鮮血少女と鮮血狼   作:熊田ラナムカ27

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 最近今後の展開を考えていたところ………かなり鬱展開になるのではと恐怖していた…………どうも熊です…………。
 
 やっぱりネタを挟まないと書いていられない…………シリアスだけど少しでも茶々入れないと駄目なようです…………。
 
 マジでどんな展開になるかは熊にも予測不能なので………何度も言うようですが覚悟を持って…………お読みください……………。
 
 
 
  


50 抗う者達と知る者達

 

 

 

「なんて量のガスだ…………。流石にこればかりはヒスイと寧人がいなかったらヤバかったな……………」

 

「正確に言えば、風を操れるヒスイの個性のお陰だけどね」

 

「それでどう?辺りに広がってるガスは拡散して散らせそう?」

 

「…………いいや、駄目です。風が何かに押さえつけられているようで………上手く操作出来ません…………。周径数メートルのガスは散らせましたが………これが限界かと」

 

「ガス自体をどうにかするってのは難しいか……………。………くっそ!!ヒミコ達が危ないかもしれねーってのに動けないとは情けない…………!!!」

 

 地面を強く叩きながら、俺はそう忌々しげに吐き捨てた。

 

 寧人が周囲に張り巡らせた風の盾で散布され続けるガスを防ぎながら、俺達4人はこの状況をどうにか出来ないか模索していた。

 

 寧人が風の盾を張り、ガスが大量散布したあとに起きた巨大な爆発でガスが引火爆発しないことや、ガスを吸って墜落した鳥が死んでおらず、あくまで酸欠での気絶してることから、このガス散布の目的は殺しではなく吸った者の無力化。

 

 生徒とヒーローの動きを封じ、ヴィランが事を運びやすくするため時間稼ぎでほぼ間違いないだろう。

 

 ………だが仮に、奴等がここにいるヒーロー達の情報を知っているのならば、打倒せんとしているオールマイトがここにいないことは重々承知のはず。

 

「おそらく、ヴィラン連合の目的は生徒の誘拐。そらに言えば、体育祭で好成績を取った勝己、焦凍、踏影、そして俺を狙いに来たんだ。マンダレイさん達がいる辺りから6体ほどの脳無の匂いがすることからして、ここにいる全てのヒーローは動きを封じられたと考えるとなれば………かなりまずい状況だな」

 

「脅かすかす側だっだたB組は考えるまでもないとしても………狼達が3組目となれなばA組の人達もかなり分散しています……………。…………マンダレイさん達の言う通りにしてもいいですが………このままではガスの中にいる全員が拐われてしまうかもしれませんし…………私達が1人1人救出したとしても…………焼け石に水です」

 

「どちらにせよ、僕が個性をコピー出来る時間は5分だから、頭数に入れないほうがいいと思うけどね。それでどうするの?まさか打つ手なし?」

 

「せめてあと2人………私達以外にガスの中で動ける人がいたら……………」

 

「ちょっと待て!!誰かがこっちに来てる!!どんどん近づいてるみたいだよ!!」

 

「まさかヴィラン!?」

 

「いや………嗅いだことのある匂いだ。これは…………百と洋雪か!!」

 

「その声は狼か!?八百万!!狼と耳郎!!物間とヒスイがいたぞ!!」

 

「ここだけやけにガスが薄いと思ってましたが!!ヒスイさんの個性でガスを吹き飛ばしていたんですね!!全員無事でなりよりです!!」

 

 そう言いながら、ガスマスクを付けた百と洋雪がガスの中から現れた。

 

 2人はガスマスクを外しながら、風の盾の中に入ってくる。

 

「なんか変なガスがどっから流れてきたから急いで八百万にガスマスクを作ってもらったお陰で、どうにかガスから逃げることが出来た。近くにいた鉄哲と塩崎にもガスマスクを大量に渡してきたから、一先ず大丈夫だと思う」

 

「そうか鉄哲達はなんとか無事か」

  

