鮮血少女と鮮血狼   作:熊田ラナムカ27

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 投稿が少し遅れてすいません。ちょっと難産で時間がかかりました。
 
 それとお知らせなのですが、作者の都合により、投稿ペースがかなり落ちるかもしれません。
 
 熊もずっとこれを書いていきたい!!シリアスを早く終わらせたい!!けどどうしようもないんです!!!だって試験があるんだもの!!!
 
 そんなこんなで、ペースは落ちますが少しずつ編集していきますので、気長に次話をお待ち下さい。
 
 
 
 


56 自由への翼

 

 

  

 トレーニングの台所(TDL)

 

 そこで私達は各自が必殺技を作ろうと、何処かワクワクした様子で、皆各自訓練を行っていた。

 

「『尾があるならこう動くだろう』トイウ動キダ。根本ノ立チ回リカラ見直シテイコウ」

 

「必殺!!『こう…手から酸を…ドバァアア!!』どうでしょう!?」

 

「ソウイウ方向デアレバ…指デ噴射口ヲ作リ絞ルヨウニ……ソウ」

 

「飛距離伸びた!!」

 

「酸ノ噴射ニ焦点ヲ当テテ伸バシテイクカ?」

 

 全員が自身の考えていた技を形にし、それを現実にしようと頑張っている。

 

 だが………方向性が固まらず悩む生徒も当然いるわけであり………

 

「うーん……違う………。これも………何か違います…………」

 

 私は刀やナイフを振っては首を傾げ、度々自身の血を吸ってはやはり首を傾げを繰り返し、自身の必殺技をどうするかについてでずっと悩んでいた。

 

 必殺技になりそうな剣技などはあるが、それは型式と丸かぶりであるし、そもそも身体能力向上と相手の姿に変身する私の個性では、やれる事が限られている。

 

 型式ではない私だけの必殺技がどうするか全く頭に浮かばず、やはり私は首を傾げた。

 

「あれ?ヒミコさんも必殺技思いついてないの?」

 

「そう言いますと、出久君もですか?

 

「うん………。僕、腕に爆弾ができちゃったからあまり無理ができなくて……正直必殺技のビジョンが全然見えないんだよね……」

 

「私は自分の個性で……あと何が出来るかっていうので引っかかっていて………何をしたらいいのかわからないんですよね……今の所…………」

 

「………フム。確カニ出久の個性ハアル意味安定行動トハ最モ遠ク…………ヒミコサンノ個性ハ安定性ガ高過ギテ今ノ型ヲ崩シニクイ。…………スタイルガマダサダマランノデアレバ、今日ハ個性ノバシニ専念シヨウ」

 

 エクトプラズマさんがそう言い、私達が個性伸ばしをしようとする最中、入口から物音が聞こえる。

 

「やってるねえ皆!」

 

「皆さんお疲れさまです。差し入れ持って来ました」

 

「オールマイト…!?」

 

「鉄田さん!」

 

 オールマイトさんは、一瞬だけマッスルフォームになるとすぐにトゥルーフォームに戻り、鉄田さんはセメントス先生に差し入れを渡すと中に入って来る。

 

「呼ばれてないけど今日は特に用事も無かったので来た」

 

「私はお嬢に届け物があったのでここに来ました。これ、いいとこのシュークリームなので、良かったら」

 

「すいません。お菓子用意してもらったのに、お茶の一杯も出せないで」

 

「いえいえ。どうせすぐ仕事に行かないとですし、どうぞお構いなく」

 

「あーっ!!!これ朝から並ばないと手に入れられないツイスターツイスターの限定ふわとろシュークリームだ!!!!」

 

「結構高いから手出しにくかったけど!!こんな所で口に出来るだなんて!!!」

 

「噂に聞いてたけど……確かに凄いな………これ。クリームが濃厚だけど雲みたいに繊細で………直ぐに溶けちまう………」

 

「オールマイトは大人しく養生してて下さいよ。あと一応今授業中なんで、こういうのは今後やめてくださいよ、アイアン・ラッシュさん」

 

