目を覚ましたら実験動物になってたんだけど・・・   作:饅頭おとこ

20 / 29
ー19ー

 ーのじゃロリー

 

 店主と世間話から地下の研究所、地上のことを聞いて情報収集をしていると、突如悲鳴が背後から聞こえた。

 振り向くと、なぜか人狼の身体がどんどん膨れ上がり、大神に変身しようとしていた。

 

 なんだ? あぁ、そういうことか

 

 店の天井を突き破って、重魔導機械スーツをつけた戦闘チームが現れた。だが、人狼は特に戦う気配もなく、馬鹿にしたように戦闘チームにあくびをした。

 

 客が大慌てて逃げる。

 

 戦闘チームが魔導重力銃を一斉に人狼へ照準を合わせたが、まるで閃光のように大神は一瞬で違う場所に移動しており、近くにいた戦闘チームを数人咥えてお手玉をして遊んでいた。

 

 ……漫画で読んだがあれが舐めプってやつか?

 

 いやはや、あれはもはや一種化け物を通り越して怪物だな。

 重魔導機械スーツを着込んだ戦闘チーム一個小隊が赤子のように扱われるとは。

 

 しかし人狼は、なぜあやつらを殺さないんだ?

 

 考えていると逃げ惑っていた客の中から、体を裂きながら石の手が飛び出た。そいつが出た瞬間一斉に周りにいた住民もまるで感染されたかのように、体中から石の手が飛び出たり石に変化していた。

 

 なるほど、あいつはこのことを知っていたのか。

 しかしあいつなら一人で対処できる範囲だと思うが?

 

 人狼が再び煙のようにかき消えると、石化に汚染されたやつらは一斉にコナゴナになり、ワームがいそいそと近づき美味しそうに食べていた。

 

 戻ってきた人狼は戦闘チームの中で異彩を放っているやつの前に現れ、力強い眼差しで見る。

 

「チッ、クソが。そういうことか、これだから知能がある化物は嫌いなんだ」

 

 おそらく戦闘チームのリーダーなんだろう。横にいた仲間がリーダーの肩を掴む。

 

「おい! ベータの進行がここまで来ている。地上に出たらパンデミックが起きてとてもじゃないが手に負えなくなるぞ!」

 

 リーダーは仲間を無視して人狼に話しかける。

 

「俺らはここにいるやつらを片っ端から抹消する。お前らも手伝え、このままじゃ地上まで汚染されてしまう。」

「ここの住民を殺すことはないだろ! 下の研究者のゴミとは違って彼らも俺らと同じなんだぞ!!」

 

 仲間がそういうと、同様のことを考えていただろう戦闘チームの数人が殺気立ってリーダーを睨んだ。

 

「はぁ……わかった、わかった。俺らは感染されていない住民を上に退去させる。見ている限り地下から出てきたお前らは、感染されないんだろ? なら感染者を片っ端から始末してくれ。地上を目指しているのはわかっているが、ガーゴイルに汚染された世界なんて見たくないだろ? 手伝え」

 

 戦闘チームのリーダーが怒りを抑えながら人狼へ提案をした。

 人狼がゆっくりと瞼を閉じ開いた瞬間、姿が消え遠くで爆発音や戦いの音が聞こえてくる。

 

「お前、モニカ・J・ジェーンだろ? ただでさえ頭がイカれてるのに、今度は魔力まで気色悪くなったな。お前のお仲間さんはお前の言うとおり聞くのか?」

「さぁ、どうだろうね。まぁ、彼が戦っているんだ、話ぐらいは聞いてくれるんじゃないかね」

「****に汚染されているのに、憎悪を出さないとは気持ち悪いやつらだな……」

 

 私が会話をしている横で、ワームは死骸を食べていた。食べれば食べるほど巨体になっていく。

 

 このワームそんなに大きくなってどうするんだ?

