吸血鬼の始祖がヒーロー社会で自分勝手に生きる話 作:鈴木颯手
そして原作キャラが死にます(唐突)
保須戦争と名付けられた俺たちが起こした戦争から大分経った頃、俺は再び死柄木より呼び出しを受けていた。いつも通りにタブレット越しで話すが最近では直接会っても良いかもしれないと感じていた。オール・フォー・ワンは未だ警戒するべき相手だが死柄木は
最初こそヴィラン連合と言う存在が分からずに警戒したが一度中に入ればその必要はないと感じる。次の計画の前に一度顔合わせをしてもいいかもしれないな。
通信を開始し、映るのは何時もの薄暗いバー。そして死柄木と黒霧。だが、いつものとは違い知らない顔が三つほどあった。一人は女子高生と思われる少女。中々に好みだ。そして何より
そして最後の一人は白髪の眼鏡をかけたおっさんだ。確か、裏では有名なブローカーだったはず……。クレオパトラがいれば聞けたかもしれないが今は別件で近くにはいないし態々連絡する必要もないな。
通信が始まっているのに気づいたのだろう。青年が俺の方を向く。
『……お前が吸血鬼か?』
「おや? 映像は付けていないはずなんだがな」
『ただ、そう感じただけだ』
『もしかして吸血鬼ですか!? 私見てました! 良いですね! 私、血が好きなんです!』
「……成程。なら俺の眷属にならないか? 毎日血が浴びるほど飲めるぞ」
『本当ですか!? 私なります! あ、私トガヒミコっていいます!』
「トガちゃんね。よろしく。……あ。死柄木はそれでよかったか? もしふざけんなって言うならそっちを優先するけど」
『俺は餓鬼が嫌いなんだよ。そっちで引き取ってくれて構わない』
どうやら死柄木は餓鬼が嫌いなようだ。それが雄英高校襲撃より後なのか前からなのかは分からないがな。それにしても……
「死柄木。こいつらはお前の仲間候補か? それなら邪魔しちゃあれだしまた今度にするが」
『何言ってんだ。こいつらが来たから通信させたんだろうが。お前も協力者なら見極めに協力しろ』
「とは言っても俺に出来る事など限られているが」
死柄木はいら立っているのか若干いつもより当たりが強い。まぁ、嫌いな
『死柄木弔。あの大物ブローカーの紹介です。戦力的には期待できますよ』
『なんでもいいが手数料は頼むよ。黒霧さん、取り敢えず紹介だけでも聞いておきなよ。まず、こちらの可愛い女子高生は名前も顔もしっかりメディアが守ってくれちゃっているが連続失血死事件の容疑者として追われている。半分ほどはそこの吸血鬼さんの仕業だったりするがな』
「それは失礼した。とは言え流石に証拠は残さないようにしているんだがな」
『だからこそ分かるのさ。トガ君の仕業とされている半分は
「成程。死体以外の証拠は隠滅していなかったな」
『そんな訳で自己紹介だ』
『トガです! トガヒミコ! 吸血鬼に憧れてます! 眷属になりたいです!』
『……そう言う訳だ。すまないね。ヴィラン連合への紹介のはずが吸血鬼さんの方への紹介になってしまった』
『別に構わないさ。俺はガキが嫌いだ。その隣の様な礼儀知らずもな』
死柄木は呆気なくトガちゃんを俺に任せてくる。俺としてもそれで構わない。後で黒霧に転送を頼むとするか。しかし、まさかこんなかわいい娘がいたとはな。最近じゃ眷属が可愛い娘を連れてくることはほとんど無くなったからな。俺自身で確認する必要が出てくる。
『次にこちらの彼。目立った罪は犯してないが”ヒーロー殺し”の思想に偉く心酔していてね』
『……不安だな。この組織。本当に大義はあるのか? 加えて、そこの吸血鬼も気にくわない。本能のままに暴れる獣にしか見えない。このイカレ女を引き込もうとする辺りもな』
『えぇ!?』
青年は平坦な声でそう言う。確かに、人間からすれば俺たちは本能のままに楽しみ、攫い、殺戮を行う獣だろうな。だがな、
『おいおい、そこの破綻Jkですら出来ている事をお前はできていない。先ずはまずは名乗れ。大人だろうが』
『今は荼毘と名乗っている』
『てめぇ、舐めてんのか?本名を名乗れ』
『出す時になったら出すさ』
