お嬢様と僕(しもべ)ちゃんと嫌われ者   作:おたふみ

4 / 6
よんわ

腕から外れたちとせさんの余韻を感じながら保健室に向かう。

 

「お前、卑猥なことを考えていただろ?」

 

何故わかった、白雪さんよ。

 

「考えてねぇよ」

 

「千夜ちゃんも腕を組んであげたら?」

 

千夜に腕組まれても硬そうだよなぁ。

 

「お前、失礼なことを考えなかったか?」

 

何故わかる。

 

「考えてねぇよ。ほれ、ここが保健室だ」

 

ノックをして返事を確認し、扉を開ける。…養護の先生の声ではない気がするが。

 

「失礼します」

「失礼しま〜す」

「失礼します」

 

保健室に居たのは、鶴見…先生…だよな?あってるよな?家庭科の先生なんて、ほぼ会わないから。

 

「ごめんなさい、養護の先生は急用で出かけてるから、留守番の私しか居ないのよ」

 

「大丈夫です。病気やケガではなく、転校生の案内で来たので」

 

鶴見先生が後ろの二人を見る。

 

「話題の美少女転校生ね。始めまして、家庭科を教えている鶴見です」

 

「黒埼です」

「白雪です」

 

3人が挨拶を済ませたので保健室から出ようとする。

 

「八幡くん、次は君の部活を見たいかな」

 

「八幡くん?君、名前八幡ていうの?」

 

鶴見先生が俺の名前に関心を持つとは。

 

「2-Fの比企谷八幡です」

 

「君、夏休みに林間学校のサポートに行った?」

 

「ええ。部活の一環で」

 

「そう。娘がお世話になったみたいで。その節はありがとう」

 

「はい?」

 

誰か世話したっけ?

 

…鶴見…つるみ…ツルミ…。

 

「あ、ルミルミ!」

 

「ルミルミ?」

「ルミルミ?」

「ルミルミ?」

 

しまった。つい、言ってしまった。

 

「留美さんのお母さんって、鶴見先生だったんですね」

 

「えぇ、留美が林間学校から帰ってきたら、イジメにあってるって。自分も過去に同じことをしたことがあるって。それで家族会議をしてね。私も夫も親として未熟だったわ、反省してる。そして、貴方には感謝しているわ」

 

「まぁ、気がつけてよかったんじゃないですかね。俺は感謝されることなんて、ひとつもやってないですよ。やったのは葉山達です」

 

鶴見先生は首を横に振る。

 

「留美は貴方に助けられたと言っていたわ」

 

「そっすか」

 

「そ•れ•に!」

 

鶴見先生が前のめりになる。

 

「そ、それに?なんですか?」

 

「娘の初恋の相手が職場に居るなら、応援したくなるわよね」

 

「は?」

 

何を言ってるんだ?この母親は?

 

「鶴見先生、ちなみにお嬢さんはお幾つですか?」

 

「小学生よ。比企谷君、大丈夫よ。大人になったら、大した年の差じゃないから」

 

「いやいや、おかしいですよ」

 

ホント、何言ってるの?このひと。

 

「お前、小学生に手を出していたのか…」

 

「いや、出してないから」

 

白雪さん、怖いよ。

 

「う〜ん、そういうことは、留美がもう少し大人になってからにしてほしいと、お義母さんは思うな」

 

「鶴見先生も何を言ってるんですか!」

 

なんか漢字がおかしいですよ。

 

に、逃げよう。

 

「彼女達の案内があるので、失礼します!!」

 

慌てて保健室を出た。

 

「今度、留美に会ってあげてね」

 

聞こえない聞こえない聞こえない。

 

「八幡くんはモテモテだね」

 

「いや、子供特有の好きとかですよ」

 

「そうかなぁ。違うと思うけどね」

 

歩きながらちとせさんはそう言った。

 

「それに、人助けが出来るような人が、なんで、夜中の海岸に居たのかな?」

 

「人助けした覚えはないですし、海岸に居たのはただの気分ですよ」

 

「ふ〜ん」

 

「ナイトウォーカーの類いかもしれないですし」

 

「お前、やはり…」

 

千夜が怪訝な目で俺を見る。

 

「もしかしたら、妖怪の類いかもしれません。よく目が腐ってるとかゾンビとか言われますからね」

 

「じゃあ、私と一緒だ」

 

ちとせさんは笑い、千夜はただ聞いているだけで何も言わない。ちとせさんもこんな冗談言うんだと思った。

 

「ちとせさんほどの美人ならサキュバスかなにかですかね」

 

「惜しいけど違うよ。私、吸血鬼の末裔だから」

 

真剣な顔で、そう言った。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。