ありふれてないオーバーロードで世界征服   作:sahala

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 ちょっと手違いがあったので再投稿。

 竜羽さんの『ありふれた?デジモンテイマーは世界最強を超え究極へ至る』とクロスオーバー企画をやりました。
 クロス元である竜羽さんの作品と併せて、是非ともお読み下さい。


『ありふれた?デジモンテイマーは世界最強を超え究極へ至る』
https://syosetu.org/novel/262798/


クロス企画「ありふれた?デジモンテイマーは世界最強を超え究極へ至る」①

side:ありふれてないオーバーロードで世界征服

 

 オルクス大迷宮・最奥部――――――ナザリック技術研究所・オルクス支部。

 

 ナグモ率いるナザリックの研究員達によって試練の為のダンジョンから改造され、ナザリックの為に鉱物資源の採掘やトータスに関する様々な研究の拠点となった場所にナグモはいた。

 

「ふぅむ………」

 

 研究室の一室、彼は目の前に置かれた物体を調べながら眉間に皺を寄せていた。

 

 部屋の中央に置かれているのは高さ三メートルくらいの巨大な扉だった。

 重厚な装飾が施された戸枠、最高級の黒檀を思わせる両開きの木の扉には見事な細工が施されたドアノブが付いていた。

 

 それ単体でも美術館に飾れそうな扉には、いまは何本ものケーブルが取り付けられ、ケーブルの先にある様々な計器と繋がっていた。

 

「………駄目か」

 

 計器の数値を見て、ナグモは失意の溜息を吐く。より正確に言うなら、何も反応がない事を示している測定値に対して。

 

 シュッと研究室の自動ドアがナグモの背後で開かれる。ナグモが振り向くと、彼が絶対の忠誠を誓うべき至高の主人―――アインズが部屋に入ってきた。

 

「アインズ様! いらしていたのですか!?」

 

「ああ、楽にしていい。所用がてらに立ち寄っただけだ」

 

 慌てて片膝をつこうとするナグモに対して、支配者らしい優雅な仕草で不要だとアインズは告げる。

 至高の御方の寛大な慈悲に感謝しながらナグモが立ち上がると、アインズの背後にいたユエの存在に気付いた。

 

「お前か………アインズ様に対して無礼な態度は取ってないだろうな?」

「ご心配なく。オルクス支部の現場状況を確認したいと仰ったアインズ様を御案内していただけ」

 

 愛想の欠片もないナグモの態度は、見る者によっては威圧しているように感じるだろう。

 だが、ユエはそんなナグモの無愛想には慣れっこだと言うように頷いた。

 

「お前には依頼した物の調査があるし、香織はペストーニャの下でメイドの研修中。ミキュルニラや他の研究員達もオルクス迷宮の作業で忙しい様だったから、ユエに現場進捗の報告を頼んだのだ。とても分かりやすく、お陰で助かったぞ」

「はっ。ナザリックの全ての者は、アインズ様の御役に立つ事こそが至上の命題であります故に」

 

 それとなくユエの働きを褒めたアインズだが、彼女の直属の上司であるナグモはそれが当然だと頷いた。彼を含めてナザリックのシモベにとって、アインズの為に働いて役立つ事は息をするくらい当然だと思っている様だ。

 

(いやいやちょっとは褒めてやれって。部下の仕事を褒めるのも、出来る上司がやってる事だって本に書いてあったぞ?)

