鮮血少女と鮮血狼   作:熊田ラナムカ27

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 前回の分の反動なのか、無駄に文字数が多くなりました。あと、峰田がすんごいひどい目にあいますのでご注意を。(後悔は一切していない)
 
 


6 親父、とりあえずパイルドライバーを

 

 

「えーっと、そのなんていうかその……すみませんでした……。ご迷惑をごかけして………」

 

「あっ、いえ、こちらこそ声を上げてごめん。ちょっとびっくりしちゃって」

 

「いやむしろあの状況下でよく手を上げなかったよ。こっちが手を上げられたとしても何も言えない状況だったからな。……迷惑かけたこと重ね重ね申し訳ない」

 

「いえいえ!!そんな謝らなくていいですから!!あと、よだれ垂れそうですよ」

 

「あっ、これはすまん」

 

 【緑谷出久】に頭を下げた俺とヒミコは苦々しい顔で顔を上げる。

 

 目の前が暗くなったのをすんでのところを無理矢理俺は意識を取り戻し、こいつの頭に強めのチョップを入れたことで無事ヒミコは正気を取り戻した。

 

 血を吸うという行為は防がれたものの、待っていたのは謝罪祭りだった。

 

 騒ぎを起こしたA組の皆はもちろんのこと、隣のB組の全員、その担任のブラドキング先生(俺の顔を見て何故か顔を青くしていた)、生活指導のハウンドドッグさんなどに頭を下げるはめとなった。

 

 特に知り合いのハウンドドッグさんに憐れみの視線を向けられたのは胃にかなりのダメージが入った。もはやダメージ受けすぎてもうないんじゃないの?俺の胃。

 

「個性の副作用で血が飲みたくなると言ってはいたが、まさかここまで副作用がひどいとはな。正直、大したことないレベルだと思っていた」

 

 腕をピシピシさせながらメガネ……【飯田天哉】は苦笑いの表情でそういった。よだれを抑え、俺は口を開く。

 

「一応3年前よりはましになってるし、だいぶ我慢はできるようになっているんだがな。ここまで強く出たのは始めてだ。……まぁ実際、出久からずっといい匂いはしているが」

 

「いい匂い!?僕香水とかはやってないんだけど!?」

 

「あ、いや、血の匂いだからそこらへん関係ないぞ。なんというかお前の匂い……最高級黒毛和牛のステーキみたいな匂いなんだよな……。……俺も少し舐めたい」

 

「狼!お前まで暴走するのはヤバいからな!!ちゃんと抑えろよ!!」

 

 鋭次は少し身構え、俺の方の肩を強く揺さぶった。

 

 ただ舐めたいと思うだけで、自ら率先して舐めるなんて暴挙やるわけないだろ。

 

 こいつは昔個性を抑える環境下にあったからこそ今欲求が爆発しているだけで、俺は幼き頃徐々に爆発させ、欲求を抑えれるようになった。

 

 だからこいつも無事、欲求の爆発時期をすぎれば俺と何ら変わらない状態になることができる。だから……

 

「そんなむやみに暴走はしねーよ。俺もこいつもな。まぁこいつは少し欲求の抑え方が下手で、俺が手を焼くほど暴走する。だが、それ以外は至ってまともだ。だからその、なんだ……これから仲良くしてやってくんないか?」

 

 最後の方は恥ずかしくなって、声がか細くなりながらも俺はそう言った。

 

 半場祈るような気持ちで俺は顔を上げ、皆に向き直す。

 

「なんだ、欲求の抑え方が下手だけで、それ以外はまともなのか。それなら大丈夫だな」

 

「私はとっくにヒミコちゃんの友達だから問題ないよ!!」

 

「個性の弊害は誰にだってある!これから気をつけてくれれば構わないぞ!」

 

「ぼ、僕も驚いただけでそんな気にしてないから大丈夫!これから仲良くやっていこう!!」

 

 驚いたことに、クラスの誰もヒミコを攻めようとせず、喋らないやつも皆頷いていた。(イガグリヘアーはケッと外見ており、興味なさげだったが)

 

 何ここ?本当にいいやつしかいないの?(一名怪しいが)とんだ騒動をやらかしたにも関わらず、それを笑顔で許すってどんな聖人だよ?ほんと、いいやつしかいない場所(一名怪しいが)にこいつを来させることができて本当に良かったわ……本当に……。

 

「……青春はもう終わったか?もうそろそろ授業を進めたいんだが……」

 

