続・最強の魔法使い(自称)が暴れるそうです。   作:マスターチュロス

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異形魔理沙編:その4

 

 

 

「それに私、魔女狩りは得意なの」

 

 自信に満ち溢れた表情をするニルべ・ナ・カーラに対し、異形魔理沙は呆れていた。

 どの世界のどの時代にも必ず存在した、身の程知らずの人間。彼らの未来はみな等しく闇に葬られ、凄惨たる末路を辿ったのは言うまでもない。

 何千年経っても学びを得ない人類の愚かさに呆れを超えて虚無感すら覚えるが、致し方ない。学んだところで死んでしまうのだから。

 

「魔女狩りね。昔はあったらしいな磔刑だの火炙りだの。だから何?」

 

「───────こういうこと」

 

 カーラが異形魔理沙に向けて手をかざすと、複数の魔法陣が展開された。魔法陣から射出された泡紫色のレーザーが異形魔理沙の頬を掠め、さらに回避先をもよんだ追撃のレーザービームが異形魔理沙の腹を貫通し、隙に乗じてさらに2、3本のレーザーが異形魔理沙の身体を貫いた。

 

「…………なるほど?」

 

 この世界の人間は魔法を使えない時点ですぐに察せたが、それ以上に無詠唱魔法の練度と発動タイミングの完璧さが目立って先に突っ込んでしまった。また、あの動きは戦い慣れた者の動きであり、目覚めて日の浅い異能力者ではないことを証明している。

 

「あぁ全く、これだカら嘘吐きは口木まるよ。能ある鷹は爪を隠すというが、爪を見せびらかした後すぐ調子に乗る」

 

 喋る合間も容赦なくレーザーを放つカーナだったが、先程まで有効だったはずのレーザーが異形魔理沙の肉体に触れた途端、あらぬ方向に弾かれてしまう。どの角度から放っても全て弾かれ、まるで全身鏡のごとく光を反射していた。

 傷ついた身体も即座に回復し、腕をコキコキと鳴らし始めた異形魔理沙は異空間に手を突っ込むと、カラオケ用のマイクを取り出した。

 

「そんな可哀想なお前に1曲、プレゼントしてやるよ」

 

 肺にいっぱい空気を取り込み、小指を持ち上げる異形魔理沙。スピーカーが無いため自身の声以上の音量は出せないはずだが、マイクテスト時の「あ、あ」という声が存在しないはずのスピーカーを通してどこからか聞こえる。おそらく魔法によるものだろう。

 

「新↓時↑代〜はァこぉの未来ドぅあ〜♪ すぇか〜い中全部ゥ↓ かえぇぇえてぇぇぇぇしまえブぁあぁああぁあぁああ!!!」

 

「かえ──てぇしまえ、ぶああああアアアア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!!!!」

 

 ズンッ

 

「あ?」

 

 いつの間にか目の前に立っていたカーナが、手に持ったハンマーと杭で異形魔理沙の心臓を貫き、真っ赤な飛沫が飛び散っていく。

 歌が効かなかったこともさながら、全てを反射する能力を貫通したあの杭とハンマーの攻撃に違和感を感じた異形魔理沙は彼女の思惑を読み取ろうとした。しかし彼女の脳内はノイズまみれで何一つ得られない。

 

「不愉快」

 

 さらにもう一本の杭が異形魔理沙の肉体を貫かんとするが、回し受けによって受け流されてしまう。そしてどこからともなく現れた2本のナイフがカーラの両手を貫き、カーラは武器を落としてしまった。

 

「それは失礼」

 

 さらに異形魔理沙のミドルキックが腹に炸裂し、カーラは地面を削りながら後退する。

 

「お前が一般人なら今ので消化器官が破裂し、背骨まで砕けているはず度が……」

 

「キミこそ心臓に杭が刺されば、ヴァンパイアだろうと死ぬはず何だけど」

 

「俺は吸血鬼みてぇな格だけは一丁前の弱点多杉クソ雑魚ナメクジと違い、最強の魔法使いだ。一緒にするな」

 

 ディスり散らかしたい人物の顔を思い浮かべながら、クソと吐き捨てる異形魔理沙。それはさておき、さっきカーラから打ち立てられたこの杭がうっとおしいので、さっさと引っこ抜こうとする。

 しかし何故か分からないがガッツリハマっているため引っこ抜けず、もはや体の一部と化していた。

 

「オイこれ邪魔なンだが!?」

 

「それはキミ専用の枷だよ、マリッサ。その杭は刺したものの魔力量が多ければ多いほど強く吸着し、魔力を霧散させる特殊な杭でね。元々は土地の浄化だったり、財宝を守る特殊な結界を破壊するための杭なんだけど、どうやらキミにも効くようだ」

 

「少しはキミの歪んだ精神も浄化されたんじゃないかな?」

 

「手前……」

 

「とはいえ、たかが1個程度では大した効果はなさそうだね。もう一本いこうか」

 

 カーナがもう一本の杭とハンマーを構えた瞬間、異形魔理沙が軽く腕を振るうと、突風とは言い難い大規模な衝撃波が地を薙ぎ払い、岩石もろとも弾き飛ばされていく。

 

