とブラド対お前一人の対面授業だが、諦めて頑張れよ」
「嫌だァァァァァァァ!!!!勘弁してくれェェェェェェ!!!!誰か俺にも優しさをくれェェェェェェ!!!!」
「あらら………可哀想に………」
「彼奴には優しさが訪れなかったか…………」
「はい、というわけで脅かす側先攻はB組!A組は2人1組で3分おきに出発、ルートの真ん中に名前を書いたお札があるからそれを持って帰る事!」
「闇の共演…」
「まだ言うんですね、それ」
「脅かす側は直接接触禁止で、個性を使った脅かしネタを披露してくるよ」
「創意工夫でより多くの人数を失禁させたクラスが勝者だ!」
「やめて下さい汚い……」
「あっ、耳郎が耳郎様から元に戻った」
「けど、待ってください。2人1組ですか?A組は22人で瀬呂君が補修だから…………」
・1組目 障子&常闇
・2組目 爆豪&轟
・3組目 耳郎&狼
・4組目 青山&八百万
・5組目 麗日&蛙吹
・6組目 芦戸&被身子
・7組目 尾白&峰田
・8組目 葉隠&上鳴
・9組目 飯田&口田
・10組目 切島&砂糖
・11組目 緑谷
「…………1人余る」
「くじ引きだから……必ず誰かこうなる運命だから………」
「わーい!三奈ちゃんと一緒だ!!」
「なんだかんだで一番の当たりくじだ!やったー!!」
「狼?なんで私見て震えてるの?」
「いや……何でもない………。女帝モードの記憶がないんだったらいいんだ………記憶がないなら…………」
「女帝モードって何?」
「おい尻尾…!代われ…!」
「青山オイラと代わってくれよ………」
「俺は何なの………」
数名の思惑は外れたものの、くじ引きをもう一度するだなんてことは当然なく。
1組目の目蔵と踏影、2組目の勝己と焦凍達が先行して先に行き、俺と響香の番となった。
「じゃあ3組目………シバティとジロティGO!」
「ちょっと待て!!誰の事が豆柴だ!?」
「ではいってらっしゃーい」
「耳郎チビるんじゃねー───ぐはっ!?!?」
「あの馬鹿………最後の最後までビビるなビビるな言いやがって…………」
「つーか、響香って幽霊とかそういうたぐい苦手だったんだな。いつも堂々してるから何か意外」
「私個性の関係でちょっとした物音とかも感知しちゃうから………どうしてもこういうのは無理なんだよね…………。逆に狼はこういうの得意?」
「得意っていうか、個性の関係で誰がどこに隠れてるとかわかっちまうからな。幽霊ならまだしも、人間が俺を脅かす何て事は多分無理だ」
「ああ、なるほどね。それは羨ま────ちょ、ちょ、ちょっと待って。幽霊ならまだしもってどういう事…………?」
「俺の家ってヴィランの更生やってるから、家から少し離れた更生所に大量の牢があるんだ。牢が古いせいなのか、そういう場所だからなのかはわからないが、結構そこでポルターガイストが起きたりするんだよ。実際俺も何回か金縛りにあったし、変な声も何回も聞いたりもした。それでいつの間にか、俺も幽霊みたいなものを見れるようになったんだよ。ほら。お前の────────」
「「「「キャーーーッ!!!!!」」」」
「はえーよ。まだどこにいるか言ってないだろ。つーか切奈に希乃子に支配は驚かす側なのになんで、驚いて飛び出してんだよ」
「それで!?!?今ここに幽霊はいるの!?!?今何してるの!?!?どういう幽霊なの!?!?」
「なんだ。レイ子そういうの好きだっけ?」
「うん大好き!!めちゃくちゃ好き!!」
「今俺等の上にいる幽霊は釣り竿を持った熊の姿した男でな。どうやら魚釣りに来ていたところ、足滑らして岩に頭ぶつけて死んだみたいだ。あっ、今こっちに手を振ってくれてる。自分の事を見つけてくれたのが、よほど嬉しかったらしいな」
「じゃあほんとにいたんだ!!幽霊はほんとにいたんだ!!やったー!!」
「やったーじゃないよ!!なんて事暴露してくれてるの!?!?」
「私達これから1時間ここで脅かさなきゃいけないのにどうしてくれるノコ!!!」
