前回までのあらすじ。
……こみみの発明品に用いられる技術の詳細や、製造の工程については「どうせ聞いても理解できない」と諦めているそよとあずさだったが、材料費についてだけは地味に……いや地味だからこそ気になっていた。そしてその疑問を実際に口にした時、グリムと名乗る金持ち外国人美女ゲーマーの存在が明かされる!
いつもの三人は、不老不死への道をこみみと同じく片手間に探すグリムから頼まれて、人智を超えた力を持つらしい足つぼマッサージ師のもとへ向かう。一行がそこで目撃する衝撃の展開とはいったい……!
「ただのマンションに見えるけど」
「オートロック〜?」
「いや、違うみたい」
「言われた通りの部屋へゴーゴーゴー」
「ねぇ、細かいことかもしれないんだけどさ。グリムって人、マッサージ師のことをなんて言ってたっけ」
「なんてっていうのは?」
「ここに居る「らしい」、みたいな言い方してなかった? ……アポ取ってるのかな」
「あ〜、なんか勝手に行くみたいな雰囲気だったかも〜」
「そこはあれだよ、マッサージを受けに行くんだし、予約必須とも限らないでしょ」
「そうなんだけどさ。こみみレベルの力を持ってて、元々紛争地にいたらしい超人って……なんかきな臭いなぁって」
「大丈夫だって、グリムもそんな無茶言わないよ。……よし、この部屋だ。ピンポン押してみよう」
「ピンポ〜ン!」
「……お、足音」
「あラ? お客さン? ちょっと早いネ」
「えっ」
「チャイナドレス〜?」
「中国の人……?」
「あー、すみません私たち、なんかここにすごいマッサージをしてくれる人がいるって聞いて来たんですけど。たしか足つぼ専門って」
「……誰から聞いタ?」
「グリムっていうお金持ちの女性なんですけど」
「あぁー、グリむネ、知ってる知ってル。いいヨー入っテー」
「顔パスならぬ名前パス……?」
「なんかすごいね〜。……でもそういえば、料金ってどうなるんだろう〜?」
「高かったらグリムに任せよう。私たちにはそれしかない」
「まぁそうか……。じゃあ、お邪魔しまーす」
「しま〜す」
「はいは〜イ、三名様ご案内〜。ところでアナタたち名前はなんて言うノ? それにもしかして高校生?」
「全員高二です。私は巫女野っていいます」
「雛里です」
「笹良です〜」
「ヘー、女子高生が三人も、珍しいこともあるんだネ。ワタシは
「そうしてくれるとすごく助かります」
「ハイハイ、了解了解。じゃあマッサージ受けたい人からそこの椅子に座ってネ〜、一人ずつやるヨー」
「足つぼマッサージって椅子でやるんだ〜」
「そうだヨー? バラエティ番組見たことないノ?」
「え、バラエティ番組的なやつなの……?」
「タイキック的なポジションの本場のやつなのかも〜。中国って足つぼマッサージが有名なのかな〜」
「ンー? あぁ、ワタシのこト? ワタシは日本人ヨ。日本生まれ日本育ち、家系図見れば先祖代々全員日本人ネ」
「えっ? じゃあその服とかは……?」
「趣味だヨ? 服も訛りも、生まれた時からパパとママがこんな感じだったからネ。というか、ウチは代々ずっとこういう感じヨ」
「え、そんなことあります……?」
「あるある。そう教わってきたシ、ワタシ人の足を見れば嘘ついてるかどうか分かるネ」
「マジで……?」
「マジマジ」
「はいは〜い、わたし足つぼ一番乗り〜!」
「あ、そよ、いつの間に」
「おー、勇気あるネー。ワタシのマッサージ、効果抜群だけど結構痛いヨ? 軽めにやってもみんなリアクション芸人みたいになるネ」
「痛いのは我慢出来る方ですから〜。ドンと来〜い。……あ、でもなんかそんなに足を見られるのは、恥ずかしいかも〜……」
「言いながら最速で準備してるし」
「そよって結構好奇心強いタイプだよね」
「……ふーン、アナタ、不死なんだネ。珍しいもの見たヨ」
「えっ、マジで見抜いてる」
「グリムの評価は伊達じゃないってことかぁ」
「つまりこれで十万円が……!」
「で、今日の注文ハ?」
「注文〜?」
「あレ、グリムから聞いてなイ? ワタシのマッサージは狙った効果を出せるから、どんなマッサージを受けたいのか初めにお客さんに聞くんだヨ。すごい効果を出そうとすればするほど、痛みは強くなるけどネ」
