続・最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。   作:マスターチュロス

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スターアンドストライプ





異形魔理沙編:その2

 

 

 

「死ぬまでパクっていい?」

 

 異形魔理沙は左指の爪全てを歯ですり潰し、溢れ出る血液を舌で舐め取りながら、スターアンドストライプに告げる。

 おそらく挑発のつもりであるが、想像以上の異質さにスターは苦心する。

 何考えているのか分からない相手をするのは初めてではないが、ここまで私に警戒させた敵は他にいない。

 

「吠え面かかせてやる、"大地"」

 

「"これより大地は、私が触れる度に崩壊し割れる"」

 

 スターが地面に触れて宣言した直後、スターの前方の地面が恐るべきスピードで割れ始める。

 地割れを回避する異形マリサ、だがスターは地を割りながら接近し、地面全体が崩壊する寸前でジャンプする。

 

「"大気は、私の100倍の大きさで固まる"」

 

 大気に手をかざし、名を叫ぶ。すると大気は彼女の定めたルール通りに膨張し、巨大なスターの姿形を保ったまま固定される。

 ほぼ200m級の空気の巨人がスターの動きと連動し、異形マリサに目掛けて究極の一撃をぶちかます。

 

「フィスト・バンプ・トゥ・ジ・アース!!」

 

 人智を超えた攻撃が異形魔理沙に炸裂した瞬間、衝撃波が地を走り、暴風が吹き荒れる。

 建物は衝撃波で倒壊し、砂塵が収まった後にはポッカリと空いた巨大な穴だけが残っており、スターは空中で制止しながらその様子を見ていた。

 

(……なるほど? それが手前の力か)

 

 いつの間にか穴の底から脱出していた魔理沙は肩の骨を鳴らした後、満足した表情で続ける。

 

(いヤまさか"概念系"の個性だとは思ってもみなかったよ。堀越のことだからてえっきりオールマイトみたいな脳筋だと思っていたが)

 

("当たり"だな。さっさと個性回収シて、母上の言う通り"無力化"してオこかう)

 

 魔理沙が両手をクロスすると、周囲に紅い槍が5本形成され、槍先をスターに向けて停止する。

 

「さぁ、神々の戦争といこうかぁ?!?!」

 

 意気揚々と叫び、槍を投げようとする魔理沙。しかしその手に槍は携えず、周囲に浮いた5本の槍が魔理沙の動きに合わせて連動している。

 

「スピア・ザ・グングニル」

 

 追尾する5本の槍が射出され、スターに向けて襲いかかる。しかし彼女は恐れることなく、空中での制止を解いて槍に目掛けて落下していく。

 自殺、ではない。彼女の個性はその自由のあまり、人には成せない不可能な行動を可能へと導く。

 

「"スピア・ザ・グングニル"」

 

「"スピア・ザ・グングニル"は持ち主の元へ跳ね返る」

 

 触れていた1本の槍が宣言と共に反転、さらに他4本の槍も同様に反転し、異形魔理沙に狙いを定める。

 

(マジかよ)

 

 跳ね返ってきた5本の槍が魔理沙の全身に突き刺さり、為す術なく地面に倒れる。普通ならこれで死ぬが、あの様子的におそらく"舐めプ"だ。あの化け物は避けれる攻撃をあえて受けたのだ。

 

「シット!! 後悔させてやる」

 

 スターは"水蒸気"に触れ、宣言する。

 

「"これより水蒸気は、巨大な剣の形に収束し回転する"」

 

 宣言により新秩序の能力が発動、スターの周囲から莫大な量の水が巨大な剣の形へと収束し、全長約78m、重さ約384tの圧倒的な質量を誇る大剣が形成される。

 

「バスター・オブ・リヴァイアサン!!!!」

 

「ゴアァァァアアアァァァァァッッ!!!」

 

 荒ぶる激流の剣が振り下ろされ、魔理沙に直撃。水の大剣は魔理沙もろとも大地を割り、粉塵を巻き上げる。

 

「まだだ、"大地"」

 

「"大地は私の100倍の大きさまで膨張する"」

 

 割れた大地の周辺から全長約200mの巨大なスターの姿をした土の塊が複数出現し、その全てがスターの動きと連動し拳を構える。

 