「ガスの中で動ける人は少ないですから、途中倒れていた葉隠さんと上鳴さんを青山さんに任せて、泡瀬さんにB組の待機場所へ案内してもらい救助を行おうしていたんです。ヒスイさんは必要ないかもありませんが、どうぞこれを」

 

「これはどうも、ありがとうございます。このタイミングでガスの中で動ける2人に会えたことは、本当に幸運でしかありません」

 

「これでガス内で自由で動ける人間は全員で8人。別行動を取っている徹鐵と青山を除いても6人となれば、十分行動を起こせる。俺は一度この先にポイントにいるラグドールさんと黒影さんと合流してから、ガスにやられた奴等を回収する。あっちの方はガスが薄いから2人共大丈夫だと思うし、俺ならA組B組両方の位置を特定できるからな。回収の方も問題ない」

 

「ならば、私は狙われる可能性が高い爆豪さんと轟さん、それと常闇さんを回収します。全員戦闘力は高いですが戦闘許可がない以上戦えませんし、優先して狙われるとなればヴィランと接触する可能性が高いですからね」

 

「ちょっと待てくれよヒスイ!!戦僕達はまだ学生で仮免資格も持ってない!!下手に戦闘をして個性を使ったら最後そいつは処分される最悪退学処分もあり得るかもしれない!!そんな中向おうだなんて自殺行為だぞ!!!」

 

「いえ、そこは大丈夫ですよ物間さん。私と狼は共に国際ヒーロー仮免資格を持っていますから、緊急時の今となればその扱いはプロヒーローと同じ。戦闘を行っても何ら問題はありません」

 

「だが、確かにこれじゃあ全員やられたまんまだ。戦闘許可がない以上俺達以外は逃げるしかないし、こんな状況じゃ逃げてもジリ貧だろうからな」

 

「なら、どうするの?」

 

「だから、俺とヒスイの権限と責任を持って、ここにいる雄英生徒全員に戦闘許可を出す。そして、それをみんなに伝えるのはお前だ、寧人」

 

 俺がそう言いいながら寧人に視線を向けるとともに、皆の視線もまた寧人に集まった。

 

 期待が自身に向けられている状況と、こんな危機的状況下で出来るのか不安で怖いのか、寧人の強がりっていた表情がみるみる内に強張っていき、手が少し震える。

 

「僕が………みんなに指示を………?冗談でもそれは笑えない冗談はよせよ………」

 

「冗談でも何でもない。ここの森の上空を突っ切ってマンダレイ達に直接行き、マンダレイに俺の伝言とヴィランの目的を全員に伝達してもらう。空中ならばヴィランも手は出しにくいし、響香に一緒に行ってもらってヴィランの攻撃を音で探知してもらえば最悪逃げ切れる。今の逃げ惑うしかない盤面をひっくり返すには、この方法しかない」

 

「僕じゃなくても君かヒスイが行けば問題ないだろ!!泡瀬達だってガス中で動けるんだから………2人に行かせても…………」

 

「いいや、駄目だ。ガスマスクを唯一作れる百とB組の位置を知る洋雪は生徒救出の頼みの綱だし、戦闘許可が降りるまでに戦闘が行っても問題がない俺達がここを抜けるなんて事は論外だ。ビビってんのかもしれないが、少し腹を────」

 

「くくれるわけないだろ!!僕は君達A組のような凄い個性も!!そこのヒスイのような技術もない!!仮に僕が失敗したら…………みんなが…………!!!」

 

「………確かにお前の個性はヒミコの完全劣化だし、特筆するべき身体の力もない。はっきり言って、この中じゃ一番弱いは間違いないだろう」

 

「狼………!!お前物間になんてことを─────」

 

「ちょっと2人とも!!」

 

「だがな。俺は体育祭の時に『個性うんぬだけがお前の力じゃない』と、お前に言ったはずだ。その言葉の意味…………今こそ自分で証明する時じゃないのか?」

 

 洋雪に掴みかかられながらも俺はそう言い切り、寧人の手の震えがようやく収まった。

 