「私腰抜けちゃったよ!!胴がなくても動けるけどどうしてくれるの!?!?」
「何だよ。そんな驚くことじゃないだろ。っていうかこことか俺の家じゃなくても色んなとこに幽霊はいるし、俺達の学校のあちこちにも大量にいたぞ」
「ま、ま、まさかこの世は………魑魅魍魎が跋扈する世界だとでも………………」
「ああ。まぁ、そういうことになるな…………って、レイ子以外全員泡吹いて気絶しちまった。もうちょっと話してもいいけど後ろ詰まりそうだし、そこの3人はお前に任せて、俺はそろそろ行くな」
「また今度その牢を実際に見せてね!!」
「ああ、勿論だ。脅かし役引き続き頑張れよ」
モード狼となった俺は、何故か気絶した響香を背中に乗せて一佳達のいた先の道までは自分で移動したのだが、途中起きた響香に何故か尻尾を引っ張られて豆柴モードにさせられた後、ぬいぐるみように抱き抱えられたまま道を進む事になった。
いくら放せといっても言う事効かないし、人型に戻ろうとしてもその度にモフられて変身の邪魔をされる。
別に何も怖い事なんて言ってないし、ビビらせるようなことも言ってない。というより………そういう恐怖の対象である幽霊を黙れの一言で黙らせる母さんと父さんの方が………よほど恐怖の対象だ…………。
………幽霊はそこにいるだけで何もしないけど……生きてる奴は絶対何かしてくるからな…………。その何かした結果が………死線の向こうへ投げ込む攻撃なら…………俺にとってはよっぽどそっちに方が恐ろしいよ………………。
「ビクッ!!今生暖かい風がしなかった!?!?まさか今度こそ本物の幽霊!?!?」
「いや、絶対に違う。つーかこの風は多分………………」
「今だ!!狼は僕のコピーした風に気を取られてる!!ここで奴を殺れ!!!」
「ここで会ったが百年目!!今こそ肥料に────って耳郎さん?なんで豆柴モードの犬頭を抱き抱えているんですか?」
「さぁーな。逆に俺がなんでこうなったのかを知りたい。つーか、魚頭っぽい匂いの女装パシリ気配がするなと思ったら、お前こいつの個性コピーしてたのか」
「個性をコピーすると体の匂いが変わって、コピーした相手の匂いになるからね。せっかく上手くヒスイと協力して狼に一泡吹かせようと思ったに、君のせいで台無しじゃないか。どうしてくれるんだよ君。というか、誰の事が女装パシリだこの野郎」
「いやいや!!脅かす側は直接接触禁止ってピクシーボブさんに言われたでしょ!?なんであんた等2人は攻撃なんかしようとしてるのよ!?!?」
「いやいやいや、君こそ何を言ってるんだい?僕はこいつに一泡吹かせようとしていただけで、最初から脅かそうなんてしていたつもりはない。これは実質問題ないよ」
「物間さん言う通りです。私は犬頭を殺そうとしていただけで、最初から脅かそうとするつもりは毛頭ありません。どこにも問題などありませんよ」
「俺も後で魚頭を殺そうと思ってたし、全くもって問題ないぞ。幽霊にしろルールにしろ、お前はそういう細かいところを気にし過ぎなんだよ」
「いやいや絶対細かいところじゃない…………。というかどの言い分も問題ありすぎでしょ………………」
何故かため息をつきながら響香が呆れている中、俺の鼻が突如として警笛を鳴らし、俺は周囲に起こりつつある謎の違和感を感じ取った。
風を操ることができるヒスイと、一時的とはいえ個性をコピーしてる寧人、そしてイヤホンジャックで聴覚に優れる響香も同様に何か感じ取ったらしく、俺達4人は共に意識を集中させ、違和感の正体を探っていく。
「…………何………この音。明らかに自然の風の音じゃない……………。ここの道の中心辺りから吹いてる……………のかな?」
「…………ええ、それで間違いないと思います。風にしては流れが遅すぎますし、流れる空気が明らかに重すぎますることから………間違いなくこれは普通の風ではありません」
「この個性は初めて使うから確証が得られなかったけど…………ヒスイが言うなら間違いないだろうね。狼………この流れてくるものは一体……………」