ふむ、破綻しているというのは死柄木と同じかもしれないが礼儀はできているな。確かに自己紹介の場において名を名乗るのは当たり前だ。それが出来ていないのだから礼儀知らずと苛立っても可笑しくはないな。
『とにかく、ヒーロー殺しの意志は俺が全うする』
『聞いてない事は言わないでいいんだよ。全く、どいつもこいつもステイン、ステインと……』
死柄木がゆらりと立ち上がる。ああ、これはめんどくさい事になりそうだ。それは黒霧も同じように思ったのだろう。死柄木の名前を呼んでいるが当の本人は全く聞いておらず恐らく荼毘と名乗った青年の方を凝視している。
『気分が良くない。駄目だお前!』
そう言うと死柄木は荼毘に両手を伸ばす。荼毘も煙が上がる右手の手のひらを死柄木の顔に近づけるがお互いの手が触れる前に黒霧のワープゲートが発動しお互い背中の方から腕が出ている。因みにトガちゃんは楽しそうに笑いながら二人の様子を見ていた。流石は犯罪者。見た目は可愛らしくも中身は立派なヴィランのようだ。
『落ち着いてください死柄木弔! あの貴方が望むがままを行うには組織の拡大は必須。奇しくも注目されている”今が”拡大のチャンス排斥せずに、利用しなければ。彼の残した”思想”も全て……』
『……』
流石に相手の前で利用という言葉を使う事は控えたのか黒霧が頭だけを伸ばして死柄木に耳打ちしている。死柄木は不服そうだが納得はしたのか手を引っ込める。
『うるさい』
『どこへ行く?』
『うるさい!』
大物ブローカーの言葉に怒鳴るように言い返すとそのままバーを出ていく。その後ろ姿を大物ブローカーは呆れたような態度で見送る。
『取引先にとやかく言いたくはないが若い、若すぎるよ』
『気色わりぃ』
『殺し合いたかったなぁ……』
「とは言え死柄木は分かっているだろう。出なけりゃここから出て言ったりしないさ。ヴィラン連合は今のままでは駄目だという事も、お前らみたいなのも受け入れる必要がある事をな」
『……ところで、お前は何故アイツに協力する』
俺が話し始めたからか荼毘がこちらに問いかけてくるがその疑問はよく言われる事だ。俺がその気になればオール・フォー・ワンを倒し死柄木達を屈服させる事も可能だ。何しろこちらは吸血鬼という人間を超える存在だ。しかもそれが一万以上存在するのだ。更に吸血鬼の能力をフルに活用すればこの世界を滅ぼす事も可能だ。最近じゃ【コピー&ペースト】という便利な個性も手に入れたからな。力は単純計算で倍増していると言える。
「簡単な話さ。最初は死柄木のパトロンが意外だったから協力関係になったが最近は死柄木の成長が楽しみというのもある」
『……あいつにそれだけの成長があるのか?』
「勿論だ。出なければステインが死柄木を認め協力しようとはしなかっただろう」
『……』
「じっくり考えるといいさ。ヴィラン連合だって今すぐ返答するわけではない。だが、これだけは覚えて居ろステインは
『……ふん』
「あ、トガちゃんはこの後俺の所に来てくれ。黒霧、悪いが俺が今から言う座標に送ってくれ。後は俺の眷属で回収する」
『分かりました』
『早速ですか! 楽しみです』
ああ、俺も楽しみさ。トガヒミコと荼毘。二人の紹介は
そして、その数日後。死柄木は”信念”を得て戻ってきた。”オールマイトを殺し世界がいかに脆弱かを知らしめる”。信念と言えるかは微妙かもしれないがそれに向かって突き進む目標が出来たのはいい事だ。これを受け荼毘はヴィラン連合の一員となった。トガヒミコも無事に眷属となり次いでに彼女の個性【変身】のほかに個性を与えた。流石に戦闘向きではない個性のみというのは可愛そうだ。戦闘で役立つ個性を与えたよ。
そして、世間一般の高校が夏休みへと至る中。ヴィラン連合は着々と力をつけ始めている。このままいけば雄英高校襲撃時よりも戦力を集める事が出来るだろう。その時は、オールマイトを殺すために動き出すだろう。その時までに、俺も力を取り戻さなければ……。
とある病院にエンデヴァーの妻にして轟焦凍の母親である轟冷はいた。轟焦凍が幼い頃にエンデヴァーの教育方針に耐え切れずに心が壊れてしまった際にやけどを負わせたことから病院に入れられていた。焦凍は一度として見まいに行かず、姉の冬美がかいがいしくお見舞いに行くのみだった。