 地上に出たら怪獣として始末されるぞ。

 

 私がしょうもないことを考えていると、悪魔の書とアルラウネは連携して隠れているやつらを遠距離からぶち抜いて始末する。

 

 さぁて、私はどうするかね。

 

 戦闘チームがリーダーに続いて飛んでいったので、私は店を出て大通りを歩く。

 少し歩いていると地面から推定四メートル近い、熊と虎を融合されたガーゴイルが飛び出してきた。

 

 しょうがない。あまり戦いごとは好きじゃないがコレと戦うとでもするか。

 

 おっと、私の左半身はすでに準備万端みたいだね。

 人狼の因子と魔力入っているが、私も大神みたいに変身するんだろうか?

 それとも他の魔獣に阻害されて、全身が醜い生物になるのか……いやはや楽しくなっちゃうね。

 

 私は笑みを受けべながら化物ガーゴイルを見る。

 

 そいつはゆっくりと口にブレスを溜めると、稲妻を噴射してきた。私は左半身を盾のよう使って防ぎ、ポケットから魔石を取り出して詠唱をする。

 

『我を媒介にして、更なる力を引き出せ』

 

 おっと、力を上昇するはずの魔法を使ったら、なぜか右足まで変化してしまった。

 これはアルラウネかな?

 ほほう、私がイメージをすると右足は自由自在に変態する。これは便利だ。

 

 私はアルラウネがよく使っている種を発射できるよう、右足を大砲の形に変態させて、化物ガーゴイルへぶつける。

 

ガゴンッ!!

 

 化物ガーゴイルは知能がないんだろう、避ける素振りもせず顔面に直撃した。

 種がめり込むと、そこから大量の蔦と幹が溢れ化物ガーゴイルを縛り付けて拘束をする。

 

 アルラウネの種が異常なのか化物ガーゴイルが弱すぎるのか。

 まったくわからないね。

 

 私はワームを呼び寄せる。

 

『もう! 何よ! 私はご主人様が倒してくださった美味しい石を食べていたのに……』

 

 ぶつくさ言いながらやってきた。

 

「私は他の巨体のガーゴイルを拘束するから、それらを優先して喰らってくれ」

『なんで! あんたに命令されなきゃ! いけないのよ!」 

 

 ワームはプリプリ言いながらも拘束されている化物ガーゴイルを頭から丸呑みする。

 

 ふむ。

 アルラウネの種はやはり人狼の魔力も含んでいるから、ワームには影響がないようだね。

 

 一度建物の上に登り、辺り一帯を見る。周りはアルラウネと悪魔の書のせいだろう。私が先ほどやったほうに植物に拘束されている。

 そしてその中で、身体の半分を異常な早さで腐敗され汚染されている感染個体を見つける。

 

 遠くでは人狼が二十メートル近い、もはや怪獣と言える化物と戦っていた。が、怪獣の動きには先ほど私が戦った化け物ガーゴイル同様知能があるようには見えない。

 やはりベータは操作すらせずにいるんだろう。

 

 誘導目的だな……

 

 人狼は飽きたのか口から禍々しいブレスを吐くと怪獣は体の半分を消失して倒れた。

 それを合図に戦闘チームもぞろぞろ戻ってきた。おそらく住民の大半も地上への退去が完了したんだろう。

 

 この短時間でよく終わらせたな、それとも感染していない人数の方が少なかったとかか?

 まぁいい。

 

 

 しかし……さっきまでは綺麗な街並みも私たちが暴れたせいで、ほとんど更地になっていた。

 

 

 私がそれらを眺めていると戦闘チームのリーダーが近づいてきて、被っている頭部の装具越しからでもわかるほど、嫌そうな顔と声が聞こえてくる。

 

「チッ、お前らとあの犬っころは本当忌々しいやつだな。お偉いさんたちは、ここから下を異次元封印を施してそのまま亜空間に飛ばすらしいぞ。次地上であったら殺してやるからな」

 

 あ、これも漫画で見たやつだ。

 

 

 ツンデレとかいうやつだったかな。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。