ありふれてないオーバーロードで世界征服   作:sahala

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 デミウルゴス舞台監督による『幸福な愛子 from Oscar Wilde』、お楽しみ頂けましたでしょうか? 最後に舞台監督と女優ルプスレギナ・ベータ氏によるトークショーをご覧下さい!


第百話「クラスメイトSIDE:幸福な愛子 from Oscar Wilde ……その舞台裏」

「この度は私の甥を“光の戦士団"の中隊長に任命して頂きありがとうございました! ささ、もう一杯どうぞ!」

 

 とある屋敷で、光輝達の新たな教導役である神殿騎士・ムタロは貴族の男から接待を受けていた。彼はでっぷりとした太鼓腹を揺らしながら、贅の限りを尽くした料理や酒を楽しんでいた。

 

「ワハハハハ! いやいや私はこれでも神に仕える身でして、あまり派手な飲酒は……」

「まあまあ、固い事を言わずに。ささ、どうぞどうぞ!」

「おっとと、これは酒が勿体無い! ううむ、これは仕方ない……仕方ないですなぁ!」

 

 酔って真っ赤な顔になりながらも、ムタロは勧められるままに杯の酒を飲み干す。肌の露出が極端に多い服を着た若い女達が給仕を務め、彼女達が酒を注ぐ度にチラチラと見える胸の谷間や太腿の際どい部分にムタロは顔をだらしなく緩ませていた。

 “光の戦士団"が結成され、団長であると同時に王国の勇者として多忙な光輝に代わって“光の戦士団"の人事や財政面を管理する事になったムタロ。しかし、彼はその立場を悪用していたのだ。

 “光の戦士団"に入団した一定の役職以上の貴族には、聖戦の徴収税に対する免税の他に様々な権利を与えられる為に王国の貴族達はこぞってムタロに賄賂を贈り、自分の親族を“光の戦士団"に加入させようとしたのだ。一介の神殿騎士に過ぎなかったムタロはこれまでの生涯で手にした事のない大金や過剰な接待を受け、欲望のままに自分の懐に賄賂を仕舞い込んでいたのだ。

 袖の下や縁故採用が当たり前になったお陰で、“光の戦士団"は仮にも神の名の下に集めた軍団とは思えない程に軍規は乱れ、檜山達の様に庶民に対して横暴な振る舞いをする軍人達が横行しているのだが、ムタロは欲に目が眩むあまりにその問題を気にも留めていなかった。

 

「その酒がお気に召した様なら、個人的にお送り致しましょう。実はですな、その酒はフリートホーフという商業ギルドが格安で卸してましてな……」

「フリート……? 知らん名ですが、他よりも格安で済むのですかな? ならば“戦士団"に使う物品もそちらに頼んでも良いかもしれませんなぁ」

「おお! 本当ですか! 今度、担当の者を連れて参りましょう!」

 

 どこか裏のある笑みを浮かべながら貴族の男は微笑んだが、酒に酔ったムタロはその事に気付いていなかった。彼の頭の中は「安く買った物資に裏帳簿をつけて、浮いた金をどうやって懐に入れるか?」という計算で一杯だった。

 

「ところで、モノは相談なのですが……実は私の親族の息子も、是非ともエヒト神の為に戦いたいと申しておりまして。いかがでしょう? 是非とも“光の戦士団"の参列に加えて頂けませんかな?」

「う、む? ん〜、しかしですなぁ……既に将校の定員を大幅にオーバーしてましてなぁ」

 

 パンパン、と貴族の男は手を叩く。すると給仕をしていた娘達は一斉にストリップショーの様に服を脱ぎ出した。艶かしい動きで彼女達はたわわな果実を寄せる。女達の胸の谷間には、金貨の袋があった。

 プルン、と揺さぶられた果実と金貨袋にムタロはゴクリと生唾を飲み込む。

 

「まあまあ。まだまだ夜はこれからですし、ムタロ殿には是非ともゆっくりとお話がしたいのです。ささ、どうぞ遠慮なく!」

「ワハハ! いやいや困ります、困りますなぁ!」

 

 目の前のたわわな果実と金貨の袋に手を伸ばしながら、ムタロの楽しそうな笑い声が部屋に響いた。

 

 ***

 