 

 こっそりと読んでいた『出来る上司がやるべき習慣』というハウツー本の内容を思い出して、アインズは心の中でつっこみを入れる。相変わらずの高過ぎる忠誠心に頭が痛くなってくるが、それを押し殺して本来の用事を聞くことにした。

 

「ところで………“旅立ちの扉”は使えそうか?」

「いえ………申し訳ありませんが、今の所は“扉”に反応はありません」

「そうか………」

 

 忸怩たる思いで報告してくるナグモだが、アインズはあまり気にしていなかった。

 このアイテム―――“旅立ちの扉”はアインズがユグドラシル時代に使っていたアイテムだった。

 ユグドラシルは長年続いたMMORPGなだけあって、他作品のコラボイベントもよく行われていた。そのイベントの際に、コラボした作品の世界観のマップやダンジョンに移動するのに『ユグドラシルとは異なる世界を繋げる扉が現れた』という設定で運営から配布されたのが“旅立ちの扉”だった。

 アインズがナザリックごとトータスに来たのも、この“旅立ちの扉”が関係していないか、と思って、宝物庫から引っ張り出してナグモに調査を依頼していたのだが―――。

 

「調べたところ、このアイテムはあくまで転移用のゲートを維持するもの。それも異世界側から働きかけて貰わない限り、ゲートが開く事もありません」

「こちらから起動できないということ?」

 

 ユエの質問にナグモは頷いた。

 

「その通りだ。異世界側から“旅立ちの扉”に向けて空間の繋がりを結ぶ事で初めて起動する。調べてみたが、こちらから異世界に対してコンタクトを取ったり、繋がる異世界を指定したりするような機能が、このアイテムには無い」

「そうか………」

 

 もっともらしく頷くアインズだが、ナグモの報告に対してさほど驚いていなかった。

 

(まあ、あくまでコラボイベント用のアイテムだしなあ。イベントが無い時はただの置物だったし………)

 

 いまアインズ達が敵対するエヒトルジュエはこの世界の神と崇められる存在。神というからにはユグドラシルでいうところのワールド・ボス級を想定するべきだろう。更なるナザリックの強化に異世界で手に入るアイテムなどが役立たないかと思ったものの、無駄骨に終わりそうだ。

 

(もしも異世界に繋がるなら、元いた地球とだって………そうすればギルメン達とも、また………)

 

 アインズは決して叶わぬ願いと知りながら、“旅立ちの扉”をじっと見つめた。

 厳密には願いを叶える方法はある。それをアインズは所持している。

 ただし、そのアイテムはアインズでも一つしか持ってない程に貴重で、エヒトルジュエとの戦いを控えている今は自分の個人的な願いの為に使おうとは思えなかった。ナザリックの皆を守る為―――どうしようもなくなった時の為の切り札として温存すべきだろう。

 

「アインズ様………? やはり、失望されましたでしょうか?」

「………いや、そんな事はない。無いんだ、ナグモ」

 

 黙って“旅立ちの扉”を見つめていたアインズに別の意図を感じたのか、ナグモは顔を青くしながら恐る恐る聞いた。それを安心させる様に首をゆっくり振るアインズだが、この場でただ一人だけ彼の意図を正しく把握したユエは寂しそうに目線を落とした。

 

「アインズ様………」

「ともかく、これは使えないと分かっただけでも収穫だ。すまなかったな、結局徒労に終わる研究をさせてしまって」

「何を仰いますか。至高の御方の為にシモベが働くのは当然のこと。この程度の作業など苦労した内に入りません」

「あー………まあ、ご苦労だった」

 

 いつものナザリックシモベ節に頭を痛めつつ、アインズは鷹揚に頷いた。

 

「さて、そうなるとこの“扉”はまた宝物庫にでもしまっておくか。念の為に厳重に封印処置をして―――なんだ?」

 

 突然、けたたましいアラーム音が響いてアインズは疑問の声を上げた。ユエも辺りを警戒するように見渡す中、ナグモはバッと“旅立ちの扉”に振り向いた。

 

「これは……! 馬鹿な!? “扉”が起動を始めただと!?」

 

 見れば先程まで何も異常がなかった“旅立ちの扉”が淡い光を帯び出し、“扉”に繋げられていた計器が一斉にアラーム音を響かせた。アインズは詳しい意味こそ分からなかったが、計器のメーター針が一斉に振り切れているのを見て異常が起きている事は理解できた。