「"フィスト・クレストガイアズ・インパ……"」

 

「なんてね」パァンッ

 

 拳を構えていたはずの土の巨人が次々と破裂し、黒い炎を上げながら再び土へと還っていく。再び槍が飛んでくることを警戒したスターだったが、いつの間にか自分と同じ高さまで飛んできた魔理沙を見てより警戒心が強まる。

 

(こコまで来ると"個性"というより"魔法"だな、ソレ)

 

「……魔女に魔法を使うのは愚行、とでも?」

 

(いンや? むしろありがとうと言ってやってもいいくらいだ。手前のおかげで俺はさらなる段階へと進化しそうだオリゴ糖)

 

「感謝される覚えもなければ、お前の好きにさせるつもりもない」

 

 スターの真剣な瞳を、魔理沙は嘲笑い吐き捨てる。

 

(手前はそう言ウだろうが関係ねぇ。俺は最強でお前は木各下、俺の石⛩究とお前の犠牲、それが分かってれば何も問題ない)

 

 そう言って真っ先に攻撃を仕掛けたのは異形魔理沙、予備動作すら見えない高速の右アッパーが炸裂し、その約0.02秒後に回し蹴りと拳から放つ空撃を2発ぶち当て、スターを怯ませる。

 魔女の見た目をしながらも近接戦すら圧倒する魔理沙。その底の知れない戦闘力にスターはえもいえない恐怖に苛まれていく。

 スターは目を開いた。目の前には誰もいない、しかし体は常に危険信号を発している。スターは咄嗟に頭部を両腕でガードすると、鉄骨で頭を思い切りぶん殴られたかのような重い一撃が両腕にのしかかる。

 異形魔理沙のかかと落としの威力を相殺しきれず、スターは空中から地上へと落下していき、異形魔理沙はスターの後を追っていく。

 

(『マスタースパーク』)

 

 異形魔理沙は懐から取り出した古びた八卦炉をスターに向け、スペルを宣言。通常のマスタースパークでさえ山をも粉砕する威力を持つが、無尽蔵の魔力を持つ彼女が放つモノは倍どころか桁違いの威力を誇る。

 放射状にドンドン広がる白光は都市を飲み込む程に成長し、このまま放置すれば全てを灰燼へと変えるだろう。

 

「マズイ」

 

 とっさにスターは"ビーム"を宣言し、"ビームは掴んで圧縮できる"というルールを設定する。すると、放射状に広がっていたはずのマスタースパークが瞬く間にスターの手中に収まり、そしてビームを光の槍へと変換させ投げ

 

(やリせるとでも思か?)

 

 槍を投げる直前に異形魔理沙が槍に触れ、呆気なくへし折った直後、鉛色のネジがスターの腹部を貫く。が、それと同時に、スターの左手が異形魔理沙の顔面を捕らえていた。

 

大嘘憑(オールフィクション)」「新秩序(ニューオーダー)"霧雨魔理沙"」

 

「"()()()()()()()()()()()()()()()"」

 

「"霧雨魔理沙は、全ての能力を行使できない"」

 

 ほぼ同時だった。互いに能力を行使した二人はひび割れた大地へと落下し地面と激突する。

 土煙が舞い、姿が消える瞬間、スターは瞬間的に理解した。()()()()()()()()()()()()

 しかし、ヒーローは諦めない。師であるオールマイトが諦めなかったように、彼女も最後まで諦めない人間であった。

 スターは個性を失ってしまったが、もしあの時"相打ち"であったならば、あの化け物も能力を使用出来ないはずだ。

 しかしこれはあくまで"希望的観測"であり、相手の能力の方が先に発動し、自分の能力が発動されなかった場合、スターアンドストライプは完全に敗北する。

 土煙が徐々に晴れ、二人の姿が見えてくる中、スターの内心は不安で埋め尽くされていた。だが、アメリカNo.1ヒーローとして、国民の自由と平和を守る"象徴"として、スターは堂々と前に立たねばならない。

 たとえ個性を失い、ただの"キャスリン"になったとしても……

 

「なかなかやレな、褒メてヤるよ」

 

 脳内に直接響く声ではなく、分からない日本語で話す魔理沙。スターは警戒しつつ、ある程度距離を保つ。

 

(だが残念どナぁ英雄、あと少し、あとほンの少し早ければ、俺を殺すェたかもしれないのに)

 

(所詮は人間、まァ人間にしてはてェしたもんだが、ここがお前らの限界だ。この先は人間辞めてから来ような?)

