どうも………お久しぶりです………。元気でした────(殴)
大魔「おい………どういう事だ?前回から1ヶ月も間開けるとはどういう事だ?説明してみろよゴラァ」
こ、これはですね………試験があったから仕方ないんで────(殴✕2)
大魔「試験なら2週間以上前に終わってんだろ。本当は何やってた?」
か、かなりの難産だったから現実逃避もかねてスマブラとスプラをやっていたら時間が過ぎて………気づいたらこんな時間が経っていました。…………け、けど本当に色々あって忙しかったし!!難産だったのもほんと─────(欧✕3)
大魔「難産だったのは認めてやる。忙しかったのも認めてやる。だが、だからこそ編集画面を開くんだろ!!編集画面開いて考えんだろ!!実際まとまってからは1時間程度で編集終わってんだろ!!時間ぐらい自分で作れ馬鹿野郎!!!」
(欧✕10)
こ、これから忙しくなるのでこんな事も増えるかもですが………どうか寛大なお心で………次話をお待ち下さい…………。………けど、難産だったら仕方ないよ───
(欧✕100)
大魔「あの馬鹿熊の事なので、多分こういう事はこれからも起こります。こっちの方で反省させときますので………今回は許してやってください。…………この度は………本当にすいませんでした。………では、59話の方を…………どうぞ」
「ううん…………いない…………。やっぱりここにもいない………。あの人が何処にもいない…………」
「確か、士傑の制服着て、黒いフード被ってたんだよな?明らかに目立つ格好してるっぽいけど、それっぽい奴なんて何処にもいないぞ」
「士傑の合格者のとこにも医務室にも脱落者待機室にもいないってなると、もしかしてもう帰っちゃったのかな?」
「………いや、多分それはないと思う。ヒミコさんを相手取った程の人ならほぼ間違いなく一次試験は突破してるだろうし、煙幕まで張って逃げたことからして、なるべくこっちとの接触を避けているところがあるんだと思う」
「…………何でフードの人が言った名前をのところだけを目が覚めた時に忘れてしまったのかはわかりませんが…………それが確かに思い出したいことなのは………確かなんです。…………あと少し………あと少しで…………思い出せそうなのに………………」
何かが頭につっかかった様な歪な感覚に違和感を覚えながら、頭を抑え、やはり出てこない『真血 狼』という人の事を思い出そうとした。
一次試験の最後に私と出久君は頭痛に耐えられず気絶してしまい、私達はお茶子ちゃん達の手によって医務室に運ばれて精密検査を受けた。
だが、やはり体の何処にも異常はなく、出久君も私も寧ろ、気絶する前より頭がはっきりしている。
………工房で起きたことがまた起きたとなれば、この頭の痛みはやはり体調不良などではなく、もっと別の事によるもののせいであり…………きっと………私の忘れたことに関係があるのはわかっている。
………けど、あと少しなのに思い出せないし………何かを知っていそうなフードの人も見つからない。
「あと少し………あと………少しで思い出せそうなのに……………何で…………何でこんなに遠いんだろう…………」
「おーっす!お前等お待たせ!」
「青山のおへそレーザーなかったらかなーり危なかったよ」
「分断された時はどうなるかと思ったけどね」
私が思わずそんな事を小さく呟いていると、奥から最後の方に1次を突破した三奈ちゃん達がやってきた。
暗い表情をどうにか隠し、私は何事もなかったかのように口を開く。
「これで何とか全員1次試験は全員突破。これでどうにか無事2次試験に進めますね」
「っしゃぁ!!やったぜ!!」
「雄英全員1次突破とかすげぇって絶対!!」
「確かに全員が突破したのは喜ばしいことだが、試験としては寧ろこっからが本番。気を抜いてはいられない」
「うむ!!皆あまりはしゃぎすぎるないように!!」
「んなこと言ってめちゃくちゃ腕振ってんぞ飯田。お前もなんだかんだ言って嬉しいんじゃねぇか」
『皆様1次試験突破を喜んでいる所悪いですが………これから2次試験の説明となります。えー、100人の皆さんこれをご覧下さい』
「フィールドだ」
「なんだろうね……」
全員が少し疑問を持ちながらモニターを見ていると、突如としてフィールドが爆発とともに跡形もなく崩れ去った。
(((何故!!)))
