ありふれてないオーバーロードで世界征服   作:sahala

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 連休だから久々にゆっくり書く時間が取れました。と言っても相変わらずの説明会ですが……というかいつになったらモモンガさんをアインズ様と呼べるのか?
 あと作中でトータスの地理云々と言っていますが、作者がありふれをweb版しか読んだ事ないので位置関係とか凄く適当に書いてます。


第四話「ナザリックの現状」

「これがこの世界のステータスプレートか………」

 

 ナザリック地下大墳墓の第九階層。

 モモンガは自分の執務室でナグモからサンプル品として送られてきたステータスプレートをまじまじと見つめていた。

 ユグドラシルには無いトータス固有のアイテムにモモンガのコレクター魂に火が付いていたが………今はすっかり冷めてしまっていた。

 

(ナグモの報告によると所持した相手のステータスを表示できるアイテムという話だったけど………)

 

 溜息をつきながらモモンガはトータスでの自分のステータスを見た。

 

モモンガ ?歳 男 レベル:100

天職:死霊術師

筋力:6000000

体力:10000000

耐性:7000000

敏捷:5000000

魔力:測定不可(MAX)

魔耐:10000000

技能:全属性適正[+闇属性効果上昇][+発動速度上昇]・全属性耐性[+闇属性効果上昇] [+冷気無効][+酸無効][+雷属性無効]・全攻撃耐性[+上位物理攻撃無効][+上位魔法攻撃無効]・絶望のオーラ[+恐怖][+恐慌][+混乱][+狂気][+即死]・死霊術[+消費魔力減少][+魔力効率上昇][+連続発動][+複数同時発動][+遅延発動][+付加発動][+高速詠唱][+上位死霊召喚][+死霊強化]etc…

 

 ずらっ、と手の平大のプレートに羅列された小さな文字に四苦八苦しながら読み進めていく。虫眼鏡でも持って来た方が良かったな、とモモンガは少し後悔した。ユグドラシルで見覚えのあるスキルもあれば、名前が変わった様なスキルもあった。

 

(天職が死霊術師って………いや、確かにオーバーロードだから死霊系魔法は得意だけど。というか何だよ、魔力のステータスが測定不可って。これ本当にちゃんとしたステータスなのか?)

 

 一瞬、壊れてるんじゃないか? と思ったが、送られた複数のステータスプレートで守護者達のステータスを見た時は問題なく数値が表記化されていた。

 ならば何故、自分だけ魔力の数値が測定できないのか? その事にモモンガは一応は心当たりがあった。数値が万単位なのに目を瞑れば、ステータスの比率はユグドラシルの頃とほぼ同じだ。モモンガは魔法詠唱者職である為、レベルアップボーナスの他に課金アイテムを使って魔力にリソースを大量に注ぎ込んでいた。

 

(だから魔力の数値はステータスプレートを表示できないくらい大きい数……最低でも一億という事になるんだろうけど)

 

 細々とした文字で書かれた技能一覧から目を離して溜息を吐く。目新しい技能はない事を確認して、興味の失せたステータスプレートを無造作にアイテムボックスに投げ入れる。

 

(このアイテム、マジで使えねえ。そもそも〈虚偽情報〉で簡単に書き換えられる程度のステータス表記に意味あるのか?)

 

 ユグドラシルにも〈看破〉の様な相手のステータスを把握する魔法はあるし、自分のステータスの数値がはっきりと分からないなんて論外だ。そう考えると、トータスのステータスプレートはそれ程魅力がない様にモモンガには見えていた。

 気を取り直して、今度はナグモからの報告書に目を通す。毎日送られてくる為にずっしりとた厚さの書類を見て、サラリーマンだった鈴木悟の脳が拒絶反応を示すが、そんな場合じゃないと自分に言い聞かせて目を通す。

 

(ナグモが調べた地理情報によれば、いまナザリックが存在している場所はハイリヒ王国とヘルシャー帝国の国境付近。数キロ離れた所にはハルツィナ樹海があり、帝国から亜人族の奴隷狩りなどが頻繁に出没する事から周辺には村落の類いは無い、か………)

 

 近くに人目が無いからナザリックが注目を集める事は無さそうだが、帝国からの奴隷狩りというのが気になる所だ。幸い、ナザリックがある場所は帝国と樹海の直線上から大きく外れた場所にあるから、仮に帝国の奴隷狩りがいてもわざわざ遠回りでもしない限りナザリックが発見される可能性は低いだろう。

 

(とはいえ、油断すべきじゃない。マーレに進めさせている隠蔽工作を急がせた方がいいな)

 

 次にこの世界のステータスについて記された報告書を見る。

 ステータスはトータスの人間ならば平均で10程度。ハイリヒ王国の騎士団長で300程度と、モモンガからすれば低すぎないか? と思う値だった。モモンガの他にも守護者達のステータスを見たが、いずれも10万単位で表記されていた。それに比べればトータスの人間達は文字通り吹けば吹き飛ぶ程度の強さしかないという事になる。

 

