鮮血少女と鮮血狼   作:熊田ラナムカ27

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 先日、コメントで耳郎が完全ヒロインじゃね?というコメントを貰いました。一応言っておきますと、うちの小説のヒロインはあくまでヒミコちゃんです。あくまで耳郎ちゃんはサブヒロインなのでお間違いなく。(今回もヒミコちゃんは影薄めな模様)




8 作戦はときにえげつなく

 

 

 

 緑谷・麗日 対 飯田・爆豪の因縁の対決、その対決を皆今か今かとモニタールームで見ていた。

 

「さぁ、まずは一回戦だ!君達も考えて見るんだぞ!!」

 

「入試3位と0ポイントロボを吹っ飛ばした奴の戦いか!こりゃ燃える1戦になるぞ!!」

 

「出久君もロボを吹っ飛ばしたんだ。確かに面白い試合になりそうですね狼!」

 

「そうだな。確かに面白そうな試合になりそうだ。けどお前、人の血をジュース感覚で飲もうとすんじゃない。あと実……お前ヒミコのケツを触ろうとしなかったか?」

 

「い、いや…………、そんな事は───」

 

「こいつがっつり触ろうとしてたよ」

 

「よし、ナイスだ響香。とりあえず1殺目だ」

 

「ちょ、ちょっと待て!!今日もまたやるの────ギィャァァァーー!?!?」

 

 俺のカナディアンデストロイヤーを喰らってのびた峰田をそこら辺に置き、俺は試合の方を観察する。

 

 試合の方は奇襲してきた勝己の攻撃を出久が拘束用テープを使って躱し、その後放れた右の大振りを更に躱していていた。

 

 個性を使わずに入試3位と張り合ってる姿に皆驚きの声を発し、俺も思わず顎に手を当てる。

 

「……あの動きからして、体術の関係をやってるって感じではないな。だとすればあいつ、どうやって攻撃の予測とテープを使いこなすなんてことをした?並大抵じゃあんなことできないぞ?」

 

「出久君は確かプロヒーローの動きを全てノートに詳しくまとめていたはずです。それと、爆さんと出久君は幼なじみだとか」

 

「なるほど。いつも絡んでくる勝己の解析し、対策を立てていたって訳か。そうなってくると、テープの動きは大方イレイザーヘッドのものをリファインしたってところか。なるほど、これは曲者だ」

 

「言ってることがよくわかんないだけど、つまりどゆこと?」

 

「出久君は持っていた情報を元に作戦を立て、爆さんをその動きにいれるよう誘導しているんです。それも練習なしの土壇場で」

 

「土壇場であんな動きを!?冗談だろ!?」

 

「あいつは最近まで無個性だったと聞く。だからこそあいつは自身の弱さを自覚し、何万通りものイメージの中で勝己と戦っていたんだ。そんな狂いそうなことを考えた時点で、あいつもかなりぶっ飛んでる」

 

「すっ、すげぇー!あいつにそんな能力があったのか!!」

 

「だがこれらのことはあくまでイメージの中でのこと。本番はこれからさ」

 

 勝己は腕の篭手を構え、ピンを引こうとする。

 

 

「(それってまさか…!)爆豪少年ストップだ!殺す気か!?

 

 

 オールマイトが突然不穏な言葉を発したため、生徒達は不安を覚える。それと同時にモニターに映っていた建物が盛大に爆発した。

 

「なんて威力だ………。緑谷は!?緑谷はどうなった!?!?」

 

「それはそこまで心配しなくても大丈夫だ。あいつは死んでない」

 

「なんでそんなこと………」

 

「個性把握テストのとき、俺とヒミコは勝己に殺す殺すと言われながら逃げていた。だが、あいつはその時この技を使わなかった。これはなぜだと思う?」

 

「発動にあの篭手が必要だからとか?」

 

「それとあともう一つ理由が。恐らく、爆さんは殺す殺すと言っているだけで本当に殺すという気持ちはありません。多分、暴走した自尊心がそう言わせているだけです。だとするならば、出久君の怪我は大したことはありません」

 

 ヒミコの言う通り出久の被害はコスチュームが吹っ飛んだぐらいで留まっており、動けないほどの怪我はしていない。

 

