全てを救う例えそれが偽善であったとしても   作:嘆きのラジオ

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13話(真) 共同戦線~二人の英雄

亜人の陣地に大きな動きがあった

敵が攻めてくる前兆だと衛宮は感じた

衛宮の配属先は西門、亜人の兵力がもっとも展開されている方面だ

 

三メートルほどの人喰い大鬼が前にでる

(あれは・・・バリスタか)

攻城戦などで使うであろうバリスタをオーガが一列に運んでいる

あの巨大な矢があたれば城壁など簡単に崩れてしまうだろう

 

(あたればの話だけどな)

どうすればいいのか?勿論打ち落とすまでだ

(問題はあれだけの数の亜人だな)

数万の亜人の軍勢の一部とは言え、数は多い

まともに戦っても物量で押し込まれるだろう

 

弓を構えようとする衛宮に見せつけるように

亜人たちは子供を盾にしている

あの数の亜人だ衛宮の居場所も割れている、奇襲は難しいだろう

 

どうすれば勝てるのか・・・どうすれば守れるのか

戦闘になれば城壁の人はまず助からないだろう

 

無謀ではある。だけど誰も傷つけないためには

既に結論は出ている

「接近戦しかないな・・・」

 

「投影開始・・・《氷刀・白雪》」

二メートルを越える刀を練鉄する、その刃は滑らかで椿は。雪の結晶、その刀の周囲は、気温が低下していた、

それは冬の夜の凍える寒さのように

 

「いくぞ・・・」

衛宮は一人で万を越える亜人の軍に突撃する

勝算などなくとも、意味はなかろうとも

 

~敵を斬る、斬られる、凍らす、避ける

これの繰り返しだ、人数差は圧倒的

当然のように体はボロボロだ

腕の感覚はない、足も、魔力も尽き意識を保つのがやっとだ

 

亜人の笑い声が聞こえる

「おい、この人間もう少しで死ぬぞ」

「いいぞ、だが近寄るな遠くから殺すんだ、槍をもってこい」

「死ね」「殺せ」「死ね」「殺せ」

楽しそうに、愉快そうに、惨たらしく

奴等は言う

 

剣を振るだが、それには力がのっていない、牽制にもならない

「あぁ、やっぱり無理だったか・・・」

「悔しいな、、、」

後悔はないはじめからわかっていた・・・

せめて多くのひとが助かることを祈る

彼は目を瞑る、この物語はこれで終わりだと

 

「なんだ、諦めるのか?」

聞いたことのある、何度もぶっとばされた、性格がひねくれている嫌なやつの声が聞こえる

直後周囲の亜人が消し飛ぶ

恐ろしく威力の高い矢、だが衛宮には見覚えがあった

 

亜人たちは突然の乱入者に驚いているようだ

「なんだ!」「なんだ」「誰だ」と

 

「螺旋剣・・・」

それはあの野郎が使っていた

「無様だな、衛宮士郎、無謀な戦い無策で挑んだのだ、その程度の傷ですんだだけありがたく思え」

(何がこの程度だよ)

衛宮は憎らしくも少し嬉しくもある

衛宮は不安だった、この世界にきて一人だった、右も左もわからない、だからこそ・・・うれしいのかもしれない

 

赤い外套を羽織った弓兵が姿を表す

 

「情けない、今にも泣きそうな面じゃないか?」

笑うように、男は相変わらずひねくれている

もう少しは心配でしてくれてもいいじゃないか

 

「無様だな」

そういって男は手をのばされる

憎まれ口を叩きながらも少しは心配してるようだった

 

「うるせぇよ、アーチャー」

伸ばされた手を掴みながら精一杯の強がりを言う

 

「ふん、どうやら生意気なことを言える程度には元気ではないか」

「助けはいらなかったかな?」

ニヤリと嫌な笑みを浮かべる

助かったのだがこの顔を見るとなんだか怒りがわきそうだ

アーチャーが、いなかったらとっくに死んでいたが

 

「どうやら悠長に話している余裕はないようだな」

「とっととこれを飲め、」

乱暴に投げられた小瓶を受けとる

透き通った、純度の高い魔力で作られたポーションだ

 

亜人たちは落ち着きを取り戻したのか二人を囲むように陣形をとる

「一人増えても変わらない」「死ね」「囲んでやっちまえ」と

 

「万能の神薬(ハイエリクサー)だ、とっとと飲め、」

「魔力の尽きた貴様など荷物にしかならん・・・」

その、言葉に文句を思いつつもエリクサーに口をつける

 

相変わらず嫌なやつだ

衛宮はすぐにエリクサーを飲み干す、傷が癒え、失っていた力を取り戻す

全身に魔力が行き渡り充足感に満たされる

 

「礼は言わないぞ、アーチャー」

「かまわんよ、貴様からの礼など気持ち悪いだけだ」

話を終えると

辛辣な物言いなどなれてしまったがこいつに言われるのは違う

そんなことを互いにに思いながら

アーチャーと衛宮は並ぶ、

「貴様と共に戦うなど業腹だがな」

それはコッチノ、セリフだ!

 

 

互いに構え詠唱を開始する

「「投影開始「トレース・オン」」と


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