 「個性が強いヒーローなんてこの世に腐るほどいるし……………技術があるなんてことは当たり前。だが………お前ほど誰かを思える馬鹿も………仲間に思われる馬鹿もそうはいない。確かにお前が今この瞬間一番弱い奴ってことは変わりないが………お前ほど仲間を上手く使える奴も、彼奴等救える奴も今この瞬間お前しかいないんだよ」

 

「なんだよそれ………。そんな事言われたら…………今の僕ただ駄々こねてるだけで恥ずかしい奴ってなるんだけど」

  

「実際そうだからな。それでどうする?行くのか?行かないのか?」

 

「ああ、わかったよ。行けばいいんだろ?ただし…………盤面ひっくり返す前に精々死なないでくれよ」

 

「…………じゃあ私も行ってくるね。みんなの事………よろしくね」

 

「ああ、わかった。行って来い。またビビって泣かないようにな」

 

「ふんっ………。ほんと嫌な奴……………」

 

「お前が言うな」

  

 そう言うと寧人は響香を抱えて飛び上がり、猛スピードでマンダレイのいるポイントに向かった。

 

 ヒスイもまた飛び上がろうをしてるのを見て、俺もまたモード狼になる。

 

「狼………俺ついさっき言い過ぎた。その……………」

 

「いいんですよ泡瀬さん。犬頭はそんな事で落ち込むタマじゃありませんし、どうせ裏でよからぬ事してるだろうから怒られてた方が寧ろいいんですよ」

 

「誰がよこらぬ事をしてるだと?ぶっ飛ばすぞ魚頭。ここ数日理不尽なことで怒られたり、ぶっ飛ばされたりするせいで、理不尽なことはもう慣れた。お前のは怒り方はまだ理不尽の次元に達していなかったからな」

 

「いや、理不尽の次元ってなんだよ。というか、あれと今の比べるなよ」

 

「要はその程度の事ってことだ。じゃあ俺は行くが…………足掻くのをやめるなよ。足掻くのやめた時点で人は人として死ぬ。精々足掻いて無様でも生き残ろうとせず死ぬのなら、俺がもう1度殺しに行く。……………だから頼む。……………死ぬんじゃねーぞ」

 

 俺はそう言い残すとともに駆け出し、黒影さん達のいるポイントまでの最短ルートを見つけていくとともに、ひたすらに足を動かした。

 

 もう何も失わなため…………もう何も奪わせないため…………もう何も手から零れ落ちないようにするため………………。

 

 ……………………全て…………が消えてなくなり…………俺が………俺でなくなり…………化物が…………目覚める事を防ぐため…………俺はただ走り続けた。

 

「くっ………!!目眩ましを多様しつつ…………光で影を消して私の個性を使えなくするなんて………………!!」

 

「しかも近接戦も結構出来るし!!再生力が早すぎるしで倒しきれない!時間が無駄に過ぎていくだけだよ!!」

 

「なら一撃大火力で潰すだけです…………!!!血闘術3式………!!!『SAMスティンガー』……………!!!!」

 

「狼君なんでここに!?」

 

「マンダレイの言うこと聞いてなかったの!?」

 

「一応ヒーローの見習いみたいなもんなんで!!さっさと駆け付けました!!さっさとこいつ片付けますよ!!!」

 

 ……………寧人………俺はお前に一つだけ嘘を付いた。お前は一番弱くなんてない。

 

 弱い奴ってのは足掻くのを諦め…………手を差し伸べる術を忘れ………………心を死なせ…………………命と同じくらい大切な自分の何かを………………失くしたやつだ。

 

 だから…………一番弱いのはお前なんかじゃない

 

 あの中で一番弱い奴は…………大切な友も……………恩師も……………自らの家族も……………全て殺した出来損ないは…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この……………俺なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「プリティー!!!メガトンマグナム!!!!」

 

「アトロポスの………裁断………………!!!!」 

 

 互いにそう言いながら放たれた右ストレートと鋼鉄をも切り裂く網状の糸はぶつかりあって火花を散らすとともに、相手の技の威力を抑えきれず、プリティーラブリーマンとアラクネは互いに数メートル吹き飛ばされた。

 