「じゃあ、不老不死でお願いしま〜す」
「いや、いくらそよでもそれは……。軽くやっても痛いって言ってるのに」
「命知らずすぎる」
「……不老不死はいくらなんでも無理だヨ。他にないノ?」
「えっ!?!? 出来ないの!?」
「また急に大声を……」
「おヤ……? もしかして、グリムからそういう話を聞いて来たのかナ。人を不老不死にするマッサージ師がいル……みたいナ」
「あ、はい。まさにその通りです」
「ヘー、死神は人の話を聞かないって噂、本当だったんだネ」
「どういうことですか……?」
「ワタシ、不老不死は出来ないけど、死人を生き返らせることなら最近出来るようになったんだヨ。無事にそれを習得したから帰国したんだけド、グリムが伝言ゲームみたいな情報を掴んだみたいだネ」
「えぇ……。じゃああたしたちのことがこみみから変な風に伝わってたのも、本当に向こうが勝手に……?」
「ほらー、だからそう言ったじゃん。疑ってたの?」
「ごめん」
「えぇ〜、じゃあどうしよう〜……? 何かすごい感じのツボってないですか〜……? わたしたち、レポートを書かなきゃいけなんです〜」
「レポート? ワタシの?」
「そうなんです〜」
「なるほどネー。……じゃあ泳げるようになるツボ押してみル?」
「えっ、そんなツボあるんですか〜!?」
「泳げないこともバレてる……」
「もうすでに十分レポートになりそうだね」
「痛いヨー? いいノ?」
「全然大丈夫で〜す、お願いしま〜す」
「じゃあ押すヨー」
「……ぎゃっ!!」
「えっ」
「そよ……?」
「え……、い、痛っ……すごい痛い……」
「ちょっトー、動かれるとツボ押せないヨ。おとなしくしててネ」
「ひっ、ぎっ! いたっ! 痛い痛い!!」
「そよがあんなに痛がるって……」
「そ、相当やばいんじゃない……? 別に私たちもそこまで知ってるわけじゃないけど、そよって今まで結構あれな死に方してるんでしょ……?」
「まぁ、実際サメに食べられかけてたし……。……そういうのを経た上で「痛いのは大丈夫」って言ってたはずだよね……」
「ほら、動かないでってバ」
「ぎゃあ! 痛い! 無理! 待って無理無理! やめて〜! ギブ〜!」
「エー、ギブ? まだ効果出てないヨ? 最後までやらないと何の成果もないネ。痛み損ヨ」
「そ、それでもギブ〜……」
「はぁ……しょうがないネ……。じゃあ、次は二人のどっちかが試すのかナ? 効果が出る前にギブしちゃったら、レポートも書けないでショ? 誰かがリベンジしないト」
「ちょ、ちょっとこみみ……どうする……?」
「あずさお願い」
「迷いないな!」
「いや、私痛いのはちょっと……。多少は我慢するけど、そよがワンパンでやられるレベルは絶対無理だ……」
「あたしだって別に痛いの得意なわけじゃないんだけど……。ていうか、そよより得意な人ってそうそういないんじゃ……?」
「ご、ごめん〜二人とも〜。痛いの我慢するだけなら自信あったんだけど〜……」
「ど、どのくらいの痛みだったの」
「うーんとね〜……。……なんか、足から恐怖その物が這い上がってくるみたいな〜……、そういう痛みだった〜……。こんなの初めてだよ〜……」
「やばそうすぎる……」
「さてさテ、次は背が高い方の彼女かナ? どうすル? 怖かったらやめてもいいヨ。……でもどうせ、グリムからお金もらう約束してるんでショ? いいノ?」
「うっ……。……じゃあ何か、効果が分かりやすくて、出来るだけ痛くないやつってありますか……?」
「ンー、そうネ……。じゃあまずは足を見せてみテ」
「あぁ、はいはい。……うわ、本当だこれ結構恥ずかしい」
「あ、でしょでしょ〜?」
「……雛里さんだっケ、アナタ、左目でしかウインクできないでショ? それを両目で出来るようにするくらいなら、さっきの彼女の時よりは痛くないと思うヨ」
「お、おぉ……確かに微妙な効果……。じゃあそれでお願いします。ウインクの件なら他の二人が証人になるし……」
「じゃあいくヨー、動かないでネー」
「……いぃっっっ!?!? えっ、ちょ、ストップストップストップ!!」
「もー、動かないでってバ」
「いや……いや無理でしょ……無理……」
「あ〜、あずさちゃんもやられた〜……」