 ナグモは計器に走り寄り、緊急停止をさせようと素早くキーボードを叩くが“扉”の光は収まるどころか強くなっていく一方だ。その内に計器から電子音声が響き渡った。

 

『時空の乱れ発生。時空の乱れ発生。転移ゲート起動―――3・2・1・GO!!>』

 

 バゴォッ!! と重厚な扉が勢いよく開かれる。扉の奥はブラックホールの様に黒々とした空間が渦巻いており、同時に空間に向かって吸い込まれる様な風が大きく吹き荒れた。

 

(これはヤバい!? 走って逃げる! いや、転移で! いや、他者との場所交換! いや、壁を作って遮断! いや、攻撃魔法で! いや―――!)

 

 様々な方法が瞬時にアインズの頭の中に浮かび、そのどれもが実行するには時間が足りないという事に気付いた。

 

(―――うん、無理だこれ)

 

「おおおおおおおおおっ!?」

「アインズ様―――!!」 

 

 アインズが“旅立ちの扉”に吸い込まれ、ナグモとユエもアインズの後を追うように吸い込まれる。その他にも研究室にあった道具も掃除機で吸い込まれた様に“扉”の中に消えていく。

 そして誰もいなくなった部屋の中―――“旅立ちの扉”は開いた時と同じように唐突に閉まった。

 

 

 

『転移完了―――転移先:“暗黒の海”』

 

 

 

■■■■■

 

side:ありふれた?デジモンテイマーは世界最強を超え究極へ至る

 

 

 一方、ナザリックが飛ばされたトータスと同じでありながら異なるトータスへと視点は移る。

 

 このトータスでも南雲ハジメとそのクラスメイト達は、神エヒトによって召喚された。

 しかし、その内容はナグモ達とは大幅に異なっていた。

 まず、南雲ハジメはユグドラシルのNPCではなく、ごく普通の一般人として生まれ、普通の両親の下で育った。

 しかし、小学生の時、デジタルモンスターと呼ばれる電子生命体と出会い、絆で紡がれたパートナーとなった。デジモンをパートナーとした人間をデジモンテイマーと言い、ハジメもその一員となったのだ。

 パートナーデジモンのガブモンと一緒に時に泣き、時に笑いながらデジモンテイマーの道を歩んだハジメは、遂には世界に迫る破滅を仲間と共に乗り越えた。

 それからも紆余曲折あり、トータスに召喚された後もデジモンテイマーとして、仲間と共に地球への帰還を目指して旅をしていた。

 

 目的地であるウルの町を目指し、拠点であり大型移動車両のアークデッセイ号で旅をするハジメ達。

 今は街道から外れた川辺でキャンプをしていた。

 とっくに日は暮れており、眠りについていた。

 だが、ふと目を覚ましたハジメは寝付けず、横で寝ているガブモンを起こさないようにアークデッセイ号の外に出る。獣型デジモンのガブモンは鋭い感覚を持っているので、何かあれば目を覚ますのだが、テイマーのハジメという事がわかっているのか、眠ったままだった。

 アークデッセイ号を出て川辺に佇む。川のせせらぎと虫の鳴き声を聞きながら、地球とは違うがそっくりな形の月を見上げて、夜風に当たるハジメ。

 これからの旅の事を取りとめもなく考えて感傷に浸っていると、足音が聞こえて振り返る。

 

「何しているの?」

「一人じゃ不用心だよ」

 

 ユエと香織がいた。彼女達の足元には、彼女達のパートナーのテイルモンとルナモンもいる。テイルモンは白い猫のような外見の聖獣型デジモン。ルナモンは兎のような姿をした薄紫色のデジモンだ。

 

「ふあぁ。どうやら何もないみたいね。香織達が心配していたわよ」

「心配、していた」

 

 眠そうな目をこすりながら、ハジメに文句を言う2体。加えて、もう1体。

 

「だから言っただろ。ハジメなら心配いらないって。無理やり起こして」

 