「すいません。一応行くなら差し入れをと思って…………」

 

「相澤君そう言わないでくれよ!必殺技の授業だろ!?そんなの見たいに決まっているんだよ。私も教師なんでね」

 

「あれ?爆豪君とヒミコちゃん、デク君の分抜いても、シュークリーム一個多い」

 

「じゃあそれ私が食べる!」

 

「ずるいよ!私も食べたい!」

 

「お前等………食べ終えたならいい加減訓練に戻れ。何度も言うが、これ一応授業なんだからな」

 

 相澤君先生の言葉でハッとなり、皆が再び訓練に戻っていく最中、訓練場の一角で大爆発が起こった。

 

 その爆発の主である勝己君は、完全にヴィランにしか見えない表情でニヒッと笑う。

 

「久々に暴れるとスッキリすらぁ。エクトプラズム!!死んだ!!もう一体頼む!!」

 

「彼は凄いな」

 

「ええ。もっと強くなりますよアレは」

 

「爆豪君張り切ってる!」

 

「アイツもう技のビジョン沢山あんだろうな」

 

「入学時から技名つけてたもんね」

 

「オイラだってガキの頃から温めてる『グレープラッシュ』つう技あんぜ!」

 

「つーか誰でも一度は考えるだろ。俺、電撃ソードとか考えてた。それをこうやって実現できるってんだからテンションも上がるぜ」

 

 勝己君が張り切っている姿を見たからか、訓練に戻った皆さんは前よりイキイキとした表情で訓練に挑み、思い思いの技を形にしていった。

 

 そんなみんなの姿に私達が焦っている最中、オールマイトさんが緑谷に声をかける。

 

「ヘイ」

 

「あっ、オールマイト!」

 

「アドバイス。君はまだ、私に倣おうとしてるぞ。そしてヒミコ少女。君は型なんかに自分を当てはめず、もっと思いっきりやった方がいい」

 

「型に……自分を当てはめない………?」

 

「へ…?それはどういう…」

 

「やぁ切島少年!」 

 

 オールマイトはそれ以上は何も言わず、私達の所から別の生徒の所に移動していった。

 

 そんな様子に私達が首を傾げる最中、鉄田さんが私達の頭に手を乗せる。

 

「オールマイトさんの言う通り、あなた達は既に答えを持っています。それを自分で考え、昇華させたのならば、それは大きな力になるでしょう」

 

「答えを……既に持っている……?」

 

「あと、これは身内なので言わせてもらいますがお嬢。あなたは自分のオリジンを見直した方がいい。『真血 被身子』ではなく、『渡我 被身子』としてのオリジンを」

 

「『渡我 被身子』としてのオリジン………?」

 

「ここから先は、自分で考えてください。あとこれ、物間 寧人という子がうちの事務所に直接届けてくれました。『中身は忘れたけど、一応借りたものだからな』………だそうです」

 

 鉄田さんはそう言うと懐から小瓶を取り出し、私に渡した。

 

 小瓶の中身は空っぽであり、中からは微かに嗅いだことのない、何処か懐かしいような血の匂いが、ほんのりと漂っている。

 

 林間合宿の時、寧人君にこの小瓶を渡した事自体、今の今まで忘れていた。

 

「…………やっぱり……覚えていないんですね。若のこと…………」

 

「アイアン・ラッシュさん?何か言いましたか?」

 

「いえ。こっちの話です。では差し入れと届け物は渡した事ですし、私はこれで失礼させて頂きます。皆さん頑張ってください。それと…………その小瓶。………大切にしてくださいね」

 

 そう言い残すと鉄田さんは行ってしまい、その後はあっという間に時間が過ぎて、放課後になった。

 

 結局、私と出久は何も必殺技が全く思い浮かばず、オールマイトと鉄田さんの言葉の意図もわからないまま。

 

 だが、相澤先生のコスチューム改良の話を思い出し、何か弄ればわかるかもと思ったので、2人して校舎1階にある開発工房へと向かっているというわけだ。

 