「もう実質全滅なんだけど」
「はぁ……。まったく、みんな根性なさすぎヨ。満足にツボ押し出来なくて面白くないネ。もうちょっと我慢できないノ? ワタシだって、本当ならもっとすごいツボ押してみたいのニ」
「くっ……こみみ……もしかしてこの人って……」
「え、なに?」
「ちょっと耳貸して」
「あ、わたしも〜」
「(……よし二人とも聞いて。たぶんだけどあのマッサージ師、十中八九マッドサイエンティストの類だよ。最近まで紛争地に居たって言うけど、それって死体を求めて行ってたんじゃないの?)」
「(死体〜? 死んだ人を生き返らせるツボを押せるようになりたくて、たくさん練習しなきゃだからってこと〜?)」
「(違う。痛くても動かない実験台を探してたんだよきっと。いくらなんでも痛すぎる、あんなの大体の人は無理だ)」
「(え〜……? そういうことなの〜……? でも例えば〜、泳げるようになったかどうかなんて、死んでる人のつぼを押してもわからないよ〜?)」
「(というかそもそも、死人に足つぼって通用するの……?)」
「(通用するんでしょ、たぶん。そして必要に迫られたから、人を生き返らせる足つぼも習得したんだ。そよの言った通り、足つぼの成果を確認するために)」
「(あずさちゃん〜、そんなことある〜?)」
「(今までこみみの発明品を見てきたあたしたちなら分かるはずでしょ。そんなことがあるんだよ、なぜか!)」
「おーイ、なにをコソコソ話してるノ? 最後の小さい彼女、アナタもダメ元で試してみたらいいヨ。レポートのためレポートのため……でショ? ほらほら座って座っテ」
「……い、嫌だ」
「ン?」
「私は嫌だぞ! 痛いのは無理!」
「……まぁまぁ、そう言わないデ。他の二人もやったんだから、ネ? 早く座りなヨ」
「いやだ! 絶対やだ! やだやだやだ!」
「駄々っ子みたいになってる……」
「こみみちゃん、痛いの相当嫌いなんだね〜」
「まぁ前フリのあたしたちがビビらせてしまったのもあるけど……」
「もう、わがまま言わないノ。出来るだけ痛くないようにしてあげるから、早くおいでヨ」
「いやだ! 痛くないとか嘘でしょ絶対! もっとすごいツボ押したいとか言ってたじゃんさっき!」
「それは、まぁ言ったけド、でもあんまり無茶苦茶すると警察沙汰だからネ。そこはワタシも分かってるヨ。……ほら、だからこっちに来テ? 怖くないヨー……?」
「い、いやだ! それ以上私に近づくな!」
「エっ?」
「えっ!?」
「え〜!?」
「う、撃つぞ!? それ以上近寄るなら!」
「いや、銃!?」
「と、バズーカも〜……!? どこから出したの〜……!?」
「……オー、すごいネ。何もないところからバズーカを取り出す人、初めて見たヨ。それにバズーカと拳銃を片手ずつ構える人も初めてだネ。びっくりびっくリ」
「わ、私は足つぼマッサージなんか受けない。グリムが不服に思うならお金は受け取らなければいい。とにかく痛いのはお断りだ、前の二人の反応がやばそうすぎる」
「ふふフ……。痛いのが嫌だから、あと一歩でも近づいたらワタシを撃つのかナ……? 物騒ネ……日本じゃないみたいだヨ……」
「そ、そうだよ、だから近づかないで。マジで撃つよ、正直もうあなたのことがめちゃくちゃ怖いから」
「バカこみみ、やりすぎだ!」
「……当たると思ウ? ワタシのこと甘く見てもらっちゃ困るネ……。ワタシはアナタたちと違って根性なしじゃないシ、人の指は、自分の足の裏にもとどくんだヨ……?」
「なっ、まさかこの人、すでに自分で自分の足つぼを……?」
「死体目当てに戦場へ行って、無傷で帰って来るような人なら……あり得るのかも……」
「で、でもそれってすごく痛いんじゃない〜……? 本人も耐えられないんじゃないの〜……?」
「ふふふふフ……おとなしく座っておいた方がいいと思うけどネ……」
「あっ、このっ、近づいたな!? 正当防衛だ!」
「エっ」
「えっ……?」
「……あっ、あれ〜……? わたしが、撃たれた〜……?」
「こみみ!? なんでそよを撃った!?」
「あれ〜、でもあずさちゃん、全然痛くないよ〜? それにほら〜、服に穴も開いてないし〜」
「あれ、本当だ……」
「……いっっっぎィ!?!?」
「今度はなに!?」