(ナグモと一緒に召喚された地球の人間達も気になるけど、報告だと平均で100程度らしいんだよなあ。いや、油断は禁物だ。もしかしたらレベルが上がったら俺達みたいに強くなるのかもしれない。彼等がナザリックに敵対する事も視野に入れて対策を練らないといけない)

 

 実の所、一番ステータスに恵まれている光輝でもレベル100でステータスは1500が限界となるのでどう頑張ってもナザリックの守護者どころかプレアデスにも勝てる要素が無いのだが、その事を知らないモモンガは勇者一行と敵対した場合のケースを頭の中で画策していた。

 今のモモンガにとって一番大切なのはナザリック地下大墳墓であり、かつてのギルドメンバー達が残したNPC(子供)達だ。それ以外はひどくどうでも良いし、彼等に害を為すのならば微塵も容赦する気は無かった。

 そういう意味では報告書にあった聖教教会など最悪だ。人間族唯一主義を唱える教会が、ほとんどが異形種で構成されるナザリックに対してどういう対応するかなど想像に難くない。まるでユグドラシルで異形種を積極的にPKしていたプレイヤー達と姿が重なり、モモンガの中で不快感が募っていく。

 

(まあ、聖教教会は後回しにするとして、ひとまず勇者達は要チェックだな。あ、でも地球にいた時のナグモのクラスメイトなんだっけ? それなら余程の事が無い限りは生かしておく方向が良いのかな?)

 

 ただ、とモモンガは思い直す。ナグモ達が学校で突然消えたという事件について心当たりが無いわけでもなかった。

 S県高校生集団失踪事件。

 西暦2000年代、どこかの高校の生徒が三十余名、突然行方不明になったという事件があった。現代のマリーセレスト号事件としてモモンガの時代でもネット上で時折論争のネタになっている、とタブラ・スマラグディナから聞いた様な気はする。重要なのは———()()()()()()()()()()()()

 

(生徒達は政府の陰謀で殺されたとか、そもそも情報社会で三十人近い人間がいきなりいなくなるなんて有り得ないからデマだとか言われていたらしいけど………あれって、もしかしなくてもこのトータスに召喚されたから、という事だよな。じゃあ、高校生達は誰も現代日本に帰れなかったという事になるのか?)

 

 果たしてそれは戦争で戦死したからか、それとも帰還の方法を最期まで見つけられなかったのか。

 少し考え込むモモンガだが、現状で答えが出そうにないので保留とした。

 時代が違うとはいえ、地球という同郷の人間として親近感が無いわけでもない。しかし身も心もアンデッドと化したモモンガには彼等を積極的に保護しようという感情は湧き起こらなかった。何よりモモンガの時代において帰還者ゼロという結果になっているなら、それに沿う事が歴史的にも正しい筈だ。彼等を安易に日本に帰した事でタイムパラドクスが起きて、鈴木悟の時代が変わってユグドラシルはおろか最悪の場合、自分や友人達が生まれないなんて事態は絶対に嫌だった。

 

(まあ、余裕が出来たらせめて彼等がこの世界で不自由なく暮らせる様な支援はしてもいいかもしれない。ナグモもクラスメイト達が無惨に死ぬのは偲びないだろうし………)

 

 よし、と一応の区切りはつけて次の書類へと目を通した———それがひどい思い違いである事を、モモンガは後になって思い知る事になるのだが。

 

 ***

 

 その後、ナグモからの報告書をどうにか読み終えたモモンガは気分転換にナザリックの外に出ていた。一人で出たかったのだが、途中でデミウルゴスに見つかってお供を申し出られたのは、まあ仕方ない事だろう。

 

「美しい……いや、そんな陳腐な言葉では表現できないな。まるで宝石箱みたいだ」

 

 〈飛行(フライ)〉で上空へと飛び、この世界で初めて見る夜景にモモンガは誰に聞かせるわけでもなくポツリともらした。

 

(空が澄んでいれば、月と星の明かりだけで十分に明るいんです、ってブルー・プラネットさんが言ってたっけ……)

 

 鈴木悟が生活していた時代は環境汚染が酷く、ガスマスク無しでは外出すら出来なかった。工場の排気ガスで煤けた空では絶対に見れない綺麗な星空に、ナザリックの第六階層の夜空を設計したギルドメンバーとの思い出がモモンガの中で甦った。

 

「御許可を頂ければ、ナザリック全軍をもってこの宝石箱を全て献上いたします」

「まだナグモの情報収集が済んでない段階なのに、か?」

 

 モモンガの後ろで半悪魔形態となったデミウルゴスの忠臣めいた言葉に失笑しながらも、ふとアインズ・ウール・ゴウンが賑やかだった頃に、るし☆ふぁーやウルベルト達と冗談で語った事を思い出していた。

 

「ただ………世界征服なんて、面白いかもしれんな」

 

 モモンガからすれば戯れに言ってみただけだった。しかし、その言葉を聞いた途端、デミウルゴスはまるで天啓を受けた様な表情になっていた。その表情に眼前の景色に目を奪われていたモモンガは気付けなかった。

 

