全てを救う例えそれが偽善であったとしても   作:嘆きのラジオ

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憧れる正義の味方

アインズはこの勝利の功労者を労うべく衛宮の元にむかう、

 

(ん?どうしてあんなに落ち込んでいるのだろう?)

アインズは疑問に思う、勝利したのだそれなら一時とは言え、喜ぶものである

 

「どうかしたのか?英雄殿、暗い顔をしているようだが?」

彼は顔をあげる、それはとても暗い

 

「もしや、救えなかった者がいると後悔しているのか?」

「・・・」

彼は応えない

「ハッキリ言うが犠牲のない勝利などありえない、それは君もわかっているだろう?私ならあの状況、軍の被害を出さない為にも亜人ごとあの少女を殺した。君だから救えたのだろうが君でなかった者が同じようなことをすれば被害は取り返しのつかないものとなっていた筈だ」

 

彼が何に悩んでいるのか誰にでもわかることだろう、しかしそれを実現することはアインズでも難しい。

 

「君は何故、他人を助ける?何故勝てない勝負を挑もうとする?ヤルダバオトに挑めは君は間違いなく死ぬだろう」

アインズは知りたかった何故彼はここまで出きるのか?

自身を犠牲に出きるものなど多くはない我が身が可愛いのは人間でなくとも生物なら誰しもがそう思う

 

彼は重い口を開く

「俺は正義の味方になりたいんです」

正義の味方になりたいそれは多くの子供が夢みることだ

しかしそれは成長するにつれ無理だとわかる

 

誰かを幸福にするということは同時に誰かを不幸にするということだからだ

 

「だから全てを救いたいと?」

実に馬鹿げている

「それは傲慢だ全てを救うそんなものは夢物語だ、私でさえそんなことは出来ない、私よりも弱い君がそんなことが出きるわけがないだろう」

冷徹に当たり前のことを告げる、世論だ、誰もがそんなことはわかりきっている

 

「そう・・・ですね」

彼の返答に意思はない

 

「君は何故正義の味方になりたいんだ?」

続けてアインズは問いかける

 

「ある男に自分を助けてくれた男に、その男の夢がとても眩しかったから自分もそうなりたいと思ったからです。」

彼の言葉にアインズは失望した。

 

「それは君自身の意思ではないのではないか?誰かが夢みたことを、憧れただけで同じ夢を持つなど」

アインズにとってそれは下らないことだった、彼の意思はあくまでも他人の意思だ。そんなものは夢とは言えない

 

「下らない」

口に出てしまった、しかしそれはアインズにとって心からでた言葉だ、救ってもらったからだと自分の意思を持たないなどそれはただ放棄しているだけだ

 

「確かにそうだ」

衛宮は応える

 

「始まりは憧れだった、だけど根底あったものは願いだったよ。この地獄を覆してほしいという願い」

それは彼の身に起きた経験から

 

「誰かの力になりたかったのに結局なにもかも取り零した男の果たされなかった願いだ」

衛宮は思いだす

自分を死の淵から助けてくれた男にお礼を言うはずなのは自分なのに、とても羨ましくなるほどとても嬉しそうに「生きていてくれてありがとうと」とそういった男を

 

彼は自分と過ごす中教えてくれた「僕は正義の味方になりたかったんだと」

 

「・・・」

アインズは応えない

 

「誰かを救うそれが俺の意思で生まれたものではなかったとしてもそれは綺麗だと感じてしまったんだ、そんな世界が実現したらどれだけいいか」

それは実感のこもった言葉だった、

 

「確かにあんたの言う通り俺の願いは間違いかも知れない偽善かもしれない」

 

「あんたの言うことは正しい、これは夢物語だ。決して叶うことはない」

 

「それでも“誰かの為になりたい”」

そう願い死んでいった男の願い

何一つ報われなかった男の願い

 

例えこの願いが自分の意思でなくとも

偽りであったとしても

「この思いが間違いのはずなんてないのだから」

衛宮は真っ直ぐアインズをみる、

 

「それで進む人生が機械的なものだったとしてもか?誰からも賞賛されず、喜ばれもせず、報われなくてもか?」

 

綺麗言で世は成り立たない、善人なと報われない、馬鹿をみるのはいつだって正直者なのだ

(転移するまえでもいや転移する前だからこそそれは顕著にあらわれている)

それは決して報われぬ願いだと

(・・・たっちさんだってそんなことはいわない)

それは夢だからだ決して叶う筈のない幻想だからだ

 

「あぁその人生が偽善に満ちたものだったとしても」

「どんな結末を迎えようとも」

「俺は最後まで正義の味方を張り続ける!」

「それが俺の憧れる正義の味方なのだから」

その意思は変わらない、曲げるつもりも諦めるつもりもない。

 

(意思は固い・・・か)

(強い眼だな)

アインズにとってそれは眩しいものだナザリックの利益のため人を殺し、他を利用したアインズにとって、転移前にもドロドロとした人間社会を生きてきた鈴木悟にとってもそれは眩しすぎるものだ

 

「そうか・・・」

(こんな人間もいるのだな)

王国戦士長を思いだす、彼も同じだった

国民の為に、国の為に、王の為に

 

「フッ確かにそれは間違いではないのだろうな」

アインズは笑った、確かにそうだなとその願いは確かに間違いではないのだから

 




衛宮君に人を救う際に自分命を天秤にかけてはいない
自身はじめから犠牲にすることを前提として彼は人を助ける
だからこそそれは偽善だ
初めから自分の命を天秤にかけないなどそれは偽善であると
誰かがいった
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