「お前みたいな分からん殺しは早めに殺しとくに限る」

 

 異形魔理沙は狙杖と呼ばれるスナイパーライフルのレーザー版のような武器を片腕で構え、吹き飛んでいったカーナの姿を捉える。確実に照準を脳天に合わせ、トリガーを引いた瞬間、とてつもない反動と同時にレーザーが射出しカーナの脳天を見事にブチ抜いた。

 

「ハイ終わり。お疲れ様でスター」

 

 カーナの肉体が地面に叩きつけられ、潰れたカエルのごとく中身全てをぶち撒ける。今度こそ確実に死んだと、胸張って言えるほどに異形魔理沙はニルべ・ナ・カーラを殺した。

 しかし目を離した瞬間カーラの死体は消えており、異形魔理沙が索敵魔法を用いても見つからない。不死身は不死身でもただの不死身では無さそうだ。

 周囲を警戒する最中、背後から突如人の気配を感知した異形魔理沙は即座に振り向き、最上級火炎呪文(メラゾーマ)を唱える。放たれた巨大火球が周囲一帯を焼き付くしたものの、肝心の相手には容易に避けられてしまった。

 

「やはりそう簡単には上手く行きませんね」

 

 カーラは手に持っていた杭とハンマーを捨て、再び異形魔理沙と対面した。

 

「…………何なんだ手前」

 

「それはこっちのセリフです。2000回試行したのに全て防がれました。お手上げです」

 

「やはり彼女を利用した方が早い」

 

「オイ。俺が今手前に何者かを聴いとルというのに無視か? 無視なのカ? 無視さレた人の気持ち考えたことあります?」

 

「ありません」

 

「何でそこだけ聞いてんだよ馬鹿」

 

 至極真っ当にツッコミを入れた異形魔理沙だったが、またもやスルーされてしまう。もう相手にするだけ無駄な気がしてきた魔理沙は、軽い気持ちでカーラの後頭部に巨大な両刃剣を投げつけた。

 が、カーラは振り向くことなく両刃剣を2本の指で受け止め、適当に放り投げてしまう。そしてカーラは何事もなかったかのごとく話を続けた。

 

「さて、これで私の役目は終了です。出来ることならもう少し追い詰めたかったのですが、油断は禁物。ただ最後にもう少し、時間を稼がせてもらいます」

 

 ニルべ・ナ・カーラが指を鳴らすと、周囲から黒いフードを被った人達がゾロゾロと集結し、二人を囲むように並ぶ。

 

「彼らは私の私兵です。人数はおおよそ10000人といったところでしょうか」

 

「10000人の雑兵じゃ10秒も持たんが?」

 

「彼らは普通とは()()()違うので、かなり苦戦すると思います」

 

「あっそ。期待しないで置くよ」

 

 ニルべ・ナ・カーラはそう言うと微笑みを浮かべながら10000人の私兵の中に入っていき、そのまま行方を晦ました。

 

「…………で、お前ら何か言い残すことある?」

 

「「…………」」

 

 異形魔理沙の問いかけに私兵たちは全く反応を示さず、無言でジリジリと異形魔理沙を追い詰めようとする。

 しかし異形魔理沙は物怖じひとつすることなく、首と手の骨をコキコキと鳴らしながら、堂々とした仁王立ちで迎え打とうとした。

 

「じゃ、死にたいヤツから前に出ろ。死にたくないヤツは諦めろ」

 

「手前ら人類は狩られる側であることを思い出させてやろう」

 

 異形魔理沙が構えた瞬間、カーラの私兵達が一斉に動き出し、異形魔理沙の息の根を止めようと襲いかかる。

 

「死にたいヤツ、大杉」

 

 

 

 ■

 

 

 

「ふぅ⋯⋯」

 

 10000体の死体の山でタバコをふかし、異形魔理沙らつかの間の休憩を楽しんでいた。

 

「どうすッかなぁコレ」

 

 胸に突き刺さった1本のデカイ杭。戦闘中常に邪魔で煩わしかったが、外す手段が思いつかない。

 

「永琳か? イヤでもアイツ今いねェし、他に束頁レんのはアリスとパチュリーか? パチュリーは()()()と一緒だから分かるが、アリスがどこにいるかは知らんなァ」

 

 悩みに悩んだ結果、魔理沙は決断した。

 

「⋯⋯生姜無い。もやしのところに行こう。ついでにあの魔王100%でもからかいに逝くか」

 

 人類全滅計画は一旦中止し、先に胸の杭を抜くべく紅魔城に向かうことにした異形魔理沙。ただ城の主は俺の動向を全て把握しているのと、本人のセイ格が終わってるため、そう易々と門を潜らせるハズがないことは容易に想像出来る。

 

「ま、邪魔すンなら殺すだけだ」

 

 異形魔理沙は八卦炉を指の上で回しながら、イギリスに向かって移動し始めた。さらなるカオスと争いを求めて。

 

 

 

 to be continued....

 

 

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