鮮血少女と鮮血狼   作:熊田ラナムカ27

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 峰田ってホント便利ですね。困ったらとりあえずぶっ飛ばしとけばいいんですもん。峰田の使い勝手の良さに最近目覚めたどうも熊です。
 
 


9 2代目えげつない作戦

 

 

 

「とりあえず今回の試合の評価に移らせてもらうぞ!まぁ、私が述べたい感想はたった一つ。君達………えげつなすぎない?

 

「「本当にすいませんでした」」

 

 未だ爆音を聞いた反動で耳を痛めているオールマイトは少し苦笑いをしながらそう述べた。

 

 あまりの申し訳無さに、俺と響香はだんまりを決め込む。

 

「君達がやったことはヒーローとしてもヴィランとしても文句のない作戦と言っていいもので素晴らしかった!だが、学生相手にやるような作戦ではない。芦戸少女と青山少年の鼓膜を破くなんてやりすぎだぞ(私も少し切れかけたし)」

 

「速攻で勝負をつけるにはあれしか思いつかなくて……ほんとすいません……」

 

「響香の話を聞いてる内につい楽しくなってやってしまいました。……ほんと……ごめんな……三奈……優雅」

 

「リカバリーガールの治癒でもう治ったから大丈夫だよ!少しびっくりはしたけど」

 

「スマートで見事な作戦だったし別に大丈夫さ☆少しびっくりはしたけど」

 

 大丈夫だとは言われたものの、やはり申し訳なかったため俺と響香は再び頭を下げた。

 

「相変わらず、狼の立てる作戦は脳筋ですね。もっといい策ならいくらでもあるでしょ」

 

「いや、私が立てた作戦で狼は悪くないから」

 

「それをスマートに改良しなかった時点で脳筋なんですよ響香ちゃん。一応刀花さんに戦術を習っているんですから、改善案くらい出しましょうよ」

 

「俺はあくまで実行と解析が得意なだけで、細かい作戦を立てるのは性に合わないんだよ。そういう意味じゃ、今回のみたいなのが一番性にあう」

 

「多少頭が回る敵じゃそんな作戦通用しませんよ。もっと頭を使ってください」

 

 俺に小言を言ってきたヒミコを適当にあしらいながら、俺は天井を見上げる。

 

 細かい作戦は大抵こいつが立ててくれるし、俺にはそんな技術ぶっちゃけ必要とは思えないんだよな。速攻で敵を倒せばそれはそれで問題ないし、倒せないにしろ大きなダメージを与えればどうとでもなるしな。

 

 

「そこのヒミコ少女の言う通り、頭が回る、もしくは警戒心が強いヴィランは揺動からの追い込みなどの行動が効き辛い!芦戸少女と青山少年がもし戦闘慣れしていれば効いていなかっただろう!!以降、どちらも周りをよく警戒し、よく考えた上での行動をとってくれ!!」

 

 

「「「「はーい」」」」

 

 

「では、次は最終戦!HチームとJチームの試合だ!!運命のくじ引きの結果は………これだ!!!Hチームがヒーローがヒーロー!!Jチームがヴィランだ!!

 

 

 最後に選ばれたヒミコ、踏影、梅雨、そして鋭児、電気、範太は身を構え、お互いのチームを見る。

 

「ようやく私の出番が来ました!絶対に勝ちますよ!踏影君!梅雨ちゃん!」

 

「当然。やるのであれば必ず勝つ」

 

「油断はしないようね。二人とも」

 

 

「狼があんな熱い勝負を見せてくれたんだ!その熱に負けないよう勝たせてもらうぜ!!」

 

「あんなの見せられて盛り上がらない方が無理だってんだ!徹底的にやらせてもらうぞ!」

 

「あの耳郎が一切女っ気のないえげつないことをやったんだ。俺も──」

 

「誰が女っ気ないだ!!」

 

「ゲバッ!?!?」

 

「じゃあどちらのチームも準備に取り掛かってくれ!!素晴らしい試合を期待しているぞ!!」

 