「これは…………ガス……………?天然ガスの匂いでも…………………都市ガスの匂いでもない………………。これは……………個性によるガスだ!!!」
「僕達のクラスにも君たちのクラスにもそんな個性を持った奴はいない!!」
「ここにいるヒーロー達もそんな個性を持ってないよ!!って事は…………!!」
「ヒスイ!!大威力の風でガスを押し戻せ!!!寧人は俺達の周囲に風の盾を形成!!!全員念の為鼻と口を抑えて衝撃に備えろ!!!こんな事やる奴はあの野郎共しかいない…………!!!あの野郎共ここに来やがった…………!!!!ヴィラン連合の奴等が来やがったぞ………………!!!!」
◆◆
「何で…!万全を期した筈じゃあ……!!何で…何でヴィランがこんなにいるんだよ!!!」
「脳無が………6体も現れるだなんて!!!」
突如として森の奥から現れ、そこにいたヒーロー達のうちピクシーボブの右腕と左足、頭を負傷させて戦闘不能にした5体の脳無は各ヒーローや生徒達に猛威を振い、その命を狙おうと幾つもの個性を振りかざしていた。
だが、ここにいるのは少数精鋭のヒーロー達。奇襲という圧倒的戦術的不利でありながらも果敢に戦い、守るべき生徒を逃がそうとしているが………状況は芳しくない。
「ちっ!!こいつ!!!無駄に早すぎる!!!」
「防御特化型のカウンター個性の脳無だなんて………私と相性が悪すぎます!!!」
「こっちは近距離戦特化型脳無………。こいつ等もしかして………私達プロヒーロー一人一人の相性が悪い個性を持っているの!?」
「ピクシーボブをやったのはあのビームを放ってくる銃口の形をした脳無!!そして私に向かってくるのがパワー特化型の脳無となれば間違いない!!こいつ等は私達1人1人を確実に倒すために作られたようだ!!!」
「おい後ろのバッタっぽい脳無!!卵っぽいの大量に産んで大量の小さな脳無を生み出してるぞ!!!」
「対して強くはありませんが!!数が流石に多すぎます!!!」
「どの脳無も再生能力を持ってることからして…………時間稼ぎも兼ねてるみたいね…………!!」
「よくもピクシーボブの顔を傷物に…………!!許さんぞ………!!ヴィラン連合…………!!!」
「こいつ等は私達がなんとかする!!皆行って!!良い!?決して戦闘はしない事!委員長引率!」
「承知しました!行こう!!」
マンダレイの指示に従い、飯田がクラスメイトを引率しようとするが、緑谷は一人立ち止まる。
「…………飯田君、先行ってて」
「緑谷君!?何を言ってる!?
「緑谷!!」
「マンダレイ!!僕、知ってます!!」
◆◆
『
「マンダレイのテレパス?焦った声でどうしたんだ?」
「瀬呂ちゃん静かに」
『脳無6体襲来!!脳無がいることからヴィラン連合の者がいる可能性も大!!動ける者は直ちに施設へ!!会敵しても決して交戦せず撤退を!!』
「…………は…………!?何で脳無が────」
「ブラド、プリティーラブリーマン。ここ頼んだ。俺は生徒の保護に出る」
「ちょっと!!相澤先生!!!」
「相澤ちゃん!!!」
瀬呂の静止を振り切り、イレイザーヘッドは生徒達の下に行こうと必死の表情で宿の廊下を走る。
「(どうなっている!?ここの情報は最低限の人間にしか流れていない!!まさか………内通者が───)」
「心配が先に立ったかイレイザーヘッド?少し落ち着いてモノを考えないとは、お前それでもプロか?そんなんだから死ぬんだよ」
イレイザーヘッドが様々な思考を頭の中で繰り広げながら宿の出た瞬間、近づくだけで皮膚を焼き尽くすほどの高温の放つ青い炎が彼の眼前覆い、青い炎に紛れてイレイザーヘッドの姿が見えなくなってしまった。
だが、炎が晴れても彼が燃え尽きたような跡はなく、イレイザーヘッドは建物の壁に張り付いて炎を躱していた。
再び腕を構えて炎を放とうとする継ぎ接ぎの男の個性を消しながら、イレイザーヘッドは突撃する。
「………まぁ、そう簡単には殺れねぇか。プロだもんな」
「お前等の目的は何だ?お前等はどうやってここの場所を知った!?お前等は何を考えている!?!?答えろ!!ヴィラン!!!」