「ルプスレギナさん……どこに行っちゃったんでしょうか?」

 

 翌朝。愛子と優花は宿屋の前でとうとう昨晩は帰らなかったルプスレギナを待っていた。いつも笑顔を絶やさない冒険者シスターは、愛子達の中では既に大切な仲間の一人になっていたのだ。

 

「まさか昨日、檜山達をぶっ飛ばしたせいで捕まっちゃったんじゃ……」

 

 優花が心配そうに呟く内容に、愛子は顔を暗くする。ルプスレギナは自分達を助けただけで、何も悪い事はしていないのだ。だが、昨日の様子を見る限り、今の王都ではそんな理屈すら通らないだろう。

 

「ルプスレギナさんに何かあったら……! 私、教会に行って聞いてみて———」

「あれ? どうしたんすかね、こんな朝早くに」

「わひゃあああっ!?」

「あひゃひゃひゃっ!! わひゃあああっ、て! わひゃあああっ、だって!」

 

 突然、背後から聞こえた声に優花は奇声を上げながら飛び上がる。いつの間にやら愛子達の背後にいたルプスレギナがお腹を抱えながら、ケラケラと笑っていた。

 

「ル、ルプスレギナさん! 驚かさないで下さい! というかいつの間にいたんですか!?」

「やー、ごめんっす。あんまりに深刻そうな雰囲気だから、場を和ませてあげようと思って」

 

 全く悪びれないルプスレギナだが、愛子達は無事に帰って来てくれた事に安堵のため息を吐いた。

 

「ルプスレギナさん、昨夜は何処に行っていたんですか? 急にいなくなって、心配したんですよ?」

「あー、実は教会の方にちょっと呼び出しを受けちゃったんすよねえ」

「教会……!? まさか、昨日の件で……!」

「ああ、大丈夫っすよ。愛ちゃんを助ける為、って事で無罪放免になったっす」

 

 愛子達が顔を青くする中、ルプスレギナはヒラヒラと手を振った。

 

「ただ、さすがに公衆の面前で“光の戦士団"をぶっ飛ばしちゃったのはマズかったみたいなんすよねぇ……そんなわけで、しばらくは王都を離れるつもりっす」

「王都を離れるって……ルプスレギナさん、これから何処に行くんですか?」

「さあねぇ……まぁ、冒険者だし何とかするっすよ。残念っすけど、愛ちゃん達とはここでお別れになっちゃうっすかねぇ?」

「そんな……」

 

 突然の別れに優花は整理がつかない様に寂しそうな表情になる。ルプスレギナは「じゃあね〜」と気軽な様子で愛子達に背を向けて歩き出そうとし———。

 

「待って下さい!」

 

 愛子は突然、大声を出した。

 

「私も……私達も、ルプスレギナさんと一緒に行って良いでしょうか!?」

「愛ちゃん先生……」

 

 ルプスレギナは愛子達に見えない位置でほくそ笑み———振り向いた時には不思議そうな表情を作っていた。

 

「うん? いいんすかね? 王都にいた子供達が心配じゃなかったんすか?」

 

 ルプスレギナの指摘に、愛子は一瞬だけ辛そうな顔になる。少しだけ逡巡する様に視線を落としたが、やがてルプスレギナの顔を真っ直ぐに見た。

 

「今は、もう……私はあの子達の先生ですらなくなっちゃいましたから……でもせめて、園部さん達だけでもキチンと安全を確保しなくちゃいけないんです。それが情けない私にできる、唯一の責務ですから……」

「愛ちゃん先生は情けなくなんかない! 先生が行くなら、私は何処までもついて行くからね!」

 

 自嘲する様に笑う愛子の手を掴みながら、優花は宣言する。そんな二人にルプスレギナは悩んでいる様な表情を見せた。

 

「う〜ん、確かに昨日の様子を見ていると愛ちゃん達が王都に残るのもベターな選択じゃないっすよねぇ。でも神殿騎士サン達が何と言うか……」

「その心配はしなくていい」

 

 宿屋のドアからデビッド達が出てきた。愛子達が思わず身構えてしまうが……彼等の格好におかしな点がある事に気付いた。

 

「あれ? デビッドさん、いつもの鎧は……?」

 

