無限転生 ~Summon Irregular~ 作:とんこつラーメン
フリードがレイナーレを裏切って、
そのレイナーレはスターゴブリンにラッシュされた。
「ありがとねー」
「またいつでも呼びな」
爽やかな笑顔を残して、ゴブリン(魔改造)は戻って行った。
相変わらず、無駄にカッコいい奴。
「ちょ…なんなんスかっ!? あの原形を留めないぐらいに変貌してた恐ろしく強いゴブリンはぁっ!?」
「あぁ…スターゴブリンの事?」
「スターゴブリンとなっ!?」
因みに、名付けたのは私。
ずっと前に転生した時に印象に残りまくっているスタンドの名前から取らせていただきました。
本人に知られたら『やれやれだぜ』って言われそうだけど。
「最初に出会った時は体も小さくて気弱なゴブリンだったんだけど、なんだか見てて可哀想になってきちゃって。で、まずは私の方で常識やら言葉やらを教えてあげたの」
「そこまで聞くと、どこにでもありそうな話っすね」
「その後に、ウチの義兄さんの眷属の人達に『この子を鍛えてあげてください』って預けたの」
「魔王の眷属にゴブリンを預けたぁッ!?」
「そだよ。んで、二年後ぐらいに様子を見に行ったら…ああなってた」
「その二年間で何があったんだよ……」
「さぁ?」
少なくとも、私なんかが想像も出来ないような特訓をしてたんだろうね。
「しっかし…ゴブリンにフルボッコにされる堕天使っつーのも哀れだよな…幾ら雑魚とはいえ」
「この世は所詮、焼肉定食。強いものが食べ、弱い者は白飯を食う」
「うーん…なんか京都を焼き討ちしそうな名言。って、ちょっと違ってね?」
「ある意味、間違ってはいないでしょ?」
「確かに」
焼肉もまた立派な戦場なのよ。
己の育てた肉をちゃんと口に入れるまで油断は禁物なんだから。
「それと、さっき私に関して色々と言ってたけどさ、あれって殆どがデマよ? 私に関する話が広まるうちに色んな噂が付随していく形で大きくなっちゃったのよ」
「うそぉっ!? んじゃ、竜神とタイマンして勝ったってのは……」
「確かに戦いはしたけど、あれは戦いってよりは試練に近かったし。基本的に私は召喚獣の契約をする際には可能な限り話し合いで解決するようにしてるもの。無駄な労力を省くに越したことはないしね。それでもよく戦闘に発展することがあるんだけど。割と血の気が多い子達も多いし…」
「やっぱ戦いはするのかよ……」
「正当防衛よ」
「理由はどうあれ、普通じゃ一秒も持たないような相手と戦って生きてるだけでも凄いってのに、ちゃんと契約までしてる時点で凄すぎなんスけど…」
そうかしら? やること終えたら、ちゃんと話を聞いてくれる子達ばかりだったけど。
「それじゃ、この同じ女として哀れな姿になってるレイナーレから話を聞くとしますか」
床に転がっているレイナーレの顔は元の形が不明になるレベルでボコボコになっていた。
普通に殺されていても不思議じゃない事をやってるんだし、どんだけ酷い事になっても生きてるだけマシって思って貰わないと。
「あ。オレッち、こいつらが何をしようとしてたのか知ってるッスよ?」
「マジ? ってことはもうレイナーレがいる意味ないじゃん。つーわけで、お外に向かってポーイ」
私が蹴破った出入り口に目掛けて気絶をしているレイナーレの体をぶん投げる。
悲鳴も上げずに飛んで行ってくれたのでよかった。
「はい。ゴミ捨て完了したから話して頂戴な」
「了解ッス。実はあいつ等、バチカンから連れてきた『アーシア・アルジェント』っつーシスターの女の子から神器を取り出そうとしてたらしいんスよ」
「うわー…なにそれ。普通に引くわー…。つーか、まるでお約束のように囚われのお姫様がいるの?」
「うす。どうします? 助けます?」
「そりゃね…ここで見捨てたら後味悪いし、私の評判にも関わるしね。あと、人道的な見地で助けます」
「最後の絶対に後付けだろ……」
そーゆーのは分かってても言わないもんよ。
「そのアーシアちゃん…だっけ? その子はどんな神器を持ってるの? 態々、生きてる人間から取り出そうとしてたぐらいだから、さぞかし凄いんでしょうね」
「確か『
「成る程ねー…回復系の神器はレアだもんねー」
なんでか知んないけど、神器ってどれもこれもが血気盛んな攻撃系のばかりなのよね。
もうちょっとサポート系の神器があってもいいと思うんだけど。
「ここの地下に割と広い空間があって、そこで神器を取り出す為の儀式をする予定だったみたいっすよ? 当日は各所から集めた裏側な神父たちを集めて」
「その時点でレイナーレが恐ろしく雑魚だって理解出来るわね」