「勿体ない!!絶対に勿体ない!!絶対に経費の無駄ですよ色々と!!」
「わざわざ爆破させる必要なかったよね!?もっと色々とやり方あったよね!?よりにもよって何で経費が無駄になる爆破にしたの!?」
『まぁ……そりゃあ……上の方の人が
『そっちの方がカッコいいからとりあえず爆破しよ』
とか言い出したからですよ…………。無駄に金がかかるフィールドを作っただけでも金の無駄なのに……!!何でよりにもよってそれを爆破………!!私の睡眠時間を幾ら削ったと思っているんだよ………!!!上層部の馬鹿野郎………!!!』
「おい……すんげぇ文句言ってるぞあの人……………」
「気持ちはわかる………気持ちはわかるけどな…………」
『時間の無駄なので私の愚痴はどっかに置いておくとして…………次の試験でラストになります!皆さんにはこれからこの被災現場でバイスタンダーとして救助演習を行ってもらいます』
「救助…!」
「パイスライダー…?」
「現場に居合わせた人の事だよ。授業でやったでしょ」
「一般市民を指す意味でも使われたりしますが…」
『ここでは一般市民としてではなく仮免許を取得した者としてーーー…どれだけ適切な救助を行えるか試させて頂きます』
「む……人がいる………」
「え……あぁ!?あぁあ!?老人に子供!?危ねえ何やってんだ!?」
力道君の言う通り、何処からか現れた子供や老人が爆破された建物の辺りを彷徨っており、血のりらしきもの持って意気揚々と何かの準備をしていた。
『彼らはあらゆる訓練において今引っ張りダコの要救助者のプロ!!『ヘルプ・アス・カンパニー』、略して『HUC』の皆さんです』
「色んなお仕事あるんだな…!」
「ヒーロー人気のこの現代に則した仕事だ」
『傷病者に扮した『HUC』がフィールド全域にスタンバイ中。皆さんにはこれから彼らの救出を行ってもらいます。尚今回は皆さんの救出活動をポイントで採点していき、演習終了時に基準値を超えていれば合格とします。10分後にスタートしますのでそれまでにトイレとか済ましといてくださいねー………』
説明が終わるとともにモニターの電源が切れ、目良さんの姿がこの場から消えた。
話が終わったタイミングを見計らっていたのか、美奈ちゃんが私の肩を叩き話しかける。
「ヒミコちゃん。また怖い顔になってたよ」
「あっ………すいません………美奈ちゃん。ちょっと色々あって…………」
「………まぁこの際何があったのかは聞かないけどさ………全部自分のせいってだけは思わないでね。焦ったって何もわかんないし………全部出来るわけじゃないんだからさ。うーん…………何?上手くは言えないんだけど……とにかく………えっと………」
「言いたいことは大体わかったから大丈夫ですよ。………とにかく、今は目の前の出来ることを出来る限りやるだけです。私だけじゃ多分無理ですから………その時はお願いしますね」
「………うん!お互い頑張ろ!!」
「はい!勿論です!!」
そんな事を話し、何やら焦凍君とイナサ君が揉めたりもしながらも10分後。
待機室一帯にけたたましくサイレンが鳴り響いた。
『ヴィランによるテロが発生!』
「演習通りの
「え!?じゃあ……」
「始まりみたいですね」
『規模は◯◯市全域、建物倒壊により傷病者多数!道路の損壊が激しく救急先着隊の到着に著しい遅れ!到着するまでの救助活動はその場にいるヒーロー達が指揮を執り行う。一人でも多くの命を救い出す事!!!』
その声とともに一次試験同様、控室の壁と天井が開く。
『では!!仮免最終試験………START!!!』
開始の合図と同時に、私達を含め100人の通過者が一斉に走り出した。
「皆さん!!つい先程指示した通り各チームに分かれて動きながら救助をしてください!!情報伝達はこまめ行い少しでも気づいたことがあれば直ぐに口出す事を意識すること!!」
「了解!!じゃあ俺達はとりあえず一番近くの都市部ゾーンに!!」
「じゃあ僕達は工業ゾーンの方に行くよ!!」
それぞれがそう言うとともに、試験が始まる前に分けたチームにそれぞれ分かれ、救助者のいる場所へと各自移動を開始した。
私もまた美奈ちゃんや飯田君、実君や目蔵君といったメンバーと都市部と工業ゾーンの丁度境にある住宅街に向かい、早速瓦礫に挟まれたおじいちゃんを発見する。
「い゛て゛ぇぇぇ………う゛こ゛けねぇ……………助け゛て゛くれぇぇ…………」
