ありふれてないオーバーロードで世界征服   作:sahala

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 半ば無理やり。しかして、これ以上に上手い展開を思いつかない。無い頭を絞って、これが限界。


第百六十三話「端倪すべからざる知謀」

 フューレンの街は大混乱に陥っていた。街の上空に現れた天使達は至る所に現れて、多くの人間にその姿が目撃されていた。その正体は“真の神の使徒”をナザリックによって改造した“ナザリックの使徒”なのだが、事情を知らない人間達には聖書で描かれた天使達が降臨した様に見えていたのだ。その天使達が今、生命力を奪っていく様な歌を唄いながら人間達を殺し回り、建物を次々と破壊している。その光景を見て恐怖を覚えない人間などいなかった。

 もちろんこれはナザリックが行っている演出だ。“ナザリックの使徒”達が標的にしているのはフリートホーフの構成員達であり、破壊している建物にも命令があった場所以外では行っていない。

 しかし、そんな事など知らない人間達からすれば天使達が無差別に人間や街を襲っている様にしか見えない。折しも天使達が魔人族と共にアンカジ公国へ侵攻した出来事も相まって、『天使達が今度はフューレンを滅ぼしに来た』、『我々はエヒト神から見捨てられたのだ』と恐慌状態に陥るのも無理は無かった。

 

「どけええええっ!」

「早くこっちへ!」

「くそ、押すな! 押すなって言ってるだろ!」

「ええ~ん! ママー! ママ、どこにいるの~!」

 

 大通りには多くの人間の怒号や悲鳴、そして子供の泣き声が飛び交っていた。天使達が街を滅ぼしに来たと思い込んだ住民達が、天使達の呪歌で力が抜けそうになりながらも必死で逃げようとしていたのだ。中には家財道具を持って逃げようとしている者もおり、それが通行の妨げになって避難は遅々として進んでいなかった。

 

「落ち着いて下さい! こちらの指示に従って下さい!」

 

 保安官のスタンフォード達が避難誘導をしようと声を張り上げたが、混乱した住民達の声にかき消されていた。そもそも彼等はフリートホーフ側である署長を欺く為に少人数で出張っていたのだ。状況が状況だけに保安署本部へ応援は要請しているものの、この場にいる保安官の数に対して避難させる住民の数が多過ぎて指示が上手く行き届いていなかった。

 

「くそっ! 俺達だけじゃ無理だ! 上層部(うえ)はこの期に及んで何をしているんだ!?」

「弱音を言うな! 何としてでも一人でも多くの市民の安全を守るのが我々の使命だ!!」

 

 中々来ない応援につい苛立った声を上げた部下をスタンフォードが叱責する。フリートホーフ関連の事件の捜査にはすぐに横槍を入れてくるくせに、こういう時に限って行動の遅い上層部達に文句を言いたい気持ちはスタンフォードにも理解できた。

 

「セバス殿やモモン殿達も頑張っているんだ! 我々とてフューレンの治安を守る保安官だ! 彼等に頼り切りでは―――」

 

『LaaaAAaaahhh!!』

 

 空より脳を揺さぶる様な声が降って来て、スタンフォード達は身体がふらついた。上空を見ると、そこに黒い翼を広げた天使達が見下ろしていた。

 

「で、出たぁっ!!」

「助けてくれえっ!!」

「エヒト様! どうか御慈悲を! どうか、どうかぁ!」

 

 天使の姿を見たフューレンの住民達はパニックに陥る。呪歌で力が奪われながらも逃げ出そうとする者、その場に蹲って念仏を唱え出す者。大通りとはいえ、お互いを押し合ったり、突き飛ばしたりして怪我人が出そうな有様となった。

 

「皆さん落ち着いて! 押し合わないで!」

「くっ、かくなる上は我々が盾になっても住民達を守るのだ!」

 

 混沌の坩堝と化した人混みに揉みくちゃにされながらも、前に出ようとする。住民達の為に覚悟を決めながらも立ちはだかる保安官達を天使は人形の様な目で見下ろし―――その身体が突然、紅蓮の爆炎に包まれた。