「なんでっすか?」
「確かに生きた人間から神器を取り出すのには、ちゃんとした儀式が必要ではあるけど、それなりの実力を持った魔術師とかなら広い空間もサポートの為の神父もいらないの。その気になれば、六畳一間の部屋とロウソク数本に紙とペンさえあれば十分。私なら取り出す本人に術式を書いて取り出すけど」
「あのアマ…どんだけ身の程知らずだったんだよ……」
多くの堕天使達が持っている多種族に対する慢心が、己の目を曇らせたんでしょうね。
仮に真面目に頑張ったとしても、大成するかは微妙だったと思うけど。
「そもそも、アザゼルに好かれたかったら裸でアイツの寝床にでも突撃して股を開けば楽勝じゃない。なんでそうしなかったのかしら?」
「あの堕天使総督にそんな事を言えるのは姐さんだけだぜ……」
アザゼルなんて、実力最強なだけの普通のオッサンじゃない。
そこまで緊張する必要性は無いと思うんだけど。
「それよりも、そのアーシアちゃんはどこにいるの?」
「奥の部屋じゃないっすかね? ここってかなりの部屋数があったっすから」
「仮にも教会だしね。…そういや、私ってばかなり暴れたと思うんだけど、そのアーシアちゃんは気が付いてないのかしら?」
「寝てるんじゃないんスか? 知らんけど」
「ま…いっか。取り敢えず、奥まで行ってみましょ。その後に地下の様子も見ておかないと。馬鹿な奴らに悪用とかされて私の仕事が増えるのだけは勘弁願いたいしね」
「姐さんのそーゆー考え方…嫌いじゃないっす」
「ありがと。んじゃ、案内よろしくね」
「うっす!」
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
フリード君の案内で奥まで進む私達。
確かに幾つかの部屋が並んでいたが、その殆どがボッロボロで使い物にならない場所ばかり。
中には物置っぽい場所もあったが、室内には何も無かった。
「多分ココっす。この教会で数少ない真面な部屋だったんで」
「成る程ね。じゃあ、ちゃんとノックをして……あ」
ノックしようとしたら、一発目でドアが壊れて内側に倒れちゃった。
か弱い乙女の細腕で壊れるとか、どんだけ脆くなってるんだッつーの。
「だ…誰ですか?」
「俺サマだよん! アーシアちゃん♡」
「フリード神父! …と…どなたですか?」
殆ど真っ暗に近い部屋には気休め程度のランプが置かれていて、辛うじてギリギリ休めそうなベッドには金髪碧眼の清楚そうな美少女がちょこんと座っていた。
あの子がアーシアちゃんね。こりゃ、誰にでも騙されそうな感じしてるわ。
「初めまして、アーシア・アルジェントさん。私はアルカ・グレモリー。調停者をやってる者よ」
「んでもって、オレっちの今の雇い主兼姐さんだぜい!」
「ちょ…調停者さまっ!? 三大勢力間の均衡を保ち、世界中を旅してまわって平和を守っていると言われている主に選ばれしお方……」
……一体いつから、私は主に選ばれたのかしら?
なんか、フリード君の時よりも私の評判が悪い意味で独り歩きしてない?
「そのようなお方が、どうして私なんかの所にいらっしゃったのですか…?」
「まぁ…助ける為…かな? アーシアちゃん、今の自分がどんな状況に置かれているのか分ってる?」
「えっと…バチカンから日本の駒王町の教会に派遣されて、それで……」
だめだこりゃ。全く現状を把握してないわね。
ちゃんと一から説明しなくちゃ正しく理解しないタイプだわ。
「変に誤魔化すのもアナタの為にならないからストレートに言うわね。アーシアちゃん…このままだったら、あの堕天使達に神器を取り出されて殺されてたわよ?」
「こ…ころ…っ!? レイナーレ様たちが私を……!?」
「そ。つーか、それだけの為にあなたを呼んだっぽいわね。でしょ?」
「うす。それに関しては間違いないぜ、アーシアちゃん」
「そんな……」
人の善意しか信じて無さそうな女の子にはキツかったわね。
でも、こればかりは隠しても意味ないから、ちゃんと伝える必要があったと思う。
「だけど、もう大丈夫だぜ。あいつ等はこのアルカの姐さんが全員ぶっ飛ばしたからな」
「…殺されたんですか?」
「うんにゃ。戦闘不能にはなってるけど、一応は生きてるわ」
「そうですか…よかった…」
約一名は思わず殺しちゃったけどね。
レイナーレの方もボッコボコになってるけど。
「そうだ。まだ仕事が終わった事をアザゼルに連絡してないわ。ちょっと待っててね」
ポケットからスマホを取り出してからアザゼルに繋げる。
町外れとはいえ、まだ町中だから大丈夫よね?
