鮮血少女と鮮血狼   作:熊田ラナムカ27

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 何故だ………。何故……試験勉強をしなければいけないのに編集作業をしている?
 
 ま、まさか!!これも公安の!!!
 
公「なわけあるか。勉強しろ勉強しろ」
 
 と、というわけで………皆さんなるべく試験前は勉強はしましょう…………。熊のようにならないでね……………。
 
 
 
 


57 試験開始

  

 

 

「大丈夫でしたか!?オールマイト!」

 

「怪我とかそういうのはしてませんか!?ちょっとでも怪我してるのなら今直ぐ手当を………」

 

「いや、心配してくれるのは嬉しいが、君達2人のお陰で私は無傷だ。危なかった所を助けてくれて、どうもありがとね」

 

「い、いえ!勿体ないお言葉!!僕はただ………体が勝手に動いちゃっただけで………」

 

「何緑谷!サラッとすげぇ破壊力出したな!」

 

「オメーパンチャーだと思ってた」

 

「ヒミコちゃんも今の凄かったね!」

 

「一瞬翼生えてたよ!翼!」

 

 電気君と鋭児君、三奈ちゃんや透ちゃんが駆け寄りながら、みんな口々にそんな事を言った。

 

「上鳴君、切島君。破壊力は発明さん考案のこのソールのお陰だよ。飯田君に体の使い方を教わってスタイルを変えたんだ。方向性が決まっただけでまだ付け焼き刃だし、必殺技と呼べるものでもないんだけど…」

 

「いいや!多分付け焼き刃以上の効果があるよ。こと仮免試験ではね。しかし、ヒミコ少女の方も凄かったな!翼生えてたぞ。翼」

 

「誰かの血を飲んで変身した時、何でその人の個性まで使えるんだろうって、少し思ったんです。その人姿になる為に飲んだ血をエネルギーに変換して使っているとしたら、明らかに変身した相手の個性を使うエネルギーが足りないんですよ」

 

「えっと……エネルギーどうこうとかよくわかんねーんだけど………」

 

「小難しいことはわからないけど………つまり………?」

 

「恐らく個性を使うエネルギーは、私のイメージ力で補っているんだと思います。変身する時は必ずその人の姿とか個性を強くイメージした後に変身してますし、実際何も考えずお茶子ちゃんに変身したところ、個性が全く使えませんでした」

 

「つまり、変身する姿は飲んだ血の相手の無意識的なイメージと、その人に対する具体的なイメージに依存してる」

 

「そこで!!自分の血を吸った時に自分の体に翼とかが生えてるイメージをしながら魔血開放をしたところそれが大当たり!!こうやって翼を生やしたり!!耳を変化させて聴力を上げたり出来るようになったっていうわけです!!!」

 

「へぇー………なるほど………。………仕組みが全くわからん」

 

「翼を生やせて凄いっ事しか………言ってる内容がわからなかった」

 

「まぁ要は凄いって事だな。男らしくていいじゃねーか」

 

「男らしいっていうのはわからないけど、その理論だとそれかなりのチート過ぎない?イメージすれば炎とか電気とかも出せるかもってことでしょ?」

 

「それがそうでもなくって………炎や電気など個性に関わるような事はどうイメージしても出せないみたいですし………使用できる時間は1日あたりきっかり合計20分。連続で使った場合は当然として、1時間や2時間使用してから時間を置いても、合計20分が経つと強制的に個性が解除されて………その日1日は個性が一切使えなくなるんです…………」

 

「20分使うと1日個性が使えなくなるって………確かにチートではないね」

 

「まぁ、それでも十分強いけどな」

 

「兎にも角にも、そういう制約があるなら、使い所をよく考えて使わなきゃいけないね。だがそれは確かに、必殺技と呼べるものだ。もっと練習して、もっと使いこなせるようにしていくといきなさい」

 

「はい、わかりました」

 

「話は終わりましたか、オールマイト。危ないんで、あまり近寄らないように」

 

「いや失敬!爆豪少年!すまなかった!」

 

「ケッ、気ぃつけろやオールマイトォ!!」

 

 そう言いながら、勝己君は苛立ちをぶつけるとばかりに大きな爆発を起こし、辺りには爆風と爆音が響いた。

 

「そういや、ニュースタイルばっかに目が行って、コスチュームの方に目が行ってなかったけど、ヒミコのコスチュームかなり変わったな」

 

「前は地味なニットだったけど、今は赤い軍服って感じだし、腰に注射器みたいな武器も付いてるな。頭のゴーグルは相変わらずだけど」

 