 ハジメのパートナーのガブモンだ。毛皮を被った恥ずかしがり屋な性格だが、顔見知りしかいないのでいつも通りだ。

 話を聞いてみると、ベッドにハジメの姿が無いのに気が付いた香織がテイルモンと探しに行こうとして、ユエとルナモンも起きてしまった。ユエの提案でガブモンも起こして出てきたという。

 なお、シアとコロナモンはアークデッセイ号を留守にするわけにはいかないので、中で待機中だ。

 

「心配かけた。でもさ、俺部屋を出るとき扉は閉めてきたはずだ。なんで香織は俺がいないのに気が付いたんだ?」

「ふぇ?! それは、えっと、その」

「ハジメの部屋に潜り込んで変なことしようとした。状況的にそれしか考えられない」

「そんなことないもん!!……ちょっと寝つきが悪かったから、ハジメ君の寝顔を見れば眠れると思ってゴニョニョ」

「ん? なんだって? もっと大きな声で」

「夜は静かに!」

 

 いや、騒がしいって。そう思いつつも、さっきまでちょっとナイーブになりかけていた気分が良くなった。ハジメは香織達に礼を言って、一緒にアークデッセイ号に戻ろうとする。

 

 その時、彼らの周囲に深い霧が立ち込めてきた。

 

 何故かその霧に不穏なものを感じたハジメは、アークデッセイ号に急ぐ。

 

「アークデッセイ号に戻るぞ。急げ」

「ん? どうしたの」

「なに、この霧」

「香織急いで。嫌な感じだ」

 

 ハジメの様子にユエは首を傾げるが、香織とテイルモンは霧に何かを感じ取っていた。

 アークデッセイ号はすぐそこだ。駆けだして向かうが、まるでハジメ達を逃さないというかのように霧が一気に深くなる。

 一瞬にして視界がホワイトアウトして、傍にいるはずのお互いの姿さえ見えなくなりそうだ。

 

「全員何か掴め!!」

 

 ハジメの声に従い、近くにいた面々の体の一部を掴む。

 そうやってお互いに離れないようにしていると、やがて霧が薄くなっていく。

 

 しかし、その場所はさっきまでいた場所とは全く異なっていた。

 川のせせらぎは、さざ波の音に変わり、さっきまで鳴いていた虫の声も消えている。

 アークデッセイ号の車体も消えている。いや、この場合、ハジメ達の方があの場所から消えたのだろう。

 まるでトータスに召喚された時のような現象だった。

 ハジメ達は全く見知らぬ場所に飛ばされたのだ。

 

「この、海は……」

「ねえ、ハジメ君。この雰囲気、あの海に似ていない?」

 

 静かな、闇色の海を見つめながらハジメと香織は、ある海を連想した。

 

 地球でよく見ていたアニメ「デジモンアドベンチャー02」に登場した、物語の重要な場所でありながら、多くの謎を残している場所。

 地球でもデジタルワールドでもない、人の悲しみや憎しみといった負の感情で成り立っていると言われる、闇の世界。

 

「暗黒の、海だ」

 

 海上の霧の向こうに、巨大な影が映った。

 

 ***

 

 カタカタ―――。

 一緒に吸い込まれた機械から即席で作った測定機械を猛烈な勢いで何やら操作しているナグモを横目で見ながら、アインズは辺りを見渡した。

 

 霧深く、薄暗い海―――気が付けば、アインズ達はその海辺に転移していた。

 

「アインズ様、ここは一体………?」

「………どうやら我々は違う世界に転移させられた様だな」

 

 不安そうに辺りを見渡すユエに、アインズはいつもの支配者ロールで静かに返す。

 

(いや、だからそれが何処だって話だよな。なんだよ、違う世界に転移させられたって。そんなもん見れば分かるわ………)

 

 自分のつまらない回答に自己嫌悪したくなるが、それでもアインズはユエやナグモを不安にさせない為に威厳のある態度で自分の考えを述べていく。

 