 

 刹那、異形魔理沙から放たれた2本のレーザービームがスターの右肩と左太腿を貫通し、地面に膝を着く。

 周囲に炎や氷、小型の竜巻や謎の瘴気を浮かべながら嬉々として近づいていく異形魔理沙。

 

(さ、後はゆっっっくり、死ていってね)

 

 異形魔理沙の指先に集まる無数の光の粒子がスターの方へと向けられ、スターは絶体絶命のピンチを迎える。

 だがスターはフッと笑みをこぼし、異形魔理沙に向かって笑顔で言った。

 

「人間を舐めるなよ、このクソビッチ」

 

「何笑っとるんだこのゴリラ」

 

 瞬間、異形魔理沙の周辺が淡い光に照らされてからまもなく、特大のレーザービームが異形魔理沙の頭上から照射される。その数は1本のみならず、2本、3本と増やしながら異形魔理沙とその周辺を焼き尽くしていく。

 

「遅いよ、"ブラザー"」

 

『お前が早すぎなんだよ、スター』

 

 応援に来たスターの特殊部隊のメンバーがステルス戦闘機で駆けつけ、遥か上空からスターを援護したのだ。

 

「駆けつけて来たところすまないが一時撤退だ。敵が強過ぎる」

 

『どうしたってんだスター? いつもみたいに派手にやらないのか?』

 

()()()()()()()

 

『は?!』

 

 衝撃の一言に驚くメンバー達。個性が消えるという現象もさながら、国が管理しなければならないほど強力な力を持ったスターの個性が、自由の象徴が、失われてしまったことに非常にショックを受けた。

 

『それは本当か?』

 

「あぁ、もうルールを設定出来ない。残っているのは生身の肉体だけ」

 

『マジかよ……』

 

 スターは自身の現状を伝えた後、ポケットから携帯を取り出した。

 

「……スターだ、異形魔理沙の封じ込めに失敗した。……あぁ、ダメだった。……? 誰だそれは? ……あぁ。……了解、これよりプランBに変更。私たちは撤退だな?」

 

「……了解。後は頼んだ」

 

 スターは誰かと連絡を取った後、携帯をしまい腕に力を込め始めた。

 

『誰と話してた?』

 

「……ICPO特殊テロ対策部隊最高責任者、()()()()()()()()()

 

『ッ! マジかよ……』

 

「彼女がいる限り、我々人類に敗北はない」

 

『いやしかし、個性黎明期以降のありとあらゆるテロ活動を阻止してきた彼女とはいえ、異形魔理沙を相手にするのは流石に……』

 

「彼女だけじゃない、ジャパンにはオールマイトの弟子……がいる。師によれば彼女……いや彼は次代の平和の象徴として申し分ないヒーローだそうだ。その他の強力なヒーロー達も含めて、何とか協力して化け物達を各個撃破出来れば……」

 

(その話、詳しく聞かせてもらえる?)

 

 その声を聞いた瞬間、スターは咄嗟に回し蹴りを頭部に目掛けて叩き込もうとするが、異形魔理沙はその一撃呆気なく片手で抑え込む。

 

「な」

 

(なぜ、と思ったか? ステルス戦闘機ごときで俺を殺せると思ったなら思い違いも甚だしい。…………いや思ってねェな、よろしい)

 

 異形魔理沙は掴んだ足を手前に引き寄せ、倒れるスターの身体のうち首の部分を強く掴んだ後、地面に容赦なく叩きつけた。

 

(手前、俺の名前を知っていたな? 誰から教えてもらった? 俺的には今喋っていた最高責任者が怪しンだよなぁ。そいつはどこだ)

 

「……」

 

(…………へぇ、いくら俺の能力の1つを看破したとはいえ、"何も考えない"なんて芸当が出来るとはな。やはり特殊部隊の連中と一般じゃ鍛え方が違うか)

 

