吸血鬼の始祖がヒーロー社会で自分勝手に生きる話 作:鈴木颯手
01・ヴィラン連合との出会い
「……おい、黒霧」
「は、はい」
「これはどうゆうことだ?」
とあるビルの一室。バーの様な空間となっているそこで死柄木弔は傍に控える黒霧に尋ねた。しかし、声からは怒りの感情が漏れており顔を覆うように装着されている腕の間より射殺さんばかりの視線で睨みつけている。そして、睨みつけられている黒霧も困惑しつつもうまい言葉を言えない。そんな彼らを見つめるように無表情の少女がタブレットを持ち画面が自分の胸辺りに来るように相手に見せる形で待機していた。
このような事になっている理由は黒霧が自らの”個性”である【ワープゲート】を用いてとある人物の下に向かいここに連れてくるはずだった。しかし、気づけばその人物はいなくなり代わりにこの少女がやってきたのである。
対象の人物は連れて来れなかったうえに全く関係ない少女を連れてきたのだ。元々短気な性格の死柄木は呆気なく沸点に達したのである。
「どうするんだ? この餓鬼は。いっそ殺すか?」
「その方が良いのでしょうか?」
黒霧は死柄木の短絡的な発言にたしなめようとするが分かっていないと思うがここを見られた以上処理するしかないだろう。そう思い実行に移そうとした時だった。少女が持つタブレットが起動し映像を映し出す。『Sound Only』と表示された画面から声が聞こえてくる。
「黒霧だったかな? すまないな。突然いなくなって。何しろ君を信用できなかったのでね」
「あ? 誰だてめぇ」
「そちらの少年が君のパトロンかな? 私はそこの黒霧君が連れて行こうとした者さ」
「っ! お前が……!」
死柄木はその言葉にタブレットの方を見る。相手は音声のみだが死柄木の方を意識した会話を行っている。音声のみだがお互い視線を合わせていた。
しかし、それを邪魔するように今度はバーの隅に取り付けられたテレビが起動し砂嵐が発生する。しかし、そこからは声が聞こえてくる。
『……驚いたな。まさか拒否されるなんてね』
「……おや、パトロンは君の方だったか……。そして納得だよ」
タブレットの声はテレビから聞こえてくる声に一人納得したような声を出す。その正体に気付いたのだろう。笑いすら聞こえてくる。
「君が一体何を目的としているのかは分からないが、ここは挨拶をしておこうか。初めましてオール・フォー・ワン。この世の巨悪」
「こちらこそ初めまして、始祖王。”個性”ではない純粋な吸血鬼の始祖」
両者はテレビとタブレットを介して挨拶を行う。今、二つの悪が触れ合おうとしていた。
始まりは中国の軽慶市で”発光する赤児”が発見された事だ。それ以降世界各地で超常現象が確認されそれらは”個性”と呼ばれるようになった。今では世界総人口の8割がこの個性を持った超常社会となっている。
しかし、それに伴い個性を用いた犯罪が横行する事になった。これまでの社会では考えられない個性を用いた犯罪者は
個性を用いれば強盗、殺人、誘拐etc……。なんでも簡単に出来る。炎を扱える個性なら相手を焼死体に出来るし透明化の個性なら監視カメラに映らないように強盗も可能。誘拐だって転移系の個性を用いれば簡単だ。
しかし、そう言った個性を犯罪に利用するようになると同時に個性を人助けの為に使う者も現れた。彼らは漫画やアニメの様にヒーローさながらの活躍を続け何時しかそれは人びとに認められる”職業”となった。
つまり、この世界は個性を犯罪に用いるヴィランとそれを阻止するヒーローという存在が現れた世界なのである。
そんな世界故に、俺は異端と言える。いや、違うか。
しかし、俺を除く始祖は皆息絶えた。なぜか?一人は魔女狩りで、一人は老いで、一人は長い時を生きるのを苦痛に感じ自殺した。そうして数を減らしていき遂に俺一人となった。とは言え俺は孤独など感じていない。