 だが、オールマイトはその威力を警戒したのか勝己に警告を出す。

 

『(妙な部分で冷静ではある……。みみっちいというか何というか……とにかく)爆豪少年、次それを撃ったら…強制終了で君らの負けとする。屋内戦において大規模な攻撃は守るべき牙城の損壊を招く!ヒーローとしてはもちろん敵としても愚策だそれは!大幅減点だからな!』

 

 

 そしてそのオールマイトの忠告を聞いた直後、勝己は苛ついた反応を見せた後、接近戦を始めた。

 

 イメージを超える速さで勝己が攻撃した結果勝己が優勢となり、出久は防戦一方となってしまう。

 

「目くらましを兼ねた爆破で軌道を変更、そして即座にもう一回…考えるタイプには見えねえが意外と繊細だな」

 

「慣性を殺しつつ有効打を加えるには左右の爆破力を微調整しなきゃなりませんしね」

 

「才能マンだ才能マン、ヤダヤダ…」

 

 実際勝己の個性は強いし、才能だってある。

 

 俺を追いかけていたときに使ったあの爆破ダッシュだってそうだ。個性の使い方を習わないであろう一般家庭で生み出される技とは思えない。だが………

 

「しかし変だよな…爆豪の方が余裕なくね?」

 

 鋭児の言う通り、勝己には最初から余裕なんてものはない。

 

 余裕があればわざわざ殺すなんてことは言わず、適当に流して終わらしている。現にあいつにはそれをやるだけの才能があるからな。

 

「勝己に弱点があるとすればそれは肥大化しすぎている自尊心だ。自尊心は向上する上で必要なものだが、それは時に目をくらませる。逆に出久にはその自尊心と呼ぶものがほとんどない。だからこそどんな相手にも手を伸ばすし、伸ばされた手を必ず掴む。自尊心の塊であるあいつにとっては目障りなほどにな。そんな奴に強い個性が宿っていたと知ったら自尊心はどうなる?自身より下に思っていた奴が実は自分より強いと知ったらどうなる?答えは簡単、自尊心の塊であるあいつの内心はグチャグチャ、倒すべき標的しか見えなくなってんのさ」

 

 俺が彼らについて解説している間にも試合は最終局面へと移動する。

 

 出久がボール投げとは比較できないほどのパワーを発揮し、勝己を吹き飛ばすと思った瞬間、右腕は天井へと振るわれ、出久は勝己の攻撃をもろに受ける。

 

 だが、振るわれた拳の衝撃は天井を打ち破り、多くの残骸を飛ばした。それをお茶子は個性の無重力(ゼログラビティ)を使った投擲に利用、天哉の視界を塞ぐことで核のハリボテに近づきタッチ、回収を成功させた。

 

 

 

『ヒーローチーム……WIIIIIN(ウィーーン)!!!!』

 

 

 

 このオールマイトの掛け声とともに対決は終了、出久達はまさかまさかの大逆転を起こしたのだった。

 

 

 

 

 

 

            ◆◆

 

 

 

 

「負けた方がほぼ無傷で、勝った方が倒れてら…」

 

「勝負に負けて試合に勝ったということか」

 

「訓練だけど」

 

 試合の結果にそれぞれ感想を述べている間に、モニター先の損傷し疲弊しきった出久はロボットに運ばれ、戦った残りの3人が帰ってきた。彼らに対してオールマイトは評価を述べる。

 

「とりあえず試合お疲れ様!!早速で悪いが評価をつけさせてもらうぞ。まぁ、今戦のベストは飯田少年だけどな!!!」

 

「なな!!?」

 

 評価されたのは負けたチームであるはずの天哉であり、当事者であるはずの天哉は驚きの声を上げた。

 

 まぁ、俺もほとんど似た評価だし、俺もそう思うので特に反論はないがな。

 

 その後、梅雨の疑問に対して完璧な回答を述べた百に対して若干震えるオールマイトが完成し、天哉が感動に震えたことで評価は終了、次の対戦カードの 轟・障子 対 葉隠・尾白 が行われたわけなのだが………

 