「明ちゃんとパワーローダー先生に頑張ってもらって、見た目から性能まで一新してもらったんです!ゴーグルは気に入ってるのでまったく変えてませんが」

 

「ヒミコさんもそうだけど、皆もコスチューム改良したんだね!」

 

「あ!?気付いちゃった!?お気づき!?」

 

「ニュースタイルは何もオメー等だけじゃねえぜ!」

 

「俺等以外もちょこちょこ改良してる。気ぃ抜いてらんねぇぞ」

 

「だがな、この俺のスタイルチェンジは群を抜く!度肝ブチ抜かれっぞ見るか!?いいよ!?すごいよマジで!!」

 

「私はコスチュームあんま変えてないけど!!結構凄い技出来たんだから!!!」

 

「私も結構いい感じの出来たよ!!」

 

「じゃあせっかくだし!!お互いに技を見せあ───」

 

「そこまでだA組!!!」

 

 自分のコスチュームや技についての話で盛り上がっていると突如、ブラド先生の大きな声が私達の会話を遮り、ぞろぞろとB組の人達が入ってきた。

 

 体育館全体に響く声で、ブラド先生は話を続ける。

 

「今日は午後から我々がここを使わせて貰う予定だ!」

 

「B組!」

 

「タイミング悪!」

 

「イレイザー、さっさと退くがいい」

 

「まだ10分弱ある。時間の使い方がなってないな」

 

「そうですよ。今から技を見せ合おうって話になってたんですから、もう少しだけ待ってくださいって」

 

「少し待っても君達の技量の変化なんて微々たるもんなんだから別に構わないだろ!?ねえ知ってる!?仮免試験って半数が落ちるんだって!A組全員落ちてよ!!」

 

「つか物間のコスチュームアレなの?」

 

「『コピーだから変に奇を衒う必要は無いのさ』って言ってた」

 

「てらってねぇつもりか……あれで」 

 

「というか、どう見てもダサくない、あれ?」

 

「もうちょっとデザインなんとかすればいいのに」

 

「くっ………A組の癖に言ってくれるじゃないか…………」

 

「ダメージ受けたみたいになってるけど、本当のことツッコまれただけだからな。何で今ので物間は血反吐吐いてるんだよ」

 

「拳藤それオーバーキルだ。物間息してないからやめてやれって」

 

「しかし…もっともだ。同じ試験である以上、俺達は蠱毒…潰し合う運命にある」

 

「せっかく同じ学校にいるのに…………それって何か嫌じゃありませんか?」

 

「だから、A組とB組は別会場で申し込みしてあるぞ」

 

「ヒーロー資格試験は毎年6月・9月に全国三ヶ所で一律に行われる。同校生徒での潰し合いを避けるため、どの学校でも時期や場所を分けて受験させるのがセオリーになってる」

 

 ブラド先生と相澤先生がそう言うとともに、寧人君はホッと一息ついた。

 

「直接手を下せないのが残念だ!!」

 

「ホッつったな」

 

「病名ある精神状態なんじゃないかな」

 

「何はともあれ!!これで気兼ねなく思いっ切りやれます!!お互いに頑張りましょう!!」

 

「今の聞いてそう言えるヒミコちゃんもヒミコちゃんだよね」

 

「そこがいいとこなんだろうけどね」

 

「『どの学校でも』…………そうだよな。フツーにスルーしてたけど、他校と合格を奪い合うんだ」

 

「しかも僕らは通常の習得過程を前倒ししてる……」

 

「1年の時点で仮免を取るのは全国でも少数派だ。つまり、君達より訓練期間の長い者、未知の個性を持ち洗練してきた者が集うわけだ。試験内容は不明だが、明確な逆境である事は間違いない。意識しすぎるのも良くないが忘れないようにな」

 

「君達も精々雄英名を汚さないように頑張り給え!!どうせ全員落ちるんだ─────グヘェッ!!」 

 

「ゴメンなA組。また今度病院連れてくから勘弁してやってくれ」

 

「あいつ………B組の奴等からも病気持ってるかの疑い持たれてるのかよ…………」

 

「まぁ、あれじゃあ、仕方ないけどね」

 

「けど何か………違和感あるな……………」

 

「A組がいる時は拳藤………ストッパーになってなかった気がすんだけど…………気のせいか?」

 

「いや………私より先に誰かが物間を止める………というか行動不能にしてた気がする」

 

「ここ最近………みんな物忘れがひどい気がするね」

 

「こないだも相澤先生A組の人数間違えてたし、俺も何かところどころ記憶が抜け落ちてるみたいな感じがあるんだよな」

 

「それって、みんなして何か忘れてるってこと?」

 

「さぁ?そこまではわかんねーけど」

 