 聖教教会の神殿騎士を示す紋章を首から下げ、教会支給の磨き上げられたプレートメイルをいつも着ていたデビッド達。しかし、彼等の服装は旅装に最適な革鎧などを身に付けていて、一見して神殿騎士という風体には見えなかったのだ。

 不思議そうな顔をする愛子達を他所に、デビッドはルプスレギナを見ながら口を開いた。

 

「ルプスレギナ嬢。王都から出て行くなら、湖畔の街ウルを行き先にするといい。そこはまだ勇者達が遠征に行ってない地域ではあるし、ウルは王国で有数の穀倉地帯だ。愛子の天職ならば、領主であるクデタ伯爵は喜んで迎え入れる筈だ。聖戦遠征軍の為に冬の蓄えまで徴収されて、余裕が無いそうだからな。愛子の天職で農作物の収穫量を上げられると聞けば、君を匿う事もやぶさかでは無い筈だ」

「それはまた、ご親切にどうもっす。でも良いんすかね? それ、愛ちゃんに逃亡を促してる事にならないっすか? 神殿騎士サン?」

「問題ないさ。昨夜、イシュタル大司教に提案した。遠征軍の編成が急務となる時期に勇者達による遠征よりも、愛子には本来の任務である食糧供給をやって貰うべきだ、とな。イシュタル大司教は御了承下さったよ」

 

 それに……とデビッドは何処か陰のある表情になった。

 

「……聖戦を発令した今は、勇者達の下に戦力を集める方が重要だから、もう愛子の護衛は必要ないと言われた。護衛隊の任務は、昨夜付けで解任されたよ」

「あれだけ愛ちゃん先生を働かせた癖に、天之河達がいれば十分だから要らないって言ってるわけ?」

 

 目を三角にして、優花は怒りの声を上げる。愛子もまた、本当に自分は光輝(生徒)達の役に立たない存在になったのだと突きつけられた様で、唇を噛み締めた。

 

「だから———神殿騎士を辞めてきた」

 

 え……? と愛子と優花がデビッド達を見る。しかし、彼等は冗談を言っている様子はなく、真剣な表情だった。

 

「……俺達は間違っていた。愛子に……惚れた女に、自害を考えさせるくらい追い込ませる教会()()()に、もう忠誠を誓う気になれん」

「騎士として……それ以前に一人の人間として、弱者を虐げる事を良しとする“光の戦士団”を擁護する今の教会は間違っていると断言します」

「最近だと更に市民達に免罪符なんて物を買わせて、戦費を徴収しようとしているしね〜。もうさ、本気でついていけないよ。愛子ちゃんこそが俺達の天使だよ」

「……今まで、済まなかった。教会の命令だからと、愛子が苦しんでいるのを知りながら何もしなかった俺達を許して欲しい」

 

 デビッドにチェイス、クリスとジェイド達は一斉に愛子に頭を下げる。サラッと告白したデビッドを優花はジト目で睨み付けるが、真剣な空気を邪魔しない為にあえて言わないでおいた。彼等は愛子の前で跪くと、腰に挿した剣を鞘に納めたまま愛子に差し出した。

 

「ちょっ、ちょっと皆さん!?」

「もはや騎士という身分すら捨てた我々だが、これからは愛子個人に忠誠を誓わせて欲しい。愛子が元の世界に帰るまで、我々の主となってくれ」

「でも、そんな……私なんかの為に……」

 

 デビッド達の真剣な想いに、愛子は物怖じしてしまう。光輝達がした事に謝罪をし続けていた彼女は、自分を卑下する様になってしまっていた。

 自分は彼等が思う様な立派な人間じゃない。そんな風に思ってしまうのだ。

 

「良いんじゃないっすかね?」

 

 どうすべきか悩む愛子に、ルプスレギナは能天気な声を掛けた。

 

「旅は道連れ、というじゃないっすか? 隊長サン達も一緒に行きたいというなら、連れて行っても良いんじゃないっすか?」

「ふっ……もう隊長では無いぞ」

「それにホラ、ここで断っちゃうとカッコ付けたのにフラれて無職になったオッさん四人が出来ちゃうっす」

「そこはスルーしろぉ!?」

 

 ズケズケと言うルプスレギナに、デビッドは思わず涙目になる。優花も「ああ、仕事を辞めたから無職なんだ……」と可哀想な物を見る目になってしまった。そんな中、愛子はおずおずと頷いた。