「(脚と頭を負傷………かなりの量の血は出ている上……崩れた瓦礫の間にいますが……傷はそれほど深くなく………魔血開放を行った私と目蔵君のパワーであればこの量も直ぐどかせる………)もう大丈夫です!今直ぐ助けるのでじっとしていてください!目蔵君。下の柱を支えてますので上のあの瓦礫ををどかしてください。瓦礫を支えている柱を念の為抑えるので大丈夫だと思いますが、軽い衝撃で一気に崩れる可能性が慎重にゆっくりお願いします」
「うむ。わかった」
「いたぞ!この瓦礫の奥から声が聞こえる!」
「じゃあ早速瓦礫を──………」
「美奈ちゃん待ってください!そこの瓦礫を溶かすと恐らく一気に建物が崩れます!!まずは柱建物を支える柱が無事かの確認と救助者のいる場所の確認が先です!!」
「柱の確認はわかったけど、中の奴の位置はどうやんだ?」
「そこは私がやっておきます。この通りスライム状の体なので、瓦礫に衝撃を与えることなく中に入ることが出来るかと」
「じゃあ、私はその間にここの瓦礫を溶かして応急処置のスペースを作っとく。こんな高い建物の中にいるってことは結構な重症かもしれないしね」
「では、それぞれお願いします」
「おいあんた!手が空いてるならこっちに来てくれ!!人手が全然足りてないんだ!!」
「よしっ!わかった!!」
指示を出しつつも、私は目蔵君が上の瓦礫をどけてくれたのを見計らって柱を安全な所に置き、最初に見つけたおじいちゃんの応急処置を行った。
念の為体の傷の確認を改めて行うが、やはり脚と頭の傷以外の傷はあまりなく、応急処置で処置は終わりで大丈夫そうだ。
よろよろと立つおじいちゃんを慎重に背中に担ぎ、安全地帯に移動する。
「孫が………遊びに来てた孫が………先にデパートに行ってしまったんだ…………。まだ………閉じ込められているんだ…………」
「大丈夫です。私と同じヒーローがもう救助に行ったので絶対に大丈夫です。必ず助けるので安心してください」
「さっきのヒーローは………少しごたついていたが大丈夫なのか?孫は………本当に大丈夫なのか?」
「………確かに慣れない点はありますし、出来ないこともあるかもしれません。けど、誰よりも優しいヒーローですし、助けてくれる仲間もいます。お孫さんは私達が絶対に助けるので、安心して待ってください」
「そうか………そうか………。ではどうか………孫を…………よろしくお願いします」
安全地帯に着き、私はゆっくりとおじいちゃんを軽症者が集められている右のスペースに降して、次の救護者を探しながら走っていると、各ゾーンから少し離れた場所の建物の壁近くに座り込み、腕に鉄柱が刺さって動けない女の人を見つけた。
各ゾーンから少し離れた場所であるが故に、誰も見つけられていないらしく、その場には女の人以外の人影はない。
駆け足でそこに向かい、女の人に近づく。
「痛い……痛い………。お父さん……お母さん………」
「(両足が歩けない程血まみれ………。……左腕に刺さってる鉄柱を抜いてあげたいですが………ここで抜いたら大量出血で死ぬ可能性がある。軽い応急処置はしますがそれ以上は出来ないでしょうし………ここは安全地帯にいた回復系個性の人に任せるしかありませんね)壁から出てる鉄柱を1・2で切るので、私の腕を掴んでじっとしていてください。………ではいきます。1・2!!」
その声とともに、私は2式による手刀で鉄柱を切り、ようやく動けるようになって地面に倒れかけた女性の体を支えた。
女性は腕を掴み、端的な息を吐きながら、何とか口を開く。
「爆発が………あって………それに………巻き込まれたの…………。………痛い……痛い」
「今は喋らないでください。状況はわかっています。直ぐ安全地帯に─────」
私がそう言おうとした最中、私の第6感が女性の違和感を感じ取った。
恐る恐る……私は言葉を紡ぐ。
「………これ………どういう………事ですか?今流れてるの………本当の血じゃないですか。まさか………本当に怪我を………!?」
女性は首を何度も振り、それが真実と言いたげにこちらをじっと見た。
それを見た私は更に急いで、脚に包帯を巻いていく。
「痛い……痛い………。死んじゃう……死んじゃう…………」
「大丈夫です!!今処置をします!!一体何が起きたんですか!?一体何があったんですか!?」
「わから………ない………。私の知らない場所とタイミングで爆発が起きて………気づいたらこんな風になってた。演技のつもりが……………本当に重症になるなんて…………」
「試験どうこうなんて言ってる場合じゃありません!!急いで医務室に運びます!!気をしっかり持っていてください!!」
「この試験は……何かがおかしい………。運営の知らない何かが………後ろにいる………。早く……試験を中止に…………─────」
ドギャアァッァァァンッッ!!!