「…………何かを…………忘れてる…………………」

 

「ヒミコちゃん?黙りこくっちゃってどうしたの?」

 

「あっ…いえ………。何でもありません…………」

 

 みんなが何処か違和感を感じているうちに訓練が終わり、早くも日が落ちて夜になった。

 

 私達は今の経過などを話たりするため………という名目で、寮の談話スペースで女子だけで色々駄弁ったりしていた。

 

「フヘェェェ毎日大変だぁ…!」

 

「慣れないことはするもんじゃありませんね………。体のあちこちが痛いですよ………」

 

「圧縮訓練の名は伊達じゃないね」 

 

「あと一週間もないですわ」

 

「ヤオモモは必殺技どう?」

 

「うーん、やりたい事はあるのですがまだ身体が追いつかないので、少しでも個性を伸ばしておく必要がありますわ」

 

「梅雨ちゃんは?」 

 

「私はより蛙らしい技が完成しつつあるわ。きっと透ちゃんもビックリよ」

 

「お茶子ちゃんはどんな感じ?」

 

「お茶子ちゃん?」

 

「うひゃん!!」

 

 梅雨ちゃんがお茶子ちゃんの肘をを突くと、お茶子ちゃんは盛大に飲み物を吹き出してしまった。

 

「お疲れのようね」

 

「明日も大変ですし、疲れているのなら早く寝たらどうですか?眠いけど眠れないのであれば、肩を揉んであげましょっか?」

 

「いやいやいや大丈夫!!肩を揉まなくて大丈夫やし!!疲れてなんかいられへん!!まだまだこっから!……の筈なんだけど、何だろうねえ。最近無駄に心がざわつくんが多くてねえ」

 

「恋だ」

 

「恋ですね」

 

「ギョ」

 

 変な声を出しながら、お茶子ちゃんは顔を真っ赤にして滝のような汗をかき出した。

 

 三奈ちゃんと私は顔見合わせると共にニヤニヤとした表情となって、逃さないとばかりにお茶子ちゃんに詰め寄っていく。

 

「話なら………私達で良ければ幾らでも聞きますよ」

 

「この際全部ゲロって、楽になりな。多分………みんなには秘密にしとくから」

 

「今多分って言ったよね!?な、何!?故意!?知らん知らん!」

 

「緑谷か飯田!?一緒にいる事多いよねえ!」

 

「こないだ私が出久君と一緒に工房行った時………かなり顔を赤くしてましたから恐らく………出久君の方かと」

 

「ほほう……それは確信的答えですね………麗日さん………」

 

「チャウワチャウワ…………」

 

「逃げた!浮いて逃げた!!」 

 

「浮いて逃げても無駄ですよ!」

  

「緑谷!?やっぱり緑谷なの!?」

 

「ゲロっちまいな?自白した方が罪軽くなるんだよ!」

 

 私達が問い詰めるうちに、お茶子ちゃんは同様のあまり体を宙に浮かせ、ぐるぐると回転してしまった。

 

 顔だけではなく全身を真っ赤にさせながら、お茶子ちゃんは顔に手を当てる。

 

「違うよ本当に!私そういうの本当…わからんし……」

 

「無理に詮索するのは良くないわ」

 

「ええ、それより明日も早いですし、もうお休みしましょう」

 

「ええーー!!やだ!!もっと聞きたいー!!何でもない話でも強引に恋愛に結び付けたいーー!!!」

 

「今日はオールでも尋問でも何でもして!!何としてでも真実を吐いてもらいます!!!」

 

「だから……そんなんじゃ………」

 

「芦戸にヒミコ。流石にヒートアップしすぎ。とりあえず一度落ち着きなって」

 

「えぇー………つまんなーい」

 

「面白そうでしたから聞きたかったのに………」

 

「けど、芦戸ちゃんは前からそういうとこあったから知ってたけど、ヒミコちゃんがそんなグイグイ行くとは以外だね」

 

「私昔から恋バナとか好きですし、別に以外でもないと思いますけど?」

 

「いやいや。私としても結構以外よ以外」

 

「たまに爆発することはあっても、入学してからずっと結構自分抑えてるみたいなところあったのに、最近なんか自由というか活き活きしてるよね」

 

「何かあったの?もしかしてヒミコちゃんも恋!?」

 

「芦戸は何でもかんでも恋愛に結び付けないの」

 

 響香ちゃんが凄い熱量の三奈ちゃんを止めながら、少し興味があるといった感じでそう言った。

  

 他のみんなも、私に興味津々とばかりに目を向ける。

 