 

「……分かりました。その、主とか私なんかに務まるとは思わないですけど、今までデビッドさん達にはお世話になってきましたし……その、これからもよろしくお願いします……」

「……! ああ、よろしく頼む! 愛子! いや、マイマスター!」

「そ、その呼び方はやめて下さい〜!」

 

 犬の尻尾が付いていれば、全力で振っていそうなデビッド達に愛子は涙目になりながら訂正を求めた。

 

「……まあ、愛ちゃんが元気になったから、良いんだよね? うん……でも愛ちゃんは渡さないから」

 

 ムスッとした顔で優花はデビッド達をジト目で睨む。光輝達のクレーム処理に明け暮れ、暗い雰囲気が漂っていた彼等だが、雲の隙間から差し込む陽の光の様に、久しぶりに暖かな雰囲気に包まれていた。

 

 その背後で———ルプスレギナは笑顔で昨夜の事を思い出していた。

 

  ***

 

 深夜。王都の裏路地でデミウルゴスとルプスレギナが対面していた。ルプスレギナは不思議そうな顔で疑問を口にした。

 

「それにしても分からないんですけど、どうしてアインズ様はゴミな人間達をつけ上がらせているんす……んん、ですか?」

「ふふっ、普段通りに喋って構わないよ。御方が定めた役職があるとはいえ、私達の立場は平等だからね」

「じゃあ、お言葉に甘えまして……私にはさっぱり分からないんで、教えて欲しいっす」

「……それが愚神の弱体化とアインズ様の占領地化計画を一挙両得に進められる策だからだよ」

 

 頭の上にクエスチョンマークが浮かびそうなルプスレギナに、デミウルゴスは優しく話し出した。

 

「かの勇者達は()()()()()権力を与えたら暴走を始めた。愚民達の心は徐々に、勇者達と彼等を擁護する王家や教会から離れていっている。膨れ上がった不満が爆発するのも時間の問題だよ」

 

 くつくつ、とデミウルゴスは悪意に満ちた笑顔で微笑んだ。

 

「懸念していたのが君が監視している作農師の人間なのだが……いやはや、勇者達の働きは予想以上だ。アインズ様があの愚者達をあえて放置されているのはこの為だったか、と私も驚いたよ」

「ええと、作農師の人間を魔導国で働かせるという話っすよね?」

 

 ユリに言われた事を思い出すルプスレギナに、デミウルゴスは満足そうに微笑んだ。

 

「その通りだよ。勇者達が荒らした土地へ能力のテストも兼ねて派遣させてみたが、なるほどアインズ様がご注目されるだけの事はある。その人間がいたままでは、食糧事情の改善をなされて愚民達は勇者や教会を支持し続けるだろうからね」

「それじゃあ、今のうちに攫っちゃえば良いんじゃないっすかね? どうせ人間なんだし、手足を折って恐怖公の部屋にでも放り込んでおけば大人しく言う事を聞く様になるんじゃないっすか?」

 

 なんでそうしないの? と言いたげにルプスレギナは聞いた。そこに先程までの愛子に身投げを思い止まらせた姿はない。ルプスレギナにとって、愛子は至高の御方の為の道具に過ぎないのだ。

 

「そこがアインズ様の計算され尽くされた所だよ。亜人族や帝国の時と同じさ。力や恐怖で支配するのは容易いが、困窮している所に救いの手を差し伸べれば彼等は進んで自らの首輪をアインズ様に差し出す様になるのだよ。それが端倪すべからざる御方の策略の内、と知らずにね……」

 

 全てアインズの掌の上と知らずに踊り続ける、滑稽な下等生物(ニンゲン)達にデミウルゴスは笑う。そして同時に演出のプロデュースを任された自分を誇らしく感じていた。

 

「王女は出奔し、愚民達は権力を恣にする勇者達に苦しめられる……最早、この国は凋落の一途を辿るばかりさ。そこへ虐げられた民を救う為という大義名分の下、真なる救世主であるアインズ様が立ち上がられる。アインズ様の支配下に入れば、いかに豊かな暮らしとなるかは魔導国の在り方が示していくだろう。愚民達はどうか隷属させて下さい、とお願いする様になるわけさ」

