お嬢様と僕(しもべ)ちゃんと嫌われ者   作:おたふみ

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5話

「なあ、僕ちゃん」

 

「僕ちゃんと呼ぶな。なんだ?」

 

「このお嬢様は、中二病なのか?」

 

突然、真顔で吸血鬼の末裔とか言うとか…。

 

「お前、お嬢様が嘘を言っていると?」

 

「嘘というか、自分の中の設定というか…」

 

まぁ、剣豪将軍とか?

 

「八幡くん、嘘じゃないよ。あくまで伝承だけどね。私はルーマニアとのクォーターなの。金髪と瞳の色が証拠」

 

ずいっと、顔を近づけてくる。

 

「ち、近いです。わ、わかりましたから」

 

ほら、僕ちゃんが怖い顔になってる。

 

「月光浴が好きなのと、血が足りなく感じるのは、そのせいかもね」

 

ふむ。それで、あんな時間に海岸に居たのか。

 

「じゃあ、血を吸ったりとか?」

 

「心配しないで、それはしないから」

 

「お前の血なんて、誰が吸うか」

 

僕ちゃん、一言余計です。じゃあ、千夜の血なら吸うんですかね?

…ヤダ、想像したらなんかエロい。

 

「お前、卑猥なことを考えただろ」

 

だから、なんでわかるんだよ。

 

「考えてねぇよ」

 

そんなやりとりを遮るように、ちとせさんは言った。

 

「ねぇ、早く行こうよ。なんだっけ?え〜と、ご奉仕部?」

 

みるみる千夜の顔が般若のようになっていく。

 

「お前、お嬢様をそんないかがわしいところへ連れて行くつもりか」

 

「違う違う、奉仕部だ。『ご』はいらん」

 

「変わらない!!お前ぇ〜!!」

 

「誤解だ!奉仕部っていうのは、お悩み相談の部活だ」

 

「あははっ。千夜ちゃん、いかがわしいって、何を考えてたの?」

 

「そ、それは…」

 

千夜が真っ赤になって、うつむいてしまった。いかがわしい部活なんて、エロゲーでしかない。

 

「仕方ない、案内しますよ。実際に見れば千夜の疑いも晴れるだろ」

 

いつもとは違うルートで部室に向かう。

部室の前に立ちノックをする。雪ノ下の返事を聞いて中に入る。

 

「うっす」

 

「あら、比企谷君。今日は休みと聞いていたのだけど」

 

「そうそう。ヒッキー、転校生の案内するって」

 

「ああ、その転校生を連れてきた」

 

そう言って、二人を招き入れた。

 

「失礼しま〜す」

「失礼します」

 

奉仕部•先鋒は雪ノ下。

 

「はじめまして…。白雪さんは少し挨拶したわね。奉仕部•部長の雪ノ下雪乃です」

 

次鋒•由比ヶ浜。

 

「は、はじめまして。ゆ、由比ヶ浜結衣です」

 

「由比ヶ浜、何を緊張してんだ?いつものアホっぽい挨拶はどうした?」

 

「アホとか言うなし!ヒッキー、知らないの?アイドルだよ、二人とも」

 

ほう、それは初耳だ。

 

「『元』ね。アイドル辞めたんだ。私も千夜ちゃんも」

 

「えっ?そうだったの。ごめんなさい」

 

明らかにテンションが変わる由比ヶ浜。わかりやすいな。

 

「気にしないで。そんなに売れてなかったし、未練もないから」

 

「せっかく来て頂いたのだし、お茶にしましょう。紅茶はいかが?」

 

ナイス、雪ノ下。俺は椅子でも準備しますか。

 

「はい、どうぞ、お嬢様」

 

「ありがとう♪」

 

「お前、私の仕事をとるな」

 

なんでもお嬢様のことになると、なんでこうなるんですかね。

 

「とってねぇよ。ほれ、千夜お嬢様も座りな」

 

「お、お前ぇぇ!!」

 

顔赤くして怒っていらっしゃる。

 

「あはは、千夜ちゃん照れてる〜」

 

照れてるの?これ?

 

…由比ヶ浜が微妙な顔でこっちを見てるんですけど、なんですか?

 

「なんだよ、由比ヶ浜」

 

「ヒッキー、黒埼さんと白雪さんを名前で呼んでるなぁって」

 

「ん?二人にそう呼んでくれって言われたから」

 

「わ、私のことも名前…」

 

何を言ってるのか小声でよく聞こえない。

 

「なんだ?由比ヶ浜」

 

「なんでもない!バカ!キモイ!」

 

「キモイ関係ねぇだろ…」

 

「比企谷君が気持ち悪いのは当然として…」

 

「当然なのかよ…」

 

「何故、お二人は比企谷君を知っているのかしら?」

 

「昨日、偶々会ったんだよ。うちの学校に転校してくるなんて知らなかった」

 

「そうそう、八幡くんとは夜の海岸で二人っきりで過ごした仲なんだよ」

 

えっ?何を言ってるのこの人!嘘じゃないけどさ、ほら…。

 

「比企谷君…」

「ヒッキー…」

「お前…」

 

ほら、在らぬ誤解が!

 

…千夜は事情知ってるだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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