 

『グオオォォォッ!!』

 

 突然、街中に力強い咆吼が鳴り響いた。空に現れた黒い竜達を見て、新手の魔物かとスタンフォード達に緊張感が奔るが、黒竜達はまるでフューレンの住民達を守る様に空にいる天使達を攻撃し始めた。

 

「な……なにが……?」

『今の内じゃ! おぬし達、すぐに避難せよ!』

 

 竜達の中で一際大きい黒い竜から女の声が発せられた。その声にはスタンフォードも聞き覚えがあった。

 

「まさか……ティオ殿!? 一体、これは……」

『説明は後じゃ! 妾達が天使を抑える! そなた等はすぐに避難するのじゃ! ヴェンリ、動けぬ者はそなた達で運べ!』

「かしこまりました! お嬢様、どうかお気を付けて!」

 

 空から見覚えのあるチャン・クラルス商会の女性店員達が降りてくる。彼女達の背にも竜の翼が生えており、突然の事態にスタンフォードは何を言えばいいのか分からなくなってしまった。

 

「どうか我々をご信頼下さい。今は一人でも多くの民を避難させるのが先決です」

「う、うむ。それはそうだが……」

「怪我人や動けない者は私達で運びます。ですから貴方は避難の指示をお願いします」

「……分かった。おい、お前達! 彼等と協力して避難させるぞ!」

 

 女性店員―――ヴェンリの真摯な言葉にスタンフォードの心が動いた。いま一番に優先すべきは住民達の避難だ。何より彼等はこれまでフリートホーフの逮捕にも協力してくれたチャン・クラルス商会の者達だ。色々と聞きたい事はあるが、街を破壊して人を殺し回っている天使達よりも彼等の方が信頼できた。

 ヴェンリ達こと竜人族の手も借りて、再び避難指示が開始される。動けない者は荷車や馬車などに乗せて、竜の姿となった竜人族がまとめて運ぶ事で先程よりもスムーズに避難が開始されていた。それらを尻目に天使達を出来るだけ避難民から遠ざけながらティオは戦う。

 

(こやつらがお祖父様が話していた“エヒト神の使徒”か……! 一体、何故こんな所に……)

 

 かつて祖父アドゥルから聞いた“真の神の使徒”。その存在を目の当たりにして、ティオは戦慄を覚えながらも対峙する。アンカジ公国で魔導国が倒したと聞いたが、その時の生き残りの天使がいたというのだろうか。

 

(ならば奴等の狙いは商会(妾達)か? チャン・クラルス商会が魔導国の先兵組織であるなど、勘の良い者なら気付ける程じゃ)

 

 商品として卸している物のほとんどが魔導国製であり、それが普通の取引では説明がつかない量が商会に入っている。目をつけられない筈が無い。そしていま天使達が襲っている建物。一見すると無差別に見えるが、そこは“チャン・クラルス商会”の倉庫も含まれており、これを無関係と見るには天使達の破壊工作は的確過ぎた。戻って来たレミアとその娘は既に避難させたが、いつ“チャン・クラルス商会”の本店が標的にされるか分からなかった。

 

『やらせはせぬ……セバス殿の為にも、そしてゴウン様の為にも!』

 

 こうして天使達に襲われる街を見ると、同じ様にエヒトルジュエによって焼き払われた故郷を思い出してしまう。幼かったティオは戦場に出なかったものの、街を破壊していく天使達を見てかつての光景を想起せずにはいられなかった。フューレンを故郷の二の舞にしてはならない、とティオはいてもたってもいられなかったのだ。

 

『グオオォォォッ!!』

 

 黒竜化したティオが吼える。その咆哮は天使達の呪歌を掻き消す程であり、自分達の歌が邪魔された天使達は脅威と見做したのかティオへと標的を変えた。

 

 ***

 

「御足労頂き感謝申し上げます。アインズ様」

 