「ここが……開発工房」

 

「どの教室よりも大きくて、重い扉ですね」

 

「けど、ここでなら腕の動きを補助するサポートみたいなのを作ってもらえるかもだし、ヒミコさんも何か思い浮かぶんじゃない?」

 

「悩んで立ち止まるよりは、動いたり見たりした方が何か思い付くかもですしね。早速お邪魔させてもらいましょう」

 

「デ、デク君にヒ、ヒミコちゃんだ!?い、いないと思ったら、ふ、2人一緒にコス改良!?!?」

 

「こら!廊下を走るな!」

 

「お茶子ちゃん。何で顔真っ赤にしてるんですかね?」

 

「そこはわからないけど、折角だからみんなで─────」

 

 

 

 

 

 

 

 バァァァァンッ!!!!

 

 

 

 

  

 

 …………出久君が扉を開けながら、言葉を発しようとしたその最中、上級受刑者牢の共有スペースで投球君の火炎弾が爆発させたような爆発が突如開発工房の中で起こり、私と出久君は大きく吹き飛ばされた。

 

 頭がクラクラして、私と出久君がどちらも立ち上げれずにいる間に、徐々に爆発で起こった煙が晴れていく。

 

「フフフいててて………。ゲホッゲホッお前なぁ………思いついたもの何でもかんでも組み立てんじゃないよ………!」

 

「フフフフ………失敗は成功の母ですよパワーローダー先生。かのトーマス・エジソンが仰っています。”作った物が計画通りに機能しないからといってそれが無駄とは限らな…………」

 

「今そういう話じゃないんだよォオ……!1度でいいから話を聞きなさい……発目!!!」

 

「あら。これは失礼しました。2人とも大丈夫ですか?」

 

「わ………私は大丈夫です。出久君がクッションになってくれたので怪我は────って出久君!?」

 

「2人の………おっ、おっ、おっ、ぱ……………──────」

 

「出久君!?大丈夫ですか!?鼻血出して気絶しちゃいましたけど大丈夫ですか!?!?」

 

「ヒ、ヒ、ヒミコちゃん!!!何も言わず早く出久君からどいて!!!サ、サ、サポート科の人も早く出久君からどいて!!!!」

   

「ふ、ふ、2人の乳房が緑谷君の体に触れている!!え、え、絵面がかなり不味いから早く緑谷君から離れ給え!!!」

 

「飯田君!!!そう言うの言っちゃ駄目だよ!!!!!」

 

「ああぁぁぁ!!!出久君が………白目剥きながら遺言のようなものを言い始めました!!!これはかなり不味いですよ!!!!」

 

「ならば私の新しく作ったベイビーで彼を治して見せましょう!!上手くいけば一瞬で傷が回復します!!!」

 

「発目!!いい加減にしないと出禁にするぞ!!!」

 

「というか2人とも!!!早くデク君から離れて!!!!」

 

  

 

 

 

 

 

 なんやかんやありつつも、そして10分後。

 

  

 

 

 

 

「突然の爆発失礼しました!そこの方の意識が無事戻ったので何よりです!!ヒーロー科の………えー………全員始めて会う人ですね。では始めまして!サポート科1年!【発目 明】です!よろしくお願いします!!」

 

「ヒーロー科1年の真血 被身子です。よろしくお願いします」

  

「み………みどりりや……いずいずく……………」

 

「えっ……えっーっと………麗日 お茶子です………。よろしく………お願いします…………」

 

「同じくヒーロー科1年飯田 天哉だ!!」

 

「なる程!!では私はベイビーの開発で忙しいので!」

 

 それだけ言えば十分とばかりに、明ちゃんは踵を返して工房に戻っていった。

 

 全員がその行動に驚き、彼女を引き止める。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!話だけでも聞いてください!!」

 

「コスチューム改良の件で………パワーローダー先生に相談が────」

 

「コスチュームの改良!?興味あります!!」

 

「け、結構グイグイと来る子だな………」

 

「ま、また当たってる…………」

 