「別に大した事じゃありませんし………私もよくわからないことなんですけどね。ただ………昔誰かに心は自由の方がいいって言われたことを思い出して…………」

 

「誰かって、結構大事そうな話っぽいけど全く覚えてないの?その人の事?」

 

「こないだ工房で起きたフラッシュバックの中で………一瞬その人の白髪とかが見える後ろ姿が見えただけで………不自然なくらい何も覚えてないんです………。名前もそのフラッシュバックの中で聞いた気がするんですけど……いつの間にかそ忘れてしまって…………」

 

「それって……何かおかしくない?」

 

「普通………じゃそんなこと起きないよね」 

 

「けど…………上手くは言えないけど………最近そういう事私もあるかもしんない」

 

「三奈ちゃんも………ですか?」

 

「………実は私も………どっか抜け落ちたみたいに思い出せない思い出があるんだ。ここ最近の………しかも忘れちゃいけない事だった気がするんだけど…………」

 

「耳郎ちゃんも…………?」

 

「………忘れたことがある人は………全員軽くでいいので手を上げてくれませんか?私も……人のことは言えないのですが………」

 

 百ちゃんがそう恐る恐る言い、ゆっくりと手を上げた。

  

 それを見て少し素振りを見せると、この場にいる全員が、ゆっくりと手を上げていく。

 

「全員………何かを…………忘れている…………?」

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

  

 

 

 

 

 

  

 

  

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「降りろ、到着だ。試験会場国立多古場競技場」

 

「緊張してきたぁ」

 

「多古場でやるんだ」

 

「試験て何やるんだろ。はー仮免取れっかなぁ」

 

「峰田、取れるかじゃない。取ってこい」

 

「おっもっ、モロチンだぜ!!」

 

「ヒミコどうした?もう会場に着いたぞ。お前もさっさと降りろ」

 

「…………あっ、はい………すいません…………考え事してました」 

 

 そう言いながら私はリュックを背負い、少し急ぎ足でバスを駆け下りた。

 

 あれから早くも数日経ち、今日は緊張と期待のが混じり合った仮免試験当日。

 

 ヒーローになるには不可欠な、仮免が取れるか否かが決まるの日だ。

 

 今日この日の為にあれから訓練は怠けず続けてきたし………絶対に受かるという意気込みも………それをすることが出来るだろうという自信もある…………のだが…………

 

「ヒミコちゃん。またぼーっとしてたよ。試験本当に大丈夫?」

 

「あっ、はい!大丈夫です!自信満々です!」

 

「ここ最近ヒミコ、暇さえあればぼーっとしてるな」

 

「訓練の時は全く気抜いてないし、授業もちゃんとやってたんだけどな」

 

「やっぱ、実力者であるヒミコでも緊張とかしてんじゃねーの?」

 

「あれ?けど、こういう時に真っ先に声掛けてた奴いたような………」

 

「そんな奴いったっけ?」

 

「また全員物忘れかよ。ここ最近ほんと多いな」

 

 …………結局、記憶の違和感のことは………あの場にいた6人以外の誰にも話すことができなかった。

 

 話すべき事だというのはわかってるし…………話せば気が楽になる事もわかってる。

 

 けど………それ以上に自分がその何かを忘れてるということを自覚するのが怖くて…………話して………本当にいいのかわからなくて……………何も出来なかったのだ。

 

「……………やっぱり、あの事気にしてる?気にしちゃうのも仕方ないと思うけど………」

 

 そんな中、三奈ちゃんは私に小声でそう言い、私は表情を取り作ろうとするが上手く取り作ろえなかった。

 

 素の表情の暗い顔で、私は言葉を返す。

 

「…………はい。集中しなきゃいけない事はわかってるんですけど…………どうしても気になっちゃって…………」

 

「…………そうだよね。誰かを忘れてる何て………忘れた側も忘れられた側も嫌だもんね…………。そりゃ当然か…………」

 

「私がみんなに言えばその忘れた何かを………みんなは思い出してくれるかもしれません。けど………忘れた事自体を忘れたと………自覚するのが怖くて……………」

 

「…………私も怖くて誰にも言えてないから人のこと言えてないんだけどさ。……………ヒミコちゃん色々背負い過ぎじゃない?」

 

「…………と、いいますと?」

 

「何ていうか………窮屈そう。自分がやれたいことがやれなくって…………自分だけのせいって思い込んで抱え………やっぱり窮屈そう」

 

「それは………そうなんですけど……………」

 

「上手く言えないけど………心を自由にしたいっていうのならさ。私にだって背負わせてよ。まぁ………絶対全部は無理だし………誰かに手伝ってもらわなきゃ背負うっていうほどの事できないかもしれないけどさ…………。私達………友達でしょ?」

