目を覚ましたら実験動物になってたんだけど・・・   作:饅頭おとこ

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ー15ー

 特に何もなかった。

 

 

 びびって損した。

 

 強いて言えばそこら中で死んでいた死骸を観葉植物さんと触手本が掃除するように、片っ端から食ってたぐらいかな。

 お前らモップかよ。

 

 見ているとワーム君がキュイキュイ鳴くから一度のじゃロリと共にワーム君を下ろす。

 

 俺は選別しながら、集めた綺麗目で美味しそうな肉片や鉱石を与える。

 なぜかのじゃロリはワーム君にあげた肉片などを、ワーム君から奪おうとして喧嘩していた。

 

「のじゃー! くれなのじゃー! けちくさいのじゃー!」

 

キュイキュイ!キュイ!

 

「お前はさっきいっぱいたべたって? そんなことしらないのじゃ! 成長期だからいっぱい食べないと死んじゃうのじゃ!!」

 

 のじゃロリ……ワーム君と意思疎通できたのか。

 

 う、うらやましくないもんね!

 ふん!

 

 

 今いる場所は恐らく捕獲された魔獣などの実験経過などを観察場所だったんだろう。が今は通路の左右にあった全面ガラス張りが割れ砕けていた。

 

 中には捕食された途中だったのか、無意味に殺されたのか白衣を着た研究員や身体の半分が溶けている魔獣などが大量に転がっている。

 

 俺がそれを眺めているのにも関わらず、観葉植物さんと触手本は掃除のおばさんよろしく、どんどん綺麗にしていく。

 

 うん、すごいね。

 一家に一台ほしいレベルだ(白目)

 

 

 のじゃロリとワーム君の喧嘩もワーム君が勝利したようで、のじゃロリがぷるぷる震えて地べたをポカポカと蹴っていた。

 

 俺はのじゃロリの首根っこを左手で掴み、ワーム君をそっと右腕に抱き寄せる。

 観葉植物さんと触手本をちらっと見ると、食べるのをやめて近づいて来た。

 

 

 のじゃロリがほっぺを膨らませ。

 

「あっちに進めばここからでられるのじゃ! 本当、ワームは器量が狭い種族なのじゃ!」

 

 指示を出したあと、ワーム君にしょうもないことを言ってワーム君から顔を背けた。

 

キュイ!!

 

 ワーム君も可愛く鳴くと頭をのじゃロリと反対方向に背ける。

 

「こ、こどもだって! ばかにしてるのかこのバカワーム!」

 

キュキュ、キュイ!!

 

「き、き、きさま!言っていいことと、悪いことがあるぞ!」

 

 のじゃを忘れてるぞ。

 

 

 

 のじゃロリとワーム君の喧嘩を流しながら俺は先を進むと、どんどんとおびただしい量の人間と魔獣を通り越して化物みたいな死骸がそこら中倒れていた。

 

 やはり研究員が出口の方に逃げるから魔獣もそれに誘われ戦ったのか?

 

 疑問に思っていると、どこからか声が聞こえた。

 

 

「……タ、タスケテクレ」

 

 

 声の方向に行くと、両足と左手が千切れている人を発見する。そいつは右手にSF感満載の銃を掴んで瀕死状態だった。

 

 なにその中二感満載のカッコいい武器。ていうかなんてそんな体なのに生きてるの?

 今の人間ってそんなに強いの?

 やばすぎじゃない?

 

 近づくとそいつは、俺の姿にびっくりしたのか銃口を向けてきた。

 

 危ないでしょ、こんな物騒な物を向けて。心の中で呟きながら、俺は銃口を掴みそのままヒョイッと奪った。

 

 

 ヒューー! かっこいいね。

 

 

 俺が興味に銃に向かっていると、のじゃロリがそいつに近づき会話をし始めた。

 

「戦闘チームがなぜこんな所にいる。お前らの戦闘力があれば、すぐに脱出できただろ?」

「だ……誰だ。なぜ子供……んな所にいる……。どこかで……覚えが……」

「ふん。お前魔眼持ちだったはずだよな。面倒だから発動しろ」

「なぜ……そんなこ……知っている」

 

 のじゃロリがボインさんの時のようなしゃべり方で喋った。

 

 えぇ、全然精神後退してないじゃん。

 思いっきり記憶あるよね。

 だったらなんで今まで語尾にのじゃって付けてたの?

 

 頭の中がハテナでいっぱいになっていると、戦闘チームの彼が左目を閉じて再度開く。両目が真っ黒になっていた。

 

 あ、あくまかな?(白目)

 

 

「……あんた……たのか。……なんだその悍ま……魔力は……本当に……人間……か?」

「ふん、わかればいい。話を戻すがなぜお前一人こんなところにいたんだ? 場合によっては助けても良いぞ」

「上の者……研究……で……常事態が、全生物……を……逃……殺……」

「やはり最初からここで飼い殺しする目的だったのか。まぁわからなくもない。ただでさえ我々は犯罪者を使い潰したのに、その上こんな悍ましい研究をしていると世間に明るみにでもなったら、いくつの首が飛ぶかわかったもんじゃないな。それはいいが、なぜお前だけ置き去りにされたんだ? お前らの頭のネジが外れているのは知っているが、生きているやつは連れ帰るのがお前らだろ?」

「ベータ……が……出……せいで……それ……対処……」

 

 のじゃロリがベータうんぬんという単語を聞いた瞬間、大きく後ろに下がると口からどでかいムカデを飛ばし続いて魔法を詠唱した。

 

 

 ふぁ!?

 いきなりどうしたの?

 

 

「そいつ危ないのじゃ! 寄生個体ベータに感染させられてるかもしれないから、早く殺すのじゃ!」

 

 

 あ、のじゃが復活した。

 

 観葉植物さんと触手本もそれぞれ遠距離攻撃をして、悪魔人間さんを鏖殺する勢いで種やよくわからん魔法をぶつける。

 

 ちょっとオーバーキルすぎない?

 

 俺がドン引きしながら見ていると、その寄生うんちゃらに感染されていたやつが立ち上っていた。

 

 

 えぇ……なんで足生えてるの?

 

 

 よく見ると千切れていたはずの両足と右手は石のような物に変化して、ゆっくりと壊れたロボットのように歩いてくる。

 

 い、いやぁー最近の人間てすごいね。千切れた場所から石をハヤセルナンテー(白目)

 

 ワーム君がキュイキュイ鳴いたと思うと、

 

「な、なにいってるのじゃ!あたまおかしいのじゃ!」

 

 のじゃロリがワーム君にびっくりして、二度見しながら言った。

 

「うぅ……どうなっても知らないのじゃ!」

 

 のじゃロリがワーム君を持ち上げて、ベータに汚染されたとかいうやつの方に投げる。

 

 な、何してるのかな?

 というか全然飛んでないけど……

 

 ワーム君は痛そうに身体を少し悶えるとキュイ!! と、のじゃロリに怒ったように鳴いて、いそいそと動く。

 

 ベータもワーム君に向けて足を動かすが……どちらも、とてつもなく動きがすごく……

 遅いです。

 

 手持ち無沙汰になった俺は観葉植物さんの頭頂部の花を触って暇を潰す。

 

 

キュイキュイ!!

 

 

 顔を戻すとようやく両者は近い距離になった。そうしてワーム君がおもむろに口を大きく開くとそのまま食べ始めた。

 

 

 うん、だろうね。

 そんなことだろうと思ってたよ。

 石に変化してるしね。

 

 

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