ついでに今まで、ず〜っと放置していた彼女にそろそろ触れてあげよう……そう思いました。
誰が何と言おうと、これは自分の作品には必要な展開です。
「おらァッ!!」
「うぐっ!?」
ハイリヒ王国の王城。そこの訓練場で清水幸利は呻き声を上げながら地面に転がされていた。
「お〜い、清水く〜ん? まだおねんねの時間じゃねえぞ〜!」
檜山はニヤニヤとしながら倒れている清水の腹を蹴り上げる。
「ゲボッ! ゴホッ、ゴホッ……!」
「引き篭もりだった清水くんに俺が直々に稽古つけてやってるんだからよぉ、やる気見せろよな!」
「キャハハハ! 檜山ってば、優しい〜!」
近くにいた瑠璃溝達がキンキンと耳障りな笑い声を上げる。地面にボロボロになって転ばされている清水を周りのクラスメイト達はクスクスと可笑しそうに見ていた。
清水を含めた数人の生徒達は、かつてオルクス大迷宮で香織が奈落に落ちてから今まで戦いを放棄していた者達だ。異世界に召喚されて待っていたのは冒険ファンタジーなどではなく、死の危機が隣り合わせにあると知った彼等は自室に籠ってしまっていた。愛子について行った優花達の様に僅かな勇気も奮い立たせられなかった清水達をリリアーナが保護していたのだが、彼女が出奔してから清水達は自動的に“光の戦士団”の一員として組み込まれていた。
そして———清水にとって苦難の日々が始まった。
かつて教官であったフレデリックはクラスメイト達のステータスを見て扱いを変えていた。その“ステータス偏重主義”を見て学んだ生徒達は、『ステータスが高い自分達は、ステータスの低い奴等に何をしても許される』と思う様になっていたのだ。かつては永山達がそうされていた様に、清水達“居残り組”は檜山達“前線組”の召使いの様にこき使われていたのだ。本来なら教官として指導する立場にいるムタロはこれを黙認するどころか、自分の懐に入った賄賂で接待や夜遊びに耽って訓練場にはロクに顔を見せない始末だった。そうして檜山達は今まで引き篭もっていた“居残り組”が自分達に追いつける様に指導するという名目で、訓練に見せかけた暴力を振るう様になっていた。
「う、うぅ……!」
「ほら、なに寝てんだよ? 中野〜、ちょっと活入れてくれよ」
「おうよ。ここに焼撃を望む――〝火球〟」
「はぁ、はぁ……ぎゃっ!?」
「あははは! 清水くん可哀想だし〜! ほら、“水球”!」
「ゴボッ、ゴボッ!?」
中でも清水の扱いは格段に悪かった。トータスの転移前でも彼は中学で受けたいじめの経験から、クラスメイト達と積極的に関わらないでいた。その為に親しい友人などいない清水は、異世界に来てから檜山に『サンドバッグにしても誰も文句を言わない人物』として目を付けられてしまったのだ。今やクラスメイト達の纏め役である檜山がやり出せば、他の者も真似をして清水をイジメの標的にするのは時間の問題だった。何より檜山達はフリートホーフが嗜好品の中に混ぜた麻薬による症状が出始めていた。麻薬が切れてしまった時のイライラした気分を解消するのに、清水に皆で暴力を振るうのは打ってつけだったのだ。
「何をしているんだ!」
唐突に訓練場に鋭い声が響く。倒れた清水を取り囲んで魔法を撃っていた檜山達だったが、声の主に気付いて面倒そうな顔になった。
「チッ、天之河かよ………遠征から戻って来てやがったか」
「皆で寄ってたかって何をしているんだ! もう清水はボロボロじゃないか!」
義憤に燃える光輝に対して、清水を九死に一生を得た思いで助けを求めようとした。
「あ、天之河………」
「私達さぁ、清水くんに強くなって欲しくて模擬戦をしていただけなんだよねー!」
だが、それより先に瑠璃溝がわざとらしく声を上げながら遮った。
「そうそう! 最近さ、皆で反乱の鎮圧とかに行くじゃん? 清水は今までサボって……じゃなくて、部屋に篭りきりだったからステータスが低いじゃん? 万が一があったら困るから皆で戦闘訓練してあげようと思ったの!」