「はぁ〜、流石はアインズ様。マジパネェっすね!」

 

 デミウルゴスから聞かされた壮大な計画に、ルプスレギナは目を輝かせた。やはり至高の御方は素晴らしい。自分には思い付かない様な計画を打ち立て、それを実現してしまうのだから。

 

「どうやら愚神も魔人族を使って動き出した様だが、それすらもアウラ達を通して筒抜けなのさ。よりにもよって、あそこを攻撃しようとするとはねぇ……?」

 

 含み笑いをする様にデミウルゴスは震えた。それはまだ自分が盤上を完璧に支配していると思っているエヒトルジュエを嘲笑ったものか、それとも天上の神すら手玉に取る自らの支配者の神算鬼謀———否。()算鬼謀に興奮を隠し切れないのか。デミウルゴス自身にも判別がつかなかった。

 

「ああ、そういえば。昼間、“愚神の使徒"達に暴行を加えたそうだが……」

「あ、不味かったっすか? とりあえず殺すのは我慢しといたんすけど?」

「いや、構わないよ。大司教のドッペルゲンガーを通じて、問題にならない様に処理しておこう」

 

 ハイリヒ王国は聖教教会の大司教の権力が非常に大きい。司法で有罪と判決された者も、大司教の口添えがあれば判決は簡単に覆ってしまう。エヒトが自分の信仰を絶対の物とする為に作り上げた歪な支配構造が、今やナザリックの者達が都合良く動く為の舞台装置と化していた。

 

「そうだな……今後は監視し易くなる様に、作農師をどこか一ヶ所に留まらせる様にするか……。君は引き続き、作農師を監視してくれ給え。それにしても、今回はよく自害を思い止まらせてくれたね。これで作農師は君に依存する様になるだろう」

「ああ、だって———ここで死なれてもつまんないじゃないっすか?」

 

 人間達に見せている明るい美貌のまま、亀裂が入った様に口元を吊り上げた。

 

「あの人間は大き過ぎる望みを持つあまり、現実とのギャップに疲弊していった。それはそれで見応えはあったんすけど、徐々に弱っていく獲物を見てるだけなんて退屈でしたっす。真の恐怖は————希望から絶望に変わる瞬間なんすから」

「おや……君はあの人間達と友好的な関係を築いていると思ったのだがね?」

「はい。ですから———私が仲良くしていた人間どもが絶望しながら死んでいく姿を想像するとゾクゾクするじゃないですか。あの作農師も、手元に残った小さな希望すら消え失せた時、どんな表情をしてくれるか楽しみで仕方ないんです」

 

 愛子を諭した時の様に、ルプスレギナは妖艶に微笑む。だが、その表情は誰が見ても邪悪と断言できる悍ましさが溢れ出していた。

 

「サディスト、ここに極まれりだね。実に美しい。プレアデスの中でも、君とはとても気が合いそうだよ」

 

デミウルゴスがウンウンと頷く中、クリスマスを心待ちにする子供の様にルプスレギナは笑った。

 

「ああ……ガキ共を殺せって、命令してくれないかなぁ? アインズ様」




>ムタロ
 
Q.こんな有様で戦争に勝つ気はあるのでしょうか?
A.現場で兵士達が血を流している間、上層部はワインを酌み交わしながら談笑している。よくある事です。
 
>フリートホーフ
 
 誰が何と言おうと真っ当な商会です。人材派遣サービスや真っ白い粉の販売など色々と手広くやっており、親のいない子供に引き取り先と将来を生きてく為の仕事を与える慈善事業も手掛けた真っ当な商会です。王国の貴族のお歴々が懇意にしており、時折査察が入っても違法な証拠が何一つ上がらない真っ当な商会です。
 
 何故か査察に行った人はホクホク顔で事務所から出てきますけど。

>デミとルプー

 組んじゃいけない二人がセットになっちゃった。いやまあ、ナザリックで安牌が少ないのだけども。ルプーより、デミの方が報連相が必要では? と思うこの頃。
 一番の問題は、組織の長なのに部下の仕事をキチンと把握してないし、しっかり教育もしてないポンコツさんだけども!

 あと一話くらいクラスメイトSIDEをやります。具体的には我らがエヒトナントカさんと勇者様の話。それでやっと、アインズ達の視点を書けそうです。

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