「とはいえ、そう決めつけるには早計かもしれんな。私にとってトータスは、まだまだ未知の多い土地だ。ここが私の知らない海岸、あるいは元いた大陸の外にあるという暗黒大陸という可能性も捨てきれないが………」

「いえ、アインズ様。残念ながらその可能性は極めて低いと言わざるを得ません」

 

 ナグモは硬い表情になりながら測定器から顔を上げた。

 

「空気中の大気成分がトータス、そしてユグドラシルとも一致しません。また、空間周波数も見たことの無い数値を示しています。残念ながら“旅立ちの扉”により未知の世界に転移させられたと判断するのが妥当でしょう」

「―――そうか」

 

 予想はしていたが、未知の世界に飛ばされたという事実に一瞬だけ動揺する。それもアンデッドの特性として精神沈静化が起こってすぐに収まってしまった。そんな中でナグモは土下座する勢いで膝を付いて深々と頭を下げる。

 

「申し訳ありません! “旅立ちの扉”の暴走を想定できず、アインズ様まで巻き込むなどナザリック技術研究所長にあるまじき失態です! この度の失態は………もはや僕の命で―――!」

「止めよ―――許す、ナグモよ。お前の全てを許そう」

 

 自害を申し出ようとしたナグモに先んじて、アインズは威厳ある声で遮った。

 

「………あなたが責任を感じて自害したところで、事態は何も好転しない」

 

 ユエもまた、ナグモに静かに声を掛ける。

 

「アインズ様に償いたい、と思う気持ちがあるならナザリックへ帰還する方法を先に考えるべき。それと………自害するなんて軽々しく言わないで。あなたには帰りを待っている人がいるでしょう?」

 

「ぐっ………分かっている!」

 

 ユエに正論を言われた事が悔しかったのか、ナグモは顔を赤くさせながら立ち上がる。

 さて、これからどうすべきかとアインズが考え出した時―――不意にこちらへ近付く足音が聞こえてきた。

 

「こっち! なんか人の声がした!」

「誰かいるのか?」

 

 霧の向こうから足音と共に声が近付いてくる。ユエとナグモはアインズを守る様に身構える。アインズもまた初見の敵でも効果が望める魔法を頭の中にリストアップして詠唱を開始した。

 

 やがて――――――お互いの姿が見えるくらい両者の距離は縮まった。

 

「私………?」

「え? ユエ? でもユエはさっきから私と一緒にいて………!」

「ルナモン………私も驚いている」

 

 ユエは自分と同じ姿をした少女がウサギの様な生き物を連れている姿に目を瞬かせた。

 

「うわあ、なにこの骸骨! メタルファントモンの亜種?でも、デジモンの感じはしない!?」

「こ、こら! テイルモン!落ち着いて」

「香織か? いや、違う………髪や瞳の色が異なるし、何よりあんな魔物はユグドラシルでも見たことがないな」

 

 自分の良く知る相手と似た少女が猫の様な生き物を連れている姿を見て、アインズは冷静に思考を巡らせていた。そして――――――。

 

「な、なあ、ハジメ。あいつ、ハジメにすごく似てないか? ハジメって、双子の兄弟がいた?」

「いや知っているだろ。俺は一人っ子だ。とりあえず、香織の言うとおり落ち着け」

 

 ナグモの姿に目を見開くのは毛皮を被った獣――ガブモンとナグモそっくりの少年、ハジメ。身に纏っている装備と服装以外は鏡で映したかの様に二人はよく似た姿だった。強いて違いを上げるならば――――――。

 

「………おい」

 

 南雲ハジメならば絶対にしない様な目。まるで全ての人間を見下している様な冷たい目で、ナグモは見たことの無い魔物を連れた自分自身にそっくりな少年を睨んだ。

 

「お前は何だ?」

 

 まるで下手くそに描かれた自画像を見せられたかの様に、ナグモは不機嫌な声を出した。


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