 

 そう言いながら三奈ちゃんは笑い、それを見た私の心もまた、自然に少し軽くなった。

 

 …………ほんと。やっぱり三奈ちゃんはずるいです…………。

 

 いつもはそんなの気づいてないって感じなのに…………人が一番苦しいときには気づいて笑顔を見せてくるだなんて…………どう考えてもズルすぎます。

 

 本当に明るくて無邪気で………………本当に……………優しい人。

 

「…………はい。そうですね。助言ありがとございます。お陰で元気出てきました!」

 

「おっ!その調子!!その調子!!その調子で仮免試験も楽勝で突破してやれ!!」

 

「おい、そこ。何を騒がしくしてる?楽勝で突破する前に、騒ぐならそのままバスで送り返すぞ?それでもいいのか?」

 

「「あっ……それは勘弁です。失礼しました…………」」

 

「この試験に合格し仮免許を取得できれば、お前ら志望者は晴れてヒヨっ子…セミプロへと孵化できる。だから……まぁ何だ。…………頑張ってこい」

 

 

「「「「………っはい!頑張ります!!」」」」

 

 

「っしゃあ、なってやろうぜヒヨっ子によぉ!!」

 

「いつもの1発決めていこーぜ!」

 

 

「せーのっPlus…「「Ultra!!」」

 

 

「………って、誰ですか?あなた?どちら様ですかね?」

 

「知らないで合わせたのヒミコちゃん!?」

 

「いやー……何というか………勢いで……つい…………」

 

「一度言ってみたかったっスよ!!プルスウルトラ!!勝手に混ざっちゃってスイマセン!!!」

 

「勝手に他所様の円陣へ加わるのは良くないよイナサ」

 

「ああしまった!!改めてどうも大変失礼致しましたァ!!!」

 

 突如、気合を入れ直した私とみんなの所に制帽を被った坊主頭の人が割り込んだと思ったら、深々と頭を下げ、同じ制帽を被った前髪で左目が隠れた人が坊主頭の人を注意した。

 

 そしてその後ろから続々と同じ服を来るとともに、みんなが声を上げる。

 

「なんだこのテンションだけで乗り切る感じの人達は!?」

 

「切島と飯田を足して二乗したような…!」

 

「待って…あの制服…!」

 

「あ!マジでか」

 

「あれじゃん!!西の!!!有名な!!」

 

「………えーっと、有名なんですか………そんなに…………」

 

「えっ!?知らないのヒミコさん!?」

 

「自分が興味ないことは……………とことん知らない質でして…………」

 

「そういえば、雄英体育祭の事も、誰かに説明されるまで忘れてたな」

 

「馴れ合うつもりはないが………何とも非常識な…………」

 

「東の雄英、西の士傑。数あるヒーロー科の中でも雄英に匹敵する程の難関校ーーー…士傑高校。ついでに言えば、誰だって知ってる常識だぞオイ」

 

「本当にすいません………。後でスマホで調べて勉強しておきます………」

 

「自分雄英高校大好きっス!!!雄英の皆さんと競えるなんて光栄の極みっス、よろしくお願いします!!」

 

「あ、血」

 

「関わるだけ疲れる。行くぞ」

 

「血……出てますよ血………。お詫びじゃないですけど止血を…………」

 

「血スか!?平気っス!好きっス血!」

  

 そう言いながら坊主頭の人は私の止血を断り、士傑高校の人達は行ってしまった。

 

「何か圧凄い奴だったな。1度見たら忘れなさそうだ」

 

「『夜嵐イナサ』」

 

「先生知ってる人ですか?」

 

「まぁ、特徴的でしたもんね」

 

「すごい前のめりだな。よく聞きゃ言ってる事は普通に気の良い感じだ」

 

「ありゃぁ…強いぞ。夜嵐、昨年度…つまりお前らの年の推薦入試、トップの成績で合格したのにも拘わらず何故か入学を辞退した男だ」

 

「え!?じゃあ…1年!?っていうか推薦トップの成績って…」

   

「焦凍君以上………って事ですね…………」

 

「まぁ、そういう事になるな」

 

 相澤先生がそう言うとともに、私と焦凍君以外は全員ざわついた。

 

 焦凍君はというとずっと黙っているが、私の方は軽く首を傾げる。

 

「あれ……?今……あの中に知ってる人の気配がしたんですけど…………気の所為ですかね?」

 

「何だよ。知り合いいたのか?」

 

「いえ……。多分いなかったと思うんですけど…………」

 

「雄英大好きとか言ってた割に入学は蹴るってよくわかんねぇな」

 