 オールマイトがそう言うとともにHチームとJチームはそれぞれ控室へと向かった。余計なことを言い、響香の腹パンを喰らった電気もまた鋭児に担がれる形で部屋を去っていった。

 

「そういや実………お前間違ってもヒミコに手を出してないだろうな……?間違っても手を出すなんてバカなこと………やってないだろうな………?」

 

「いやまさかこんな短時間でそんなこと───」

 

「手を出すってケツを触ろうとする事か?それならこいつ、お前等が帰る直前でやろうとしてたぞ」

 

「轟のアホ!!そのことは言わないおやくそ────」

 

 

 ガシッ。

 

 

「……実くん?覚•悟•は•よ•ろ•し•い•の•か•な•?

 

「……どうせ死ぬなら……女子のおっぱいに挟まれて死にたか───」

 

 

 

 ガァァァァンッ!!!! 

 

 

 

 俺のジャーマンスープレックス喰らい、実は頭が地面に埋まった状態で本日二度目の死を迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

                                                  ◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Jチームミーティング中

 

「いててて……。耳郎のやつ、あんな強く殴んなくてもいいのによ。結構殴られの痛いんだぞ。一応」

 

「女っ気がないは少し言いすぎだと思うけどな。そりゃ怒るだろ普通」

 

「そうだぜ。そういう言葉は避けるってのが漢ってもんだろ」

 

「だとしてもここまでやるか?俺はただ『俺も女っ気がない耳郎を見習って男らしく戦ってやる!』って言おうとしただけなのによ」

 

 

「「前言撤回。お前が全て悪い」」

 

 

「なんでだよ!?俺むしろ褒めただろ!?」

 

「褒める要素一切ないだろ。それよりどうする?次の試合、相手は入試2位のヒミコだぜ?それに加え、残りの二人の個性がどんなもんかわかってねーしよ」

 

「ヒミコの個性は変身、取り込んだ血の持ち主の姿や声、そして個性をコピーする個性だ。寄られたらキツイけど、逆に寄られなきゃ大丈夫だろ」

 

「ならそこは俺の出番だな。俺の個性は『帯電』、電気を放出して血を飲む暇をなくせばそれで終わりだ。残りの二人はどうする?」

 

「常闇の方は黒い影?みたいなのを操る個性だったな。それは俺の個性『硬化』でゴリ押せばなんとかなるだろ」

 

「なら俺は梅雨ちゃんだな。俺の個性『テープ』と梅雨ちゃんの個性の相性はどっこいどっこいだがなんとかやるさ」

 

「よしっ!じゃあ気張って絶対に勝つぞ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「それでは最終屋内戦闘訓練 Hチーム対Jチーム開始スタート!!!!」

 

 オールマイトの掛け声とともに掛け声とともに訓練は開始。ヴィラン側は核のある部屋の通路の前にテープのトラップを張り、ヒーロ側を待つ。

 

「これでトラップはよしと。ここまで綿密に貼っときゃ、ある程度の足止めには使えるだろ」

 

「それに加え、核のある部屋は窓のない最も頑丈な作りだ。唯一脆くて窓のあるこの通路守れば勝ちだなんて楽勝すぎるぜ」

 

「だからって油断はすんなよ。いつ来たっておかしくないんだし、今この瞬間も──」

 

「切島!後ろ!!」

 

 上鳴叫んだ瞬間にはもうすでに、ベージュ色のニットと狼と色違いのゴーグルを身に付けたヒミコが切島の背後に接近し、刀を振るう体制をとっていた。

 

 上鳴の声に反応した切島はとっさに硬化し、攻撃は防いだものの刀の衝撃に耐えられず少しよろけた。

 

「惜しいですね。不意打ちならば一人狩れると思ったのですが」

 

「そうでもないぜ。今のは流石に効いた。上鳴サンキューな、声掛けてくんなきゃ俺やられてた」

 

「サンキューついでに離れてろ。少し痺れるぜ」

 

 上鳴の言葉に反応し、瀬呂と切島は一度距離をとった。ヒミコも刀を持ち直し、一歩下がる。

 

 

「無差別放電……30万ボルト!!

