私立、八二卜学園のJKたち   作:氷の泥

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03 複腕

 それは、はにとー学園夏の悲劇。

 

 

 

 

 

 

 

「問題! なぞなぞです! 去年カナヅチ、今年もカナヅチ、これなーんだ?」

「巫女野こみみ」

「うええ〜ん! どうしよう〜!!」

「別に泳げなくてもいいじゃんか。プールの授業くらい」

「嫌だ! カナヅチにとってのプールの授業はねぇ! 辱めなんだよ! 乳首出して街を練り歩かされることと同じなんだよ……!」

「んなわけあるかっての……。ほら、そよを見ろ。涼しい顔してるぞ」

「うふふ〜。泳げなくても死なないからいいのよ〜」

「くっ……この不死女……。死ななければ乳首を出しても良いというのか……」

「いや出さないから誰も」

「そんなに嫌なら、何か発明品で解決するっていうのはどう〜? こみみちゃんなら出来そうだけど〜」

「そりゃ出来るよ……? 出来るけど……」

「けど〜?」

「他人から求められるならまだしも、自分が必要に迫られたことで急遽作るっていうのは、私のプライドが……」

「なんだそりゃ。自分が乗りたいからってビーム出るロボ作ってたじゃんか」

「作りたいと作らなきゃいけないは全然違う! そんなことも分からないから、あずさってプールで泳げちゃうんだ!」

「いや泳げるのはいいことでしょ……」

「あ、じゃあ分かった〜。ねぇねぇこみみちゃん、わたし泳げなくて困ってるから、今度のプールの授業を乗り切れる発明品をなにか作ってくれないかな〜? 作ってもらえると助かるな〜」

「はっ、そうか! そういうことならお任せを!」

「お前のプライドはお役所仕事なのか……?」

 

 ということで、なんやかんやあってプール授業当日。

 

「じゃじゃーん、誰でも泳ぎサポートマシン「オート・ライフアーム」でーす」

「おお〜!」

「いや、気持ち悪っ。なにそれ、蜘蛛の手みたいになってるけど」

「気持ち悪とか言うなっ。これは背中に背負ったバックパックから伸びる無数の腕が、本人のかわりに体のバランスを取りながら泳いでくれる優れものなんですよ? しかもそのバックパックから酸素や浮力も提供できるから、万が一にも溺れる心配はなし!」

「おお〜」

「いや、まぁすごいんだけどさ。サイズがえぐいじゃん。ウネウネしてて闇堕ちした千手観音みたいになってるし」

「ふっふっふっ、そうだろうと思って、こんな機能も備えてあるのさ! 刮目せよ! インビジブルモード!」

「おおっ!? 腕が全部見えなくなった!? 背中に背負ってる箱も!?」

「すご〜い!」

「この透明化機能さえあれば、プールの授業にも持ち込み放題ってわけよ! いやー私って天才!」

「ガチの天才だから何も言えないな……」

「それじゃあこれをつけて、次の時間プールに行ってみよー!」

「お〜!」

「(ちょっと楽しそうで羨ましい……)」

 

 プールの授業本番。

 

「見てくださいよ先生! 去年の私とは違うということを!」

「おお、巫女野。泳ぎの練習頑張ったんだなぁ……。えらいっ!」

「え? あ、あー、まぁ、ね。あはは……」

「先生〜、見て見て〜」

「笹良!? あのアメトークに出れそうな奇っ怪な溺れ方しか出来なかった笹良が!? あんなに優雅に!?」

「泳ぐのって楽しい〜」

「……ね、ねぇあずさ」

「うん?」

「先生、この機械のことを見ても「頑張ったな」って言ってくれるかな……」

「めっちゃ良心傷んでる!? そう思うなら最初からやらなきゃいいでしょうに……」

「いやー、そよに頼まれちゃったもんで、つい」

「お前それはマジで性格クソだぞ……」

「で、泳力テスト終わった人は休んでていいんだっけ」

「だね。どうせこのあとは自由時間でしょ。全員が泳ぎ終わるまでひたすら待機」

「あははは〜! 今のわたしなら日本縦断できそう〜!」

「おーい笹良〜、すごいけどもういいぞー」

「……そよ、めっちゃ楽しんでるね」

「だね」

「作った甲斐があるってもんですよ」

「たしかになぁ。…………ん? ちょっとこみみ、あれなんだと思う?」

「どれ?」

「あれ、空のやつ。なんか飛んでない?」

「鳥じゃないの? ……ん? にしてはデカいか」

「飛行機か? ……それにしては近くないか?」

「じゃあスーパーマンだ」

「いや、ていうかおい! こっち来てる! 落ちてきてる!」

「うわぁぁぁ!?」

「ちょ、プールの中になんか落ちたぞ!」

「あ、あれは……。あの水面から飛び出た背びれは……!」

「サメ!? なんで!?」

「聞いたことがある……。そよは生まれつきの不死だけど、生まれつきの不運の持ち主でもあって、年に何回かは意味不明な死に方をするって……! 立ち会うのは初めてだけど、きっとこれがそうだ!」

「はぁ!?」

「そよが危ない! そよー! 逃げてー!」

「えっ? なに? 何か落ちてきて…………サメ!?」

「そうだよ! はやく逃げろ!」

「くっ、サメが他の生徒には目もくれずにそよを狙って! 淡水の中にいるくせに!」

「ダメだ速すぎる、いくら泳げてもこれじゃやられる……!」

「こみみちゃん! あずさちゃん!」

「そよ! 何やってるの!? はやく逃げないと……!」

「……先生に謝っておいて。プール汚してごめんなさいって」

「あ、あいつ……! 諦めやがった……! 死なないからって! ああっ、もうダメだ、見てられない……!」

「くそっ! やるしかないか!」

「こみみ!? なんだそのスイッチ!?」

「オート・ライフアーム、モード・ジェノサイド!」

「きゃっ、なにこれ〜!? こみみちゃん〜!? 背中のやつがなんかすごいことになってる〜!」

「それはかっこいいから……じゃなくて、念の為に搭載しておいた戦闘モード! 試作機能だし、万が一またボヤ騒ぎになったら嫌だから使いたくなかったんだけど……」

「透明で全然見えないけど……サメと戦ってる……のか……?」

「ええい二度も出力をミスるかぁ! 調整版レーザービーム発射!」

「うおわっ!?」

「きゃあっ!」

「えっ、やべ」

「す、すごい、サメが跡形もなく……。……まぁでもとにかくそよが助かった! よくやったこみみ!」

「え、えへへ。どうもどうも。(まだ出力高かったけど今回はセーフ……!)」

「いやー、なんとかなってよかったな、そよ。…………そよ?」

「……ご、ごめんね〜。助けてもらったのに〜……」

「な、水面に血が……? なんで……!?」

「……しまった。そうか、カナヅチでもバタ足くらい出来ると思って、腕しか作らなかったから……。ちゃんと足元を守りきれなかったんだ……」

「大丈夫〜……。たしか今日の給食は、レバ……ニ……ブクブクブクブク」

「そよー!!」

 

 笹良そよ、怪我と失血により次の授業を欠席。保健室で寝たら完治したので給食から復帰。なおレバニラは明日のメニューだった。

 

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