(ま、無理矢理自白させる能力も無くはないが、お前の類まれなる才に免じて今回はスルーしてやるよ。どうせ俺がやらんでも無能になった手前じゃ他の連中に殺れるし)

 

 異形魔理沙は手を離し、振り返ってからスタスタと戦闘機の方へ向かっていく。

 彼女の殺気が増したことに気づいたスターは必死に立ち上がろうと足に力を込める。気がこちらに向いていないうちに少しでもヤツに近づき、これから起きるであろう惨劇をくい止めなければならない。

 個性のない今ではほんの少ししか時間を稼げないが、少しでもブラザーが生き残る可能性を作らなければ本当に全滅してしまう。

 この命を賭してでも、共に戦ってきた大切な仲間を救わなければ。

 

(あ、やっぱ死ね)

 

「は」

 

 スターの真上に三本の剣が出現し、即座に彼女の背中に目掛けて勢いよく突き刺さる。背骨すらも貫通する勢いで内蔵およびその他の生体器官が無惨に切り裂かれ、剣の先端が腹部の内側から血とともに現れた。

 胃から逆流してきた血液が口と鼻から吐き出され、大量出血による目眩と、意識の混濁化が加速していく。

 

(ニンゲンって大バカだノぇ〜? 仲間がピンチになった途端声漏らして作戦モロバレすルてねぇ? 大人しくしとけばこうはなラぬかったのにぬぇ〜〜???)

 

 油断が招いた事態、焦ったが故の失態。スターの仲間を思う気持ちが、結果的に彼女にとって最悪の事態を呼び寄せる最後の決定打となってしまった。

 もう唇を噛み締めることも、強く地面を叩く力も湧かず、ただ静かに己の死を待つ身となったスターだが、それでも彼女は小型の通信機のマイクをONにし、彼らのために出来ることを、死にゆく己が成すべきことをやるべく、声を、絞る。

 

(逃げろ!! ブラザー! 異形魔理沙はもう……!)

 

「ゲイボルグ」

 

 再び異形魔理沙の周囲に、形状は異なるが色は紅い5本の槍が出現し、全ステルス戦闘機内にいる全操縦者にそれぞれロックオンする。

 

「あばよ」

 

 射出された5本の槍は一直線に、それぞれの操縦者の心臓目掛けて突き進み、貫き、絶命させた。

 コントロール不能となった戦闘機は回転しながら落下していき、大地に向かって次々と墜落していく。

 

(そんな……ブラザー)

 

(お仲間が目の前で死んだ乾燥はどうだ、アメリカNO.1ヒーロー?)

 

 倒れたスターの顔を無理やり持ち上げ、真顔でその表情を覗く魔理沙。それに対しスターは、今までに無い程に怒りに満ちた瞳で、彼女を見つめていた。

 

(許せないよなァ?)

 

(……許せない)

 

(大切な戦友を皆殺しにされて、怒りで震えて涙が止まらないよなァ!?)

 

(……許さない、お前だけは……ッ!)

 

(そうだ、もっと恨め、憎め、憎んで憎んで憎んで憎んで、お前の全てを黒く塗り潰せ。己の無力さを悔やみながら、黙ってとっとと死んでいけ)

 

(はハはははHAハ歯はHAははハはははは!!!)

 

(許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さな)

 

(あこれ以上文字数稼ぐの、やめよな?)

 

(あがっ……!)

 

 異形魔理沙はさらに剣を8本追加で召喚し、その全てをスターの身体全身にバランス良く突き刺していく。

 スターの瞳はみるみる色を失い、体温が徐々に低下していく。生暖かい血が地面に広がり、皮膚も青白く変色した頃にはもう、彼女の心臓は完全に停止していた。

 

「さて残すは雑魚だけ、案外ここも楽だったな」

 

 ボロボロの髪の毛をなびかせ、その場から立ち去ろうとする異形魔理沙。

 

「あぁっとその前に大事なことやらなきゃなぁ」

 

 立ち去ろうとした瞬間、異形魔理沙は大切なことを思い出し、再び死体と化したスターの方に目を向ける。

 

虚数大嘘憑き・歪(イビルノンフィクション)

 

「個性がなかったことを、『無かったことにした』」

 

「これでお前の能力と、ついでに記憶も全て貰うぜ。死ぬまでな」

 