「全部清水の為にやってあげてる事だし〜! ちょっとやり過ぎだったのは認めるけど〜!」
小田牧と薊野が自分を正当化させる様に声を上げ、清水を攻撃していた他のクラスメイト達も「そうそう」、「だよな〜」と皆で頷き合った。
「ち……違……」
「だとしても、これはやり過ぎだ! いくら清水のステータスが低いからと言っても、ここまでやるのは可哀想だろ! 俺達は仲間なんだ!」
清水の声は正義感に溢れる光輝の声に掻き消された。「はーい」、「反省してますゴメンナサイ」と瑠璃溝達は誠意の欠片も見られない返事をしたが、謝罪の言葉を聞けて光輝は納得した様だ。地面に這いつくばっている清水に手を伸ばす。
「立てるか? 大丈夫だったか、清水」
「あ、ああ……なあ、天之河———」
「でも、清水。英子達が言う事だってもっともだと思うぞ」
真実を訴えようとした清水だったが、光輝の発言に呆気に取られてしまう。そうしている間に光輝はまるで堕落した人間を叱る様な目付きで、清水に善意からの忠告をした。
「君は皆が頑張っている間もずっと引き篭もっていたのだろう? 皆から遅れた分、何倍も努力しないと駄目だ。魔人族の危機が無くなったとはいえ、まだ香織を攫った南雲がいるんだ。香織を救い出して皆で地球に帰る為にも、足手纏いにならない様に自分でも努力しないと。檜山や英子達だって、清水の事をどうにかしようと思ったかもしれないだろう?」
「な……何でそんな結論になるんだよ!? 俺はこいつらにリンチされて———」
「おい、なに逆ギレしたんだよ! 俺達は
「そうだそうだ!」、「お前も謝れよ!」と檜山達からブーイングが向けられる。場の流れは『謝っているのに許そうとしない清水が悪い』という空気になっていた。清水は助けを求めて、自分と同じ様に引き篭もっていた“居残り組”の生徒達に目を向ける。しかし、彼等はサッと目を逸らした。彼等からすれば清水が檜山達の標的になっている限り、自分達は目立たずにいれば被害は小さくて済むのだ。況してやこんな状況で清水を味方しようと思う物好きな者など皆無だった。
「ほら、檜山達だってこう言っているんだ。君も謝って、この場は喧嘩両成敗という事にしよう」
光輝は駄々を捏ねる子供を相手するかの様に言い放つ。彼の中ではこの問題は、後は清水が謝れば解決すると信じて疑ってない様だった。
異世界に来て周りから虐められても誰も味方してくれない状況に、清水はただ立ち尽くすしかなかった———。
***
「クソ、クソクソクソッ!! ふざけんなよ、どいつもこいつも!!」
医務室からの帰り道、清水はひたすら悪態を吐いていた。
「どいつもこいつも俺をバカにしやがって! クソクソクソクソッ!! 大体、異世界でこんな事になったのは全部天之河達のせいだ! あいつらが勝手に戦争参加なんか決めたからっ……!」
ドス黒い感情を剥き出しにしながら、
清水も最初は異世界転移に興奮を覚えていた。むしろ待ち望んでいた、と言っても良いだろう。いわゆるオタク趣味で、それが原因で兄妹とも仲が拗れた彼は漫画やアニメの様な世界に行って自分が大活躍する展開を何度も夢に見た程だ。
しかし、現実は異世界に来てチートパワーを貰った所で香織の様に死ぬ時はあっさりと死ぬ、という命の危機を思い知らされ、それが恐くて自室のベッドの中で蹲るという情けない展開だった。今やそれすらも許されなくなり、中学の時以上のイジメを日常的に受ける日々だ。こんな事なら園部達みたいに愛子について行けば良かったと思うものの、もはや後の祭りだ。今や聖教教会はこれ以上権威を失墜させまいと、“光の戦士団”から脱走者を出すなど断じて許さないと頑なになっていた。そもそも逃げ出した所で、危険な異世界の地をあてもなく彷徨うしかないという現実に清水は二の足を踏んでいた。