 しかし、戦闘経験の差から僅かばかりプリティーラブリーマンの方が切り返しが早く、再びアラクネに向かって突撃して攻撃を仕掛け続ける。

 

「プリティー!!!アトミックシザース!!!プリティー!!!ベアーズクロー!!!!プリティー!!!ジャイアントバスター!!!!プリティー────」

 

「プリティー、プリティーうるさいですよハエ。最初の方は技叫ぶながら攻撃するだなんてのはどんな気分かと思って付き合ってあげましたが………ここまでうるさいハエが相手では、付き合うのも汚らわしく思えてきました。せめて黙って攻撃できないんですか?」

 

「いいや、無理ね。一応そういう礼儀を持つのヒーローだからね。ちゃんと、こっちも従わないと駄目なのよ」

 

「へぇー、そうなんですか。元々糞に集るハエがやる職業かと思っていましたが、どうやらその実態はゴキブリが蔓延る巣だったようですね。ほんと、ヒーローだなんてものになろうとしなくてよかった」

 

「私侮辱するのは構わないけど!!少しばかり口がお達者過ぎるようね!!!しっかり獄中で反省してなっさい!!!!」

 

 組み合った状態を無理矢理足蹴りで崩し、プリティーラブリーマンは体制を崩したアラクネの腹に懇親の左ストレートをお見舞いした。

 

 一撃必殺の技をまともに喰らったアラクネは意識を失い、その目が閉じていくかと思われたのだが、彼女の一向に目は閉じず、口はニヤけ続け、最終的にもたれ掛かった状態の体がみるみる内に無数の糸になっていく。

 

「ラケシスの操り人って、ヒーロー風には言うんでしたっけ?私の糸人形にごっ説教とは、余程の早とちりちゃんのようですね」

 

「くっ…………体が覆われていく…………」

 

「そりゃそうでしょ。その糸は一本だけでも車を持ち上げることができ、数1000本あればタンカーすら持ち上げる事が出来る、特別な糸です。その強度から精製に数秒掛かりますが、完成してしまえば終わりです。精々糸の棺桶の中で、少しでもマシな虫にでもなってくださいね」

 

「プリティーラブリーマン!!」

 

「無駄ですよイレイザーヘッド。私の個性【吸命(ドレイン)】は糸などを通じて相手の体力や活力などの生命エネルギーを奪うことが出来る上、その糸には大量の致死毒が仕込まれています。あの糸の檻から出てきた時には、もう既にミイラでしょうね」

 

「くっそ!!」

 

「よそ見してていいのか?イレイザーヘッド。俺はまだ残って─────」

 

 苛つきぶつけるとばかりに荼毘は一瞬のうちに捕縛布で縛られ、思いっきりアラクネに向かって投げられた。

 

 アラクネは表情変えることなく糸を放ち、飛んで来た荼毘を容赦なく真っ二つにする。

 

「何すんだアラクネ?そんな事したら俺死んじまうだろ」

 

「コピーのあなたはただ無に帰るだけでしょ?どうせ私攻撃せずとも肘打ち一発のダメージで消えるでしょうし、早く私の前から消えてください。使えない玩具に、興味はありません」

 

「そうかい。そうかい。あっ、そうだ。次の俺にこう伝えといてくれ。こいつはかなり、イカれてるって」

 

「それはあなたも。でしょ?」

 

「そうだった、そうだった。じゃあ、次の俺によろしく」

 

 そう言うともに荼毘………いや、荼毘のコピーと言われたものは泥のようなものとなって消え、宿の前にいるのはイレイザーヘッドとアラクネのみとなった。

 

 アラクネは糸を構えながら不気味に笑いかける。

 

「それで?まだやりますか?あのゴキブリは死んじゃったでしょうし、次の荼毘は直ぐにこっちに来ます。建物内にいる生徒を大人しく差し出すならば、命は助かるかもしれませんよ?」

 

「ならば聞くが………生徒拐って…………お前等は何をするつもりだ……………」

 

「なんだ。そんな事ですか?個性が有益ならば奪うだけですし、有益でないなら脳無とかいったあの人形に。人形にすらなりきれないのなら私の玩具になるだけです。大したことないでしょ?」