 明ちゃんがつい先程とは打って変わって私達の腕を引っ張ってでも中に入れようとした最中、パワーローダー先生がそれを止める。

 

「発目…………寮生になって工房に入り浸るのはいいけど………これ以上荒らし放しのままだと………本当に出禁にするぞ………くけけ………」

 

「パワーローダー先生。今日はえーっと………」

 

「イレイザーヘッドから話は聞いてるから、大体わかる。必殺技に伴うコス変だろ?入りな」

 

「ほうほう……あなた………華奢な割には結構いい筋肉してますね………。MIPデックス製のコスチュームは防御力が高い分少し重いですから………そこをどうにか…………」

 

「は………発目さん何を?あとヒミコちゃんは何で………発目さんの首を噛んでるの…………?」

 

「あ、すいません。お腹が空いたものでつい」

 

「完全に癖です。申し訳ありません」

 

「似た者同士………という奴か?」

 

「何してるんだ?早く入りな」

 

 パワーローダー先生の言葉で、私達全員はようやくハッとなり、少し急ぎ足で工房に入っていった。

  

 工房内はMIPデックスの地下作業室を思わせる内装であり、あちこちに工具やモニターが所狭しと置かれており、そこには幾つもの作りかけのサポートが置かれているのだが、私はどれもにも対した興味を持てず、何となく奥のボロボロのコスチュームの方に向かった。

  

「何でしょう………?このスーツ………?びっくりするくらいボロボロです………」

 

 そのコスチュームは紺を基調とした黒のパーカーであり、一緒に使うと思われるゴーグル、ヘッドホンが立て掛けられているのだが、どこも誰かに殴られたかのような傷のせいで壊れかけであり、パーカー部分も爆発で焦げたのか少し炭化している。

 

 ただの壊れかけのコスチュームであり、見方を変えればガラクタなのかもしれないのだが………何故か………私はそれから目と手をを放せない。

 

「何だい?もしかして君がそのコスチュームの持ち主かい?こんな壊れかけになるまでボロボロにして、一体どんな使い方したんだい?」

 

「あっ、いえ。私のじゃないですし、こんなコスチューム知りません。ただ……何となく気になって」

 

「持ち主かいって事は、誰のものかわからないんですか?」

 

「ああ、そうだ。こないだ荷物整理をしてる時に見つけてね。修復もしくはこれと同じ新しいものを作成してくれと、メモ紙が張ってあったんだが、ここまでボロボロだと修復なんて無理だし、新しいもの作ったという記録はあったんだが、その新品の方は行方不明。持ち主がわからない以上勝手に捨てられないし、仕方なくここに置いているんだよ」

 

「どうやらMIPデックス製の年代物のようで、あちこちに修繕と改良をした痕跡がありました。これを使っていた人は、よっぽどこれに思い入れがあったようですね」

 

「だというのに………持ち主がでてこないとは…………」

 

「MIPデックス製って、ヒミコちゃんのと同じだね」

 

「そこまでコスチュームに詳しくはないんですけど………何故か見覚えがある気がしたんですよね…………」

 

「まぁ、時間も置けば勝手に持ち主がいつの間にかに出てくるだろう。それで本題に戻るけど、今回はコスチュームの改良だったね?」

 

「あっ、はい、そうです」

 

「じゃあコスチュームの説明書見せて。ケースに同封されてたのがあるでしょ?俺ライセンス持ってるから、それ見て弄れるところは弄るよ。小さい改良・修繕なら『こう変更しました』って、デザイン事務所に報告しとけば手続きしといてくれるが、大きい改良となるとこちらで申請書を作成して、デザイン事務所に依頼する形となる。で改良したコスチュームを国で審査してもらって、許可が出たらこちらに戻ってくる。まぁー………うちと提携してるところは事務所は超一流だし、MIPデックスさんも仕事が速いから、大体3日後くらいには戻ってくるよ」

 

「あの……僕は靭帯への負担軽減できないかと思って、そういうのって可能ですか?」

 

「ああ。緑谷君は指や拳で戦うスタイルだったね、そういう事ならちょっと弄れば………直ぐに可能だよ」

 