だからこそ、周りから虐められている日々から逃げ出す事も叶わなくなった清水は暴力を振るってくる檜山達の事はもちろんだが、それ以上に今の状況を招く原因となった光輝達を憎んだ。正義感を暴走させ、異世界での戦争なんてものに自分を巻き込んだ光輝。そして光輝を止めるどころか、煽る様に戦争参加を決めた光輝の幼馴染達。香織や坂上は死んだが、それでも残りの二人が生きている間は清水の深い怨みは消えそうにない。
「天之河めっ………絶対に、絶対にいつかあいつを後悔させてやるっ!」
「———威勢が良いねぇ。本当はそんな事やる勇気も無いくせに」
バッと清水は振り向いた。そこにはいつからいたのか、“光の戦士団”副団長である恵里がニヤニヤと笑いながら立っていた。
「お、お前………聞いてたのかよ!?」
「隠すつもりがあった? だったら、もうちょっと小さな声でやるべきだね。一人でブツブツ言ってて、根暗なオーラがこっちまで漂ってきてたよ」
クスクス、と恵里は笑う。その姿は地球にいた頃に見せていた地味な図書委員とはかけ離れた物だったが、そんな事より清水は自分の醜態を見られた事に耳まで赤くなった。
「あ、天之河にチクるんじゃねえぞ!」
「おいおい、光輝くんを後悔させたいんじゃないのかい? ヘタレだなぁ、この程度でビビるなよ………もっとすごい事をやって貰いたいんだからさぁ」
「は? 何を言って………」
ここに来て、ようやく清水は恵里の様子がおかしい事に気付いた。どこか気圧される様なオーラに尻込みしていると、恵里はさも哀れんでいる様な声を出した。
「ホント最悪だよねぇ……光輝くん達が気軽に戦争参加なんて決めちゃったから、僕達には全く関係ない異世界の戦いに巻き込まれる羽目になった。最近なんて、王国に反乱した奴等の掃除までしなくちゃいけなくなった。そんな事までやるなんて召喚された時には言われなかったのにさぁ」
クスクス、と恵里は笑う。その表情は悪魔じみていて、清水は危険を感じながらも蛇に睨まれた蛙の様に動けなかった。
「オマケに“光の戦士団”なんて物を作ってさぁ、クラスメイト達の中でも上下関係を作るなんて最低だよね? しかもそれを光輝くんが制御し切れてないから、清水くんはこんな酷い目に遭っているわけだ」
「お、お前だって“光の戦士団”の副団長だろうがよ……」
「僕をあんな奴等と一緒にするなよ。清水くんを虐めるなんて、くだらない真似を一度でもしたかい?」
そう言われて思い返してみると、清水は恵里からは攻撃された事はない。周りが敵だらけだと思っていただけに、それだけでも清水は恵里に関しては敵愾心が薄れた。その心の動きを察知したのか、恵里は清水にゆっくりと歩み寄っていく。
「まあ、あのバカ達を制御しようなんて気も僕には無いんだけどね。最近じゃ、フリートホーフからそれと気付かずに麻薬を吸わされてるくらいだからねぇ。権力を使って好き勝手やってるくせに、実際はこの国の人間から金蔓にされてるなんて本当滑稽だよ」
恐ろしい話を聞かされていると理解しながら、清水はその場を逃げ出そうとは思わなかった。ただ恵里の話に聞き入る様に立ち尽くす。
一歩、二歩………恵里が清水に近寄ってくる。異性とここまで近い距離になった事などなく、どこか甘い香りのする恵里に清水の脳は痺れる。
「どいつもこいつも好き勝手やってるんだからさ……清水くんも好きにやって良いと思わない?」
ススッ、と恵里は清水の身体に擦り寄せる。異性にまるで耐性の無い清水は、それだけで胸が苦しいほど高鳴った。
だが———その様子は第三者から見ると、堕落を誘う楽園の蛇に巻き付かれている様に見えた。
「ねえ………清水くん」
耳元で恵里が囁く。耳に吹きかけられた息に、ゾワゾワと清水の背筋が震えた。
「光輝くんに復讐したいならさぁ………大切な
悪魔の囁きに———清水は思わず首を縦に振った。
***
晴れた日の昼下がり――清水は王宮の廊下を歩いていた。今までコソコソと周りを伺う様に歩いていたが、そんな卑屈な態度は鳴りを顰めて今は足取りが堂々としていた。
「よう、清水っ!」