「うわっ、何だあの威力と範囲?えげつなすぎだろ」

 

「あんなの喰らったら一発で終わりですね。初見で食らった透ちゃんと猿夫君にはドンマイと言う他ないです」

 

 そんな感じの感想しか述べられないほど試合は素早く終わり、評価も轟君強すぎ!!という感じのもので終わった。

 

 その後も試合が続き、残るはチームはEとG、HとJ。

 

 チーム人数の関係上でEとGの試合が先に行われることとなり、今ヒーローとヴィラン決めのくじ引きが行われる。

 

 

「Eチームがヒーロー!!Gチームがヴィランだ!!」

 

 

 Eチームの三奈と優雅、Gチームの響香と俺は睨み合い火花を散らす。

 

「僕の輝きの前によって君達を一瞬で蹴散らしてあげるよ☆」

 

「入試ではなんにもできなかったけど、今回は手加減なしの本気でやるからね狼!そして響香ちゃん!!勝負の勝ちは私達が貰うよ!!」

 

 

「上等だこら。お前等なんぞ赤子の手を捻る程度の力で速攻片付けてやる(ヒミコに被害が及ぶ前に………!!)」

 

「残念だけど勝ちは私達が貰うよ。なんせこっちには負けられない理由があるからね!(上鳴にこれ以上何も言わせないように……!)」

 

 Gチームもとい対変態同盟の思考はどこかずれているものの、お互いの火花は極限まで光り、熱い戦いが切って落とされようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

                                            ◆◆

 

 

 

 

 

 Eチームミーティング中

 

「まず、狼とは極力引き気味で戦って。多分近距離戦じゃ勝ち目はないから」

 

「ウィーー☆☆それはどうしてだい?」

 

「個性把握テストで見たと思うけど、狼は全体的に運動の力が高いうえ、個性がエンジンの飯田を少し上回るレベルで速い。まず捕まったら勝ちはないと思う」

 

「そこで☆僕のネビルレーザーと君の酸の個性で距離をとって叩かれる前に叩くということだね」

 

「そういうこと。耳郎ちゃんの方は攻撃力低いし、探知メインっぽいから多少警戒はしなくていいと思う。あっ、けど近づかれてイヤホンジャックを刺されたら多分気絶するから気をつけてね」

 

「了解☆☆」

 

 

 

 

 

 

 

                                           ◆◆

 

 

 

 

 

 Gチーム(対変態同盟)ミーティング中

 

 

「……っていう感じのことを多分三奈はしてくると思う。三奈は俺が入試の時0ポイントロボをボコボコにしているのを見てるし、個性の方もテストでほとんど中身を見られた。かなり警戒した動きをとるはずだ」

 

「青山の方の個性はレーザー系だっけ。一発当たったら終わりってかなりきつくない?」

 

「それは俺が当たらないようにして動けば全て解決する。どんな攻撃だろうと当たらなければどうということないからな」

 

「ってなると問題になってくるのは芦戸か」

 

「俺の個性の攻撃手段が全て打撃系である以上、三奈に触らなければダメージを与えられない。だが、三奈の個性は酸。触ったら一発アウトだし、液体だから躱すのも難しい。仮に三奈が酸を自分を守るように発射したら俺何もできないぞ」

 

「……そういえば狼のコスチュームには何か特殊機能はあるの?結構使い込んだ感じのものではありそうだけど」

 

 響香は俺のコスチュームを見てそう言う。

 

 俺のコスチュームは紺を基調とした黒のパーカーで、特注のゴーグルとヘッドホンをつけている。まだ改良点はあるかもしれないが、なんだかんだこのデザインが使い慣れてるし、しっくりくる。親父との戦闘訓練で何度も破れ、改良したことを思い出しながら俺は言葉を返す。

 

「俺の個性は半異形型だから無難に特殊機能は伸縮自在で体にフィットする機能だ。それとゴーグルはモード狼のときに高くなる視力を調整するものだが、それがどうかしたのか?」

 

「いや、私の個性って攻撃力は低いからちょっと特殊な機構を織り込んでもらったんだ。だからそれが使えるんじゃないかなって思ってさ。そのヘッドホンにもなんかあんの?」

 

