吸血鬼の始祖がヒーロー社会で自分勝手に生きる話 作:鈴木颯手
それとトガちゃん出てきません。ごめんなさい
ヴィラン連合の目的である爆豪勝己の回収は成功した。こちらもワイルド・ワイルド・プッシーキャッツのピクシーボブとマンダレイは確保した。拳藤一佳や耳郎響香に芦戸三奈の回収もしたかったがそこまで望む事ではないな。
そんな訳で林間合宿襲撃から戻ってきてすぐに俺はマンダレイとピクシーボブの眷属化を始めた。眷属化に置いて重要なのは血の量だ。血が一滴でも体内に入れば眷属化は行えるがその者の気力や能力によっては抗える時がある。故に俺は眷属化を行う時は200mlは用意する事にしている。これだけあればどんな強靭な肉体を持ち、強固な精神を持っていようと数分から数時間で完了する。
「うう、ああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
「ぁぁぁぁぁぁ……っ!!」
マンダレイは未だ耐えているがピクシーボブの方は8割ほど吸血鬼となっている。因みに、二人が居るのは手術室を思わせる白い部屋で二人は大の字で拘束されている。拘束具は吸血鬼ですら外すのが容易ではないほど頑丈な物だ。人間である二人に外せる物ではない。
「くっ! テレパス……! なんで!? なんでぇぇぇぁぁぁぁぁっ!!!!」
「悪いがテレパスは使えないぞ。ここは次元と次元の間にある空間。テレパスを行いたい対象者はこの空間にいないからな」
「お前! だけは……!」
「精々足掻け。足掻けば足掻くほど血はより早く巡り順応していく。お前は4割ほどと言った所か。ピクシーボブの方は……。終わったか」
俺はピクシーボブの方を見てそう判断した。暴れる事を止め、荒く息を吐きつつも少しづつ息を整えている。そして何より
それを見たマンダレイが思わず叫んでている。
「ピクシーボブ! そいつを捕まえて!」
「……信乃」
ピクシーボブはマンダレイの本名らしき名前を呟くと
「我が主、
「そんな……、どうして……」
「……ごめんなさい、信乃。だけどあなたも終われば分かるわ」
そう言うとピクシーボブは立ち上がりマンダレイの顔に近づけて軽く舐める。
「ヒッ!?」
「また一緒に過ごせることを願っているわ」
「ピクシーボブ、来い」
「分かりました」
やはり眷属になった直後は平坦だな。だがここから数日かけて元の性格が戻って来る。だが、俺を優先し俺の命令に逆らえず、俺の命令を全うする事に幸福感を感じるようになる。もう、ピクシーボブはワイルド・ワイルド・プッシーキャッツとして活躍し31という事で婚期に焦るような女性ではなくなり、俺の為に動く永遠の美貌が約束された最高の
「マンダレイ。君も後一日で全ては終わる。その時はピクシーボブと共に可愛がってやるさ」
「あん♡ ご主人様……♡」
俺に抱き寄せられ甘い声を出すピクシーボブと共に俺は部屋を出る。一人、残されたマンダレイはうめき声と共に鳴き声が聞こえてくるようになった。だが、それもすぐに終わったよ。計31時間。ピクシーボブは怪我をしていたから順応が早く進んだとは言え随分と持ったな。では約束通り、二人を同時に可愛がってやるとするさ。俺は
「ん……。ご主人様ぁ」
「はぁん。ご主人様ぁ」
俺は自室にてヴィラン連合にいるお気に入りの人形が持つタブレットと通信をつなぐ。そんな俺の太ももでは猫の様に甘える二人の女性がいる。吸血鬼となった事で20代前半並みの若さとなったマンダレイとピクシーボブ改め信乃と流子。二人は戦いも出来る疑似愛玩ペットとなった。今度二人には戦闘向きの個性を幾つか見繕って与えるつもりだ。ヒーローだけあって素の身体能力も高かったし直ぐにジャンヌやラクシュミーに追いつく事が出来るかもしれないな。流石に徴姉妹までは難しいだろうけどな。
話がずれたが映し出された光景は若干狭く感じるようになった何時ものバーと全身拘束された爆豪勝己の姿があった。どうやら本格的にスカウトを開始する様だな。とは言え彼が仲間になるとは思えないがな。……ああ、ほら。拘束を解いた全身タイツ野郎を跳ねのけて爆豪は死柄木に爆破を行っている。あの爆破はとても便利だ。【コピー&ペースト】で複製させてもらったが中々素晴らしい個性だったよ。
「おいおい、死柄木。そいつが仲間にならないことぐらい分からなかったのか?」
『……』
「見た目も性格もヴィランだが此奴の中にはオールマイトへの憧れがある。そうである以上対極の位置にいる俺たちに協力なんてするはずがないさ」
『そうだな。少し舐めていた。黒霧、アイツが何かしたら動け。コンプレス、もう一度丸めろ』
『全く、ここまで人の話を聞かないとはな。逆に感心するぜ』
コンプレスというマジシャンが近づくと爆豪は一歩下がる。彼とて理解はしているのだろう。この場の全員を相手にする事など出来ないと。そして、逃げ出すチャンスを狙っているな。一瞬のスキをついて爆破を起し後ろの扉から逃げる。そう思っているのだろう。ほら、