「もしもし。アザゼル? 私よ」
『おぉ~…アルカか! こんな時間にどうした?』
「例の仕事が終わったから報告しておこうと思って」
『マジかよッ!? 依頼してからまだ一日も経過してねぇぞっ!?』
「あんな雑魚の範疇にすら入らない奴等を捕まえるのに数日もいらないわよ」
『お前ならそうかもな。そいつらはどうしてる? 殺したのか?』
「いいえ。女達は捕えてるわ」
『って事は、一人は殺っちまったってことか』
「シヴァ様がやっちゃった」
『あの伝説の氷の魔神か。そりゃ運が悪かったとしか言いようがねぇな』
「まぁね。そんな訳だから、早く持っていって頂戴な。二人は林の中に転がってるし、リーダー格の奴は教会の近くで気絶してるわ」
『分かった。今から回収係を派遣する。報酬はいつもの口座に振り込んでおくよ』
「お願いね。それと、奴らに金で雇われてたはぐれな神父の男の子を味方につけたわ」
『そんなのを雇ってたのは初耳だが…流石は調停者ってか』
「いや…単純に奴等がバカすぎたから呆れて裏切ったらしいわ」
『だろうな。俺でも、最下級の堕天使と最強の調停者なら、迷わずお前の味方になる』
「ありがと。それともう一つ伝えないといけない事があるの」
『今度は何だ?』
ここで私はアーシアちゃんの事や、彼女を使ってレイナーレ達が企んでいた事を全て話した。
アザゼルはそこまで驚いた様子は無く、普通に返事をしているだけだった。
『はぁ…神器を俺に捧げたいって気持ちは有り難いが、やり方が最悪じゃねぇか。下手すりゃ、自分達が更なる大戦の引き金になっていたかもしれないって自覚があんのか?』
「絶対にないでしょうね。この町がリアスの管理してる地だって事すら知らない様子だったし、目撃者は全て消す方針だったようだし」
『…最悪だな。ともかく助かったよ。ありがとな』
「こっちも仕事でやったことだし。後はそっちに任せてもいいのよね?」
『おう。連れて来られたっていう嬢ちゃんはどうする気だ?』
「取り敢えず、私の方で保護するつもり。まずは彼女自身の事情も聞かないとだし」
『それが妥当か。そっちはそっちで任せるわ。頼んだぜ、調停者さんよ』
「はいはい。それじゃ、おやすみ~」
ポチッとな。
これで後は、少しこの教会を調査した後に帰るだけになったわね。
「ってなわけで、もう聞いてたとは思うけど、アーシアちゃんは一先ず私が保護するわ。いつまでも、この場所にいる訳にはいかないでしょ?」
「よ…よろしいのですか…?」
「勿論。これも立派な調停者としての仕事だし」
「あ…ありがとうございます!」
いきなり立ち上がって頭を下げるアーシアちゃん。
良くも悪くも真面目な子って感じね~。
お姉さんには眩しいわ~。
「荷物は…そこのバックだけ?」
「はい。元々、そんなに私物の類は有りませんでしたし」
悲しくなるような事を言わないでよ…昔を思い出すじゃない。
こりゃ、マジで私がどうにかしないといけないかもしれないわね。
「なら、それを持ってここから出ましょ。その前に地下を調べる必要があるから、少しだけ付き合って貰える?」
「分かりました」
「フリード君も手伝ってくれるでしょ?」
「当然っす!」
「よし。そうと決まれば、とっとと行きましょ。こんな廃部屋に長居は無用だもの」
こうして、私達のパーティーに捉われのシスターであるアーシアちゃんが加わったのでした。
…こんな風に表現すると、本格的にRPGっぽいわね……。
アーシアがリアスの眷属になるかは、現在は検討中です。
このままフリードとアーシアの二人で付いてこさせるのも有りかも知れないと思っていたり…。