目を覚ましたら実験動物になってたんだけど・・・   作:饅頭おとこ

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ー25ー

 

 

「天から舞い降りた華麗なエルフのルークは天に帰らないと行けないノジャ! みんな、また見てなノジャ!」

 

 

[二度と配信すんじゃねぇぞ!!]

[エルフをバカにしてんのか!]

[最後にのじゃさんを映せ!]

[戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ戻せ]

[消えろ消えろ消えろ消えろ]

 

 

「さらばなノジャ!」

 

 

 パタリッ

 

 コメント欄を黙殺して機械の電源を切るオークさん。

 

「ふぅ……今日も大歓迎だったな」

 

 

 えぇ?

 どこをどう見たら大歓迎なんだよ……

 

 

 ドン引きしているとオークさんがこちらをゆっくり振り向く。先ほどまでの優しげな眼差しからどこか凍りつくような目だった。

 

「初めまして、になりますかね、モニカ・R・ジェーン。あなたの噂はかねがね……」

「ほう? 気づいていたのか。それは良い噂か? それとも悪名かな?」

 

 う、うん?

 知り合いだったの?

 でも……さっきのやりとり、どう見ても知らない人同士だったよね?

 どういうことよ

 

 オークさんとのじゃロリは視線をバチバチぶつけ合い、不穏な気配が立ち込める。 

 

「あれだけ暴れ回り、未だ魔人族に殺されず生きてるとはな。呆れるよ、その生命力。流石、暴虐の……おっと、それとも勇者ルークとでも呼んだ方がいいかね?」

「こちらのセリフですよ、モニカ・R・ジェーン。敵対しているとはいえ、魔人族を生きたまま解剖して楽しんでいたあなたの方がよっぽど、ね」

 

 オークさんは両肩を上げてニヤッと笑った。

 

 

 や、やめてくれ! 意味深な会話をするのを!

 暴虐に勇者ってなんだよ!

 

 キャンキャン!!

 

 

「ふふ。ポチ君も健気にも主人を守ろうとしているようですね」

「ほざけ。ただの犬じゃないのはわかってるんだろう?」

 

 

 キャンキャン、キャン!!

 

 

「ふん、まぁいい。わざとらしく横の席を陣取り、待っていたのは上のボンクラどもの指示か? 私たちを排除しに来たのだろう?」

「やれやれ……僕は更生したっていうのに。偶然ですよ、偶然」

「チッ」

「レディーが舌打ちはよくありませんよ、モニカ・R・ジェーン」

「今はモンブランだ。モンブランと呼べ、気狂いルーク」

「ふふ。今の時代、そんな古い名前をいくつもぽんぽん出して呼ぶのはあなただけですよ。でしたら、僕のこともただのルークと呼んでください」

 

 

 キ、キャンキャン……しゅん。

 

 

 無視されすぎた俺の心には深いダメージが刺さった。

 

 ぶーぶー

 

 顎を机に乗せてぷーたれる俺。

 胡乱げに机を眺めているとなぜか足が二本、机の上にあった。

 

 なんぞや?

 

 顔をあげると、観葉植物さんが机の上で仁王立ちになって腕を組んでいた。

 のじゃロリの威嚇を真似しているんだろうけど……なぜか満面の笑みでオークさんを見ている。

 

 間違ってるぞ、観葉植物さん。そこは怒った顔をしないと……

 ってちがーう!

 

 一人ノリツッコミしちゃったじゃん!

 早く降りなさい、はしたないぞ!

 というか店員さんに追い出されるがな!

 

 

 

 

 

 

 ……追い出された。

 

 しょぼくれながらトボトボ歩いていると、のじゃロリに抱えられた。

 

 んもぅ! 普通に歩かせてよ!

 

「それでいつまで私たちに付き纏ってくるんだ?」

「ふふ。僕はあなたにそこまで嫌われることしましたかね?」

「チッ。聞いた話通りムカつくやつだな」

 

 のじゃロリの言う通り、俺たちの横にはオークさんがずっと付いてきていた。

 

 ストーカーかな?

 

「おやおや?」

 

 歩みが突然止まり、オークさんを見ると片眉を上げていた。

 

 うん?

 

 オークさんの視線の先には彫刻のように美しい目鼻立ちの男女がいた。なぜか周囲の風景がとてつもなく歪んでいる。

 

 どうなってんだ?

 

「ようやく見つけたぞ、ゴミ」

「忌々しいカスが……」

 

 そんなことを言う男女の両手は二人とも真紅に染まり、滴っていた。

 

 明らかにやばい男女だというのに、のじゃロリとオークさんは警戒した様子もなく雑談を興じる。

 

「おい。お前のせい厄介がごと来たではないか」

「僕のせいですか?」

「あいつらの目を見てみろ。お前にビンビンと熱い眼差しを送ってるじゃないか」

「やれやれ。しょうがないですね」

 

 オークさんがわざとらしくため息をこぼした瞬間、一瞬にしてオークさんがかき消えた。

 

 

 ドンッ!! ドドンッッ!!

 

 

 と鈍い音が響き、すぐに音が止むと男女がいたところには赤い染みが二つ生み出されていた。

 

 な、なんぞや!?

 

 のじゃロリの胸から頭を出してキョロキョロ見ると、いつの間にか横にオークさん戻っていて、おどろどろしい太い血管を生やした大剣を持っていた。

 

 きっしょ。

 なんかビクンビクン動いてません?

 

「ふぅ……」

 

 オークさんが肩を回していると、時代錯誤な鎧をつけた人たちが走ってきた。最初は険しい顔をしていたが、オークさんを見ると顔を強張らせ敬礼をする。

 

「お、お疲れ様です! ルーク様!」

「はい。お疲れさん」

「ご、ご迷惑おかけしまして申し訳ございませんでした!」

「お気にせず、後始末はお願いしてもいいかな?」

「当然です!!」

 

 騎士たちは周囲から人を追い払い、「魔人族、うんぬんかんぬん」と会話をしていた。

 

 そこへ俺の頭上からのじゃロリの呆れた声が聞こえてくる。

 

「相変わらずだな」

「そうですか? これでもかなり衰えた方ですけどね」

 

 そう言って再び歩き出す。

 

 

 

 ……いや、今の二人誰だよ!!

 説明しろ!! 

 

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