 

「大したした事がないね…………。…………どこまで俺の生徒を愚弄すれば気が済むんだ…………お前等は…………!!!」

 

「愚弄なんてしていません。家畜と同じような事になるだけです。まぁ話は聞かなそうなので………あなたの命は今後私の玩具ですけどね…………!!!」

 

 アラクネはそう言いながら幾つもの糸玉をイレイザーヘッドに放ち、イレイザーヘッドはその攻撃の密度を前に回避に専念するしかなくなってしまった。

 

 木々や岩、岸壁を銃弾のような威力で破壊していく糸玉や、あちこちに設置されたワイヤートラップから放たれる斬撃を躱しながら抹消を試みるが、一層に個性が使えなくなる気配がない。

 

「(USJのあいつと同じ…………俺の個性が発動してるのにも関わらず個性を抹消できない相手とはまた厄介な…………。…………だが、異形型の個性ならともかく………あいつの個性は明らかに発動系。間違いなく消せるはずだ……………。…………なんだ、この引っ掛かりは?)」

 

「どうしました………!?どうしました………!?あんな威勢を吐いといて何もしないんですか…………!?!?これで終わりとは言わないですよね…………!?!?」 

 

「さぁな。俺の個性が何故かお前に対しては聞かない上……………捕縛布(こいつ)が触れる前に切られるとなれば……………俺はお前に対して打つ手がない」

 

「それで時間稼ぎってわけかもしれないですが無駄です…………!!この量の繭弾が放たれたとなれば……………さしものあなたも避けることは出来ない…………!!足掻いた所で無駄でしたね…………!!!」

 

 

「ああ………一先ずはこれで終わりだ…………。ただし…………お前がな!!!

 

 

 相澤がそう言った直後、蛹から蝶が出てくるかのように糸の檻を無理矢理引きちぎって出てきたプリティーラブリーマンがアラクネの背後にまで一気に跳躍し、右手を振りかぶった。

 

「何故あなたが?生命エネルギーを吸い取られ、全身には毒が回ってるはずですよ?」

 

「悪いわね。私疲れを元々感じない体だし、色んな子に攻められてきたから結構色々な毒の抗体を持ってるのよ。あれぐらいの事じゃ、私は殺せないわ」

 

「ですがあなた程度ではこの量の繭玉を防ぐことは出来ない………!!大人しくしてれば死ななかったかもしれないのに足掻いた結果…………!!あなたは死ぬんですよ……………!!!」

 

「足掻いた結果死ぬ?笑わせないで。足掻いた結果生きる!!それがその後起きる結果よ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほざきなさい…………!!!クロトーの…………呪い……………!!!!」

 

 

 

「プリティー…………スーパー…………エンジェルキャノン!!!!」

  

 

 

 

 

 

 

  

 アラクネが放った大量の糸玉が右手を伸ばすプリティーラブリーマンの体を引き裂き、何筋もの血しぶきを飛ばすが、それでも彼女は止まろうとせず、白く光り輝く拳をアラクネの土手っ腹に思いっ切りぶつけた。

 

 ぶつけられた拳の衝撃で何度も体を木々にぶつけながらアラクネは飛んで行き、最終的にはつい先程自らが繭玉を放った岸壁に叩きつけられて動くことができなくなった。

 

 直様イレイザーヘッドが捕縛布でアラクネを縛り、あっという間に拘束を完了させる。

 

「悪いな。お前の言う通り俺の目的は時間稼ぎ。この人がダメージを疲労をエネルギーに変えるまでのな」

 

「私の個性は【疲労蓄積】。肉体の筋肉疲労などを蓄積してエネルギーにし、自身の体を活性化させる個性なの。相澤ちゃんの個性は確かにあなたと相性が悪かったようだけど、あなたは私と相性が悪かったようね」

 

「これで勝ったつもりですか?笑わせてくれる。私の目的は時間稼ぎとここにいるヒーロー達の最高戦力であるあなた(プリティーラブリーマン)を潰すこと。それが達成された以上、実質的にはあなた達の負けです」