突然、檜山達から声を掛けられる。清水は震えそうになるが、精一杯の虚勢を張って振り向いた。
「な、なんだよ……」
「ちょうど良いからよぉ、また模擬戦をやろうぜ? 天之河も言ってたろ、引き篭もりの雑魚なんだから努力しないといけないもんなぁ!」
ゲラゲラ、と檜山達は笑い声を上げる。今までの清水なら、卑屈そうな笑みを浮かべてどうにかやり過ごそうとしていた。だが、今は卑屈な笑みは変わらないが、少し震えながらはっきりと拒否した。
「こ、断る………訓練相手は間に合ってるからな」
「あ………? なに舐めた態度取ってんの? 雑魚のくせに生意気なんだよ!」
予想外の返事に苛立った檜山達は凶悪な表情で詰め寄ろうとする。
しかし、それより前に———鋭い女の声が響いた。
「何をしているの!!」
「あん? ………チッ、八重樫かよ」
声の正体———八重樫雫がこちらへ駆け寄ってくる事に、檜山達は舌打ちした。雫は清水を庇う様に立ち、怒りの形相で檜山達に立ち向かった。
「清水くんを虐めるのは許さないわよ! どうしても、というなら私が相手してあげましょうか?」
「んだと、生意気な口を利きやがって! この間まで寝込んでいたくせによぉ!!」
「あら? その寝込んでいた人間にあっという間にステータスを追い越されたのは、何処の誰だったかしら?」
挑発的な目線を向ける雫に檜山達は舌打ちした。香織がオルクス大迷宮で行方不明になっていたから意識不明だった雫だが、元々の素質は光輝のパーティーメンバーを務めるくらい檜山達より優れていたのだ。リハビリを兼ねた短期間の訓練でメキメキとステータスを上げ、今や檜山達が力ずくで来ても跳ね除けられるくらいになっていた。
「待ってくれ、雫! 話はまだ終わってないんだ!」
そしてもう一つ、檜山達が雫に強く出られない理由がこちらへ来た。光輝の声に檜山達は顔を顰めたが――雫はそれ以上に敵意の籠った目線で光輝へ振り向く。
「………何?
小さい頃からの幼馴染に名前を呼ばれなくなったどころか、仇を見る様な目で睨まれている事に光輝は怯みそうになる。しかし、雫に庇われている清水を見て、必死に訴える様に話しかけた。
「雫、考え直すんだ! もうステータスだって俺と肩を並べるくらい成長したのだから、また俺と一緒にパーティーを組もう!」
「しつこいわよ、天之河くん。もう貴方とは関わり合いになりたくないの。それに私はまだステータスの低い清水くん達を指導する様に言われているの。これはムタロ教官から直々に頼まれた事よ」
「雫、君が面倒見の良い女の子だというのは知ってる。でも、何も君が清水
光輝なりの善意が半分、嫉妬が半分混じった表情で幼馴染の少女に忠告する。しかし、雫は冷たい目で光輝を睨む。
「幼馴染? 馬鹿言わないで。もう貴方なんか私にとって顔も見たくない相手よ。香織を死なせておいて、よくのうのうと私の前に顔を見せられたわね?」
「香織は生きているんだ! きっと南雲が連れ去って、何処かに閉じめていて———!」
「いい加減にして! いつまでそんな寝言を言っているの!? 香織は死んだ! あんな奈落に落ちて生きている筈がない! メルドさんの言う事も聞かず、無謀にもベヒモスと戦おうとした誰かさんのせいでね!!」
怒髪天を衝く勢いで雫は怒鳴った。地球では誰も見た事がない程に激怒する雫に、光輝はおろか檜山達まで気圧されてしまう。それ程までに親友が亡くなった事に彼女は怒り狂っていた。
「で、でも………“降霊術師”の恵里が香織の残留思念を捉えてないんだ……それに龍太郎みたいに死んだ仲間だって、エヒト神がきっと生き返らせてくれて———」
「そんな夢物語なんかに付き合う気は無いわ」
せめてもの希望を言ってみるも、雫はピシャリと断じた。
「仮にそうだったとしても、貴方の手なんて借りない。俺が皆を守ってみせる! とか偉そうな事を言っていたくせに、もう死人を何人も出してる
「ま、待ってくれ! 雫———」
パンッ!