「私はコスチュームを改良したいと思ってるんですけど………どういうのにしたらいいか………わからなくって」

 

「なら君の戦闘スタイルを再確認して、何処に改良点があるか、何を新たに追加した方がいいかとかを、後でまとめておくよ。後日また来てもらうことになるけどいい?」

 

「はい。それで大丈夫です」

 

「とりあえずやったね2人とも!」

 

「うん!」

 

「ただ………丸投げにするのは少し気が引けますけどね」

 

「いえいえ!そんな事ないですよ!新しいベイビーをどうするかでワクワクしますし!!1から考えていいだなんてサポート科冥利に尽きます!!必ず納得するものを作るので楽しみにしといてくださいね!!!」

 

「わ、わ、わ、かったけど発目さん………」

 

「ヒミコちゃんにやった事………デク君にもやるんだ…………」

 

「はいはい………見た目通りガッシリしてますね。フフフ良いでしょう。そんなあなたには…………とっておきのベイビー!!パワードスーツ!!!」

 

 明ちゃんは楽しそうにしながらも、凄い早い勢いでパワードスーツという、昔の宇宙服を思わせるようなスーツを出久君に着せ、呆れた様子のパワーローダー先生以外は、全員ポッカリと口を開けた。

 

「あの……これは………」

 

「筋肉の動きを感知して動きを補助するハイテクっ子です!第49子です!!フフフフフ!!」

 

「僕腕のサポートだけでいいんだけど………あっ、凄い………勝手に動く…………」

 

「出久君、まるでロボットみたいですね」

 

「けど………待って止まんない。待っ………いだっ!!!いだだだだ腰が!!!!いだだだだだだだ!!!!!」

 

「デク君!!」

 

「どうやら可動域のプログラムをミスったようです!ごめんなさい!」

 

 腰がねじ切れそうになった辺りで明ちゃんはようやくパワードスーツの電源を切り、お茶子ちゃんに支えられながら、出久君は腰を痛そうに擦った。 

 

「腕のサポートを頼んだのに………胴をねじ切られそうになるとは」

 

「今の結構面白そうですね………。私も1度────」

 

「やらない方がいいと思うよ!自分の体は大切にしよ!」

 

「脚部の冷却機を強化して頂きたいのですが…………」

 

「そういう事なら!このベイビー!!」 

 

 こそこそと天哉君はパワーローダー先生に何かを頼もうとするが、出久君同様素早い手付きでブースターのようなものを腕に付けられる。

 

「排熱を極限にまで抑えたスーパークーラーブースターです!!第36子です!!どっ可愛いでしょ!?」

 

「可愛いかはわかりませんがカッコいいですね!!」

 

「でしょ!?でしょ!?!?」

 

「いや………ブースターは要らないんだ発目君。しかも何故腕に………」

 

「ブースターオン」

 

「オイ!」

 

 天哉君がそう言った直後、腕のブースターが炎を上げるとともに作動し、天哉君はその勢いのまま天井に叩きつけられた。

 

 それを見た発目ちゃんは直様スイッチをオフにし、天哉は落下して今度は地面に叩きつけられる。

 

「飯田君大丈夫!?怪我とかしてない!?」

 

「今のカッコよかったですね。できれば私のコスチュームに取り入れ─────」

 

「なくていいと思うよ絶対。ヒミコちゃん、ああいうの好きなの?」

 

「何故腕にブースター何だ!?俺の個性は足なんだが!?」

 

「フフフ知ってます。でもですねぇ、私思うんですよ。脚を冷やしたいなら腕で走ればいいじゃないですかと!」

 

「なる程。その手がありましたか」

 

「ヒミコさんは何故今ので納得するんだ!?何を言っているんだ君はもう!!!」

 

 今の状況を見かねたのか、パワーローダー先生が軽い説教をしている最中、出久君は何か閃いたかのような顔をする。

 

「出久君?どうかしたんですか?」

 

「いや……今なんか思いついた気が………」

 