 心の中で大泣きしていると、教壇近くの袋が開き、本物の変質者が現れた。

 

「「「(なんか!!いるぅぅ!!!)」」」

 

 寝袋に入りながらゼリーを一息で食べる変質者は立ち上がり、袋から出ようとする。俺は思わず携帯を抜き、110番へとダイアルする寸前、俺はその正体に気がついた。

 

「………何やってるんですか相澤さん?そんな変質者感丸出しの格好して」

 

「変態プレイからの謎の青春団劇してるお前には言われたくない。その携帯をとりあえずしまえ」

 

 その変質者はハウンドドッグさん同様、ここで教師をしている【相澤 消太】さんその人だった。明らかな変質者面で相澤さんは教壇に立つ。

 

「ハイ静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君達は合理性に欠くね」

 

「「「(先生!?)」」」

 

「担任の相澤 消太だ。よろしくね」

 

「「「(担任!?)」」」

 

 まぁ初見は驚くよなと思いながら、俺は相澤さんの方を向き、次の言葉を待つ。

 

「早速だが体操服着てグラウンドに出ろ」

 

 予想していた合理的なメッセージを残し、相澤さんは去っていった。きっとグラウンドに移動したのだろう。

 

「なぁ狼、あの先生?と仲よさげだったけど知り合いなのか?明らかに変質者だったが」

 

「あの人は完全見た目変質者だが、一応プロヒーローだからな。昔色々世話になった」

 

「プロヒーローっていうと誰?有名な人?」

 

「最後に会ったのは4年前だし、あの人メディア露出ほとんどしないから覚えてない。確かイレなんとかだったと思うんだが……」

 

「それもしかして抹消ヒーロー【イレイザーヘッド】じゃない!?視ただけで人の個性を抹消する!!」

 

「ああそうだそれだ。アングラ系のヒーローだっけ?」

 

「アングラヒーローであるものの高い戦闘力を持ち、一時期は一人警察と協力して多くのヴィランを捕まえたとしてヒーロー界隈では有名なんだ。それと彼の戦闘技術は──」

 

「うわー、すんごい量の文字量。画面が埋まる勢いの話し方だぞ」

 

「あっ、ごめん!つい夢中になっちゃって……」

 

「それはいいけど、俺とヒミコ以外全員外に行っちまったぞ。俺等も急がないとまずくねーか?」

 

「ほんとだ!!急がないと!!」

 

 出久は今気づいたかのように走り、更衣室へと向かっていった。俺も体育着を持って更衣室へと走る。

 

「……ついさっきはありがとうございます狼。……おかげで助かりました」

 

「そんくらい保護者兼義兄として当然だろ?お礼なんか言わなくていいって」

 

「……その、なんといいますかその……かっこよかったです……」

 

「んっ?なんか言ったか?」

 

「なんでもないです!!」

 

 そう言うとヒミコはスピードを上げ、俺の目の範囲外にあっという間に行ってしまった。俺も授業に遅れないため、スピードをヒミコに負けないぐらいの速度に上げた。

 

 

 

 

 

 

                                        ◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「個性把握…テストォ!?」」」

 

 

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ。雄英は"自由"な校風が売り文句。そしてそれは"先生側"もまた然り」

 

「「「……?」」」

 

「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50メートル走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈、中学の頃からやってるだろ?"個性禁止"の体力テスト」

 

 そこで一区切りつけ、先生はまた話し始める。

 

「国は未だ画一的な記録を取って平均を作り続けている。合理的じゃない。まぁ文部科学省の怠慢だよ」

 

 そして周りを見渡し、なんとも言えない顔をしながら俺を見てボールを手渡す。

 

「今年の主席はお前だったな狼」

 

「あっ、はい。一応そうですね」

 

「お前入試一位だったのか!?てっきり妹を追い求めて入っただけかと……」

 

「鋭児、俺の誤解を招くような発言をするな。俺はシスコンじゃない。あくまで保護者兼義兄だ」

 

「そこはまぁなんだっていい。中学の時何mだった?」

 

「49m」

 

「じゃあ個性を使ってやってみろ。円からでなきゃ何してもいい。早よ」

 

 個性を使っていいのか。じゃあやれるだけはやりますか。

 

「……モード獣人」

 

 そう言うとともに俺の体は獣人の体となり、体操着が破れた。よく考えたらそりゃあ破れるよな体操着。

 

「すげー!なんだあれ!?」

 

「体がでっかくなって毛が生えた!変形型か!?」

 

「かっこいい~!!」

 