「これもモード狼のときに高くなる聴覚を調整するものだ。響香ほどじゃないがかなり聴覚が働くようになるからな。……なにか閃いた感じだけど策はできたのか?」

 

「ああ、策はできたよ。それもとびっきりのやつが」

 

 

 

 

 

 

 

 

                                       ◆◆

 

 

 

 

 

 

「それでは屋内戦闘訓練 Eチーム対Gチーム開始(スタート)!!!!」

 

 

 

 オールマイトの掛け声とともにヒーロー側が動き出す。三奈が優雅のマントを少し溶かした辺りぱっと見ふざけているように見えるが、その警戒の色が途切れることはない。不意打ちで終わらせるのは難しいだろう。

 

「どっちにしろ!俺のやることは変わらないけどな!!」

 

 目の間の壁を打ち破り、俺はモード狼での攻撃を仕掛ける。

 

 とっさのことに二人の反応は遅れ打撃こそ与えられたものの、急所はしっかりガードされたようで気絶までには至っていない。

 

「あっぶな!!あと一瞬遅れたら意識飛んでた!!」

 

「けどこれで狼君の位置はわかった☆☆あとは作戦通りだね☆☆」

 

「そういうこと!あとは徹底的に叩くよ!!」

 

 優雅のレーザーに三奈の酸、中距離攻撃のオンパレードに肝を冷やしながらも俺は一旦引き、隙ができる瞬間を見計らって攻撃を仕掛け続ける。

 

 ポイントまであと10…9……8……

 

「ここまで攻撃の膜を張られると俺も攻撃を仕掛けんのが一苦労だ!結構やるな三奈!!」

 

「だから言ったでしょ!本気でやるって!中距離攻撃徹していればあんたは私の攻撃を捌ききれない!いくらやっても無駄だよ!!」

 

「僕がいることを忘れてもらっちゃ困るけどね☆☆」

 

 意識の外から飛んできたレーザーを紙一重で躱し、俺はモード獣人になって壁の一部を破壊する。

 

「確かにこれじゃあまともに攻撃は入らない。だが、お前の酸はものを瞬時に溶かすほどの速度じゃない。逆にお前はこれを捌ききれるのかな?」

 

 破壊した壁の残骸をいくつも投擲し、俺は距離をとって攻撃する。

 

 ボール投げの威力は危険すぎるので流石にやめているが、それでも石の威力は人を気絶させるには十分な威力を誇っている。

 

 これにはたまらず三奈達は逃げに徹し、徐々に距離を詰めてくる。

 

 あと5……4……3……

 

「ダメとわかったら投擲って完全にあんたヴィランじゃん!?やることが汚いよ!?」

 

「汚くて結構なんとやら!勝つために策を練るのは当然だろ?あと、お忘れかなお二人さん?これはチーム戦だってことを!!」

 

 2人が通路に入ってきたのを見て、俺は即座に出入り口を破壊して逃げ道を封鎖。ヘッドホンの絶音機能を最大にする。

 

 

「……距離角度よし。……イヤホンジャック……最大出力!!!

 

 

 上の階層にいた響香のイヤホンジャックの爆音が辺りに響き渡り、この空間の音を支配する。

 

 ここの区間は吹き抜けの螺旋階段があるだけといった簡素な作りであり、唯一あった音の逃げ口も俺が潰した。

 

 それ故に音は幾度も反射しては大きくなり、ヘッドホンをしている俺と音の発信者である響香以外は耳を塞ぎ、動くことが不可能となる。

 

「……聞こえてないと思うけど、今回の策は流石にえげつなすぎた。速攻で終わられるほどお前等は弱くなかっし、俺もまだまだ弱かった。だから悪いな。真正面から戦えなくて」

 

 そう独り言を言いながら俺は二人に確保テープを巻き付け、勝利条件を達成させる。それとともに響香の出す音も止んだ。

 

 

 

 

『ヴィ……ヴィランチーム……WIIIIIN(ウィーーン)………』

 

 

 

 この震えたオールマイトの声とともに試合は終了、俺と響香は勝利を手にした。

 

 

 

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