前回のプロローグは、ハーメルンで二次創作を書いてみようという試験的な物だったため、正直続きを書くつもりはありませんでした。
しかし、久しぶりにハーメルンを開いてみると『続きを楽しみにしています』というコメントが少なからず来ていたことにびっくりしました。
というのもコメントが来たのは執筆を開始してから数ヶ月後であり、それを確認したものコメントされてから数ヶ月後。
「あぁ、コメントしてくれていたんだな。でも続きを書くつもりは無いなぁ」と申し訳無さも感じていたところ、最近になって新しくコメントが付いたことに、また最近ハーメルンで別作を書いていたタイミングでこの作品にコメントが付いたことでやる気を出した所です。
こちらの作品は自分が真・女神転生Ⅲの人修羅が好きだから書いたものではありますが、正直言って、これを書き始めたのもゲームの本編をクリアした直後であったため、多少細かな設定を忘れている部分があります。出来る限り思い出しつつ書きますが、変な箇所が有れば気軽にご指摘頂いて構いません。
また誤字報告ですが、一応プロローグの部分も一度読み返し、今回更新した部分も何度も自分で読み返して、誤字の確認をしているつもりではあります。
ただそれでも誤字がどうしても気付かない誤字が出てしまうことがあります。その時は、何処が間違っているか。詳細に教えて頂ければ幸いです。
長々と前書を書きましたが、引き続きよろしくお願いします。
「よくぞ来た転移者よ!」
人修羅に声を掛けたのは、目の前の背もたれの高い玉座に座る老人だった。その顔はかの閣下に似ており、一瞬あの老人の仕業とも考えたがそれも違った。老人は人修羅を『転移者』と呼んだ。その呼び方に人修羅は少し新鮮さを感じた。
今までは悪魔や魔人と呼ばれていた。なのに転移者とはなんなのだろうか。
「混乱するのも分かっておる。だが今は受け入れてほしい。お主はこれから我らの勇者となる男だ。そして魔王の危機に瀕しているこの世界を救ってほしい」
魔王から世界を救う。これがこれから人修羅がやらねばいけないことらしい。が人修羅は疑問に思う。まだ大事な要点が分からない。魔王とはルシファーのことだろうか? もしそうなら魔王から世界救うなど言語道断。人修羅は老人の頼みごとを即答で拒否した。
「な、なんと!? いやしかしお主はもう我々によって召喚された身。何故断るのか理由を聞いても?」
正直言って人修羅が断る理由など微塵も無い。もし魔王から世界を救う。それが一つのこの世界を作り変えるコトワリなら、人修羅は断るしか無いのだ。逆にそれを引き受ける必要も無い。
人修羅は老人の質問に特に理由は無いと答えた。それしか答えようが無かったからだ。
「理由が……ない?」
老人は狼狽える。勇者と呼ばれれば誰でも舞い上がり、世界救うという頼みは引き受けてくれると思っていたからだ。敢えて指摘しなかったが、目の前の上半身裸で黒の短パン一丁で、全身青色の入れ墨を入れた男は違った。
勇者と呼ばれても表情は一切の歪みは見せずに即座に拒否の言葉を発した。まるで感情が無いとでも思える程に何も感じられない。
人修羅は頼みを断れば、近くで警護していた銀色の鎧を来た兵士が人修羅の前に立ち塞がり、腰の鞘から剣を抜いた。
「無礼者! 王直々の頼み事だぞ! それを引き受けんとは何様だ!」
しかし人修羅はこれにも一切の驚きも狼狽えもしなかった。その場から動かず、ただ無表情で兵士の目を見つめる。人修羅は兵士から明らかな敵意と殺意を察した。まさか目の前の老人が王だったとは。それに拒否すれば無礼になるとは初めて知った。
ただそれだけで兵士は明らかな殺意を人修羅に向けた。殺意を向けてくるならば、もう交渉の余地など無い。この兵士には相応なる死を与えなければならない。
「何を突っ立っている。早く跪け!」
人修羅は兵士の目をただじっと見て、次の瞬間目を見開く。
【ヘルズアイ】
人修羅の目から紫色の稲妻のような閃光が発射される。閃光は兵士の胴体を貫いて霧散する。そうすると、兵士はぐるりと目を回して白目を剥き、その場でうつ伏せに倒れた。
「な、なにごとじゃ!? お主、今何をした?」
【ヘルズアイ】文字通り目で見た者を地獄へ堕とす呪殺スキル。
目で見た生物を一撃で殺すスキルで、普段から呪いに対して耐性を持っていなければ、どんな生物でも死に至る。
兵士を殺した理由は酷く簡単。話の通じない相手は殺すべきであり、それ以上会話する必要も無いからだ。
人修羅は倒れた兵士の姿から、もう一度王に視線を戻す。
お前も話が通じない相手なら、例え王であろうが殺すと目で訴えながら。
「あ……」
王はこの時内心焦っていた。
何故急に兵士が倒れたまま動かなくなったのか。という疑問と、その殺意剥き出しの目を向ける人修羅の目が、まるで悪魔のように見えていた。この
「わ、わかった……。だ、だが済まないがお前に拒否権は無い……。ひぃ、止めろ! 殺さないくれ!
あぁいや……引き受けてくれないと、じきにこの世界は魔王によって滅ぼされる。つまりそれは、この世界の全ての敵がお前を襲うことになるのだ……」
人修羅は、怯えながらでも一つ一つ口にする王の言葉を聞いても、何一つ動じることは無かった。
全世界の敵が一斉に襲い掛かってくるなど、人修羅にとっては今更だからだ。
だがそろそろ痺れが切れるだろう。今王が感じている恐怖は一時的なもの。現在の人修羅の状況は、先程殺した兵士とは別に、王を含む何十の兵士に囲まれている。
この状況は普通の人間なら、焦りや冷や汗を掻くもの。だからこそ、王にとっては突然死亡した兵士の死因はまぐれであり、数十人いればなんとかなるだろうと思うのは当然のことだった。
「だからお前も言葉を選んだ方が良いぞ。私は死にたくは無いが……これは我が王である立場だからこそ言える、最善で最適な言葉だからだ……」
王はだんだんと落ち着きを取り戻す。
最初は驚いたが、冷静に考えれば、これだけの数を一人で相手にするのは武が悪い。
まさか話がここまでこじれるとは思っていなかった。ならば、後は力でねじ伏せるのみ。これが現状を解決するのに、最適だろう。
そう考える王は人修羅にニヤリと歯を。不敵な笑みを見せた。
だが、その考えは、最悪の結果を生み出すとは王には知る由も無かった。