「エロ本に出てきそうだなあの見た目」

 

 おいちょっと待てそこの紫頭。それは言ったらいけないご約束でしょうが何考えてんの?お前球の代わりに投げて宇宙の塵にすんぞこの野郎。

 

「睨んでないで早く投げろ。時間がもったいない」

 

 紫頭を睨みながら俺はボールを持ち腕を引く。そして

 

 

 

「宇宙の塵になれぇぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 

 

「「「(どこの戦闘民族の皇子!?!?)」」」

 

 苛つきを全て叫びだし、ボールを引き放った。

 

 ボールは轟音とともに飛んでいき、跡形も見えなくなる。

 

「まず自分の『最大限』を知る。それがヒーローの素地を形成する合理的手段」

 

 相澤がこちらにモニターを見せる。そこに表示された距離は……

 

 901.54m

 

 まぁまぁの記録だな。母さんがいないのであれば上出来だろう。

 

「なんだこれ!?すげー面白そう(・・・・)!!」

 

「900m越えってマジかよ!?」

 

「個性思いっきり使えるんだ!流石ヒーロー科!!」

 

みな口々に感想を吐き出していく。目の前の結果に興奮するもの、個性を使えることにテンションが上がるもの、反応はさまざまである。だからこそ相澤の纏う雰囲気が変化したことに気づかなかった。いや、気づけなかった。

 

「……面白そう…か

 

 

ヒーローになるための三年間、そんな腹積もりで過ごす気でいるのかい?

 

 この瞬間に生徒たちは雰囲気が違うことに気づいた。だが気づいたところでもう遅い。相澤は次にとんでもないことを口にした。

 

「よし、トータル成績最下位の者は見込みなしと判断し……

 

 

 

除籍処分としよう

 

 

 

「「「はあああ!?」」」

 

「……相変わらずスパルタだなこりゃ」

 

 この人のやり方を知っている俺は半場呆れながら他の奴らを視る。

 

 白髪赤髪の奴とポニーテール、出久に絡んでたイガグリヘアーはなんの動揺してない辺り理解しているのか?それとも自信があるのか?……ヒミコは間違いなく何も考えてないようだが。

 

 そんな状況を冷静に分析していると相澤さんが話を続ける。

 

 

「生徒の如何は先生(おれたち)“自由”。ようこそこれが……

 

 

 

雄英高校ヒーロー科だ

 

 

 凄みを持って、相澤さんはそう言い笑った。

 

「じゃあここからは本番だ。皆各自頑張るように」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!入学初日にこれなんて理不尽すぎる!!」

 

「そうだ!あまりに身勝手だ!!」

 

 生徒の中からそんな不満の声が上がり、それが全て相澤さんに向けられる。相澤さんは慣れたように切り返す。

 

「そういうピンチを覆していくのがヒーロー、ここはそれを教える最難関の場所だ。ここでのモットーはPLUS ULTRAV(更に向こうへ)。できるできないは関係なく超えていくもんなんだよ。そんなピンチを全力で乗り越えて登ってきな卵共」

 

 相澤さんそう言うと日陰に下がり記録用紙を構えた。こうなった以上、相澤さんは誰の話も聞かない。

 

「じゃあ誰も行かないのであれば私行きますね!早く血を飲みたいですし!」

 

 そんな空気の中、ヒミコは意気揚々張り切った様子でこちらに来た。それもいつにもまして目を輝かせている。

 

「……今回は特別だからな。他のやつもあるし、多めに吸っておけよ」

 

「はーい!了解です!!」

 

 そう返事するとヒミコは俺の腕を噛みいつもより多く血を吸った。光とともに姿が変わり、俺の形をとる。

 

「血を吸って変身した!?こいつただもんじゃねーぞ!!」

 

「血を美少女に吸われるなんて羨ましいな……。……俺も後で頼んでみるか」

 

 よし決めた。あの紫はグチャグチャにして焼却炉に投げ込もう。そうじゃないと気が収まらん。

 

「それじゃあいきますよっ!!

