結局、あの後雛の家に上がらせてもらってそのまま寝てしまった…………年頃の娘の家で堂々と眠りこける自分がどうかしてるとは思うけどそこは触れないで欲しい。自覚あるから。
そして……朝である。重い目を開けると陽の光がうっすらと指しているのが確認出来た。
「う………………寝過ぎたのか…………?」
未だ覚醒しない脳をフル活動させて今の現状を確認する
多分、昨日あのまま囲炉裏前で眠りこけたんだろう。少し身動きしただけでも腰が痛い、と言うか左側が動かない。
まるで何かに抱き着かれているかのような…………ゑ?抱き着かれている…………?
「えっと…………まさか……………………!」
恐る恐る左側に目を落としてみる。そしてその先には緑色の髪を後ろに纏めた世間体にいえば美少女に分類される少女が自分の左腕に抱きついていた。
「………………やってしまったのか?ついに一線を越えてしまったのか上条さんは…………」
今の構図をもし警察の方々が見たのであれは1発でしょっぴかれそうな状況でありながら、俺は酷く冷静でいられた。左腕にはやあらかい感触と共に少女の規則正しい寝息が吹きかけられるため殆ど集中出来ない…………と言うか何故か邪な事ばかり考えてしまう。
「と、取り敢えず何とかこの状況から脱さねば…………まだ捕まりたくない…………!」
俺はゆっくりと左腕に抱き着く少女を離そうとする。しかし、その行動によって俺の死は確定する。
「ん………………ぅ…………」
少女はまるでぬいぐるみを抱き抱えるかの如く、腕だけでは飽き足らず足まで絡めてきたのだ。そんな状況において思春期真っ只中である男子高校生が平静を保っていられるわけが無い。しかし、不幸は続く
「どーも!文々。新聞でー……………………す?」
いきなり開かれた扉、その目の前に立っていた黒い羽を持った少女に今の姿を見られてしまったのだ。
「あ、えっと………………その…………待って!これは事故なんだ!」
俺はとっさに反論する。しかしその反論は少女
の耳には届いていなかったようで……
「お取り込み中失礼しましたー…………また後ほど〜!」
その少女は隣の少女を起こさないようにゆっくり戸を閉めるとそのま去っていく。
「ちょっと絶対変な勘違いしてんじゃねぇか!」
終わった…………上条さんの社会的地位が頂点からガラガラと音を立てて崩れていく…………
しかしこの状況ですら俺の不幸は留まるところを知らない。むしろ加速していく。
「ん………………騒がしいわね………………」
隣の緑色の髪の少女が目を覚ましてしまったのだ。ちなみに、今の構図はさっき話した通りである。と言う事は……?
「へ?」
今の現状を把握したのかは知らんが、少女の顔が真っ赤に染まっていくことだけは確認出来た。つまり、死である
「えっと…………待ってね?これには色々と事情があって…………」
俺は必死になって事のあらましを説明しようとする。まぁ、全て無駄に終わるのだが…………
「このバカ!変態!ラノベ主人公!」
非情にも俺に飛んできたのはそんな言葉と共に放たれた平手打ちだった。
「やっぱこうなるよね!?不幸だぁあああ!!!」
続く(続かない)
上条君はどう転んでも平手打ちされる運命なのだよ……