女の人が言葉を紡ごうとした最中、突如壁から爆発が起こり、私は女性を抱えながら急いで翼生やし、大急ぎでその場から離脱した。
私が地面に着地するとともに、壁からギャングオルカのサイドキックの格好をした人が現れ、ゆっくりと辺りを見渡した。
だが……あの人も何処か様子がおかしい。
「何……あの動き………。人というよりは……獣に近い動き…………。あんなサイドキック………事前の打ち合わせではいなかったはずよ」
「それに………ギャングオルカのサイドキックは基本複数人で動くはずです。なのに何で………単独で…………」
私達が現れたものを警戒している最中、それは私達をゆっくりと確認し、何度も首を振って頷く仕草を見せた。
マスクの上からでも見えるゾッとした笑みを浮かべると………それは構えを取る。
「ミツ………ケタ………。ミツ………ケタ…………。シン………ケツ………ヒミ………コ……………ミツケタ…………」
「私の………名前?…………まさか………あなた………────」
それは腕のセメントガンに似たものから、ミサイルのようなものを私に向かって放ち、私は間一髪のところで飛んでそのミサイルを躱した。
ミサイルは私達のいた場所に着弾するとともに爆発して大炎上を起こし、そこから上がる炎を見た何かはキャッキャキャッキャッと不気味に大笑いし、腕のものを空を飛ぶ私に向かって再度構える。
「オレ………オマエコロシニ………キタ。アソベルッテキイタカラ………ココニキタ。ネェ…………ヒミコ」
ボクト………アソボ!!!
◆◆
『待て………狼。ここで何をしている?何故………ヒーロースーツを無断で持ち出そうとしている?何故……………お前は動くことができている?』
………なんだ………この夢は?
ろ……う………?
誰だ………それは………?
何故………俺の知らない奴がA組にいて………コスチュームの入ったケースを持っている………?
『………何で………来ちゃうんですか………相澤先生。できるなら穏便に………誰も傷つけずにやろうと思ってたのに……………なんでこういう時だけ………先生は勘がいいんですかね…………』
『………仮に奴がそうだとしても…………お前がやろうとしている事は何の意味もなさない。………死んでいったあの5人が………浮かばれることはないんだぞ?』
浮かばれる………?一体どういうことだ………?
俺は一体何を話している…………?