縋り付く様に伸ばした手を叩かれ、光輝はショックを受けて呆然とした顔になる。そんな元・幼馴染を雫は穢らわしいゴミでも見る様な目で睨んだ。
「———二度と話し掛けないで。
「ひ、ひひっ………じゃあな、天之河」
卑屈そうな———しかし、どこか勝ち誇った笑みを浮かべながら清水は天之河を一瞥して立ち去る。その横に自分の幼馴染が並び立つ姿に、光輝はいつもの様に引き止める事が出来ず、まさに女子にフラレた無様な男の様に立ち尽くしていた。
「チッ………八重樫の奴も、調子こきやがって………」
それまで蚊帳の外にされていた檜山達は立ち去る二人の後ろ姿を見ながら舌打ちした。
「檜山、マジであいつらシメようぜ。八重樫の奴も、ステータスが俺達より高くなったからって調子こき過ぎだろ。俺達四人でやればよ———」
「駄目だ!!」
自分達の事を棚上げにして、雫をリンチする計画を練ろうとしたが光輝は大声を上げる。
「雫は………雫はちょっと、今は不安定になっているだけなんだ! 少し経てば、きっといつもの雫に戻ってくれる。雫を虐めるなんて、俺が絶対に許さない!!」
光輝の宣言に檜山達は本気で舌打ちしそうになった。少し前に雫が目覚めて以来、彼女は何故か清水のボディガードの様にぴったりと付いており、清水に暴力を振るう機会が無くなってしまった。その雫を排除しようにも、彼女自身のステータスが檜山達より高く、また嫌われているにもかかわらず光輝が雫に目を光らせている為に邪魔されてしまうのだ。
(クソ………マジでイライラするわ)
自分の思い通りにいかなかった苛立ちを城下町の適当な女にでもぶつけるか………麻薬によってイライラとした気持ちを抑えられなくなった檜山達はそんな事を考えていた。
***
その夜———清水は自室でベッドの上に腰掛けていた。既に夜が更けた時間でありながら、清水は何かを心待ちにする様な表情でまだ起きていた。不意にドアがノックされる。
「………入れよ」
来客が誰か分かっているのか、清水は横柄に言い放つ。そしてドアが開けられ———雫が部屋に入って来た。
「ひひっ……おい、昼間は天之河の顔が傑作だったなぁ?」
「ええ、そうね。でも良い薬よ、あんな奴のせいで清水くんは今まで虐められていたんだもの」
「ああ、そうだ………でもよぉ、お前も俺に言うべき事があるよなぁ?」
清水は暗い笑みを浮かべながら、雫に意味深に言い放つ。
そして雫は———清水の前で土下座した。
「———申し訳ありませんでした」
膝を折り畳み、三つ指を付けながら雫は額を床に擦り付ける。トレードマークでもあるポニーテールも床に広がったが、雫は構わずにベッドに座っている清水へ土下座する。
「私が天之河光輝を煽ったせいで、清水
実情を知れば雫の責任では無い筈の内容を雫は心から詫びていた。
雫の土下座を見ながら、清水は汚泥の様に濁った瞳を喜悦に輝かせる。スッと自分の足を土下座している雫の顔の前に差し出した。一日中の汗や垢がつき、どこか酸っぱい様な臭いすらする足が目の前にあるなど、年頃の女子でなくても顔を顰めたくなるだろう。ところが、雫は清水の意を汲んだ様に足に両手を壊れ物でも扱う様な丁寧な手付きで添わせ———。
「んっ……ちゅっ………」
———清水の足を丹念に舐め始めた。足にこびり付いた垢を一生懸命に綺麗にするかの様に、そして従順な奴隷の様に舌を添わせていく。
「ひ、ひひっ……! こんな上手くいくなんてなぁ……!」
