無限転生 ~Summon Irregular~ 作:とんこつラーメン
例の彼女だったり、あの超ハイテンションな彼だったり。
どちらにしろ、レイナーレが不遇な目に遭うのには違いないんですけどね。
さて…なんか教会に近づくにつれて堕天使が次々と襲い掛かって来てるのを見ると、どうやらあの廃教会(仮)が奴らの根城って私の予想は大当たりだったみたいね。
私って意外と推理力があるのかしら? 今度、試しに推理小説でも買ってみようかな?
「町外れの林を抜けると、そこには壊れかけている教会がありました…ってか」
すっかり夜も更けて、真上には綺麗な満月が浮かんでいる。
そんな中に悠然とそびえている教会を見上げて観察をしていると、本格的にボロボロな場所だってことが分かった。
「木製で作られているせいなのか、壁は所々が虫に食われて今にも倒壊寸前って感じだし、象徴とも言うべきステンドグラスは完全に割れて破片がそこらに散らばってる。トドメに屋根の一番上にあったと思われる十字架がポッキリと折れちゃってるじゃないのよ。ったく…使うなら使うで、ちゃんと応急修理ぐらいはしたらどうなの? こんなんじゃ、雨降った時大変でしょうに」
うーん、我ながら何を言ってるのかしらん?
どうも昔から、この手の廃屋を見ると真っ先に庶民的な感想が出てしまう。
感覚自体は完全に庶民なんですけどね。庶民最高。庶民万歳。ジーク庶民。
「…にしても、割と堂々と敷地内に侵入してるのに、親玉が全く姿を見せないのはどーゆーこと? まさかとは思うけど…まだ私っていう侵入者に気が付いてない?」
別に気配を隠したりとかは全くしてないんだけどな~。
かといってダダ漏れにもしてないし。今の私は自然体なのですよ。
「…ま、気にしてもしゃーないか。取り敢えず入りましょ」
この場にいるのは私だけ~。
大きく足を上げても問題な~し。
パンツがめっちゃ丸見えになってるけど、これは見せパンだから気にしな~い…ってね。
「てなわけでドーン!! ハイパー銀色の脚スペシャ――――――――ル!」
割と力を込めて壊れかけのドア目掛けてのハイキック。
ドアは粉々になりながら壁の方まで吹っ飛んでいった。
「こんにちわー! 三河屋でーす!」
教会の中には明かりも無く、中は完全な暗闇状態。
私は夜目が効くから問題は無いけど、こりゃ常人には厳しいわね。
本当に誰もいないのか、シーンという静寂だけがこの場を支配している…と思いきや、これまた壊れかけの長椅子の影から誰かが出てくるのが見えた。
いや、気配は感じてたから誰かがいるのは知ってたけどね。ホントだよ!
「んだよ…折角、人が静かに寝てたってのによ……って?」
姿を現したのは、白い髪に白い肌、白いコートを着ている何から何まで真っ白な青年だった。
あそこまで白で全身をコーディネイト出来るってのはある意味で凄い気がする。
彼には是非とも、カレーうどんやミートスパゲッティーを食べて欲しい。
絶対に服が面白おかしい事になるから。
「……え? いや…まさか…そんな事がある訳が…でも…あの髪やあの顔は絶対に……」
なんか私の事を見ながらブツブツと言ってるけど一体何なの?
言いたい事があるのならハッキリと言いなさいな。
「あ…あのぉ~…つかぬ事をお伺いしますけどぉ~…」
「なんじゃろほい」
「もしかして…お姉さんはあの『召喚士』で『調停者』やってる『アルカ・グレモリー』さんだったりしますぅ~…?」
「もしかしなくても、私は召喚士で調停者のアルカ・グレモリーお姉さんでありますですことよ?」
「!!!!!!!」
うわ…すっごい冷や汗を掻きながら超スピードで奥の壁まで後ずさりして行っちゃった。
なんか変な事でも言っちゃったかしら?
(じょ…冗談じゃねぇぞ!! 幾らなんでも洒落になってねぇンだよ!! どうして、よりにもよってアルカ・グレモリーがこんな場所に来るんだよッ!? もしかして、この町がアイツの妹の管理してる土地だからかっ!? だとしても、調停者って普通は一年365日に渡って世界中を飛び回ってる超絶忙しい職業の筈だろうが!! それなのに、どうしてピンポイントでこの時期のこの町のこの居場所に来ちまうんだよッ!?)
割とマジで、あの子ってば大丈夫?
冗談じゃ済まされない量の冷や汗を掻いてるんだけど。
どこか具合でも悪かったりするの?
(む…無理だ…! 絶対に勝ち目なんてねぇ…! そこら辺の雑魚悪魔どもなら幾らでも首チョンパしてやるけどよ、このネーチャンだけは不可能だっつーの!! 伝説級の魔獣や魔神とかと真正面から戦って普通に勝っちまうような化けモンだぞ!!)
あの風貌から察するに…彼はもしかして神父なのかな?