俺は世界中を旅してまわり美女たちや時の権力者たちと友好関係を築いた。中には俺の力を狙ったり恐れたりした奴らに襲撃を受けたがそう言った連中は国ごと消滅させてやったさ。そして、お気に入りの女を見つけては血を与え眷属にした。俺の血は特殊なのか相手が望んでいなくとも俺の意志次第で眷属に出来る。そうなれば後は俺に絶対服従する。相手が嫌でも、拒否してもそれはできないのだ。眷属となった女性たちは皆俺の言う事に忠実となり嫌がる事は絶対に出来なくなる。中には調教の様な行いをして廃人にした女もいるがそれはそれで面白かったさ。
そうして俺は眷属たちとイチャイチャしながら生きていたら気づけば個性という物が出現し社会は様変わりしていたという訳だ。そうなればやる事は単純だ。個性を持っていて且つ、好みの女性を自分の
とは言えそんな事をしていれば俺もヴィランとして扱われるようになりヒーローたちに追われる身となったのだ。今では外を歩けばヒーローに攻撃を受けその辺のホテルに滞在すれば包囲されるくらいにはなった。
まぁ、そんな有象無象では俺をどうこう出来る訳がないのだがな。受けた事は無いし受ける気もないが核にだって耐えられるだろう。条件付きで、だが。
そんな訳で俺はこの超常社会ではヴィランとなった訳でが話は冒頭に戻り黒霧という奴に拉致されそうになったのを躱して俺のお気に入りの人形を向かわせた訳である。
まさかオール・フォー・ワンがパトロンをしているとは思わなかったがな。ああ、因みにこいつらは
『どうだろうか? 彼に力を貸してくれないか?』
「まさか”悪の象徴”と言えるお前から声をかけてくるとはな。意外だ」
このオール・フォー・ワンという男、俺と眷属以外で長生きしている存在だ。それを可能としているのは名前の通りの個性【
この個性を用いてオール・フォー・ワンは闇社会を支配し日本を裏から支配した。その後、”何かが起きて”裏社会から姿を消していたがこうして組織のパトロンになっていたとはな……。
『君は私にとって天敵とも言える存在だ。何しろ吸血鬼として出来る事は出来る上にそれ以外にも”切り札”を持っている。それも把握出来ない程に。そう言った者は個性を奪い取ればいいだけの話だが君のは個性じゃないから取れない。そんな実力を持った君には劣るが十分に厄介な眷属を数千単位で持っている。仲良くしておきたいと考えるのは当然じゃないか』
「お前が俺の眷属にちょっかいをかけた事は知っているがその時に把握したのか」
十年前か?いや、もっと前かもしれない。買い物中の俺の眷属を襲撃しその吸血鬼の力をこいつは手に入れようとした時がある。しかし、結局奪えなかったうえにその眷属を殺す事も出来ずにいたところを他の眷属が襲撃しオール・フォー・ワン相手にボコボコにしたことがある。オール・フォー・ワンはその時に俺の事を色々と知ったのだろう。結局百人では押し切れずに痛み分けの様な結果で終わったがな。
『あの時の事が理由ならどうしようもないが私も謝ってじゃないか。手打ちにする代わりに君のお気に入りの眷属数人に強力な個性もあげた』
「あれは本当に感謝しているさ。何しろお気に入りだったのが更にお気に入りになったからな」
『満足してくれたのなら幸いさ』
「で、勧誘に関してだが。答えは部分的Noだ」
俺が拒否した事で死柄木の視線が鋭くなる。どうやら自分の思い通りに全てを動かしたい子供の様な奴のようだな。とは言え俺は完全に拒否った訳ではないのだ。それを言わせてほしいな。
『弔、落ち着くんだ。彼は”部分的に”と言った。何か条件があるのだろう』
「その通りだ。俺としては誰かの下につくのはプライドが許さない。こう見えても紀元前から生きている存在なのでね。そんな訳で参加はしないが協力はしてやってもいいが先ずはこの組織の目的を聞いてからだ」
『確かに。説明していなかったね。ヴィラン連合の目的は”オールマイト”の抹殺だよ』
「オールマイト!? それは大きく出たな」
予想外の人物の名前に俺は驚く。オールマイトとはこのヒーロー飽和社会と言われる現代においてNo.1ヒーローとして君臨し続けている存在だ。オール・フォー・ワンを裏の頂点とするならオールマイトは表の頂点だ。実力もその地位にふさわしい物であり俺も接敵すれば無事ではすまないだろう。