 フューレンのとある倉庫。デミウルゴスは冒険者モモンの姿をしたアインズに頭を垂れていた。アインズの傍らにはユエがおり、ユエが引いた椅子にアインズは座った。

 

「まず、この部屋は安全なのだな?」

「ご心配には及びません。エントマによる監視蟲の索敵、マーレによる結界、さらには範囲外にはナグモがステルス系のマシン・ゴーレムで監視しているのでこの場を盗み聞きするのは不可能かと」

「よろしい。ではお前の計画について話して貰うぞ」

 

 今回のデミウルゴスの計画についてアインズは何も知らされていない。会った時に全てお話しします、と言われていたので自分の行動がデミウルゴスの計画を狂わせていないかと内心でヒヤヒヤしていた。

 

「この一連の計画には四つほど利点がありました。まず第一にアインズ様の御命令通り、エリセンの領主を始末致しました」

 

 それはアインズ自身が命じた事だ。ミュウを送り届ける予定であるエリセン。その領主がセバスの報告を聞く限り、あまりに悪徳貴族だった為に消えて貰うしかないと判断していた。領民の海人族を奴隷に売り飛ばす様な領主では、ナグモもミュウの事で安心できないだろうと思っての事だ。

 

「そしてエリセンの領主だけ死んだのでは、その男から訴訟を起こされたセバスの商店に疑惑の目が向けられかねないと判断し、目眩ましの為にもフリートホーフと関連のある貴族達を拉致致しました」

「そうか。その貴族達は何か役立てるのか?」

「はい。これが二つ目の利点となります。今回、拉致した者は有能な者なら魔導国への寝返りを。無能な者ならナザリックの()()として活用致します」

 

 資源、という言葉に後ろで控えているユエがキュッと拳を握ったのをアインズは感じていた。彼等は事情はどうあれ、フリートホーフに与して悪事を行っていた者達だ。そういう意味では彼等の末路も自業自得となるだろう。

 この身体になってから、アインズは人間に対して親近感は覚えなくなった。別の種族の様に突き放して考えられ、ナザリックの利益の為ならいくら死のうが構わないとも思っていた。

 しかし―――やはり不快感はある。それは人間だった頃の残滓か、鈴木悟としての自分を繋ぎ止めてくれている少女の影響か……。

 

「……デミウルゴス。ナザリック地下大墳墓、そして私に無礼を働いてない者は苦痛なき死を与えよ」

 

 何も言わずにデミウルゴスは深々と頭を下げる。

 アインズが優先するのは魔導国の安寧であり、ナザリックに所属する者達の平穏だ。

 拉致した貴族達を解放するのは、情報漏洩に繋がる可能性があるので出来ない。ならば与えられる最大の慈悲はそのくらいだ。

 

「では三つ目の利点についてですが。今回、我々が拉致する貴族。そして愚かなフリートホーフの構成員達。彼等の死について全てエヒトルジュエに悪評を被って貰う事にあります」

「あの天使達はその為か……しかし、そう上手くいくのか?」

「それについてはこれをご覧下さい」

 

 空より突然現れた“真の神の使徒”達。姿こそ変わっているものの、エヒトルジュエの襲撃かと身構えたアインズだったが、デミウルゴスからの連絡でナザリックが用意したものだと知ったのだ。

 

(それはそれとして、あの天使達の顔……なんか見覚えがある様な)

 

 はて、どこでだろうと考え込みかけたが、デミウルゴスが机の上に取り出した物に思考を中断させられた。

 それは一体の悪魔像だった。六つの腕に宝石が握られ、その宝石から脈動する様な妖しい輝きが放たれていた。

 

「この宝石に付与されているのは〈最終決戦(アーマゲドン)(イビル)〉の魔法です。ナグモの研究でこの世界の魔法でも位階魔法の解析は可能だと判明しております。これがフリートホーフの保管庫から発見される手筈となっております。幸いにもフリートホーフの保管庫に入った人間もいたので、追い詰められたフリートホーフがこの悪魔像を暴走させて天使達を召喚したという筋書きです」