 魔理沙はゆっくりと彼女の死体に近づき、その場でしゃがんだ。その後飛び散ったスターの肉片を口に放り込み、咀嚼し、ゆっくり飲み込む。

 これでスターの個性と記憶は、異形魔理沙に引き継がれた。

 

「………………あー、なるほど? お前ね。昔どっかで会ったような顔に似てるが、歳食ってボケたせいか何もおほま選んねぇ知らん」

 

 スターの記憶をさらに探る異形魔理沙。

 

「場所はロシアか。また随分とクソめんどいこにいやがる」

 

「仕方ない。北米は妖夢と幽々子に任せて、俺はロシアに向かうとしよう。…………あり? もしかして重労働?」

 

 性にあわないレベルの働きぶりに魔理沙は我ながら驚いた。遡れば16年も前からずっと働いていたのだから、残業代の一つや二つ出ても良い頃だろう。出ないけど。

 

「急に萎えてきたな。すげぇ帰りたいンだけど、…………はァ」

 

 魔理沙は大きく溜め息をつき、仕方無しに額に中指と人差し指を添える。すると、一瞬のうちにして姿が消えてしまった。

 

 瞬間移動によってロシアに移動した魔理沙だが、彼女が消え去った後のアメリカの大地はひどく荒廃していた。

 異形魔理沙が通った跡は草の根1本も残らず、歯向かうもの全てを無惨に殺していった。残ったのは瓦礫と、おびただしい量の死体の数だけ。後は激戦によって歪んだ地形だけで何も残っていない。アメリカは一夜にして貴重な人的戦力を数多く失った。

 

(これは酷く、やられたものだな)

 

 そんな最中、一人の女が戦場跡に赴いていた。

 

(さて、こんなに早く素性がバレるとは。どうしたものか)

 

(……私が彼女を直接止める必要があるか)

 

 ポケットから、着信音が鳴り出した。

 

(…………電話か)

 

 女は携帯を取り出し、呼びかけに応じる。

 

「もしもし?」

 

『こちらICPO特集テロ対策部隊隊員No.00184! カーラ所長、聞こえてますか?』

 

「聞こえているよハルカ。要件は?」

 

『我々第1部隊、インドにて地球外生命体と抗戦、通常戦闘員120名と偽名軍(コードレス)1200名による掃討作戦により、首都デリーとその周辺地域の奪還に成功。住民も地下シェルターに避難させました。しかし、第8部隊からの報告により放射性バハムート(仮称)が推定時速344kmでこちらに向かってきています。脱出の許可を』

 

「脱出を許可する。が、第1部隊と第2部隊はジャパンの雄英高校に集合、生き残りの生徒を全員回収して本部に連行しなさい」

 

『ジャパン? どうしてですか?』

 

「あそこは彼女の影響を受けた人間がたくさんいる。貴重な戦力を削る訳にはいかない」

 

『その子たち未成年ですよね? 保護はしますけど、戦力に加算するくらいなら我々と偽名軍(コードレス)で解決した方が……』

 

「口出し不要。今すぐ向かいなさい」

 

『……了解。ジャパンに向かいます』

 

「それと、私は少し用事が出来たのでしばらく電話に出れません。終わった後、こちらから連絡します」

 

『了解。……ですが、どこへ?』

 

 カーラは少し不敵な笑みを浮かべながら、答えた。

 

「ロシアです。魔女狩りに行きます」

 

『え、……まちょ!?』

 

 ブツッと、電話を切ったカーラ。携帯をしまい、背筋をグンと伸ばしてリラックスした後、ロシアの方向に目を向ける。

 

「これ以上、私の軍団を減らすわけにはいきません。根元から断ちます」

 

 カーナはこれから起こりうる事態を予測し、早めに手を打つことにした。報告では死んだと聞かされていたが、私の感が生きていると告げている以上、その奇跡を最大限に活かすための舞台を作る必要がある。

 

 そのために、ヤツの存在は非常に邪魔だ。

 

「いつもはこんな面倒なこと、しないんだけどね」

 

 ニルべ・ナ・カーラは不敵に笑う。

 

 

 






( ´ ཫ ` )イチネンブリデゴメンナサイ

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