「ねー…変なの」

 

「変だが本物だ。マークしとけ」

 

「イレイザー!?イレイザーじゃないか!!」

 

 今度はというと、後ろから頭にバンダナを巻いた女性が手を振りながら歩いて来ており、相澤は明らかに嫌そうな顔をした。

 

「相澤先生。あの人知り合いですか?」  

 

「いや知らん。赤の他人だ」

 

「そう言うなってイレイザー。結婚しようぜ」

 

「わあ!!」

 

「そういう関係でしたか。失礼しました。相澤先生の………彼女さん?お嫁さん?」

 

「だから赤の他人だっつってんだろ。あとしねぇから。しねぇからなオイ」

 

「しないのかよ!!ウケる!まだ結婚してないからイレイザーの彼女でいいぞ!!」

 

「相変わらず絡みずらいな、ジョーク」

 

「スマイルヒーロー『Ms.ジョーク』!個性は『爆笑』!近くの人を強制的に笑わせて思考・行動共に鈍らせるんだ!彼女のヴィラン退治は狂気に満ちてるよ!」

  

「私と結婚したら笑いの絶えない幸せな家庭が築けるんだぞ」

 

「笑顔の溢れる家庭はいいですよ!」

 

「責任取ったらどうですか!?」

 

「よく言ったイレイザーの生徒!責任取れ責任!!」

  

「そもそも付き合ってないし、手も出してない。それとその家庭幸せじゃないだろ。あとお前等今後何か余計なこと喋るならマジで帰らせるからな」

 

「仲が良いんですね」

 

「昔事務所が近くでな!助け助けられを繰り返すうちに相思相愛の仲へと「「なっていったと」」そういうこと」

 

「なってない。黙ってろ」

 

 合いの手を入れた私と三奈ちゃんを相澤先生はを強く叩き、私達は痛みのあまり頭を抑えた。

 

「何だお前のとこもか」

 

「いじりがいがあるんだよなイレイザーは、そうそう、おいで皆!雄英だよ!」

 

「おお!本物じゃないか!!」

 

「凄いよ凄いよ!テレビで見た人ばっかり!」

 

「1年で仮免?へぇー随分ハイペースなんだね。まぁ色々あったからねぇ、流石にやる事が違うよ。」

 

 そう言いながら4人ほどの同じ制服の人達が現れ、私達に挨拶をした。 

 

「傑物学園高校2年2組!私の受け持ち。よろしくな」

 

「俺は真堂!今年の雄英はトラブル続きで大変だったね」

 

「えっあ」

 

「しかし君達はこうしてヒーローを志し続けているんだね。素晴らしいよ!!不屈の心こそこれからのヒーローが持つべき素養だと思う!!」

 

「ドストレードに爽やかイケメンだ…」 

 

「中でも国際仮免資格を入学当初から持ち……圧倒的実力で迫るヴィランを撃退したという彼には一度会って見たかったんだけど………まだ入院中とはね。…………とても残念だよ」

 

「ケッ、余計なこと言いやがって。フカしてんじゃねぇよ。台詞と顔が合ってねぇんだよ」

 

「こらオメー失礼だろ!すみません無礼で………」 

 

「お詫びの代わりに牛乳どうぞ。もともと、カルシウムが足りない勝己君用なんですけど」 

 

「てめぇ何さらっと俺用の牛乳出してんだ!?つーかUSJんときのネタどっから取り出した!?賞味期限切れてんだろそのネタ!!」 

 

「確かに懐かしーなーそのネタ」

 

「ナイスボケツッコミ!ウケる!!」 

 

「懐かしむな!!ウケんな!!」 

 

「ハハハハッ!!まさかコメディで返されるとはね!!本当に面白い人達だよ!!自然に人の笑顔を作れるのもいいヒーロー志望の証拠さ!!」 

 

「ねぇ轟君サインちょうだい。体育祭カッコ良かったんだあ」

 

「やめなよミーハーだなぁ」 

 

「オイラのサインもあげますよ」

 

「おい、コスチュームに着替えてから説明会だぞ。時間を無駄にするな」

 

 

「「「はい!!」」」

 

 

「何か…外部と接すると改めて思うけど」

 

「やっぱ結構な有名人なんだな、雄英生って」

 

「有名人ですから、その分警戒してると思いますけどね。………特に真堂って人」

 

「………!!」

 

「顔………かなり出てましたよ。私そういうの読み取るの得意なんです。探り入れられようと何だろうと………それすら破って上行くので安心して全力で掛かってきて下さい。私も含め………みんなかなり強いですから」 

 

「………ふっ、なるほど。そう簡単には行かないか。なら徹底的に叩き潰すよ」

 