「未知の世界か……しかし、本当に来ているのは私だけなのか?」

 

 黒々とした地平線を眺めながら、モモンガはトータスにギルドメンバー達が来ている可能性を考えていた。ひょっとしたら最終日にアカウントを新しく作っていたメンバーがいるかもしれないし、時間帯的にもヘロヘロが来ている可能性だってある。それこそナグモみたいに自分とは違う時間帯に飛ばされているかもしれないのだ。

 

「なら、アインズ・ウール・ゴウンの名を世界に轟かせれば……」

 

 そうすれば、この世界にいるかもしれないギルドメンバー達の耳にも入るのではないか。そんな事をモモンガは考えていたが、ふとナザリックに目を向けると一大スペクタルが始まっていた。

 範囲にして百メートルを超える大地がうねりをあげ、大量の土砂がナザリックの城壁にぶつかっていた。

 

「あれは……〈大地の大波(アースサージ)〉か。という事は……」

 

 モモンガが目を凝らすと、城壁の上に立って魔法を操る女装したダークエルフの少年———マーレがいた。同時にマーレが集めた土に群がる様に土木作業を行う機械のゴーレム達が見えた。

 

「やはりマーレか。それにあれは第四階層の自律兵器達だな」

「はっ。現在、マーレの指揮下でアンデッドやマシン・ゴーレム達などがナザリックの隠蔽作業に取り掛かっております」

 

 しかし、とデミウルゴスは申し訳なさそうに続ける。

 

「範囲が広いだけにマーレの作業量が増え、遅々として作業が進んでおりません。また、第四階層の機械兵器達に至ってはナグモの不在が大きく響いています。中にはナグモにしか扱えない機械も存在しますから……」

 

 ふむ、とモモンガは眼下の光景を見下ろす。2メートル以上の体長を持った重装歩兵の様なパワードスーツのゴーレムもいれば、ショベルカーやブルドーザーによく似た重機の姿もあった。これらだけなら鈴木悟の時代でもよく見た光景なのだが、本来なら操縦席となる場所には何もなく、代わりに全ての機械達には単眼カメラが目の様に光っていた。さらには蜘蛛の様な多脚で動き回っており、キャタピラより効率が悪くないか? と思うモモンガとは裏腹に土砂の上をまるで生き物みたいな滑らかさでひょいひょいと進んでいた。

 これらこそがナザリックの中で唯一近未来的な作りとなっている第四階層のシモベ達だ。そして、それらの自律型機械兵器達の指揮を取るのがナグモの役目でもあった。

 

(マーレも頑張っているみたいだけど、やっぱり慣れてないシモベだからか効率が悪い気がするな。ナグモみたいにマシーナリーの職業を習得してはいないしな……)

 

「ナグモで思い出しましたが、モモンガ様。第四階層に少し問題が生じております」

「どうした? 警備体制に何か不備でも出たのか?」

「いえ、それは問題ありません。ただ、先程も言った様にナグモの不在によってナザリック技術研究所の研究・開発部門に多少の混乱が生じています。現在、副所長のミキュルニラが代理で第四階層の指揮を取っていますが、ナザリック技術研究所は事実上の凍結状態になっていると言えるでしょう」

「そうか……まあ、今すぐに技術研究所に作って貰いたい物があるわけではないしな。彼等には悪いが、今はナザリックの防衛を最優先にする様に伝えてくれ」

 

 はっ、とデミウルゴスの返答を聞きながらモモンガは考える。

 ユグドラシルにおいて拠点の生産系レベルは所属しているプレイヤーやNPC達の生産系スキルの合計値によって決定していた。つまり低レベルの生産職しかいなければ低レベルのアイテムしか作れず、逆に高レベルの生産職が多数所属していればレアアイテムも作製可能となるわけだ。

 

(ナグモのレベルはウィザードやガンナーの戦闘職の他にアルケミスト、マシーナリー、ドクター、ファーマシストとかの生産職で100。そんな高レベルの人材をいきなり引き抜いたら、そうなるよな……)

 

 まだトータスの情報も揃い切っていない今の状況で作りたいアイテムがあるわけではないが、ナザリックの防衛を第一に考えるならこのままにしてはおけないだろう。

 

(そもそも王宮に出入りできるから、という理由で諜報活動に割り振ったけど間違いだった気がしてきた……。近々、ナグモは呼び戻した方が良いかもしれない)

 

 そんな事を考えながら、モモンガは眼下で作業しているマーレを見舞うべく、ゆっくりと高度を下げていった。




 はい、そんなわけでモモンガ様のステータスはまさかの規格外です。ユグドラシルのステータスとの比率が〜、とか言ってますが、これまた適当なので細かいことは気にしないで下さい。強いて言うならオバロのステータスでアインズ様のMPが100%をゆうに超えた数値だったから設定しただけです。

 あとこのSSはありふれアフターには繋がりません。そもそもアフター時空ならオバロみたいなディストピアな未来世界にはならない筈ではあるので。ありふれとオバロの地球は実は似て非なる平行世界とでも思って下さい。
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