しかも、こんな場所にいるって事は所謂『はぐれ神父』?
おおかた、金とかで雇われてるんでしょうけど…どーしよ?
普通に倒すか、それとも拷問にでも掛けてみる?
ちゃんと手加減とか出来るかな?
(ここにいるって事は、恐らくは他の連中は絶対に倒されてやがんな…。ま、それに関しちゃ相手が悪すぎたな。けど、今はんな事はどーでもいいんだよ! このままじゃ今度は俺様が確実にぶっ倒されるってことだ!! ここが堕天使共の居場所だってのは分かってるだろうし…下手な言い訳をしても逆効果だろうな。かといって逃げられるとも思わねぇ…。もし仮に逃げようとしたら、その瞬間に背中からバッサリ逝かれちまう!!)
よし。取り敢えず、彼を軽く小突いて気絶させてから、その後にゆっくりと中を探索しよう。
なんか急にワクワクしてきたわねー。昔のRPGでもやってる気分だわ。
部屋に戻ったら、なんか適当なレトロRPGでもダウンロードでもしようかしら。
「ちょっと…さっきから騒がしいわよフリード。何をやっているの」
「ゲッ!?」
「あら?」
なんか奥の部屋から羞恥心なんて捨てました的なボンテージな格好をしてる堕天使の女が出てきた。
もしかして、あいつが例のレイナーレ?
あ…今のは別に『例』と『レイナーレ』を掛けてる訳じゃないからね?
マジでギャグのつもりとかじゃないんだからね!!
私、そんな寒いギャグを言うような女の子じゃないもん!! ホントだもん!!
(なんつータイミングで出てくんだよ、このクソアマ!! 状況分かってんのかッ!? こちとら今、冗談抜きで人生最大の絶体絶命大ピンチ状態なんだぞっ!?)
こ…こほん。
ともかく、向こうからやって来てくれたのは都合がいい。
探す手間が省けたからね。
「その女は何? もしかして侵入者かしら?」
「おい…お前…こいつの事を知らねぇのか?」
「はぁ? なんで、この私がこんな人間の事を知ってなくちゃいけないのよ? いい? 私はいずれ至高の堕天使となるべき存在なの。こんな矮小な人間なんかに構っている暇はないのよ。分かったら、とっとと殺しなさい。あんたなら楽勝でしょ?」
わーい。なんか私ってば超舐められてるー。
しかも、こいつもまた私の中にある悪魔の気配が分からないパターンだー。
「はぁ……」
およ? なんか急に真っ白神父くんが大きな溜息を吐いたよ?
呆れてるって感じに見えるけど。
「…もういいわ。今までは金の為にやって来たけどよ、流石に自分の命には代えられねぇわな」
「何言ってるのよ? 意味分らないわよ?」
「本当に馬鹿な女だな…こーゆーことだってんだよ!!」
懐から素早く銃を取り出したと思ったら、いきなりレイナーレ目掛けて発砲した。
けど、銃弾は命中しておらず、彼女の顔面のすぐ隣の空間を撃っただけだった。
「フ…フリード…何のつもりよ…! この私を裏切るつもりっ!?」
「当たり前田のクラッカーだ!! いいか、オレさまは基本的に強い者に巻かれる主義なんだよ。ボクちゃんが言いたい事がわかりまちゅか~?」
「そ…その女が私よりも強いって言いたいわけ…!?」
「強いに決まってんだろうが!! 調停者のアルカ・グレモリーだぞっ!? その気になれば、たった一人で三大勢力全体と戦っても勝てる可能性があるって言われてるほどの奴なんだぞっ!! 俺みたいなはぐれ者でも知ってるような超絶有名人を知らねぇって、テメェはどんだけ雑魚でモグリなんだッつー話ですよ!! ったくよ……」
な…なんか仲間割れしてる感じ?
別に私は何もしてないよね? それとも、ドアを蹴破ったのが拙かったのかな?
あ、フリードって呼ばれてた彼がこっちに来たし。
「アルカの姐さん」
「姐さんって」
「姐さんが探してるのはレイナーレっすよね?」
「そうだけど……」
「あの女がレイナーレっす」
「だよね。さっき大声で言ってたしね」
あの会話を聞いていれば、嫌でもネタバレはしちゃうよね。
「そんでですね…もし仮に姐さんの所でバイトしたいって言ったら、どんな感じになりますかね?」
「別にバイト募集はしてないんだけど…そうだな~」
もしも私がバイト君を雇ったとしたら……。
「三食昼寝付き&食事&おやつ付きで自給1150円かな」
「ハイパーウルトラ好待遇!! バイトさせて下さい!!」
「いきなり履歴書出してきたッ!?」
ポケットの中に入れていたのか、すっごいクシャクシャになってるけど…。
え~っと? フリード・セルゼン? 車みたいな名前だね。
「ま…まぁ…履歴書は受け取っておくよ。採用するかは別として」
「あざっす!! んじゃ、まずはあのクソビッチをぶち殺しタ~イム! あ☆ 突・入♡ っスね!!」
「残念だけど、それは無理。一応、生かして捕まえようって決めてるから」
「マジっすかッ!?」
「マジです。といっても、別に情に絆されたとかじゃないからね? 実は私さ、アザゼルから今回の件について依頼されてて、生死は問わない的な事は言われてるんだけど、ここで頑張って生かしたまま確保出来ればアザゼルにでっかい借りが出来るじゃない? そしたら、その借りを使って利用しまくろうと画策してて」
「アハハハハハハハハハハハハッ!! あの堕天使総督に借りを作らせて搾り取ろうとか、考えてる事のスケールが違い過ぎるわ!! 流石はアルカの姐さんっス! マジで一生ついて行くッス!!」
「そ…そう……」
彼…顔は良いんだけど、テンションの上がり下がりが激しすぎない?