『……そんなこと………とっくにわかっています。ですが……あの化物が動き出したとわかった以上…………俺はもう立ち止まることは出来ない。例えそれがあなた達を裏切る事に繋がるとしても…………俺は果たすべき事を果たさないといけない。………それが………あなたを今ここで倒さなければ進めない道でも……進まないといけないんです』
『…………お前の担任としての最後の警告だ。今直ぐヒーローコスチュームを置いて………真っ直ぐ病院に戻れ。でなければ俺は………お前を殴ってでも止めないといけなくなる』
『…………ごめんなさい………相澤先生。俺は止まるわけにはいかないんです。もう………夢を見るのを終わりにしなきゃいけない時が来たんです。だから…………俺をその警告を聞くわけにはいきません』
『狼……!!お前って奴は………!!!』
『相澤先生………!!俺は………あなたを倒してでも前に進む…………!!!』
俺が狼と呼んだ右腕のない男はそう言いながら突撃し、過去の俺と呼ぶべき俺は少しためらいながら捕縛布を狼に放った。
しかし、ためらいながら放ったためか、いつもの数倍過去の俺はキレがなく、放った捕縛布を躱されてしまい懐に入られて蹴りを一発腹に喰らってしまう。
何とかギリギリ腕でガードしたものの、狼は何もさせまいと足技を仕掛け続け、それに耐えかねた過去の俺は、状況を変えまいと窓から飛び出し、狼もまたそれに対応して空中飛び出す。
『どうしたんですか相澤先生?俺を止めるんじゃなかったですか?そんなじゃ………俺を止めるどころか誰も守れませんよ』
『…………お前にだって守りたいものがあるはずだろ!?なのに何で今に限ってそんな事をしようとしている!?お前がやったことの先に一体何が残るんだ!?』
『…………彼奴等が………笑って過ごせる世界ですよ。どうせ俺は………もう頬って置いても勝手に死ぬ。なら………それまでに俺が出来ることはたった1つ。残った命全部燃やして…………目の前の敵を全て壊して…………生きる彼奴等の進むべき道を作る。あの男も俺も…………この世にはいらない。化物は………この世にはいらないんですよ』
『化物なんかじゃないだろお前は…………!!お前はヒーローになるために来た俺の生徒だ…………!!お前には………彼奴等がいるだろうが!!!』
『わかってますよ………そんな事!!だからこそ………俺は行かなきゃいけないんです!!!俺は…………もう何も失いたくないんです!!!もう………止まれないんです!!!』
空中での攻撃をしてるうちに右足を捕縛布で拘束された狼は、突如として右足を左手で自ら折ることで無理矢理捕縛布から抜け出し、そのまま返す刀の拳を俺の顎に叩き込んだ。
もろ脳震盪を引き起こす部分を殴られた俺は何も出来ず、そのまま校庭の地面に叩きつけられ、大の字で動くことも出来ず地面に転がった。
まともに動けない俺に、狼は赤黒いエネルギーがバチバチと光る脚を引きずりながら、俺に近づく。
『…………ごめんなさい………こんなことになって。巻き込んでしまって………本当に…………ごめんなさい』
『お前の行こうとしている先には…………ひたすらの破滅しかない……………。お前…………それを理解しているのか?』
『理解も何も………俺はもうとっくに破滅してる。俺の運命の歯車は…………もうとっくに壊れてる。もう…………全て遅すぎるんですよ』
『ろ………う……………』
『彼奴等のことを…………ヒミコのことを………どうかよろしくお願いします。俺にはとってはもう叶わない夢だけど………彼奴等はまだ幾らでも可能性がある。………………ごめんなさい………こんな別れ方で。…………ありがとうございました………こんな俺に夢を見せてくれて。…………さようなら………俺の…………大切な夢』
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「待て………!!待て…………!!!」
動けない俺に泣きそうな顔で言葉をかけると、月のない暗い夜の闇に消えていった男の残像を追いかけるようにして、俺はベットから飛び起きて前に伸ばし、過去に実際に起きたかのようにリアルな夢から現実へと戻ってきた。
収まりそうにない動悸をどうにか抑えながら、周囲の状況を確認する。
「………ここは………医務室か?…………ジョークと話していた時までの記憶はちゃんとあるが…………そこから先の記憶が曖昧だ。…………今のは………本当に夢なのか?」
「目が覚めたようですね、イレイザーヘッド。まだ起きたばかりで、記憶が少しばかり混乱しているようですが」
夢の内容に俺が混乱していると、外からそんな声が聞こえ、医務室の扉がゆっくりと開くとともにここの医師らしき男が部屋に入ってきた。
普通の頭痛とは何処か違う痛みで頭を抑えながら、俺は口を開く。