「い、痛イ……! なにこレ……? 体の中が、いっ、痛ッ、痛いィ……!」
「え、な、何が起こってるんだ……?」
「この銃は人を傷つけない。撃たれた人「以外」に、痛みだけを与える正当防衛の銃だ。私もこんなところでこれが役立つとは思わなかったけど……」
「うゥ……痛イ……痛イィ……」
「あ、あの、こみみさん? お相手さんうずくまったまま動かなくなっちゃってますけど」
「そのレベルで痛いからね」
「ど、どうするの〜……? さすがにこのままってわけには〜……」
「息吹さんでしたよね? 今後一切、絶対に私に痛いことしないって誓うなら、その痛いの解いてあげますけど」
「誓ウ! 絶対! 無理やりしようとして悪かった、あやまるかラ……!」
「絶対ですからね」
「えっ、また撃った!?」
「今度は本人を〜……!?」
「……あっ、な、治っタ……?」
「はい、解除しました。……じゃあ二人とも、そろそろ帰ろう」
「え、帰るの? 今……?」
「情報は十分手に入ったでしょ。金持ちにとっての十万円分の仕事はしたって」
「い、いいヨ……帰ってくれテ……。お題もいらないネ……。今日はちょっと……貴重な体験をさせてもらった……ネ……イヒヒ……ヒヒ……」
「な、なんか怖いぞ……」
「痛すぎて変になっちゃった〜……?」
「ほら二人とも、帰るよー。今日のこと適当にレポートにしてまとめなきゃ」
「お、おう……」
「こみみちゃん待って〜、おいていかないで〜」
「あ、あの、本当に大丈夫ですか……?」
「ン……、うん、平気ヨ? もう治ったからネ」
「じ、じゃああたしも帰りますね」
「はーイ、またネー」
「(またね……?)」
こうして一行は、不気味な笑みを浮かべる息吹を残して、マンションの一室をあとにした。
そして、その翌日。放課後、三人が駅へ向かう途中の道にて。
「レポートは提出したし、クォーツァーって発明品も納品した。きっと明日には二十万だか三十万だかが私の口座に振り込まれるけど、二人への渡し方はどうする?」
「どうするってまぁ、あたしもそよも銀行口座なんて持ってないからなぁ」
「現金そのまま〜?」
「持って帰る時のプレッシャーよ……」
「別に私が持っといて必要な時に必要な分を渡す感じの、ザ・こみみ銀行を臨時開催してもいいけど」
「それはそれでちょっとね……。……ところでこみみ、昨日の銃だけど」
「うん?」
「あれは何だったの? 撃たれた人以外に痛みが云々って言ってたけど、撃った人でも撃たれた人でもないあたしまで無傷だったし」
「あー、あれね。あれは、みんながバズーカだと思ってた物がバズーカじゃなくて、本当はカメラになってるんだよ」
「カメラ?」
「そう、筒の中にレンズが入ってる。で、レンズに写ってない人が撃たれた時に、写ってる人にダメージが行くってわけ」
「ははぁ、なるほど。じゃあダメージを解除する時は写ってる人をそのまま撃てばいい……ってこと?」
「そういうこと」
「……なんでそんな物作ったの?」
「えっ、あの恐ろしい事件をもうお忘れですか?」
「恐ろしい事件……?」
「あっ、もしかして〜、それって露出狂のこと〜?」
「その通り! まさかまさかのガチの不審者に遭遇しちゃったから、そういうこともあるんだなぁと思って、次に備えて自己防衛の武器を作っておいたんだよ。まさかあんなところで使うとは思わなかったけど」
「あー、なるほど。それは納得」
「備えあれば、ってやつだね〜」
「でもそしたらあの銃、不審者に会った時に、隣にあたしたちがいること前提になってるよね」
「あ、本当だ〜」
「あー、いやでもまぁいるでしょ二人とも。現に昨日もいたし」
「撃たれる方の身にもなってあげなよ。そよも昨日はびっくりしたでしょうに」
「したよ〜。けど痛くなかったから全然平気だった〜。……でもあれなの〜? わたしが不死だから、あずさちゃんじゃなくてわたしを撃ったの〜?」
「いや、あずさはワンチャン避けそうだと思って」
「避けれるわけないでしょ、いきなりあんな状況で」
「時と場合によっては避けられるかもしれない人を狙う気にはなれない……」
「あ〜、それは納得かも〜」
「そよまで!? 納得しないで……!?」
「…………ねぇちょっと二人とも、向こうに何か見えない? 私の幻覚かな」
