お嬢様と僕(しもべ)ちゃんと嫌われ者   作:おたふみ

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一話

俺は今、夜の海を見ている。月明かりに照らされて波しぶきがキレイだ。千葉の海最高…。

 

すべて俺が悪かったんだろうな。文化祭に修学旅行…。

 

文化祭の件に、修学旅行でのことが重なり俺の悪評はうなぎ登り。ん?評価が下がってるから下りか。まあどっちでもいいんだが。

 

月夜に海を見ていると吸い込まれそうになる…。

 

…って、危ねぇ。入水○殺するところだった。もっとメンタル強いと思っていたけど、思いの外すり減ってるのかもな。でも…。

 

「あんな奴らの為に死んでたまるか」

 

「よかった。踏みとどまったんだね」

 

急に声をかけられ、驚きながら声のした方を向くと、金髪に紅い瞳の綺麗な女性が居た。

 

「今にも海に入りそうな雰囲気だったか心配したよ」

 

その綺麗な女性は言った。

 

「ねぇ、聞いてる?」

 

「あ、すいません」

 

まるで、童話やラノベの表紙のお姫様のような彼女に見惚れていた。

 

「よかった。たまたま来ただけなのに、自○を見届けるなんてことにならなくて」

 

「ええ、まあ。貴女はこんな夜中にどうしたんですか?」

 

「私?私は散歩のついでに月光浴。最近、こっちに引っ越ししてきたばかりなんだ」

 

月を見ながら彼女はそう答えた。

 

「ねぇ、何があったの?」

 

話すかどうか考えていると

 

「話すだけでも、軽くなることもあるから言ってみて。貴方の周りの人のことはしらないけど」

 

何も知らない彼女なら話をしてもいいと思い話をした。

中学時代の告白からのイジメ。高校入学式当日の事故。2年になってからの奉仕部での活動。特に文化祭や修学旅行での話は細かくした。

 

確かに、話をすると少し楽になった気がした。

 

ふわりと良い香りがしたと思うと彼女に抱きしめられた。

 

「な、なにを…」

 

「貴方はよくがんばったよ。そんな自己犠牲までして」

 

「自己犠牲なんて、そんなモンじゃない…」

 

自己犠牲なんかじゃない。誰があんな奴らの為に。

 

「じゃあ、誰かを守ったんだね」

 

守る?誰を?…あの二人の笑顔が目に浮かぶ。

 

「貴方は偉いよ、よくやったよ。私は貴方を認めて褒めてあげるよ」

 

俺を…認めてくれる…。俺がやったロクでもないことを…褒めてくれる。

 

涙が溢れて止まらなかった。

 

しばらく、彼女の胸で泣いた。泣いてしまった。

 

「すいません、泣いてしまって」

 

「ううん、いいんだよ」

 

そう言って頭を撫でてくれた。

 

すると、後ろから声がした。

 

「お、お前…。お嬢様に何をしている!!」

 

黒髪でショートの女性が憤怒の表情で立っていた。

 

「お嬢様から離れろ!」

 

金髪の女性から俺を引き剥がそうと、黒髪の女性が割って入ろうとしたが、金髪の女性が止めた。

 

「千夜ちゃん待って」

 

「ですが…」

 

「もう少しだけ…」

 

さすがにマズイと思い、金髪の女性から離れた。

 

「も、もう大丈夫ですから」

 

「そう?」

 

黒髪の女性は息を飲んだ。きっと、俺の涙の跡が見えたからだろう。

 

少し冷静になって、恥ずかしくなってきた。…この場を立ち去ろう。

 

「貴方も迎えが来たようですし、俺は帰ります」

 

「え?帰るの?」

 

「もう大丈夫ですから」

 

俺は足早にその場を離れようと歩きだした。

 

「ちとせ。私、黒埼ちとせ。ほら、千夜ちゃんも」

 

「白雪千夜です。こちらの名前を言ったんですから、お前も名乗りなさい」

 

「比企谷八幡だ」

 

もう会うことも無いだろう。そう思いながら、海辺を後にした。

 

彼女たちに会ったことで、もう少し生きていけそうだ。

 

 

 

 

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