 

 トータスの魔法は位階魔法とも作用する。これは神代魔法を習得する中でアインズ自身も実験していた事であり、その逆として位階魔法もトータスの魔法の効果を受ける。もちろん魔力量の違いで防がれるが、トータスの解析魔法でもユグドラシルのマジックアイテムの解析が可能ではあった。

 

「エヒトルジュエの人形(天使)達は、魔物を使役していた魔人族に味方していました。この悪魔像を見れば、エヒトルジュエの遣いの正体が邪悪な魔物だったと人間達も認識するでしょう」

 

 アンカジ公国の事もあり、エヒトルジュエの宗教の影響力は急激に衰えていると聞く。ここでエヒトルジュエの天使が神の遣いなどではなく、堕天使(魔物)だと認識されれば聖教教会の権威は完全に失墜する。しかも悪魔を召喚できるマジックアイテムが聖教教会が懇意にしていたフリートホーフから見つかったとあっては、トータスで唯一の宗教とあっても誰もが信じられなくなってしまうだろう。

 

「これはウルベルト様がお作りになったアイテムですが、ここで使うべきでしょう」

 

 名残惜しさを感じさせるデミウルゴスの言葉にアインズも思い出した。この悪魔像はかつてギルメンの一人であるウルベルトが、とあるワールドアイテムを模して作った物だ。結局、何度作っても期待通りの出来にならなかったので興味を失ってしまったと聞いたが、デミウルゴスが持っていたというのはアインズも驚きだった。

 

「そして四つ目の利点が今回の事件は王国で起こす革命のテストケースとして……と、失礼致します」

 

 デミウルゴスが急にコメカミに手を当てた。「ふむ」、「そうか」と誰かと話している様な独り言を呟いた後、再びアインズと向き直った。

 

「アインズ様、エントマからの報告です。木偶人形達と竜人族の一部が交戦を始めたようです」

 

 その言葉に背後でユエが息を呑む音を立てた。アインズからしても“真の神の使徒”の登場は知らなかった為に竜人族については完全に計算外だった。

 

「これはこれで好都合な事態だと思われます。アインズ様の御命令通りに冒険者ギルドや保安署は攻撃対象外としていますが、さすがにフリートホーフの構成員だけが犠牲になっていては怪しむ者も出るでしょう。ここは竜人族の何人かは交戦の結果の犠牲とする方が得策かと存じ上げます」

「……待って下さい。アインズ様」

 

 それまで黙っていたユエが声を上げた。アインズ達が視線を向ける中、ユエは口を開いた。

 

「竜人族はアインズ様自らが保護を約束した種族です。彼等から犠牲を出す事は、アインズ様が彼等と交わした約束を違える事となります」

「ほお?」

 

 デミウルゴスがジロリと睨めつける。眼鏡の奥、宝石の眼球がユエを捉えた。うっすらと殺意すらも感じる恐ろしい悪魔の視線に背筋が寒くなるが、ユエは毅然とした態度を崩さなかった。

 

「確かにアインズ様は竜人族を庇護下には入れたがね。今回は彼等が勝手に先走ったという事を理解した上での発言だろうね?」

「すぐに竜人族達に指示を出せば問題ありません。彼等との関係を今後も良好にする為にも、犠牲は避けるべきだと存じ上げます。それに竜人族の次期族長がセバス様の伴侶となると聞いています。ここで竜人族の犠牲を出さないのは、セバス様と奥方の関係を保つためにも有効です」

「勘違いして貰っては困るな。セバスの、況してや我々の事情などアインズ様は一切考慮される必要がない。何故ならナザリックにいる者はすべからく至高の御方の所有物であるし、主人が道具をどう扱おうと自由というものだよ」

「っ、しかし……!」

「もうよい」

 

 自他共にあまりに価値を軽んじた言葉にユエは一瞬言葉に詰まるが、反論するより先にアインズが制した。

 