そんな彼らに転機が訪れた。雄英体育祭にて焦凍は緑谷出久との戦いを通して家族と向き合う事を決め久しぶりに母の下に向かい、和解を果たした。未だエンデヴァーに会うのは勇気が出ずにいるがいずれは話をして本当の”家族”になりたいと願っていた。
しかし、その願いを断ち切るようにエンデヴァーは保須戦争において瀕死の重傷を負い未だ意識不明で集中治療室にいる。起きる可能性は五分五分な上に後遺症が残ると示唆されており以前のようなヒーロー活動を出来るようになるのかは不明との事だった。
これは家族間でもそうだが世間でも大きな衝撃を与えた、ただでさえオールマイトが雄英高校の教師に就任しヒーローの活動が少なくなっている所に彼に次ぐヒーローがいなくなりそうなのだ。
「あの人は、まだ目を覚まさないのね……」
冷はいつも寝ている部屋のベッドに腰かけて焦凍と冬美と話し合っていた。焦凍が和解を果たしてからこういう風景はよく見るようになり少しづつだが昔の様な家族に戻りつつあったがエンデヴァーの重傷で少し暗くなっていた。
「大丈夫よ。どうせその内目を覚ましてまたヒーロー活動を再開するわよ」
「そう、よね……」
冬美は母親を勇気づける目的でそう言うがあまり表情は晴れない。それは隣に座る焦凍も同じでありずっと何かを考えている様だった。
「……焦凍、あんた何時までもそうしているなら一階の売店で何か買ってきな。」
「ああ、そうする……」
とは言え何時までもそうしていれば晴れる気分も晴れない。冬美は焦凍に気分転換を兼ねてお使いを頼んだ。焦凍も特に嫌がる事無く病室を出ていく。
売店で軽食や飲み物を買う焦凍は考える。
「(俺は、どうすればいいんだ……)」
父親の復讐をしたいのか、それとも父が敵わなかった相手を倒す事で父を超えたいのか最近の焦凍には分からなかった。加えて父を倒した相手が具体的に誰なのかさえ分かっていない。これは父が意識を取り戻すまでは進展しないなと結論を出し売店を出た時だった。
突然、病院全体を揺らす爆発が起こる。病院にいた人達は悲鳴を上げその場に座り込むが焦凍は状況判断に努め爆発音の位置を探ろうとする。
「(おそらく二階より上、それでいてここから少し遠め……。まさか!)」
焦凍は嫌な予感に襲われ駆けだす。エレベーターは使えなかったため階段を全速力で駆け上がり母親の病室に向かう。近づくごとに増える煙とすれ違う人々。その中に母親も姉もいない。無事でいてくれという思いを募らせながら彼は固まった。
先ほどまでいた母親の病室。扉は吹き飛び部屋からは煙が上がっている。地面や壁は罅が入り爆心地という事を嫌でも思わせる風景に焦凍はこう直後直ぐに部屋の中に入る。
そこは、先程までの部屋とは全く違っていた。窓側にあった母親のベッドは
「な……、あ、」
焦凍はその場にに崩れ落ちる。そして、絶叫を上げた。
警察の調査聞き込みにより爆発と共に空中へと飛んでいく
更に、ほぼ同時期に兄の夏雄が通っていた大学が襲撃を受け夏雄を含め百人近い学生が殺されていた。それだけではなく焦凍の実家では火災が起こり火の回りが異様に早く全焼した。その結果からエンデヴァーの家族を狙った襲撃であると結論付けられ犯人の割り出しが行われる事となる。
焦凍は、母親に姉と兄を失い家すら消えるという状態へとなるのだった。父であるエンデヴァーも目を覚ましていない事から、焦凍は母方の実家に預けられる事となり学校はそこから通う事となる。
トガヒミコは始祖の眷属となりました。
個人的に好きです。性格は別ですが……
そして作中でも言っていた通り”家族”となり始めた轟家は呆気なく崩壊しました。……これってNTRのタグとか必要なのだろうか……?
今後の展開に関して(なお、劇場版は”二人の英雄”のみ視聴済み)
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一気に林間合宿に
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二人の英雄の話を挟む
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