『学園の二大女神』と呼ばれ、同性すらも憧れの的だった美少女に屈辱的な行為をさせている征服感から清水は背筋を震わせた。
———清水の天職は“闇術師”だ。闇系統の魔法は、相手の精神や意識に作用する系統の魔法で、実戦などでは基本的に対象にバッドステータスを与える魔法と認識されている。
だが、清水はトータスで引き篭もりの日々を過ごす中、暇潰しに読んでいた闇系統の魔術書から気が付いてしまった。闇系統魔法は———極めれば対象を洗脳支配できるのではないか、と。
そう思い立った清水は密かに闇系統の魔法を鍛錬していたが、話は簡単ではなかった。まず、人の様に自我の強い生き物は十数時間に渡って闇魔法をかけ続けでもしないと洗脳支配など出来ない。それも相手が無抵抗に受け入れてくれる事が前提条件だ。当然ながら、そんな風に魔法をかけられて抵抗しない相手などいるわけがない———そう思っていた。
『八重樫さんさぁ………今、白崎さんが死んだショックで寝込んでいるじゃない?』
あの日、恵里は耳元でそう囁いた。その囁き声に清水は聞き入ってしまった。
『今なら精神が空っぽみたいな物だからさ………清水くんが洗脳するのに打ってつけだと思わない? 八重樫さんが味方になれば、光輝くんも君に強く出れなくなると思うけどなぁ?』
そして———清水は、その悪魔の囁きに乗ってしまった。
恵里に言われた時間に雫の病室に行くと、どういう手段を使ったのか邪魔者は誰もいなかったのだ。しかも雫の精神は傷心で壊れかけていた事も手伝い、通常よりも容易く闇魔法がかかる様になっていた。そうして———清水は雫の洗脳支配に成功した。
「おい、八重樫………いや、雫。お前は俺の何だ?」
気を良くした清水は雫に語り掛ける。友人でもない同世代の異性に馴れ馴れしく名前を呼ばれながらも、雫は光の無い瞳で恍惚した笑みを浮かべた。
「私、八重樫雫は……清水幸利様のヒロインです。従順な奴隷ですぅ……」
魔法で思考を捻じ曲げられ、薄汚い性根をした少年の
「ひひっ……じゃあよぉ、何をすべきか分かるよなぁ?」
「はい……準備致します……」
足舐めを中断して、雫は立ち上がる。
そして清水に見せ付ける様に、服を脱ぎ出した。
———パサリッ。
顕になっていく雫の白い肌に、清水は股間を膨らませた———。
>清水
ありふれ二次では何かと救われる展開の多い彼ですが……自分はあまりそう思わないんですよ。中学時代に虐められたという過去はあれど、今の高校ではハジメが檜山達の標的になっているからクラスで目立たない存在になってますし、原作で魔人族の誘いに乗ったのも光輝の様に特別視されたいという虚栄心による物でした。その為に愛子を含めたクラスメイト達を殺そうとした辺り、下手したら檜山並みに邪悪な性根だったんじゃないかと思います。そんなわけで自分の作品では雫を洗脳したド外道になりました。あしからず。
>雫
最後には救う、と確かに言った。だから———過程が地獄でも、最終的に救われるならALL OKだよね? ナザリックに関わりながらも死なない運命が約束されてるなら、それまで清水の●奴隷でいる事くらい大した事ないよね?
×××版? もちろん書く。書くけども……いっそリクエスト企画でもやろうかなぁ、と思ってる。最新話のネタバレを避ける為に数日は空けますが、詳しい募集要項などは活動報告をご覧下さいませ。
追記・リクエスト企画を始めました。詳しくは活動報告をご覧下さい(成人のみ)