味も絶望も、その方が深みが増していくから。
あともうすぐあの天使達と接敵するかもしれませんが、懲りもなくアインズ無双になる予定です。書きたい展開ありきで書いているから、強さ考察とか真面目に考えて無いのですよ。
あとFGOに七章を進めたいから、次の更新は遅れるかも。
ナザリック地下大墳墓 第十階層・
図書館というより、本の美術館と呼ぶべきその空間にナグモの姿はあった。アインズが魔導王としてアンカジ公国の使節団に応対する為に、久々にナザリックに戻って来ていた。
ここに収められている本は傭兵モンスターの召喚に使うアイテムから特定の職業へ転職する為の魔導書など、アインズを含めた
(人間………人の住むところ。世の中。世間。人が生きている人と人の関係の世界。またそうした人間社会の中で脆く儚い様を概念的に表す言葉………)
しかしながら、今のナグモに用があるのはそういった本では無かった。彼が机に山積みにして読んでいる本は、とあるギルドメンバーが趣味で蒐集したテキストデータ———現実世界において、著作権が切れた書籍類だった。
「………駄目だ。知りたいのはこんな情報ではない」
ナグモは溜息を吐きながら読んでいた本を閉じる。至高の御方が集めた物である為、丁寧に傍へと寄せる。
あの日———冒険者として立ち寄った街で、人間という生物を改めて考え直す機会があって以来、ナグモは『人間とは何なのか?』という疑問を解決しようとしていた。そこで取った行動がやはりと言うべきか、本を読んで調べ上げる事だった。
本来なら、元・人間である香織に聞くのが手っ取り早い方法だろう。しかし、自分の恋人にそんな情けない質問はしたくない、カッコ良い姿を見せていたいという、ある意味で子供っぽいプライドが邪魔をしてナグモは素直に聞きに行けなかった。その結果、本で調べ上げるという方法を取ったのだが、あまり芳しく無かった。
ある本では、人間は生まれながらにして平等であると説いていた———それならば、何故人間達は自分で身分差を作っているのだろうか?
ある本では、隣人を愛する事が人間として正しいと説いていた———それならば、何故人間達は競争相手は徹底的に叩き潰そうとしているのだろうか?
『人間とは斯くの如くあるべし』という規範は知ることが出来た。しかし、今まで見てきた人間達を思い返してみるとその規範通りにやれている者はほとんどいなかった。
(人間はやはり愚かな猿以下の生物………そう判断して良いのだろうか?)
賢人が十の金言を教えても、二か三で飽きて遊び始め、しまいには忘れて何度も同じ間違いを犯す進歩しない生物。だからこそ
そう思っているが———あの街で出会った人間の少年を思い出すと、それだけで決め付けるのはどうしても納得がいかなかった。
「ナグモ様。こちらの本は片付けてよろしいでしょうか?」
図書館の司書であり、腕章に『司書J』と書かれたエルダーリッチが嗄れた声を掛けてきた。読了済みの積み上げた本をチラッと見て、ナグモは頷いた。
「ああ、頼む」
「先程から何やら熱心に読み込んでいますが、目的の書物は見つかりましたでしょうか?」
「いや………まだだな」
「よろしければ、どの様な本をお探しなのか教えて頂けませんか? 必ずナグモ様の目的に合った本をご用意します」
ナザリックの司書としての矜持か、その様に言ってくる司書Jにナグモは考え込んでしまう。人間とは何かを知りたい、という疑問は改めて思うと漠然とし過ぎて、ナグモ自身もどんな本を読むべきか分からなかった。
「あ、ナグモさん」
どう返答すべきか考えていたナグモに、唐突に声がかけられた。振り向くとスカートを履いた少年ダークエルフ———マーレが本を片手にトコトコと近寄ってきた。
「マーレか。久しぶりだな」
「は、はい。お久しぶりです」
「これはようこそマーレ様。今日はそちらの本のご返却ですか?」
「うん! 面白かったって、ティトゥスさんに伝えて下さい。あと、またお薦めの本があったら教えて下さい」
「かしこまりました」
一礼してマーレから『トム・ソーヤの冒険』と表紙に書かれた本を司書Jは受け取る。その本を元あった本棚に戻しに行った司書Jの後ろ姿を見ながら、ナグモはマーレに話し掛けた。
「図書館をよく利用しているのか?」
「は、はい。至高の御方々が集めた御本は面白い物が多くて」
おどおどと答えるマーレに、もっと堂々としても良いのにとナグモは詮無い事を思っていた。そこでふと、ナグモは思い付いた事を聞いてみた。