「すまんね。彼女は病的に自分本意なんだ」

 

「はい………今のでよく理解しました」

 

「別に、そんな言うほどじゃないと思いますけど?」

 

「ヒミコちゃんは一度黙ってようね」

 

「ただまァ、君達もヒーロー志望なら彼女との縁を大切にしておくべきだよ………。きっと……プロになってから世話になる」 

 

 パワーローダー先生は誰のかわからないコスチュームと同じように、隅に山積みにされているサポートアイテムの残骸を見ながら、話を続ける。

 

「あのゴミの山………あれ全部発目が入学してから作ったサポートアイテムさ。学校の休みの日もここに来て、何かしら弄ってる。今まで多くのサポート科を見てきたけど………発目は特異だ」

 

「入学してから………4ヶ月あまりでこんなに………」

 

「”常識とは18歳までに身につけた偏見である”。アインシュタインの残した言葉だ。彼女を失敗を恐れず、常に発想し思考している。イノベーションを起こす人間ってのは、既成概念に囚われない

 

「既成概念に………囚われない」

 

 パワーローダー先生の言葉を聞いた私は、何故か再び持ち主が不明のコスチュームの元に歩き出し、何となくコスチュームの胸辺りに手を触れた。

 

 その瞬間、脳に電流が流れたような感覚に襲われ、私はその場で蹲ってしまう。

 

「う゛っ……う゛っ………!!頭が………頭が…………!!!!」

 

「ヒミコさん!?一体どうしたの!?」

 

「ここに危険物は!?」

 

「いや!!ガラクタ以外何も置いてないはずだ!!」

 

「しっかりしてヒミコちゃん!!目を覚まして!!ヒミコちゃん!!!」

 

「ヒミコさん!!!ヒミコさん!!!!」

 

 徐々に徐々に視界が真っ暗となっていき、声がもまた徐々に徐々に聞こえなくなっていき、私はその場に倒れて1度意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

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『………はい。では、今現在を持ってあなた達は渡我 被身子の親権を破棄。今後は私達が親権を持つ………ということで本当にいいんですね?』

 

『親を破棄するということは…………あなたとあの子は今後赤の他人となる…………。…………考え直すという事は………本当にしないんですか?』

 

『何度も言いますが、この決定を変えるつもりはありません。あんな異常者を引き取ってきくれるなら………喜んで親権を破棄しましょう』

 

『もう………私達は疲れたんです。もう………あの子を相手をする力はない…………。…………あんな子………私達からすれば…………もうとっくに他人同然ですよ……………』

 

(…………なに………これ?昔の私の家に……………刀花さん達があの人達といる…………?もしかして…………あの人達が私の親権を刀花さんに譲るって…………言い出して聞かなかった時の光景…………?)

 

 意識を失った先にあったのは、真っ暗な空間に浮かぶかつての自分の家で、刀花さんと爪牙さんが私の生みの親に…………10度目の親権破棄の確認を取った時の光景であった。

  

 もう何を言ってもその意志は変わらないと悟ったのか…………2人は悲しげに立ち上がる。

 

『…………わかりました。あの子は………私達が責任を持って………立派に育て上げます』

 

『これ………うちの電話番号です。あの子と話したくなったら………是非この番号に──────』

 

『そんなものいらん!!ヴィラン更生なんてやって………ヴィランを再びこの世に放っている異常者め………!!!お前等なんか………あの子同様一生顔も見たくない!!!!』

 

『私達は普通に日々を過ごしたいだけなんです………!!私達を異常者達の世界に巻き込まないで…………!!!あの子を連れて………さっさと家を出ていってください!!!!』

 

『……………そうですか………わかりました。………狼。ヒミコちゃん連れて………先に車に乗り込んでてくれ』

 

『この書類に判子を押し次第………私達も直ぐに行く。…………その子を………よろしく頼むよ』

 

 狼と呼ばれた、私と同じくらい年の白髪の男の子は私の手を引き、かつての私の家から出ようとドアノブに手を掛けた。

 