 

「詳しい話は後で聞かせてもらう。何故俺の個性があの男とお前に効かなかったのかの理由を含めてみっちりな」

 

「だから言ったでしょ?あなた達の負けだって。私がコピー(・・・)だと気づかなかった時点で…………あなた達は負けてるんですよ……………!!》」

  

 イレイザーヘッドが捕縛布を引っ張った瞬間、アラクネは荼毘という男同様泥のようなものになっていき、少しずつ地面に溶けていった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

                                               ◆◆

 

 

 

 

 

 

  

 

  

 

 

 

 

 

 

  

 

「あーー駄目だオイ!!あんな威勢吐いといてやられちまったよ!!ただの口だけ番長か!?」

 

「あらあら。それは申し訳ありません。私のコピーが弱くって」

 

「ハァンッ!?バカ言え!!結論急ぐな!!お前は十分よくやった!!本気出せない状態だってのにあのオカマ潰すとは流石だぜ!!」

 

「これでここにいるヒーロー達の最高戦力は潰せた。それで【トゥワイス】?アラクネはやっぱり増やせそうにないか?」

 

「おう!!そんなの簡単だぜ!!無理だ!!こいつの体の構造普通の人間と違いすぎ(・・・・・・・・・・)て何度もコピーするとか無理無理!!劣化版とはいえあれ作るのも大変だったんだからな!!!感謝しろ!!!」

 

「なら、私はこれ以上ここにいても意味ありませんね。失礼させていただきます」

 

「オイ!!ふざけるな!!逃げやがって!!何処にでも行ってこい!!もっといい別の仕事があるはずだ!!」

 

「やっぱりあれか?お前の兄妹の事が気になるのか?」

 

「腹違いとはいえ、一応は兄妹ですからね。少し顔を見せて、ちょっと挨拶してきます。引き続き、プロの足止めよろしくお願いしますね」

 

「ああ、わかった」

 

「ザコが何度やっても同じだっての!!任せろ!!」

   

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

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「完全にやられたわね………。スーパーエンジェルモードを使った以上………私はぼちぼち数分間は動けなくなっちゃうし…………またすぐに荼毘とかいう男がまた来るわ。生徒達がここに逃げ込んでくる以上場所を変えるわけにはいかないし…………かなりまずい状況ね」

 

「くっそ………やってくれる」

 

「先生今のは………!!」

 

「………プリティーラブリーマンと全員中に入っとけ。すぐ戻る」

 

「相澤先生!!」

 

 生徒達の声を振り切り、俺はマンダレイ達にこの状況を伝えるため足を動かし、ひたすら走った。

 

 月がないせいか先が中々見えず、手遅れなのではないのか?という不穏な思いな思いを振り切るように走り、前に進み続けた。

 

 そんな中、付近の茂みから音がする。

 

「先生!!」

 

「緑…」

 

 ………そこにあったのは全身がボロボロになった緑谷が洸汰君を背中に抱えてこっちに来る姿であり………あまりの緑谷の痛々しい姿に俺は思わず眉をひそめた。

 

 そんな傷など大したことないとばかりに、緑谷は口を開き続ける。

 

「先生!良かった!大変なんです…!伝えなきゃいけない事が沢山あるんです…けど」

 

「おい…」

 

「とりあえず僕、マンダレイに伝えなきゃいけない事があって…洸汰君をお願いします。水の個性です。絶対守って下さい!」

 

「おいって…」

 

「お願いします!」

  

「待て緑谷!!!」

 

 エンドルフィンドバドバでハイになっている緑谷は洸汰君を預けると直様マンダレイ達のところに行こうとするが、俺は強く声を掛け、駆け出そうとする緑谷を一度止める。

 

「その怪我…またやりやがったな」

 

「あっ…いやっ、でも…」

 

「だから、彼女にこう伝えろ。『A組B組総員。プロヒーローイレイザーヘッドの名に於いて戦闘許可を下す』………とな」

 

「戦闘許可を………はい!!必ず伝えます!!」

 