「なあ、マーレ。君は人間についてどう思う?」
「に、人間ですか? ナグモさんも、オーレオールさんも至高の御方々の生み出された素晴らしい人達で———」
「僕達の事ではない。外の世界に蔓延る人間という生き物についての意見が欲しい」
「え? 外の人間………? え、ええと、ごめんなさい。ちょっとよく分からないです」
マーレは心底から質問の意図が分からないという表情になった。それは『あなたは地面のアリについてどう思いますか?』と聞かれて戸惑っている様でもあった。
「その、ナグモさんはどうして人間について調べようと思ったんですか?」
「………別に。今後の為に学ぶ必要があると思ったからだ」
切っ掛けとなった出来事を話すのは流石に躊躇いがあった為、ナグモはもっともらしい理由付けを話した。
「亜人族の国、ヘルシャー帝国とアインズ様の世界征服は着々と進んでいる。今後は人間達も統治下に入る事を考えると、奴等の習性や行動原理を知っておく事はアインズ様の支配を受け入れさせる為に役立つと判断したまでだ」
「はぁ、そうなんですか?」
マーレは気の無い返事をする。
(そんな事まで気にする必要があるのかな? 至高の御方が支配されるというなら、人間達は喜んで受け入れるべきなのに………でもナグモさんは頭が良いから、きっとボクとは別の視点から考えているんだよね)
マーレにとってナザリックに所属していない相手など、どうでも良いものだった。だからこそナグモの行動が理解できなかったが、きっとアインズの為にやっている事なのだろうと結論付けた。
「まあ、とにかく………普通の人間達が何を考えて生きているかを知りたくて本を読んでいるが、どうも目的にあった本が見つからない」
『ユング心理学』と表紙に書かれた本を閉じながら、ナグモは嘆息する。
「おそらく視点を変えてみる必要があるのだろう。マーレ、君は何か推薦できる様な本を知らないか?」
「で、でも、ボクはナグモさんみたいに難しい専門書とか知ってるわけじゃなくて………」
「参考までに聞きたいだけだ。建設的な意見を出せと命令しているわけではない」
「う、う〜ん………それだったら、ボクが読んでいる本を幾つか———」
おどおどしながらも、マーレは自分が図書館から借りている本の題名や簡単なあらすじを紹介した。マーレの挙げた本のタイトルは、主に小説(大抵が少年が主人公のもの)ばかりだった。
「えっと、こんな所です………参考になりましたか?」
「ん………そうだな。今度、読んでみるか」
小説など所詮は作り話と思っていたので、ナグモは地球でも小説に触れた事は無かった。しかし、同僚であるマーレにここまで丁寧に説明して貰った以上、読まないというのは失礼だろうとナグモは判断して頷いた。すると、マーレは嬉しそうに表情を輝かせる。
「あ、あの! 良かったら、読み終わった後に感想会とかやりませんか? お姉ちゃんは外で活動する方が好きだから、本なんてほとんど読まないし………」
「ああ、構わないぞ。読解力の確認にもなりそうだからな」
「本当ですか! えへへ、楽しみだなぁ」
共通の趣味を持った友人が出来た様に嬉しそうにマーレは表情を綻ばせた。こうして見ていると、見た目は本当に可愛らしい少女の様だ———だが男だ。
「ところで、マーレがナザリックにいるのは珍しいな。魔人族の国にはアウラが留守番をしているのか?」
会った時から気になっていた事をナグモは聞いた。アウラとマーレは、本来なら魔人族の国で諜報活動を命じられていた筈だ。以前、アウラが自分の階層の定期確認で帰って来ていた事を思い出し、なんと無しに聞いてみた。
「そ、その、お姉ちゃんも一緒に帰って来ています。魔人族の国は、シャルティアさんから貸して貰ったペットさんと、見張りの為にシモベの皆さんが残っています」
「アレ、か………良いのか? 躾けられたとはいえ、君達の監視は継続しておくべきだと思うぞ」
香織に対して無礼な———それこそ苦しませた上で殺してやりたいと思う程の事を口にした魔人族を思い出し、ナグモは少しだけ眉間に皺を寄せた。しばらく弄ばれた後に飽きて殺されるもの、と思ってシャルティアに身柄を引き渡したが、どんな経緯があったのかシャルティアの狗となって魔人族の国へのスパイ活動に従事していた。もっとも、
