目を覚ましたら実験動物になってたんだけど・・・   作:饅頭おとこ

25 / 29
ー24ー

 

 ぴーぴー!!

 

 ワーム君が目を細め、よくわからん硬そうな鉱石を美味しそうに食ってた。

 

 

 ……インコって鉱石食うの?

 というか今の時代、喫茶店って鉱石を出すんだね

 

 う、うん……こんな不思議な世界になったんだし、食べるよな!

 

 無理やり納得させ、注文したステーキをわくわくしながら待っていると、横からのじゃロリの声が聞こえてきた。

 

 

「美味しいのじゃー! のじゃー!」

 

 

 昔の俺ならホッコリしていたが、取ってつけた『のじゃ』にその上ポンコツな一面を知った今ではイラッとしかしない。

 

 ……満面の笑みを綻ばせているが、イラっとしかしない。

 

 

 いいね?

 大事なことだから二回言ったんだ。

 

 

 そんなのじゃロリの視界外からシュルシュル蔦を伸ばし、のじゃロリのケーキを吸う観葉植物さんがいた。

 

 のじゃロリの真似をして満面の笑みを浮かべているんだろうが……般若の顔に変わる。

 

 

 いや、感情表現間違ってるがな!

 

 キャンキャン!!

 

 

 思わずツッコミを入れキャンキャンしているとイケメン店員が近づいてきた。

 

「あの……お客様? ペットをお連れするのはいいですが、少しお静かにしていただければ、と……他のお客様もいらっしゃるので」

「あっ! す、すまないのじゃ! メッだぞ! ポチ! メッ」

 

 ポ、ポチだとぉぉ!?

 このクソのじゃロリ!

 

 俺が抗議のわんわんおーもとい、キャンキャンしまくっていると後ろから首根っこを掴まれた。

 

 な、なんぞや!?

 く、くぅぅぅん……!!

 

 即落ち二コマの女騎士のように情けない声を出す。

 

 俺を掴んでいるやつを見ようとするが、愛くるしいニューボディーでは見えない……見えないがぬるぬるした液体が首から伝わってくる。

 

 

 や、やめてくれ!

 フルチン悪魔の刑には処さないでくれ!

 大人しくするから!!

 

 

 懇願が伝わったのか触手本は俺を離した。

 

 

 う、ぅぅ……ぬるぬるだよぉ……

 

 

 体までベチョベチョになりシュンとする。

 だが、ニューボディーは勝手に本能から舐めて毛繕いをしようとするので必死に止める。

 

 

 い、いやだ!

 こんなやばい液体舐めたくない!!

 

 

 自分と戦っていると。

 

 ぴーぴー!

 

 ワーム君はどこから持ってきたのか、綺麗なお手拭きを器用に咥えながら持ってきたではないか!!

 

 ワ、ワーム君!!

 

 ワーム君の心優しさに俺はうるっとして、ガシッ!! と抱きついた。四本足のワンちゃんがどうやって抱きついたのか疑問に思うが、それは置いといて。

 

「ふぅ……しょうがないのじゃ」

 

 なんだかんだ面倒見が良いのじゃロリに拭いてもらい、やってきたステーキをガツガツ食う。

 

 ピャー! うまい!

 ガツガツガツ!!

 

 

 ふぅ……ん?

 

 

 お腹をポッコリして食休みをしているとオークさんが機械をこちらに向け凝視していた、主にのじゃロリを。

 

 そんなのじゃロリはいつの間にか新しいケーキを注文して食べていた。満面の笑みで足をバタバタさせている。

 

 コラ! お行儀悪いでしょ!

 

 俺が小さく鳴き声をあげると、のじゃロリが頬のぷっくり膨らませる。

 

 んもう!

 この子ったら!!

 

 お母さんワンちゃんになっていると、妙に視界に入っているコメント欄が気になった。

 というかなんかすっごい速さでコメントが流れている。

 

 

 チラッ

 

 

[ほっこり]

[ほっこり]

[ほっこり]

[ほっこり]

[ほっこり]

[ほっこり]

 

 

 とてつもない量のほっこりのコメントで埋め尽くされていた。

 というか多すぎで気持ち悪いんだが。

 

 俺がチラ見しているのに気づいたのか、こちらを凝視していたオークさんは再起動した。

 

「ご、ごほん」

 

 わざとらしく咳込んで機械を戻し。

 

 

「ふぅ! エルフのルークちゃんもケーキを食べるノジャ!」

 

 

[は?]

[は?]

[ふざけてんのか?]

[戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ]

[消えろ消えろ消えろ消えろ]

 

 

 真似しているんだろうが、のじゃロリ以上に取ってつけた感が凄まじい。

 というか、『のじゃ』じゃなくてカタコトで『ノジャ』って言ってるし。

 

 差別化を図ってるのか?

 よ、よくわからん……

 

 

 てっきりケーキを握りつぶして「グハハハハ!」って言って食べると思いきや、ものすんごいお上品なオークさん。

 フォークとナイフを使い切ったケーキを、小さく開けた口に入れていく。

 

 絶対、育ちがいいよね。

 

 モグモグする口元を隠しながら食べ終えたオークさんがケーキの感想を言う。

 

「うーん、美味しいノジャ! まろやかなクリームの甘さに身を任せフワフワ漂っていると、そこへスポンジが僕もいるぞ! と言って柔らかさが口の中で溢れてくる。目を細め至福に満足していると! 小さくノックして悪戯をするアルコール、追いかけるとスゥーと鼻から逃げていく。九十点ですかね……ノジャ!」

 

 

 プロかよ。

 もはやノジャいらねぇだろ。

 

 

 オークさんに呆れ、コメント欄を見る。

 

 

[お前は料理の感想だけ言ってろ! クソクソオーク!]

[エルフをバカにしてんのか!! さっさとカツラと耳外せや!!]

[美味そう]

[戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ]

[消えろ消えろ消えろ消えろ]

 

 

 ちらほら褒めているようなコメントが一つ二つ流れるが、それ以上に暴れ回っているやつらばっかりだった。

 

 コメントをNGするわけでもなく、「ふん」っと言って小馬鹿にするオークさん。

 

 あっ

 

 オークさんが煽ったせいでより一層酷くなる罵詈雑言の濁流。それに微塵たりともへこたれることすらなく、むしろドヤ顔する。

 

 

 ……メ、メンタル強すぎない?

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。