私立、八二卜学園のJKたち   作:氷の泥

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01 パンツ

 私立、八二卜(やつふたうら)学園。通称はにとー学園。その学校の2年A組には、三人の特別な女子高生が所属している。

 一人目は天才ロリ科学者、巫女野(みこの)こみみ。謎技術によってよく不可能を可能にする超人だが、小学生の時に試みた不老不死薬の実験に失敗したせいで身長が145cmのままストップしている。話題のクセが強い。

 二人目は天然の不死、笹良(ささら)そよ。生まれつき何度死んでも完全復活する体を持つ超人だが、これまた生まれつきの不運によってちょくちょくあり得ない死に方をする。ほんわかした性格で、わりと恋愛脳。

 三人目は最強の常識人、雛里(ひなさと)あずさ。他の二人に比べるとかなりの常識人かつ一般人だが、時々人間離れした身体能力を垣間見せる。実はどちらかといえば話すより聞く方が好きなタイプ。

 ……この話は、以上の三名が至極どうでもいい会話を繰り広げていく様子を垂れ流す、ナンセンスコメディである。

 

 

 

 

 

 

 

 ある昼休み。いつも通り机をくっ付けて集合した三人の中で、巫女野こみみがある種哲学的な問いを投下した。

 

「あのさ、パンツってさ、もしかして全てをギャグに変える力を持ってるんじゃない……?」

「……は?」

「例えばスパイが命懸けで盗み出した超危険物質が、見た目パンツだったらギャグでしょ?」

「まぁ……」

「そよちゃんは分かってくれるよね」

「うーん? そのパンツって、女の子のってこと〜?」

「そう! 言わばパンティ! 表彰台に立った選手の、首にかけられた物がパンティだったら絶対ギャグでしょ!? たとえそこまでの過程にどんな感動のドラマがあったとしても!」

「あ〜、わかるわかる〜。パンツが見えるだけで笑っちゃいそう〜」

「でしょでしょ。だからもしかしてパンツには、全てをギャグにする力があるんじゃないかって」

「いや、ちょっと待った」

「はい、あずさ」

「全てっていうのは言いすぎじゃないか?」

「なにゆえ?」

「だってお前、女物のパンツ被った小汚いオッサンを見たらどう思う?」

「…………なるほど」

「それはただの変態だね〜」

「ギャグにはならない、ってことかぁ……。……いや、でもでもだよ? 藁人形に釘を打ち付けてる人がいたとしても、その藁人形がパンツ被ってたらギャグでしょ?」

「だから……?」

「でもその藁人形を持ってるのが小汚いオッサンだったとしたら……?」

「……なるほど。パンツとか関係なくオッサンがキモいのか」

「ってことでさっきの例は、パンツのギャグパワーを否定するには至らないのだ! QED!」

「きゅ〜い〜でぃ〜♪」

「いや、待て待て待て待て。じゃあこうしよう。来る日も来る日も、必死に練習を重ね続けてきた高校球児がいたとする。けれどその球児は甲子園直前で事故にあって、利き腕に大怪我を負ってしまった。……で、その時もしも包帯のかわりにパンツを巻いていたとして、それはギャグか? 笑えるか?」

「う〜ん……。かわいそうな感じの方が勝っちゃうかも〜……」

「パンツでも補いきれないシリアスがあるってこと?」

「じゃないの?」

「じゃあそれはもうあれだよ。事故に遭ったって部分を、超でかいパンツに轢かれたってことにしちゃえばいいんだよ。そしたら完全にギャグじゃん」

「あっ、確かに〜」

「えぇ……」

「パンツに轢かれたあと治療を受けてパンツを巻く! 完全にギャグでしょ!」

「じ、じゃあ何の罪もない人が凄惨な拷問を受ける場合は!? 被害者と拷問官、どっちの頭にもパンツを被せて、拷問器具の中にもパンツを紛れ込まさせたとして、それでもやってることがきっちり拷問だったら絶対笑えないでしょ!」

「それは拷問器具を全部パンツにすればよくない?」

「パンツしか使えない拷問はもはや拷問とは呼べないだろっ。前提のすり替えだ」

「じゃあパンツを口に詰め込まれると奇声を上げて絶命するとか」

「それはもはやパンツ云々レベルの話なのか……?」

「えっと、わたしとしてはだけど〜。そういう物理的にあり得ないことが起こるパターンは、笑う前に冷めちゃうかも〜」

「え? ちょっと待ってそよ、じゃあ巨大パンツに轢かれる話の方は、そよとしては物理的にあり得る判定なの……?」

「うーん、中身次第〜?」

「中身!?」

「車という名の鉄の塊じゃない?」

「それパンツというより車でしょすでに」

「本当に? あずさはパンツが被さった車を見た時に「あれは車です」って胸を張って言えるの?」

「「あれはパンツです」とも言い難くない……!?」

「あっ、チャイム鳴った〜」

「あー……」

 

 こうして今日も、はにとー学園2年A組の昼休みは平和に過ぎていったのだった。

 

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