そんな存在の抹殺を掲げるとは無謀とも言える。オール・フォー・ワンならともかくこの黒霧や死柄木に出来るのか?それが疑問だ。
『勿論、この目標を達成させるための準備は行っている。私の個性を用いて対オールマイト用の怪人を作る事に成功している。後はそれを実行できる場所、状況、人員を作るだけだ』
「成程、パトロンに君がついている以上生半可な準備ではなさそうだな。……良いだろう。君たちに協力しよう」
『本当かい? それは心強いよ。何しろ僕と互角に戦る眷属を従えているのだから』
「そのうちの一人を派遣しよう。分かるか? 十字架のペンダントを首から下げた炎の女性だ」
『……ああ、彼女か。確かに彼女は強かった。今でも彼女にうけた傷が疼くよ。できれば二度と受けたくはないな』
「加えてお前から貰った個性付きだ。あの時以上の実力を持っているぞ」
『それはそれは……』
オール・フォー・ワンの口調は軽いが本音では本気で戦いたくないと言っているのが分かる。何しろ俺だっていやだからな。勝てないことはないが俺もただでは済まないくらいの実力を持っている。千年を超える付き合いだ。それだけあれば実力も高くはなるな。
「それとこの人形も派遣しよう。俺とお前たちをつなぐメッセンジャーだ。君たちの活躍はこのタブレット越しに観戦させてもらうつもりだ」
『勿論構わないとも。それでより多くの戦力を派遣してくれるよな戦いを見せよう。弔もそれで構わないな?』
「……先生が言うのなら」
ずっと蚊帳の外にいた死柄木は若干不服そうにしているが素直に同意した。よほど彼の中ではオール・フォー・ワンの存在が大きいようだな。”先生”と言っていたくらいだからな。
さてさて、このヴィラン連合とオール・フォー・ワンがどのような活躍を見せてくれるのか、一人安全なところから観戦させてもらうとしますか。
オール・フォー・ワンと眷属の戦い
オール・フォー・ワンが買い物中の眷属の一人を”吸血鬼の個性”と思い手に入れようと誘拐した結果起きた出来事。奪還しようと戦闘能力が高い眷属約百人との戦いとなった。互いに痛み分けで終わったけどオール・フォー・ワンは主人公の事を知り、主人公もオール・フォー・ワンを知るきっかけとなった。
吸血鬼に関して
主人公は現状唯一生き残っている始祖に分類される。霧になったり蝙蝠になったり出来るし空も飛べる。一方で弱点と言える日光や十字架、ニンニクと言ったものは長い年月をかけて克服した為実質弱点なし
血を口から飲ませる事で眷属に出来る。これは老若男女問わないが主人公は好みの女性以外では眷属にした事がない。眷属は主人公が望んだうえで血を飲めば強制的になり主人公と同じ吸血鬼となる。基本的に主には絶対服従であり命令は絶対。主が望めば自殺もするし感情を殺す事も出来る。これが他の始祖でも起きる事なのかは不明。
主人公に関して
紀元前から生きる始祖。美女に目がないうえにロリでも熟女でも行ける。変なプライドもあるメンドくさいタイプ。自制があまり出来ない為気に行った女性を攫っては眷属にしている。それは個性が発見される前から行っている為中には歴史上の人物もいたり……。
そんな事を超常社会でも行っていたらヴィランに認定された。とは言え吸血鬼としての能力をフルに使い捕まった事はないしオールマイトとも出会ったことが無い。
他のキャラを出すか(勿論始祖の眷属として。その為性格は大きく変わる可能性大)
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あり
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なし
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数人程度ならあり