「何かって?」
「あ〜、赤い服の人〜?」
「そう……なんかすごーく見覚えのある服を着た人が、遠くに立ってるような……」
「あー、いるね。チャイナドレスを着たお姉さんが。これはさっそくそよがもう一回撃たれるか……?」
「え〜?」
「げっ! 向こうも気付いた、こっち来るぞ!?」
「一瞬で目の前に!?」
「速〜い!」
「どうも御三方、昨日ぶりだネ。その件はどうモ」
「な、何しに来た! 復讐か!」
「あの、こみみ、あたしを盾にしないでくれる?」
「復讐なんてとんでもなイ。痛いことは絶対にしないって約束したシ、それにワタシは、アナタに感謝を伝えに来たんだヨ、巫女野さン」
「感謝……?」
「ワタシは今まで、痛みのことを軽く考えすぎていたネ。ワタシのマッサージで大きな力を得られるんだかラ、痛みくらいは我慢するべきダ……と、そう思ってたネ。でもアナタのおかげで、痛みの恐ろしさを初めて理解した気がしたヨ。そしてそのおかげでワタシのマッサージは、より高みへとたどり着くことが出来タ! 感謝感謝ネ」
「ど、どういたしまして……?」
「そこでお礼としテ、巫女野さんには進化したワタシのマッサージを受けて欲しいんだヨ!」
「……え?」
「絶対、これっぽっちも痛くないヨ! お代も結構! だからぜひワタシに、アナタの足のつぼを押させてほしいネ」
「え、い、嫌ですけど」
「まあまあそう言わずネ、好意は受け取る物だヨ……」
「なっ、く、来るなぁ! 全然懲りてないでしょ!? それ以上来たらまた撃つよ!?」
「あ、またどこからともなく銃と
「こみみちゃ〜ん、わたしはいつでもいいよ〜」
「フッ……こんな物、分かってれば怖くないネ」
「えっ、あれっ!?」
「あれっ、銃とバズーカを息吹さんが持ってる!?」
「こみみちゃん、取られちゃったの〜?」
「な、何も見えなかった……」
「なるほどネ、これはバズーカじゃなくてカメラになってるんだネ。これで相手を写しながら、別の相手を……」
「うわああああ待って待って待って待って」
「あっ、ごめんごめン! ワタシ撃つつもりないヨ。ほらこの通リ、手放したネ」
「な、何がなんだか分からないけど、逃げるしかない!」
「あっ、こみみ! どこ行くの!」
「逃げないでヨー」
「うわっ、回り込まれた! く、くそっ、捕まってたまるかっ」
「待ってヨー、痛くしないって言ってるでショ?」
「速いっ……!? なにこの人……!?」
「わー……すごいよそよ……。あたし、息吹さんの残像が見えるような気がする……」
「わたしも〜。こみみちゃん、逃げ切れそうもないね〜……」
「あの人、本当に自分の足つぼを押してたんだね。それであんなわけわかんないスピードを手に入れてたんだ……」
「ね〜」
「その時のセルフマッサージ、痛かったんだろうなぁ……」
「泳げるようになるマッサージだけで、わたしでもギブしちゃうくらいだったもんね〜。息吹さんは痛みに強いんだ〜」
「そりゃ痛みを軽視したりもするだろうなぁ……。……で、こみみの銃は、その息吹さんを悶絶させるレベルの痛みを与えていたと」
「こわいね〜……」
「なんであいつは、他人へのペナルティが異常に厳しいんだろうな……」
「ちょっと二人とも! 見てないで助けてよ!!」
「助けるとかないヨー、危害は加えないネ」
「じゃあ帰って! お礼とかいいから帰って! 怖い!」
「まあまあそう言わないで、ネ?」
「これ聞いていいのか分からないけど、そよの今まで一番痛かった死に方ってどんなのがあるの?」
「あ〜、つらかったなぁ〜って真っ先に思い出すのはね〜、テトラポットの隙間に落ちちゃった時のことかな〜。溺れるのも苦しいけど〜、ああいうところって、フジツボがたくさんいるでしょ〜? あれの切れ味がもう恐ろしくって〜」
「ちょっ、二人とも! なんでほのぼの話してるの!? 助けてってば!!」
「いやこみみ、今回は自業自得だって。痛くしないって言ってるんだからご厚意に甘えときなよ」
「そうそウ、友達の言うことがもっともだヨ」
「絶対いやだー!!」
結局、こみみはその場で足つぼを押されることになった。これっぽっちも痛くなかったし、その後ちょっと肩が軽くなった気がしたという。