「では!!お互い頑張りましょう!!!」

 

「ああ!!お互いにね!!!」  

 

 もう試験は始まっているんだという事を改めて感じ取りながらも、私達は会場に入っていった。

  

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

  

 

 

 

  

 

 

 

 

  

 

 

 

   

 

 

  

 

 

 

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 そして、みんながコスチュームに着替えて会場に入ると、そこは溢れ出しかねないほどの人数の受験者達が集まっていた。

 

「多いな…!」

 

「多いね…!」

 

「えー…ではアレ、仮免のやつを、やります。あー…僕は、ヒーロー公安委員会の目良です、好きな睡眠はノンレム睡眠。宜しく。仕事が忙しくてろくに寝れない…!人手が足りてない…!眠たい!そんな信条の下、ご説明させていただきます」

  

 

(((疲れ一切隠さねーなこの人))) 

 

 

 私を含めここの殆どの人がそう思ってしまっている中、目良さんは話を続ける。 

 

「ずばりこの場にいる受験者1540人一斉に、勝ち抜けの演習を行ってもらいます」

 

「ざっくりだな」

 

「マジか」

 

「現代はヒーロー飽和社会と言われ、ステイン逮捕以降ヒーローの在り方に疑問を呈する向きも少なくありません。まぁ…一個人としては…動機はどうであれ命懸けで人助けしている人間に“何も求めるな”は…現代社会に於いて無慈悲な話だと思うわけですが…とにかく…対価にしろ義勇にしろ多くのヒーローが救助・敵ヴィラン退治に切磋琢磨してきた結果、事件発生から解決に至るまでの時間は今ヒくくらい迅速になってます。君達は仮免許を取得し、いよいよその激流の中に身を投じる。そのスピードについて行けない者、ハッキリ言って厳しい。よって試されるはスピード!条件達成者先着100名を通過とします」 

   

 あまりに合格者が少ないことに多くの人が驚き、会場はざわつく。

  

「待て待て1540人だぞ!?5割どころじゃねぇぞ!!?」

 

「まぁオールマイトの引退など社会で色々とあったんで…運がアレだったと思ってアレしてください」

 

「マジかよ……!」

 

「で、その条件というのがコレです」

  

 そう言いながら、目良さんは懐からボールとポインターらしきものを取り出して、私達に見せる。

  

「受験者はこのターゲットを3つ、身体の好きな場所ただし常に晒されている場所に取り付けて下さい。脇や足裏などはダメです。そしてこのボールを6つ携帯します。ターゲットはこのボールが当たった場所のみ発光する仕組みで、3つ発光した時点で脱落とします。3つ目のターゲットにボールを当てた人が“倒した”事にします。そして二人倒した者から勝ち抜きです。ルールは以上。えー....じゃあ展開後(・・・)ターゲットとボール配るんで、全員に行き渡ってから1分後にスタートとします」

 

「展開?」

 

「それってどういう………って、えっ!?」

 

 驚いている暇もないとばかりに、部屋の壁が開いていき、最終的に言葉の通り展開していった。

 

 周囲には市街地や山岳、森や水場など、様々な地形が広がっている。  

 

「各々苦手な地形好きな地形があると思います。自分を活かして頑張ってください。一応地形公開をアレするっていう配慮です…まぁ無駄です。こんなもののせいで睡眠が…」

 

 

(((無駄にしては大掛かりだな………おいっ…………)))

 

 

 ほぼ全員がそう思っている間にもボールとポインターが配られ、私もまたそれを受け取った。

 

 背中に1つ、左腕に1つ、右足に1つセットし、無事準備が完了する。

 

「では皆さん!!先に言ったと思いますが間違いなく個性や戦闘スタイルがバレしてる私達は絶好のネギを背負ったカモです!!しっかり注意してやっていきましょう!!!」

 

「ちょっ、ヒミコさん!?何でそんなに大声でそんな情報言ってるの!?!?」

 

「いやだって周知の事実ですし、どうせ言わなくてもやるでしょうからとりあえず告知しといた方がいいと思って」

 

「まぁ、それはそうなんだけどさ………。…………とにかく、先着で合格なら… 同校で潰し合いはない…むしろ手の内を知った中でチームアップが勝ち筋…!皆!あまり離れず一かたまりで動─────」

 

「フザけろ遠足じゃねぇんだよ」

 

「バッカ待て待て!!」

 

「悪いな2人共。作戦には賛同してーが、俺も、大所帯じゃ却って力が発揮できねぇ」

 

「勝っちゃん!!轟君!!」

 