「アインズ様……」

「デミウルゴス。私はお前達を道具として使い潰そうなどと考えてはいない。私が望むのはかつての仲間達が創造したお前達の幸福だ」

「勿体なきお言葉です」

「それは私にとっても嘘偽りない気持ちだ。そうだな……」

 

 アインズはアイテムボックスを開け、目的の物を取り出した。

 

「そのアイテムはしまっておけ。代わりにこれを使うといい」

 

 アインズが取り出したのは、デミウルゴスが持っている悪魔像と似た形をしていた。ただし、こちらは悪魔像が手に持つ宝石が三つしかないなど全体的に造形が劣っている。

 

「これはかつてウルベルトさんが失敗作だから破棄しようとした物だが、私が勿体ないからと保管していた物だ。こちらを使おう」

「ア、アインズ様のお手持ちの品を使うなど!」

「そうか? ならば、これはお前にやろう。どちらでも好きな方を使うといい。ただ、失敗作がいつまでも残っているのはウルベルトさんも恥ずかしいかもしれんぞ?」

「なんという……! これ程の品を下賜して頂けるとは、感無量でございます!」

 

 椅子から立ち上がり、デミウルゴスは跪く。ややオーバーだが、デミウルゴスへのフォローは出来たと判断したアインズは再び話し出す。

 

「私はお前達の幸福の為なら、代償を支払っても構わないと思っている。同時にお前達の幸福の為にも、他の人間も考慮すべきだと考えているのだ」

 

 それは香織やミュウに手を差し伸べたナグモの様に。ナザリックと一見関わりが無いと思っていた相手も、かつての仲間達の遺児(NPC)の成長の切っ掛けとなるなら可能性の芽を潰してしまうのは勿体ないだろう。

 

「セバスの為にも竜人族は犠牲にすべきではないと私も思う。代案は無いだろうか?」

「アインズ様。しかしながら、やはりフリートホーフ側だけが損害を被っているというのは第三者から見れば怪しいと思われるかと……」

「本当にそう思うか?」

 

 これはただの確認だ。本当にそれしか無いのか、とデミウルゴスに聞く為の。出来る限り、ティオを妻に迎えたセバス様の為にも竜人族から犠牲が出ない様にすべきだろう。万が一、死人が出るしかないとなっても蘇生させれば問題ないよね? とアインズは思っていた。なのだが……。

 

「………っ! なるほど、そういう事でしたか」

 

 え、とアインズは言いかける。しかし、デミウルゴスは眼鏡の奥の宝石の瞳を見開き、驚愕の表情を作っていた。

 

「そうでした、全てはこの為に……冒険者ギルドを魔導国を取り込む工作をされたのも、この時の為だったのですね?」

 

 いや、ちょっと待て。だから、何がそういう事だったのか自分にも分かる様に説明して欲しい。

 その言葉が喉から出かけるが、デミウルゴスは全てを察したという顔で頷いていた。

 

「君にも謝罪しよう、ユエ。どうやら君の方がアインズ様の意図を正しく理解していた様だ。くやしいが、アインズ様が供回りを許された事だけはあった様だ」

「え、ええ……お褒めに預かり恐縮です……?」

 

 ユエもさっぱり分からないという表情になりかけたが、何とかポーカーフェイスを保っていた。

 

「そうなればいっそセバスにも……。アインズ様、至急準備致しますのでしばらくお待ち頂けないでしょうか?」

「あ、あー……構わんぞ? とにかく、竜人族達にも犠牲を出さないなら」

「かしこまりました。アインズ様の御計画の為にも、彼等は生きて貰わねばなりませんね。それでは失礼します」

 

 だからその計画って何? そう聞くより前にデミウルゴスは一礼して退出してしまった。

 残されたアインズへ、ユエはポツリと聞く。

 

「アインズ様……ひょっとして本当にデミウルゴス様の言う通り、全て計算尽くだったのですか?」

「………そう見えるか?」

 

 アインズは空っぽの眼窩で天を仰ぎながら、そう呟くしかなかった。




なるほど、そういう事でしたか。さすがはアインズ様です。
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