 そんな彼の手を強く引き、中学1年生くらいの私は彼を引き止める。

 

『…………嫌だ。行きたくない………。私………要らない子なんでしょ?なら………こことは違う所に行っても同じですよ…………』

 

『…………いいや。お前は要らない子なんかじゃない。少なくとも…………俺はお前の笑顔を見たい』

 

『どうして………?異常者の笑顔だからやめなさいって…………お父さんとお母さんが…………』

 

『お前は異常者なんかじゃない。ただ、自分の心に少し正直過ぎるだけなんだ。それに………俺が見たいのはあんな歪んだ笑顔じゃない。本当に嬉しくて………心がクシャってなってでる……………自由な笑顔なんだ』

 

『自由なんて…………私にはない。小さい頃………雀に憧れて………気持ちを抑えられずにその血を飲んだ…………。異常だってわかってたのに………気持ちを抑えられなかったんです……………。そんな私は……………』

 

『異常者だって…………言いたいのか?』

  

『…………!!!』

 

『お前はきっと………自由に空を飛ぶ雀みたいに…………心を自由にしたかったから………そんな事をしたんだ。なりたい………憧れるのは………当たり前のことだ』

 

『……………』

 

『………この世界には………理不尽なことで溢れている。だから………心も自然に動けなくなって…………自分が本当にやりたいことを……………忘れてしまうんだ。けどな………俺はせめて心だけは………自由でなくちゃいけないと思っている。心なくした奴は………もう人じゃない。何かになりたいって思うお前は……………十分人だよ』

 

『………!!!!』

 

『人の可能性は無限………。なら………お前が心からなりたい…………憧れるのなら…………お前は何だってなれる。だから………例え自分にできない…………不可能なことがあっても…………心だけは牢に閉じ込めるな。自分が何にでもなれるという事を…………絶対に忘れるな。…………じゃあ行こうヒミコ。お前の可能性は……………今ここから始まるんだから』

 

 

 

  

 

  

 

  

 

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「………んっ……んっ。…………。今のは………一体……………?」

 

「よかった!意識を取り戻した!!」

 

「大丈夫かヒミコさん!?もう頭は痛くないか!?!?」

 

「大丈夫ですか!?私のベイビーが必要ですか!?」

 

「それはちょっと………やめた方がいいんじゃない?」

 

 あんなに痛かったのにも関わらず、何故か意識を失う前よりすっきりした頭を手で抑えながら、お茶子ちゃんの手を借りながら立ち上がり、作業机に手を付けながら私はどうにか立ち上がった。

 

 少しふらつきながらも、少しずついつもの感覚に体を戻し、私は時計を確認する。

 

「…………どうやら………1分程意識を失っていたようですね。…………心配をかけてすいません。私はもう………大丈夫です」

 

「そう……それならよかった。ヒミコさんがあと数秒起きるのが遅かったらリカバリーガール呼んで………保健室に運ぶつもりだったんだけど………どうやら本当に大丈夫みたいだね」

 

「まさか………あのコスチュームには精神汚染を及ぼす何かがあるのではないですか!?そうだとしたら凄いワクワクするのですがどうですか!?」

 

「ワクワクするのはどうかと思うけど………これは本当に………ただの壊れかけのコスチュームみたいだ」

 

「触ったはすぐ壊れそうってこと以外……本当になんも変なところはないよ」 

 

「じゃあ痛みの原因は………体調不良による……ものなのか?」

 

「けど……気絶する前より………頭がスッキリしてるんです」

 

「じゃあ体調不良じゃないとしたら何で………急にヒミコさんは頭が痛くなったんだ?」

 

 ………全員が頭を動かし、何故かについてかを考えるが当然わからず、工房の時計の音だけが、辺りに響いた。

 

 誰も喋ろうとしない空気に耐えかねたのか、パワーローダー先生が口を開く。

 

「まぁ、とりあえずヒミコさんは大丈夫のようだし、この話は一度置いておこう。そもそも、君達はコス改良でここに来たんだろ?」

 