 

 俺と同様獣人の姿となり、ヒミコはボールを掛け声とともに投げた。記録は870mとなかなかな成績だ。

 

「す、凄え!!狼の個性をコピーした!!」

 

「凄いヒミコちゃん!そんなことできるんだ!!」

 

 さっきの騒ぎを見たあとだったためか、ヒミコの個性と記録は大きく驚かれ、ザワザワとした雰囲気を作り出す。

 

「ちなみに今投げた真血 被身子、あいつは実技のみであれば98と実質的入試2位だ。あいつもああ見えて実力者だぞ」

 

「98で2位!?じゃあ一位は……」

 

「真血 狼の得点は108、雄英でもまれに見る100点超えのトップだ。あいつに敵うかどうか知らんがどうする?ここでやめるのか?」

 

 相澤さんの言葉で静まり返り、誰も話さなくなる。そんな中、あのイガグリヘアーが前に出てメンチをこちらに切る。

 

「上等だ。何が入試1位だ?何が入試2位だ?こいつらの点数が何であろうと俺はコイツラより強い。強いはずだ!!そこの白髪に金髪!!さっさとボールを寄越せ!!ぶち飛ばすぞ!!!」

 

 やはり見た目通りの性格だった彼は俺の目の前にじり寄り、首元を掴んでそう言い放った。

 

 だが、一つ一つの動きに無駄が多すぎる。俺は掴む力を逆に利用し、イガグリを張り倒す。

 

「誰が金髪に白髪だ。俺達にはちゃんと狼と被身子って名前がある。名前で読ぶところからがすべての始まりですよイガグリ」

 

「誰がイガグリだ!!ぶち殺すぞ!?俺の名前は【爆豪 勝己】!!二度と間違えるんじゃねー!!!」

 

「まぁまぁ、落ち着いてくださいよ爆さん。血糖値上がりますよ」

 

「誰が爆さんだ!!訳すんじゃねーこの金髪!!バリバリの健康体だわ!!」

 

「えっ、嘘、絶対不摂生な食事をしてそうなのにですね狼」

 

「健康な心は健康な食事から作られると言います。だから勝己君、バランス良く食べ、君はたっぷり牛乳をの飲むといい。そしたら全て解決だ」

 

「誰が勝己君だ!!テメーらまとめて死ね!!!!」

 

 そう言いながら追いかけてくる勝己から逃げ、俺とヒミコは走った。無駄にセンスあるためか、爆破をうまく利用して加速している。

 

「……爆豪の言うとおりだ。こんな困難乗り越えなくて何がヒーローだ!!俺はやるぞ!!」

 

「君の言う通りだ!洗礼というには重いが、これが最高峰たる所以!!皆頑張って好記録を目指すぞ!!」

 

 鋭治と天哉が声を掛け、他の奴らも続々とテストを開始した。やっぱ俺はそういう事すんの苦手だからああいう引っ張るような性格がいるとありがたいな。とりあえず手を合わせよう。

 

「何ぼさっとしてやがる!?この犬顔!!しね──」

 

「そこまでだ爆豪。もう十分だ。発破かけるためとはいえ、やりすぎだぞ狼」

 

 捕縛武器で勝己を捕縛した相澤さんはこちらを再びなんとも言えない表情で見た。俺はそれを飄々と返す。

 

「あれくらいやんないとみんな萎縮したまんまなんですから仕方ないでしょ。少しは空気柔らかくしないと」

 

「だとしても、おちょくるのは関心しないな。それで助かった事を差し引いて、今回は差し引きゼロにしておくがな。……話は終わりだ。爆豪、狼、被身子お前等も早く戻って計測を再開しろ。時間がもったいない」

 

「チッ、言われなくともそうするわクソが!!」

 

「了解です。じゃあ残りも頑張りまーす」

 

 睨みつけてくる勝己の視線を気にせず、俺は各記録の計測を開始した。

 

 どれもなかなかな成績で、テストとしては上々だろう。

 

「お前もあの金髪も凄ぇ記録連発してるな!可笑しな奴等だと思ってたけどすごい奴だったんだな!あっ、俺【上鳴 電気】!よろしくな」

 

「よろしくおねがいします。あと、私は金髪の方の人なので間違えないでください」

 

「えっ!?お前あの白髪じゃないの!?」

 

「白髪はこっちだ電気。あと、こいつの名前は真血 被身子で俺の名前は真血 狼だ。白髪と金髪って呼ぶんじゃない」

 

「あ、ああ。それは悪かったな。えーと……」

 

「俺は狼の方だ」

 

「私がヒミコの方です」

 

「ややこしいわ!!どっちかわかんねーよ!!」

 

 どちらかわからず、電気は完全に匙を投げた。

 

 癖や動きの違いで何となく分かると思うんだけどな……。あと、声の音が同じでも出し方は全然違うし……。

 