「あら………完全に単独行動を取るつもりですね。まぁ、あのメンバーなら大丈夫だと思いますが」

 

「緑谷時間ねえよ行こう!!」

 

  

 

『4』

  

 

 

「………ねぇ、本当に何もしないでよかったの?手の内バレてるのに何もしなくて」

 

「事前の打ち合わせで言ったと思いますが、今更どうにも出来ません。基本人は目の前の餌に釣られちゃう生き物ですからね」

 

「言い方ってもん考えろって。余計向かってくんぞ」

 

 

  

『3』

 

 

 

「でも、それもまた全然OKです。こういった試験で一番あり得る落ち方は、分散させられてからの各個撃破。下手に分散させられるよりは1000倍マシです」

 

「結局相手すんのは大変だけどな」

 

 

 

『2』

 

 

 

「けど、その分人も集まるし、こっちも連携を取って攻撃も出来る」

 

「ついさっきの会話で余計人も集まったってことは、受験者を探す手間が省けたということです。つまり…………」

  

 

『1』 

 

  

 

 

 

『START!!!』

 

  

 

 

 

 

 

 スタートの合図とともにに、他校の生徒達が一斉にボールを投げてきた。

 

「自らをも破壊する超パワーに!!個性の弱さすらひっくり返す戦略家!!まぁ… 杭が出てれば──────」

 

「それはこっちのセリフです。ここまでたくさんいれば、誰かが取り逃すということはほぼあり得ません。それと私達は出る杭でもネギを背負ったカモでもありません。あなた達ネギを背負ったカモを狩る漁師です………!!血闘術4式…………!!『MGLダネル』……………!!!」

  

 吹き荒れるボールの嵐をくぐり抜けながら、つい先程会った真藤君に接近し、4式でボール投擲してポインターを一つ点灯させた。

 

 事前の打ち合わせ通り、出久君や踏影君、天哉君などの機動力があるメンバーもまたボールの嵐をくぐり抜けるか、防ぎながら接近してボールを当ててくれたようで、更に8人ほどのポインターが点滅する。

 

「は、早すぎる!!テレビで見た時はこんなに早くなかったぞ!!」

 

「よくもうちの真堂を────」

 

「ば、馬鹿!!よせ!!それが真血 被身子の狙いだ!!!」

 

「し、しまった!!今近づいてきた奴等に必死になって!!こっちにも玉が!!!」

 

「追え!!今俺を当てた奴を追え!!!」

 

「無茶言うな!!防ぐので手一杯だ!!!」

 

 狩れる側が狩られたという事実に焦り、接近してボールをヒットさせた私達にボールを当てようとするが、そんな焦った玉になど誰にも当たらない。

 

 それどころか、互いに投げたボールを防ぐのに集中しなきゃいけなくなったことで、対雄英同盟共と言えるそれは完全に統率を失った。

 

「これでまず最初の作戦は達成!!相手が狩ろうとした狩って!!更に同士討ちで場を無事混乱させることが出来ました!!これで後は統率を失った烏合の衆を叩くだけです」

  

「久々にヒミコの作戦やったけど………相変わらずえげつないな…………」

 

「口頭でわざと人を集めてより混乱を広げるって………ヒーローのやることじゃないしな…………」

 

「今回ばかりは相手に同情しちゃうよ」 

 

「褒め言葉として受け取っておきます」

 

「さぁみんな!!」

 

「締まって行きましょう!!!」

 

  

 

 

  

 

 

 




 
 
 ヒミコちゃん真コスチューム解説
 
武器
 
・逆刃刀 ✕1
 
・ワイヤー付きナイフ ✕10
 
・NEW! 注射器型武器(原作で使っていたものをコンパクトにしたイメージ。腰の専用ホルダーに装着)
 
コスチューム
 
 イメージは真っ赤に染まった軍服。【HELLSING】の【セラス・ヴィクトリア】が着てたもののまんまイメージ。前のコスチュームから使っている防御及び、暗視を目的としたゴーグルは前と同じく使っており、頭に装着している。(イメージは【幼女戦記】の【ターニャ・デグレチャフ】のもの)
 
 コスチュームの見た目や武器などで、パワーローダーからは『ヒーローっぽくはなく、寧ろヴィランっぽい』と言われたものの、本人曰く『ヴィランのような側面がある自分も、自由に生きようとする自分も、全部否定せず肯定するための決意表明』という意味合いがあるらしく、わざとヴィランのような見た目に仕立て上げたという経緯があり、そのような見た目になった。
 
 また、鉄田から受け取った小瓶は常に大切に持ち歩いているらしく、当然コスチュームの胸ポケットには小瓶が入っている。
 
 

 
 
 
 
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