 

 

 上鳴の発した電気が辺りを照らし、無差別に火花を飛す。

 

 近くにいた瀬呂もその危なさを察して距離をとり、その火花を躱した。

 

「上鳴危ないだろ!こっちまで焦がす気か!!」

 

「わりいわりい。少し電圧が高すぎた」

 

「あんなの喰らったら真っ黒黒助になること間違いないですね。あなたもしかして真っ黒黒助?」

 

「ちげーよ!誰が真っ黒黒助だ!!」

 

「上鳴!俺が硬化で突っ込む間思いっきり電気を放出してくれ!!俺の硬化なら多少耐えられる!!」

 

「じゃあ俺もテープで援護する!二人ともガンガン突っ込め!!」

 

 切島はより強度高めた上で突撃し、後ろの二人が電気とテープで援護する。シンプルながら強い陣形がここに完成してしまった。

 

「ここまで攻撃が激しきゃ血を飲む暇もないだろ!?」

 

「そうですね。確かにこれは!キツイですね」

 

「今の電撃を躱す時点でだいぶおかしいけどな!なんで今の躱せるんだよ!?」

 

「中2年の時にライフル乱射されながら追いかけられたからですかね?」

 

「一体どんな状況だよ!?ヴィラン犯罪に巻き込まれてるじゃねーか!!」

 

「ちなみにライフルを乱射していたのは私の義母です」

 

 

「「「一体どんな家庭だよ!?!?」」」

 

 

 そんな会話をしつつも、ヒミコは全ての攻撃を躱し、捌きながら切島に斬撃を与えるものの、上鳴の電撃と瀬呂のテープを躱しながらでは腰が入らず、まともな攻撃を与えることができない。

 

「流石にお前も疲れてきて隙もでき始めてんじゃないか!?こいつで終わらしてやる!!」

 

 上鳴は電気をチャージし、大威力の電撃を放つ体制をとった。

 

 

 普通ならば詰みこの状況下は詰み………。そのはずでありながら………ヒミコはニヤッと笑った。

 

 

 手に持つ刀を切島の背後に投げ、ニットの裾に隠していたガントレットで切島の攻撃を受け止める。

 

 

無差別放電……20万ボルト!!

 

 

 仲間に当たらぬよう調整された電撃……本来であればヒミコを焦がすはずの電撃はその軌道を突如変えた。

 

 その電撃は突如投げられた刀にへと走り、刀を大きく揺らしながら収まった。その状況を笑いながらヒミコは言う。

 

「上鳴君、あなたの個性は確かに強力ですが、自身で電撃は操れないのでしょう?最初の電撃がそうです。操れるのであればその電撃は全て私を襲ったはずなのに、電撃は瀬呂君まで焦がそうとした。ついさっきまでの低電圧の電撃は私を襲っていたんじゃない、私の鉄の刀を襲っていたんでしょう?」

 

「な、なんでそこまで……」

 

「私は確かに血を飲む個性を持っていますが、あくまで主体は近距離戦闘。このくらい見抜けて当然なのです。そして……」

 

 ヒミコは一度距離をとるともに背中に隠していたものを投げた。それは特殊な硬質素材でできた切断性ゼロのナイフだった。

 

「切島君、あなたの個性は確かに硬いですがあくまでそれは身体機能の一つ。電撃と斬撃の攻撃を受け続ければ切断性ゼロのナイフでも簡単に出血させる事ができます。そして私は個性を発動できる……!」

 

 ワイヤーを通じ回収したナイフについた血を舐めようとするヒミコをヴィランチームは止めようとするがそれは叶わない。2つの窓から何かが飛び込んできた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                  ◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 Hチームミーティング中

 

「今、なんか建物揺れませんでした?それも何かが叩きつけられたような感じで」

 

「狼ちゃんがまた峰田ちゃんを吹き飛ばしたんじゃない?それもさっきより強い技で」

 