「お手数を掛けてすいません。体調不良などはなかったはずなのですが………突然痛みが頭を襲って…………」
「まぁ、何はともあれ、意識が戻ったようでなりよりです。あなたが寝ている間にレントゲン検査などを行いましたが、確かに身体の不調は見られませんでしたし、はっきり言って原因は不明です。ですが不調が見られない以上止める理由はありませんし、一先ず観戦席に戻ってもらって大丈夫かと」
「そう………ですか。じゃあ………あれは本当にただ夢か…………」
「夢?それはどういう事ですか?寝ている間何か異変でも起きたんですか」
俺が静かに呟いたその直後、部屋から出ていこうとした男は突如として態度を変え、俺に強くそう迫った。
男の様子の突然の変化に警戒しながらも、俺は問いに答える。
「俺にもよくわからないんです………。ただ………痛みが走った直後と寝ている間に白髪の知らない男が頭に浮かんで………俺の知らない記憶みたいなものが思い出されたんです。その男の名前は………確か…………────」
「『真血 狼』…………だな?お前が言っている白髪の男は…………そいつか」
男がその言葉が正しいとばかりに、ついさっきの脳そのものを揺さぶるような痛みが再び走り、俺は痛みのあまり膝を付いた。
入ってきた直後と打って変わって、冷徹な目となった男は痛みでその場から動けない俺に近づき、俺の頭を掴み上げる。
「…………やはり記憶改竄効果が薄まっている。付き合いの長さからもしやとは思っていたが…………まさかここまで進行が早いとはな。こうなってくると………あの男の義妹方の進行はもっと早いか」
「記憶の…………改竄………………?お前………俺に………一体何をした…………?義妹方の進行とはどういう事だ…………?」
「お前がそれを知る必要はない。…………あの男はまだ我々の追跡から逃げおおせているが…………それも時間の問題。せめてあの男を我々が捕らえるまでは………大人しく平和な夢の中にいてもらう。………今度は記憶の残滓すら残らぬよう………完全にデリートした上でな…………さぁ再び忘れろ………イレイザーヘッド。お前をデリートした後は…………次は『真血 被身子』の番だ」
男はそう言うとともに個性を発動させ、俺の中にある『真血 狼』という男の記憶を激しく揺さぶった。
眼前に白髪の男の影が映る記憶が現れるとともに消え、あの男の声が聞こえそうになるとともに何も聞こえなくなり、俺の意識が徐々にうっすらとなっていく。
…………俺は………一体何を忘れている?
俺は………一体誰を忘れている…………?
『真血 狼』とは…………一体誰の事なんだ?
あいつは何で…………泣きそうな顔を……………してたんだ………………?
…………駄目…………だ。
忘れる………わけには…………いかない。
忘れ…………たくない……………。
泣いている誰かのことを…………忘れる………わけには………いかない…………。
「…………随分と抵抗するなイレイザーヘッド。たかだか裏切り者の記憶なんてもの忘れたほうが楽だというのに、それほど執着するとは。抵抗しても無駄というのに、まったくもって理解が─────」
「無駄なんかじゃない………無駄なんて言わせない………!!記憶なんてものという貴様等ゴミが………記憶なんてものと語るな…………!!!」
その怒りのこもった声と共に、突如俺の頭を掴み上げていた男が殴り飛ばされ、俺は荒い息を吐き出しながら床に倒れ込んだ。
ベットの方に飛ばされた男は武器のようなものを懐から出して反撃をしようとするが、男の死角にいつの間にか浮いていた鉄の弾丸によって全ての武器を破壊された上、そのまま流れるようにして放たれた弾丸によって心臓部を攻撃されたことで、何もできず白目をむいて気絶した。
「こちらアイアン。記憶改竄されそうになっていたイレイザーヘッドの救出を完了。記憶操作系の個性を持っていた奴も倒しました。そっちの様子は?」
『………不味いですね……これは。予測通りの最悪の展開です/先に彼奴を向かわせたが、間に合うかどうかはわらねぇ。間抜けな公安の連中は気づいてすらねぇし、下手に今気づかせても余計被害が広がる事は目に見えている。俺達だけでやるしかねぇな、こりゃ』
「………私は先にイレイザーヘッドを連れて離脱し、外に止めてある車でここを出ます。そっちは3人に任せて大丈夫ですか?」
『うっせぇ。誰に言ってんだアホが/指揮をとっている奴はもう逃げたっぽいですから、恐らく増援はありません。こっちはこっちで何とかしますので、あなたは早くイレイザーヘッドを』
「………わかりました。そっちはどうかよろしくお願いします」
男はそう言うと通信機をしまい、俺を肩に担ぐと、大急ぎで部屋を出ていった。
そして、頭の痛みに耐えきれなくなった俺は、わずかばかりの揺れを感じながら、静かに意識を再び完全に失った。