そう思った時だった。
コンコンコン
『どうも、ピザーラ神野店でーす』
扉をノックする音と共にピザ屋を名乗る声。それにその場の誰もが固まり扉の方を向いた、その瞬間だった。
『SMASH!!!』
「なっ!?」
扉がある壁の右隣の壁が吹き飛びそこから一人の巨漢が現れた。スーツに身を包みアメコミのような画風を持った男、オールマイトだ。一瞬の出来事に真っ先に反応したのは死柄木だった。流石にとっさの判断力はついているようだがそれをさせないように新たなヒーローが現れた。恐らく木を操る個性と思われる攻撃でバーにいる全員を拘束する。勿論俺の眷属も拘束された為タブレットは破壊され通信が切れてしまった。
とは言え別にこれは問題ではない。俺は眷属の目や耳から情報を受ける事が出来る。タブレットを用いていたのは集中しないと使えない上にその間は他の事が無防備になるからだ。俺の眷属しかいないこの空間ではあってないようなデメリットではあるがな。
神経を集中し、眷属の目と耳と合わせる。そして俺は眷属の目から現在の状況を把握する事が出来るようになった。どうやら数秒の間に爺によって荼毘は気絶させられたようだ。遠距離攻撃が出来る者を真っ先に狙ったあたりかなり計画を立てて行動しているようだ。
「もう逃げられんぞ、ヴィラン連合!
何故って?
我々が来た!」
この場にいるのは三人だが確実に外にもいるだろうな。この五感の共有は気配までは探れない事が難点だな。全身タイツ野郎が何やらもがいているが拘束が解ける様子はない。眷属だが非力な方に分類されるこの人形でも逃れる事は難しそうだ。
「攻勢時ほど、守りが薄くなるものだ。ピザーラ神野店は、俺達だけじゃない」
すると、扉の隙間を抜けて来たらしい忍者っぽいヒーローが現れると扉の鍵を開けた。そこには武装した警官の姿がある。……どうやらマジでヴィラン連合のピンチのようだ。
「そして、外は手練れのヒーローたちと警官が包囲している。吸血鬼対策も出来る限り備えてある」
忍者はこちらを見て言ってくる。まさか銀の武器を使うとか言わないよな?十字架も、ニンニクも俺たちには効かないぞ。
「……そっちも仲はそれだけじゃないだろうがそれはこちらだって同じだ!」
死柄木はまだまだ抗う気でいる様でそう叫んだ。
「黒霧! 持ってこれるだけ持ってこい!」
「! 脳無か! だが、我々がそちらの対策をしていないと思っているのか!」
「何?」
「死柄木弔! 所定の位置にあるはずの脳無が……、ない!」
「……は?」
「やはり君はまだまだ青二才だな」
そう言ってオールマイトは爆豪の傍によると死柄木の方を向く。……ああ、脳無がいる方も抑えられたのか。マジでヴィラン連合の危機じゃないか。
「ヴィラン連合よ。お前らは舐め過ぎだ。少年の魂を、警察の弛まぬ捜査を! そして! 我々の怒りを!」
破壊された壁より光が入って来る。それがオールマイトの後ろから射し威厳を何倍にも高めている。
「もうここで終わりだ、死柄木弔!」
その瞬間、感じるのは強大な威圧感と圧迫感。成程、これが平和の象徴か。そう言われるにふさわしい圧を持っている。エンデヴァーとて悪くはないが見る者全てを安心させるような感覚は持っていなかった。正直、エンデヴァーの方が強いとさえ感じた事もあったがそれは間違いだったようだ。これで弱体化しているというのだから
俺は一度感覚を切ると人形に
「少し出かけてくる。良い子で待っているんだぞ」
「「はい! ご主人様!」」
二人は仲良く返事をする。眷属化前からの仲の良さは変わっていないようだな。安心した。中には眷属化を機に性格が変わりいがみ合うようになった奴もいたからな。勿論、その逆もいたが。
さて、今はそんな事を考えている場合じゃない。俺は【ワープゲート】を発動すると一度とある部屋に入る。そこには待機しているE-型が座っていた。要はこいつらの倉庫という訳だ。
「E-型、全員立て」
俺の言葉に反応し、立ち上がる。数はおおよそ二百。保須市で投入した半分ほどがやられたがまだまだそろっているし【コピー&ペースト】を用いてこいつらは個性を幾つか与えている。保須市の時よりも厄介さは上がっているだろう。
「命令を下す。”今から送る先にいるヒーロー及び警察を俺の命令があるまで攻撃せよ。殺す事も構わない。確実に我らの力を示せ”」
それだけ言うと俺は【ワープゲート】を開き百体程をバーに送る。そして残りを全て脳無格納庫に送る。唐突に現れた吸血鬼をヒーローはどう対応するのだろうか。きっとすぐに対応するが上手く行かないだろうな。俺はそんな事を考えつつ靄を潜り抜けた。
