なんとか誤解は解けた。ちとせさん楽しんでるだろ。
「は〜、紅茶おいしい」
さすがお嬢様だな。紅茶の味がわかるんだ。俺にはペットボトルよりうまいくらいしかわからん。
「確かに美味しい。雪ノ下さん、この茶葉はどこで買われているんですか?」
「母が贔屓にしているみせからよ。教えましょうか?」
「是非お願いします」
完全に俺は空気だな。さ、俺も紅茶をいただきますかな。ふ〜ふ〜。
「八幡くんて、猫舌なの?」
「ええ、まあ」
紅茶を冷ましながらちとせさんに答える。
よし、飲み頃かな。
「なんか、可愛いよね」
「そりゃどうも」
男子高校生が可愛いとか言われてもね。うん、盤石の美味しさ。
「八幡くんて、彼女とか居るの?」
「は?居る訳ないじゃないですか。俺ですよ」
友達すらあやしいのに。戸塚?友達でも彼女でもない。戸塚は俺の嫁!!
材木座?知らない人ですね。
「じゃあ、私が彼女になるよ」
「は?」
突然、何を言い出すんだこの人は!
「ね、いいでしょ?」
「笑えない冗談だ」
「あながち冗談でもないよ」
「お嬢様、いけません」
いいぞ、千夜。
「そ、そうだよ、ヒッキーなんか」
そうだ、由比ヶ浜。
「やめておいた方がいいわ、こんな男」
その通りだ、雪ノ下。
「3人の言う通りだ。俺なんかやめて、もっといい男探してください」
まったく、このお嬢様は何を考えているんだか。
「まぁ、千夜ちゃんはいつものこととして、同じ部活の二人はなんでそんな言い方なのかな?」
あれ〜?なんで下を向いちゃうんですか、お二人さん。自信持って『こんなヤツ』って言っていいんだぞ。それだけのことをした自覚はあるんだから。
「まぁ、最終的には本人同士が決めることだから、二人は関係ないよね?」
「そ、それは…」
雪ノ下も由比ヶ浜も言い難いみたいだから、俺が助け舟を、出してやるか。
「二人は俺がロクでもないヤツだって知ってるから」
二人の気持ちはなんとなくわかっている。修学旅行での言葉もそれが故なんだろう。でも、俺は勘違いだと言い聞かせる、自分自身に…。
「ちとせさんも、冗談でもそんなこと言わないでくださいね。うっかり惚れちまう」
ちとせさんの言葉は所謂同情・哀れみの類いだ。
「今はそういうことにしておいてあげるね」
下校時間のチャイムが鳴った。いい頃合いだろう。
「じゃあ、俺は職員室にカバンを置いてきたから、取ってそのまま帰る」
「八幡くん、送って」
はい?
「いや、無理です。俺は自転車通学なんで」
「え〜、いいじゃん。送ってよ」
ちとせさん、俺の手を取らないでください、二人の視線が痛いから。千夜、早く止めてくれ。
「お前、お嬢様からの誘いを断るつもりか?」
味方じゃなかった!