「あっ、そうだった!飯田君!!少し教えて欲しいことがあるんだけどいい!?」

 

「私も少し試したいことがあるんですけど付き合ってもらえますか!?出来るかどうかわかりませんし!!出来る確証なんてゼロなんですけど試したいんです!!」

 

「あ、ああ。別にそれについては構わないよ。ただ、2人のコスチュームの件は1つも進展していないけどそれはいいのかい?」

 

「あっ、そっか!!忘れてた!!」

 

「明ちゃん!!私少し相談したいことがあるんですけど耳貸してもらっていいですかね!?」

 

「ではでは、しっかり聞くので、どうぞどうぞ。………ふむふむ。…………ふんふんふん。……………。………なるほど!!確かにそれは面白いですね!!!大仕事になりますがやってみましょう!!!」

 

「やったー!!ありがとうございます!!」

 

「そういえば麗日さんは何処か改良するの?」

 

「私は酔いを抑えたくて………」

 

「それならこれなんてどうでしょう!?」

 

「あとこれなんかもどうですかね!?これさえあれば空も飛べますよ!?!?」

 

「ちょっ!!それは勘弁して!!というか発目さんが持ってるそれどう見ても爆弾でしょ!?」

 

「ヒ、ヒミコさん!!爆弾にバックパックの火を近づけるんじゃない!!」

 

「というか2人は何でそんなに意気投合してるの!?そういう変なこところ意気投合しなくていいから!!!」

 

「間違いなく大爆発するからやめろよ2人共!!絶対に火を付けるんじゃないぞ!!!」

 

「そんな事言うなんて失礼ですね。流石に、そんな事するわけないじゃないですか」

 

「間違って手でも滑らない限り大丈夫ですって!!じゃあこれを背中につけて実験を…………ってあ」

 

「火………導火線に着いちゃいましたね」

 

 

「「「「何してるんだよ2人共!?!?!?」」」」

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなありながらも、更に4日後。 

 

  

 

 

  

「進捗どうだい?相澤君」

 

「また来たんですか……ボチボチですよ。ようやくスタイルを定め始めた者もいれば、既に複数の技を習得しようとしている者もいます」

 

「新技『徹甲弾(A・Pショット)』!!」

 

 勝己君は一点に集中させることで爆発を拡散させることなく真っ直ぐ放ち、分厚いコンクリートの壁に穴を開けた。

 

 やはりヴィランにしか見えない笑い方で、勝己君は大きく笑う。

 

「はっはぁ!出来たぁ!!」

 

「爆豪少年は相変わらずセンスが突出している…」

 

「一応現役引退したんですし、危ないですから無防備にそんなそっちに行かないでくださいよ」

 

「ああわかっている。そこはちゃんと考慮────」 

 

「あ、オイ上!!」

 

 オールマイトが笑いながらそう言おうとした最中、爆豪が穴を開けたコンクリートの壁が崩れ、その残骸がオールマイトの頭上へ落ちていった。

 

 相澤は、オールマイトを助けようと捕縛布に手をかけるが間に合わず、瓦礫がオールマイトに当たる瞬間、何とか私と出久君が間に合う。

 

 

 

   

 

「これで………どうだ!!!!」

   

 

 

「魔血開放…………無限変化之型(インフィニティ・チェンジ・スタイル)!!!血闘術…………2式!!!『M9バヨネット』……!!!!」

  

 

 

 

 

 

 腕に爆弾を抱えた分、足技メインで戦う事にした出久君の蹴りと、背中から蝙蝠のような翼を生やし、物凄い速度で飛翔しながら放った私の刀の斬撃によって、瓦礫は塵も残らず粉々となり、オールマイトはそれが正解とばかりに笑った。

 

 

 夜が開けずとも………確かに人は進み続ける。

 

 無意味な歩みと………自由を求める意思で………人はただ………進み続ける。

 

 だが……もし………無意味とも取れる歩みと………全てを照らす自由な心が重なったのならば………全てを照らす大月が出る日は………そう遠く……ないのかもしれない。

 

  

 

 

 

 

 

 

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