「自分の生徒が危険とあって完全に冷静さが消えたか!!だが一つ忘れてるよ先生…………俺は残念ながら一人じゃない……………!!!」
「相澤ちゃん危ない!!」
プリティーラブリーマンが俺を抱えて数メートルに飛んだ直後、宿のドア周辺がバラバラに切られて粉々となった。
俺を抱えた彼女が着地するとともに、長い青くほんのり光る白髪にリボンを付けた女が建物の影から現れ、ドア周を切り裂いたと見られる糸のようなものを体に戻しながら、綺麗ながら不気味な声で笑う。
「おい【アラクネ】。俺が隙を作った隙に、プロヒーロー1人殺せって言ったろ。彼奴まだ生きてんぞ」
「あら、すいません。まさかゴミ虫の後ろから巨大な蛆虫が現れるとは思ってなかったもので、少し手元が狂ってしまいましたわ」
「アラクネ………?それは私が日本来て間もない頃襲ってきた殺し屋夫妻のコードネームよ…………。…………まさかあなた」
「ええ、そうです。その殺し屋夫妻の娘です。あなたが私のお母さんとお父さんをタルタロスに送って殺したせいで、何度も捕まりそうになりましたがどうにか生き残っていたんです」
「ここに来た目的はまさか復讐!?」
「復讐?何をくだらない事を。あの人達が死んだのはただ弱かったから。それだけでしょ?私がここに来たのはたっぷりもて弄べる頑丈な玩具があると聞いたから………!!それ以下でもそれ以上でもありません………!!!さぁ………あなたはどんなうめき声を上げてくれるの…………!?あなたはどんな死に様を見せてくれるの…………!?!?そう考えただけで…………体のゾクゾクが止まらないんですよ…………!!!」
「あの2人と同じ…………根っからの殺し屋ってわけね…………!!!!」
「あら。褒め言葉ありがとうございます」
「生徒がそんなに大事か?だが、邪魔をしないでくれよプロヒーロー。用があるのはお前等じゃない。…………まぁ、用が終わった時にはお前の生徒は全員この世にはいないがな……………!!!」
「お前等ぁぁぁ…………!!!!」
◆◆
「………各ポイントでの各自のミッションの開始を確認。これより、開闢行動隊としてのミッションを開始する」
「というか、ドールちゃん固すぎ。もっと楽しんでいこうよ!こんなデンジャラスなこと………!!中々ないんだよ!?」
「ミッションに楽しみなんて不要だよ、マッドメン・ガール。私は命令を果たすだけのただの人形。ただ命令主である荼毘から与えられたミッションを完遂するだけだ」
「なにそれ?つまんないの」
「…………けど、ターゲットナンバー08。真血 被身子は殺さないでよ。彼奴は私の仕事を2回も邪魔して、メインミッションの完遂を失敗させた。彼奴だけは私が殺す。彼奴は………徹底的に痛めつけてから私が殺すから」
「OK!OK!!それぐらいの事楽勝だよ!!それに私も会ってみたかったしね…………。あの人が気に掛ける男の義妹が、どんな奴なのかってのをさ」
「ミッション開始10秒前。手筈通りにお願いね」
「了解。了解。さてさて…………。これでどんな非日常が生まれるかな……………?」
「各ポイントに設置した爆弾を起動。爆発と炎上による撹乱を開始する」
「バーンッ…………!!バーンッ…………!!バーンッ…………!!」
ドールが手元のボタンのスイッチを押し、マッドメン・ガールが宙で何かをなぞるような動作をすると共に、森の様々な場所で巨大な爆発が起こり、森が爆発の余波でみるみる内に炎上していった。
ドールは冷静に無表情のままスナイパーライフルのゴーグルで爆発状況を確認し、マッドメン・ガールは恐怖に震える生徒達を嘲笑うかのような笑みを浮かべる。
「さーて……………今回はどんなスリルとデンジャラスを味わえるかな?ああっ………考えただけでもイきそうになる…………。みんな頑張って私とあの人に絶望の感情を頂戴ね…………!!その感情のうねりが…………!!!私達を楽しませてくれるんだから………………!!!!」