「おい待て!!目的達成したら………行っちまったか。人の話も聞かず…………」

  

「おじさん…アイツ、大丈夫かな」

 

「うん?」

 

「僕…アイツの事殴ったんだ…なのに…!あんなボロボロになって救けてくれたんだよ…!僕まだごめんも…ありがとうも…!言ってないんだよ!アイツも…………白髪のアイツも大丈夫かなあ…!!」

 

 洸汰君は俺の捕縛布を掴みながら泣いてそう言った。

 

 不安を押さえつけるように俺は言葉を返す。

 

「大丈夫…アイツも死ぬつもりなんか無いからボロボロなんだろう。──でも、俺はそれを叱らなきゃいけない。だからこの騒動が終わったら言ってあげてくれ。できればありがとうの方に力を込めて」

 

「うん………うん…………」

 

『A組B組総員!!プロヒーローイレイザーヘッド並び!!仮免保有者ヒスイ!!真血 狼の名に於いて戦闘許可を下す!!!ヴィランの目的は生徒の誘拐!!!特に狙いをつけているのは爆豪 勝己!!!轟 焦凍!!!常闇 踏影!!!真血 狼!!!全員なるべく戦闘は避けて!!!単独ではなるべく動かないで!!!』

 

 あの時の彼奴同様の顔を……………彼奴等にもさせてたまるか……………!!もう何も…………奪わせてたまるか…………!!

 

 責任を負うのは………傷つくのはお前だけじゃなくていい…………!!!

 

「こんな訳のわからぬまま…………やられるんじゃねーぞ………!!卵共…………!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 
 
 オリキャラ 人物紹介
 
 
・ファティーグ・セーブレット  ヒーロー名:プリティーラブリーマン
 
 
 個性 疲労蓄積
 
 精神疲労や神経疲労、肉体疲労などをエネルギーとして蓄積し、体を活性化して再生力や身体能力を向上することが出来る。また、1度にエネルギーを大量に使うと(スーパーエンジェルモード)体が白く光り輝き、身体能力や回復力が格段に上がるものの、その数分後には意識があっても必ず体が数分間動かなくなる。
 
 
 
 
 日本で始めてのヴィラン更生ヒーロー事務所、マジカルポップスの創立者にして所長。日本国籍帰化のフランス人。ヒーロランキング15位。
 
 両親が海軍の軍艦系者だった事もあって20歳の頃にフランス海軍に入隊。しかし、入隊して3年後、元ヒーローのヴィランに襲撃された事で自身の率いていた隊が全滅。
 
 自らも人質になり、殺される寸前になったが、当時雄英生だったオールマイトが彼を救出され、何かに目覚めた。
 
 その後、オールマイトへの憧れから海軍をやめてヒーローに転身し、アメリカでヴィラン更生をしていた師匠の所で4年修行を積み、オールマイトのいる日本に来日。
 
 日本でのヴィラン更生の現状を変えるために奮闘し、当時は現在の数倍毛嫌いされていたヴィラン更生事務所をもう既にナンバー1になりつつあったオールマイトに後押ししてもらいながら設立した。
 
 なお、このヴィラン更生は政府からも反対されており、一部の過激反対派からは暗殺者を使って殺される寸前になったこともあった。
 
 また、ヴィラン更生事務所設立間近の最後の刺客として送り込まれたのが、当時の最高の暗殺者夫婦だったアラクネであり、激闘の末スーパーエンジェルモードに目覚め、2人を撃退してタルタロスに収監した。
 
 そしてその10年前、とある男から当時孤児だった刀花と、同時期に殺人未遂で捕まって行き場を失くした爪牙を引き取り、2人を今の2人に育て上げた。
 
 ちなみに、オカマになった理由はと聞くと、『乙女が恋するのは一瞬よ…………』と毎度答えるらしい。視聴者が選ぶ人気ヒーローという毎年行われる番組での、男性が選ぶ人気ヒーローの投票数はゼロに等しいものの、女性が選ぶ人気ヒーローランキングでは毎年トップ5にランクインしている。

  
 

 
 

 
 
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