それは、唐突に起きた。死柄木達を拘束しようとオールマイトが一歩前に踏み出すと同時に黒い靄が発生し大量の吸血鬼たちが姿を現した。【ワープゲート】の個性を持つ黒霧はNo.5ヒーローエッジショットによって気絶させられていた。にもかかわらず【ワープゲート】が発生したことについてオールマイトは覚えがあった。
林間合宿でヴィラン連合と共にやってきたという吸血鬼の主を名乗る始祖。彼が黒霧と同じ個性を使っていたと飯田天哉達から聞いていた。オール・フォー・ワンから個性を貰ったとも考えられるが彼は”個性の複製”は行えない事から違うと判断していた。
「シンリンカムイ! 絶対に拘束を外すんじゃないぞ!」
オールマイトは死柄木達を拘束するシンリンカムイにそう言うと吸血鬼たちに攻撃を行う。見た目は愛らしい少女だがこの場においてそうだと言って舐める者は一人もいない。全員が吸血鬼の強さを知っているのだから。
だが、本来ならオールマイトの力さえあれば簡単に制圧は可能な力程度しかない。ジャンヌ・ダルクやラクシュミー、徴姉妹と言った吸血鬼の中でも上位に位置する戦闘能力を持つ者達ならいざ知らず彼女たちは名前を消され、言う事を聞くだけの人形と化した者達だ。オールマイトが負けるはずがなかった。
しかし、現実はオールマイトが拳を放つのを
「オールマイトの一撃を!?」
「くっ!」
「……」
オールマイトが後方に下がると同時にその場に黒い鉄球が落ちてくる。オールマイトよりデカい鉄球の登場に驚愕するがそれを行った少女は既に次の攻撃のモーションに入っていた。外を包囲する警察に動きはない。下でも戦闘が始まっているのだから。故に、シンリンカムイに向かって投げられたビー玉ほどの大きさの粒がシンリンカムイにあたる直前で先ほどの鉄球と同じ大きさになった際には誰も対応が出来なかった。
顔を中心に鉄球がぶつかる。顔を覆っていたマスクが粉々に砕け散り、死柄木達を拘束していた樹木はシンリンカムイの腕に戻っていく。当の本人は鉄球と共に地面へと落下していく。幸い鉄球の下敷きになる事は無かったが頭部をやられた事で気絶し、現段階では無力化されていた。
そして、そのタイミングを狙ったように制圧して全て確保したはずの脳無が出現する。黒い液体から出て来た脳無は吸血鬼を避けてヒーローや警察の機動隊に襲いかかる。一方で脳無への被害などお構いなしな吸血だが自ら攻撃しない辺り対象ではない事がうかがえた。
「ごぽっ! なんだ! これ!」
「っ!? 爆豪少年!?」
そして、一瞬のスキを突かれ爆豪の口から同じような液体が噴き出すとあっという間に全身を包み込んでいく。オールマイトがとっさに抱き着いて確保しようとするが抱き着くと同時に液体ははじけその場に爆豪の姿はなくなっていた。
「ああぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」
爆豪勝己を救いだせなかった事でオールマイトは思わず絶叫するがそんな暇など与えないとばかりに脳無と吸血鬼たちが一斉に襲いかかる。
そんな中、死柄木はオール・フォー・ワンの声が聞こえていた。
”もう大丈夫。僕がいるよ”
その声と共にヴィラン連合全員を液体が包み対応する間もなく全員がその場からいなくなった。ヴィラン連合のアジトへの襲撃は吸血鬼と脳無の介入により失敗に終わろうとしていたが、そんな事は知らないとばかりに事態は大きく動き始めていた。
平和の象徴、オールマイトと人間とは別種の知的生命体である吸血鬼の長、始祖の邂逅は近い。
前回で忘れていたルイズについて
大人気小説の王道のツンデレキャラではなくその元ネタとなった人物の方。修道院に入る際に始祖が眷属にした。その時に激しく抵抗したため半殺しにしてから眷属化を行った。それが原因で始祖に対して恐怖の感情が強い(だからと言って反抗する勇気もないが)。給仕役で戦闘能力は皆無。何時も恐怖で心が支配されている為かつての知力や勇気は見る影もない
軽く触れた全身鎧の吸血鬼
E-01。E-型のリーダー的存在。だからと言って優遇されている訳ではなくただただそれっぽい位置にいるだけ。ただし戦闘能力は一歩とびぬけている。
筋力増加系の個性を手に入れた事で身体能力だけならオールマイトに匹敵する。
因みに一応実在した人
壊理ちゃんをどうするか
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本命:眷属にしよう
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対抗:原作通りでいいじゃん
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穴:え?まさかの死亡?
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大穴:ヴィラン連合行き