「あ、は、はい。元々はアインズ様を差し置いて魔王を名乗っている失礼な人を監視する為にお姉ちゃんと一緒に行っていたんですけど、魔王が魔人族達と一緒に人間族の国に進軍しちゃったから、もう監視はいらなくなったみたいです」
「人間の国だと? 何処の国だ?」
しばらくアインズと共に冒険者活動をしていた為に、初耳である情報にナグモは気を引かれた。もしもハイリヒ王国に侵攻したのならば、香織の為にも雫をすぐにでもナザリックに連れて来なければならない。
「え、えっと、アンカジ公国という国だそうです。最初はそこを攻め落とす、って魔王は演説してましたよ?」
「何だそこか………それにしても、あの国もよくよく災害に巻き込まれるものだ」
とりあえず雫は関係無さそうなので、ナグモはすぐに興味を失った。グリューエン大火山の神代魔法を手に入れる為に立ち寄った国ではあるが、関係無い人間しかいないなら、どうでも良かった。
「“天は我々魔人族を選んだ。魔王にしてアルヴヘイト神である私は、今こそ天啓に従って人間達を滅ぼす”とか言って、ほとんどの魔人族を連れて行っちゃったんです。でも、結局ボクやお姉ちゃんの事に気付いて無いのにどうして偉そうだったんだろう………?」
「フン、アインズ様の存在に気付きもしない癖にな」
「そ、それと、通り掛かった街も全部滅ぼしていく、とか言ってました。確か最初は———」
アインズの掌の上と知らずに踊っている
「それで、公国まで掛かる日数とかシャルティアさんのペットに計算して貰って、それが丁度、公国の人間達とアインズ様に謁見する日だったんです。それをデミウルゴスさんに言ったら、“至高の御方は全てを計算された上で、この日を選んだのだ”と言っていて、ボ、ボク、アインズ様はやっぱりすごいなって————」
「すまん、マーレ。少し確認したい事が出来た」
アインズの
「ナグモさん? ………急にどうしたんだろう?」
いつもの無表情ではなく、どこか強張った表情だった事にマーレは少しの間、首を傾げ続けていた。
***
———徹底的に破壊し尽くされていた。
ナグモが転移で降り立った街は、以前の人間達で賑わっていた姿を思い出せなくなる程、瓦礫の山と化していた。街中には家が焼かれた跡や、凄まじい力で壊された跡があり――広場には人間達の焼死体と、無造作に臓物をぶち撒けられた死体が山の様に積まれていた。
穴を掘り、その上から油を撒いて焼いたのか。腹を裂かれている死体は裸の女ばかりの所を見ると、彼女達は性的な暴行を受けた上で無惨に殺されたのか。いずれにせよ、惨状と呼ぶべき光景が目の前に広がっていた。
ナグモはそれらの死体には関心を寄せずに、一直線に歩き出す。
———以前、アルベドからの通信を聞く為に入った薄汚い路地裏も、不満を押し殺しながら水桶に水を汲んでいた井戸端も、例外なく人間達の無惨な死体が転がっていた。
やがて、ナグモはそこに辿り着いた。
街外れにあった為か、その家は他の家よりも焼失はしていなかった。
しかし、建て付けの悪かった扉は打ち壊され、隙間風が絶え間なく入って来た外壁は半壊してもはや人の住める物ではなかった。ナグモは構わず、半壊した小屋へと入る。
そこに———二人の人間の死体があった。
死体は火魔法で炙られたのか。黒く炭化しているが、大人と子供だろうという事だけは体格で見て取れた。ベッドに横たわった大人の死体に、覆い被さる様に子供の死体が転がっていた。
まるで———ベッドにいた人間を守ろうとして、一緒に殺された様にも見えた。
二つの焼死体をナグモは黙ったまま見つめていた。それからどのくらいの時間が経っただろうか。不意に、背後の壊れた戸口から音がした。
「あ? 生き残りの人間がいやがったのか?」
「隊長、どうしやした?」
振り向くと、そこに人間族の国では絶対に見かける事のない褐色の肌と尖った耳を持つ種族———魔人族達が数人いた。
彼等は鎧こそ立派だが揃いも揃って人相が悪く、いっそ小綺麗にした野盗という方がしっくりと来る。
「人間じゃねえですか! この街の人間は皆殺しにしたと思っていたのに、まだいたんすね!」
「へへへ……まだこの家に金目の物はねえかと思って、本隊から離れたが思わぬ収穫があったじゃねえか。まさにアルヴ様々、いや天使様々だな」
彼等は暴力に酔いしれた笑顔を浮かべながら、ナグモをゆっくりと取り囲む。動かないナグモを見て、こちらを恐れていると思った隊長格の魔人族がナグモに剣を突きつける。
「おい、人間のガキ。お前はこの家のガキか何か? まあ、なんでも良いけどよ。金目の物の在処を教えな。そうしたら楽に殺してやるよ」