「しっかし、どっから見ても同じ姿に同じ個性だね。癖とか見ないとどっちがどっちなのかわかんないよ。あっ、うちは【耳郎 響香】。よろしく」

 

「よろしくです響香ちゃん。けど、個性に関しては全く同じものを使うことは不可能ですけどね。狼のは使い慣れてるのである程度使えますが」

 

「そうなの?」

 

「こいつの個性変身は取り込んだ血の持ち主の姿や声、個性を完全にコピーする。だからこそ完全に同じものを使うことは不可能なんだ」

 

「完全にコピーするなら同じじゃねーの?」

 

「個性が使えてもその人の癖や動き、その人の経験まではコピーできないから単純なもの以外使う事は難しいんです。使えたとしてもその能力は持ち主の二番煎じですしね」

 

「ああ、なるほど。そういうことね」

 

「電気お前わかってないだろ。目が馬鹿になってるぞお前」 

 

 目が泳ぎ、なんかウェイウェイ言ってるこいつを横目に、俺は標的を探す。そして、反復横跳びの近くで女子を見てるそいつはいた。

 

「見つけたぞ紫頭!!この恨み晴らしたろうか!!!」

 

「ぎゃー何々!?もしかしてあの金髪……じゃない!!お前白髪の方だな!!」

 

「そうだよこの野郎。ついさっきはよくもまぁエロ本に出てきそうだ、血を吸われたいだ言ってくれたな。か・く・ご・は・い・い・で・す・か・?

 

「ちょ、ちょっと待て!俺は女子にこういうことをやれたいわけで、野郎にそんなこと──」

 

 

 

「パイルドライバー!!!!」

 

 

 

 

「ギィャァァァーー!?!?!?」

 

 

「おうっ……。あいつも大概えげつないな……」

 

「狼って意外執念深いですからね。まぁ、同情の余地ないですけど」

 

「しかも技も決まってがっつり気絶したな。同情の余地ないけど」

 

 俺が勢いよく紫頭にパイルドライバーを決めているとその時、掛け声と共に凄い音が鳴り響いた。

 

 

「SMASH!!」

 

 うおっ!?すんごい飛んだ!!やるなぁ出久。

 

 でも指変色してるし、骨もバキバキで血もダラダラ。……少し血を、ゲッフン、ちゃんと治療しないと不味いなあれは。

 

 そんなことを考えていると背後の男が驚愕し、動き出すことに気がついた。

 

 

「どーいうことだこら!!ワケを言えデクてめぇ!!」

 

 

「うわああ!?」

 

 出久に絡んでたあいつが動きそうなのはわかってたし、それを防ぐだけの用意もある。だからこそ動き出していた相澤先生より先に

 

「ペッ、プシィィ!?」

 

「ぐぇっ!?」

 

 掴んでいた紫頭を後頭部に投げつけた。

 

 紫頭はなんか頑丈そうだし、まぁ死ぬことはないだろう。

 

「なにすんだ犬頭!!邪魔すんじゃねー!!あのデクが個性を使ったんだぞ!?あの無個性で道端の石っコロだった奴が!?」

 

「そこら辺の事情は知らないし興味もないけど、とりあえず個性向けるのはやめような。うるさいし危なっかしい」

 

「なら余計邪魔すんな!!無個性のこいつが個性を使ったんだぞ!?石ころだったこいつが!!!」

 

「まぁまぁ、とりあえず落ち着いて牛乳飲もうぜお兄さん。カルシウム足りてないぞ」

 

「だあぁぁぁぁぁぁぁ!!やたら牛乳勧めてくんじゃねー!!!イライラするわ!!!」

 

「あらやだ、もしかして牛乳は苦手?そんなあなたにピッタリの商品が……」

 

「通販番組始めんじゃねーよクソが!!!」

 

 とりあえずこれで出久に魔の手が迫ることはないだろう。あえてボケに走ることでツッコミの目を反らす俺の作戦は完璧だ。

 

 背後でこっそりしてたジェスチャーに気づいたのか、出久は感謝を述べながら天哉と丸顔の女子の元に帰っていった。

 

 それと入れ替わるように相澤さんがやって来た。

 

「よく止めた狼。俺の個性を何度も使わせるな。俺はドライアイなんだ」

 

「良い個性なのに相変わらず残念ですね相澤さん」

 

「相澤さんじゃない。ここでは先生と呼べ」

 

 その後は普通に残りのテストを行い、まずまずの結果を得た。

 

 あと、何人ものやつにヒミコと間違わられた。謎である。

 

 

 

 

 

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