情緒不安定にも程があるような気がするんだけど。
「ちょっと…待ちなさいよ。なんでアンタみたいな奴の口からアザゼル様の名前が出てくるのよ…。それに、依頼されたって……」
「いや…私ってば調停者ですし? そりゃ各勢力や各神話のトップの方々とは普通に濃い繋がりは持ってるよ? アザゼルなんて昼間に一緒にご飯を食べたし」
「ア…アザゼル様とご一緒に食事…ですって…!?」
そこまで愕然とするような事? 黒い翼さえなければ普通のオッサンだよ?
「このままコイツらを放置しといたら、色々と遺恨が残るかもしんないでしょ? だから、まだ傷が浅い内にどうにかしてって言われたの」
「成る程…今ならばまだ何とかなるって事っすね」
「そゆこと。勝手に暴走した名前も知らない部下なんて切り捨てられて当然よね。企業とかでも似たような事は日常茶飯事なんだし」
流石に殺されたりはしないけどね。でも、場合によっては社会的に死ぬか。
「わ…私達がアザゼル様に切り捨てられた…? そんな馬鹿な事があるわけないじゃない!! 私はいずれ、アザゼル様から最も寵愛を受ける存在になるのよ!!」
「ちょーあいって……」
「今時、そんな言葉を使う奴っているのね…」
妄想癖が激しい女の子なのね。あのアザゼルが誰かを愛する? ナイワー。
女なんて性欲を満たす道具ぐらいにしか見ていないアザゼルが特定の異性を愛するとか、それこそ天地がひっくり返っても有り得ないでしょ。
「カラワーナ!! ミッテルト!! ドーナシーク!! 早くこの女を殺しなさい!!」
シーン……。返事が無い。ただの屍のようだ(笑)。
二人は死んでないけどね。
「あ。なんか、ここに来る途中で三人の堕天使に襲われそうになったけど、全員やっちゃったから」
「な…なんですってっ!?」
「女の子二人は生かした状態で林の中に放置してきたけど、老け顔の男の方は完全消滅しちゃった。シュ~って蒸発して」
「そ…そんな……」
「流石は天下のアルカ・グレモリー…やる事がえげつねぇ……」
やる時は徹底的にやる女の子ですからね、私は。
「こ…こうなったら、この私自らの手でお前を葬り去って……」
「マジで出来ると思ってる? つーか動きが遅すぎるから。召喚獣『ゴブリン』!」
レイナーレの足元に召喚用の魔方陣が展開。
そこから緑色に染まった筋骨隆々で極太の腕が生えてきた。
「ゴブゥッ!!」
「ぶべらっ!?」
んで、そのままアッパーカット。
当然だけど、レイナーレは派手に吹っ飛んだ。
彼女がどいてから出現したゴブリンは、普通のゴブリンとは完全に見た目が違っていた。
まるで、ギリシャ神話にでも出てきそうな拳闘士みたいな軽装の鎧を纏った無駄にイケメンで鋭い目をして、緑色の長い髪がゆらゆらしている。
ま、私がそんな風に育てたんですけどね。
因みに、ちゃんと言葉も話せるように勉強もさせました。
「まさか、こんな雑魚を倒す為だけにこの俺を呼び出すとはな…」
「別にいいじゃない。マインドフレイアはさっき召喚しちゃったし、他の子達はどれだけ手加減しても殺しちゃいそうなんだもん。私が契約している召喚獣でちゃんと手加減が出来るのって、今のところは君しかいないでしょ?」
「やれやれだぜ……ゴブゥッ!!」
床に倒れているレイナーレを無理矢理起こしたゴブリンは、そのまま彼女を空中に投げ飛ばし、無防備になった所を必殺のラッシュで決めた!
「ゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゴブゥッ!!!!!」
最後に指をビシッと指して決め!
「テメーは姐さんを怒らせた」
いや…私は全く怒ってませんよ?
レイナーレ…
召喚獣ゴブリン CV小野大輔
次回は清楚系ヒロインな彼女が登場。
このゴブリン、ラッシュが出来るのだから、その気になれば時だって…?