「ギャハハ! 隊長、そこは生かしてやるじゃねえんですかい?」
「あん? 生かしておく価値も無えだろ。神様や天使様は
「違えねえ! ギャハハハハ!」
品の無い罵声がナグモに浴びせられる。そこで初めて、ナグモは口を開いた。
「………お前達は、何故この家に来た?」
「あん? そりゃあ、この家が略奪した中で一番金を持っていたからだぜ? まさかこんなしみったれた家に
押し殺した様な平坦な声を出すナグモの様子に気付かず、魔人族は部下達と共に下卑た笑い声を出す。
「ひょっとしたらまだ隠し金庫でもあるか、と思って来てみたらよぉ………ひょっとして、テメェは
ドンッ、と地面を蹴る音が鳴り響く。それと同時に、馬鹿笑いをしていた魔人族の隊長の頭に傘の切先が刺さって弾け飛んだ。
「「「……………はぇ?」」」
部下達が間抜けな声を出すと同時に、ナグモは黒傘“シュラーク”を翻した。鋭く切先を尖らせた黒傘はそのまま隣りの魔人族の首を刎ね飛ばし、ナグモは勢いのまま次の魔人族の頭を掴んだ。
「“錬成”」
バチィッ、という音と共に魔人族の脳を突き破って骨が針山の様に頭から飛び出した。目玉や脳漿を撒き散らし、魔人族は絶命して崩れ落ちた。
「ひ、ひぃ!?」
一人だけ残った魔人族が、背を向けて逃げ出そうとする。しかし、それより先に銃声が二発鳴り響いた。
「ギャアッ!? な、何だよこれ!?」
初めて知る銃弾の痛みに、魔人族は両足を貫かれて地面に転んだ。それでも何とか這ってでも逃げようとした魔人族だが———その後頭部に、カチャッと黒傘の切先が突きつけられた。
「ま、待て………待ってくれ!」
銃という概念すら知らない魔人族だが、背後から突きつけられたソレが自分の命を奪う物だとは理解出来た様だ。彼は地面に這いつくばったまま、背後にいるナグモに命乞いをした。
「た、頼む。殺さないでくれ! わ、私は命令されて仕方なくやったんだ! 君の弟については残念だった………そ、そうだ! 私には国に君の弟ぐらいの息子がいるんだ! だ、だから頼む! ここは見逃し」
パァン! 炸裂音が魔人族の頭に響いた。
「お前達は………」
返り血を浴びて、幽鬼の様に佇むナグモは溢れ出る感情を押し殺した様な低い声を出した。
「やはりお前達人間は、何処までいっても下等で、低脳な
そうして———生きている者がいなくなった廃墟で、人間の精神を学ぼうとした
とある作者さんがやっていた、原作と自作の同一人物が出会ったら? な内容。適当に書き散らかしたので、話半分で見てもらえると助かります。
・ナグモ(南雲ハジメ)
犬猿の仲。お互いに会ったら殺し合いをしかねない。
ハジメ「は? こんな幼稚で捻くれたファザコン野郎が俺? あり得ねえだろ」
ナグモ「こんな粗野で野蛮で、多数の異性を侍らす愚かそうな男が平行世界の僕……だと……?」
それはそれとして、ガルガンチュアに関しては素直にハジメは目をキラキラさせ、ナグモは父親に買って貰った自慢の玩具を見せびらかす様なス○夫顔になる。
・白崎香織
香織(原作)「向こうの私はゾンビになっちゃったの!?」
香織(アンデッド)「え? 向こうのナグモ君はユエが本命で、その他にもシアとかティオさんとかいる? うわぁ………」
あまりの待遇の違いにお互い唖然としてしまう。ありふれオバロの香織がアンデッドになった経緯を聞けば、原作香織は少し同情してしまう。それはそれとして、別人とはいえハジメ(ナグモ)の唯一無二の存在となれた事に羨ましくて原作香織の背後には般若さんが見え隠れするとか。
ただ———詳しく聞いていくと、香織アンデッドの愛情は何かがおかしい様な………?
・ユエ
原作ユエ「ええ………私がアンデッドの配下?」
自作ユエ「ええ………私がナグモのハーレムの一員?」
お互いに殺し合うとかは無いものの、こいつ頭大丈夫か? と微妙な表情になる。因みに自作ユエがアインズに淡い想いがあるのを知ると、もはや宇宙ネコ状態になる。
・アインズ
原作アインズ「………大変そうだな」
自作アインズ「………そっちもな」
ある意味、一番仲良くやれる。どうしてNPC達はあんな盲目的に慕ってくるんだ? と溜息に吐き、愚痴を言い合う仲に。ところでユエの事について一言どうぞ。
原作アインズ「え? 俺ロリコンだったの!?」
自作アインズ「いやifルートだとそっちも金髪吸血鬼とイチャイチャしてたでしょうが!!」