「少し過敏になり過ぎですね狼は。少しお尻を触られそうになっただけであんな騒ぐことないのに」

 

「それはヒミコちゃんの警戒心がなさすぎるだけよ」

 

「それより策はどうする?ヒミコの個性の内容がバレている以上、こちらはやや不利だ。ヒミコは少し下がり気味で戦ったほうがいいんじゃないか?」

 

「いや、むしろその逆です。私が一番戦闘で突っ込み、隙を作ります。梅雨ちゃんと踏影君はその隙をついてJチームの残りを攻撃、一気に勝負をつけてください」

 

「あなたが入試2位だとしても、流石に3人同時に相手するのは難しいんじゃないかしら?」

 

「そうですね。私の個性は変身、他者の血を摂取しなければほぼ無個性と同じと言っていい個性です。逆に相手の個性は硬化、電気の放出、テープのようなものの射出と、どれも血を奪いにくい個性ばかりです」

 

「そこまで理解しているのであればなぜ?」

 

「多くの人が狼と私、そして自分自身の個性しかちゃんと個性そのものを理解しきっていないからです。

『さらに知らない個性の力と即席で協力するため、人数が多いと把握できなくなってしまうから、そこには注意が必要だよ!』

とオールマイトが言っていたように、人数が多すぎると個性の把握が追いつかず、連携に乱れが生じてしまいます。そこに個性の把握が難しい戦闘の中で個性把握というアドバンテージを持つ私を放り込んだ上で戦闘を行い、二人のことを意識の外に置かせればあとは簡単……どう戦おうが必ず勝てます」

 

「つまり自身を餌に相手の隙を作り、俺達がそこを突くというわけか」

 

「逆に私達が連携の乱れでやれぬよう、少数かつ迅速に叩くというわけね」

 

「そういうことです。戦いは如何に有利を押し付け、如何に敵を不利にするかの勝負ですから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                                  ◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行け、黒影(ダークシャドウ)。瀬呂を拘束しろ」

 

『アイヨ!!』

 

「悪いわね切島ちゃん。捕まえさせてもらうわ」

 

 飛び込んできた常闇と蛙吹は即座に瀬呂と切島を拘束、その間にヒミコは切島に変身して個性を発動。電撃を防ぎ、上鳴の腹に拳を入れた。

 

「ちなみに、二人には奇襲のための準備と3人の個性の把握を行ってもらいました。流石にこればかりは見ないとどうしようもありませんから」

 

「上鳴に真正面から勝負を挑まなかったのは正解だった。俺の黒影(ダークシャドウ)は光に弱く、なにもできなかったからな」

 

「私の個性『蛙』も電撃に弱いし、本当に突っ込まなかったのは正解だったわね。全てはヒミコちゃんの作戦通りよ」

 

「マジか……最初から最後まで俺達はヒミコの手のひらで踊らされてたってわけか……」

 

「ライフル乱射の件も、俺達を揺さぶるための作戦だったわけね」

 

「瀬呂君、それは本当のことなので嘘はついてませんよ?」 

 

 

「「「マジで!?嘘だろ!?!?」」」

 

 

 

 謎に驚愕する三人に確保テープを巻きつけ、ヒミコは核にタッチ、核の回収を成功させる。

 

 

 

『ヒーローチーム……WIIIIIN(ウィーーン)!!』

 

 

 

 オールマイトの掛け声とともに試合は終了、ヒミコは力を抜きその場に座った。

 

「ふーっ終わりました。流石に3人を相手にするのは疲れたのです。もう動けません」

 

「……なぁ、俺ついさっきまで狼が一番えげつないと思ってたけど前言撤回するわ」

 

「俺もだわ。今すぐ撤回する」

 

「いやー、ほんとまじで───」

 

 

 

「「「あの兄妹(きょうだい)どっちもえげつなすぎるわ」」」

 

 

 

 その言葉に狼とヒミコ以外は全員頷き、屋内戦闘訓練は終幕したのだった。

 

 

 

 

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