ありふれてないオーバーロードで世界征服   作:sahala

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 自分は基本的にやりたい展開を重視して、キャラの設定とか自分の中で無理がないと思う範囲で変えています。だから解釈違いと思っても、「sahalaの中ではそうなんだろ(ry」ぐらいに思って下さい。こういう予防線を張ってるあたり、自分の小市民ぶりが自分でよく分かる(白眼)


第六十五話「大迷宮発見」

 ナザリック地下大墳墓・第五階層。氷結牢獄内『真実の部屋』。

 

「さぁ、ダーリン? アインズ様の為に貴方の知ってる事を教えてくれるかしらん?」

「ひぃっ!? ラ、ライセン大峡谷だ! ライセン大峡谷に、未攻略の大迷宮がある筈だ!」

 

 魔人族の元・英雄フリードは鎖に繋がれたまま、目の前の人物に答える。

 その人物は、一言で表すと醜悪極まりない異形種だった。膨れ上がった溺死体の頭部に触手が六本のタコが張り付いたような姿に、ハムを縛る糸の様に膨れ上がった身体にボンテージが食い込む。

 ()()こそがニューロニスト・ペインキル。ナザリック地下大墳墓、五大最悪の一人「役職最悪」にして特別情報収集官である。

 

「あら〜ん、それって本当? 神に……じゃなくて、至高の御方であるアインズ様に誓えるぅ?」

「ち、誓う! 偉大なるアインズ・ウール・ゴウン様に誓う! そこに私は部隊を向かわせようとしていた! な、なあ? 知ってる事はもう話したんだ……だ、だから……」

「んもう〜、ダーリンってばせっかちさん❤︎ まだその情報の裏付けが取れてないじゃないのよん。さ、今日もた〜くさんチュウチュウしましょうねえん? 」

「い、嫌だ……や、やめてくれ……!」

「ダイジョ〜ブ、貴方のお友達(部下達)と一緒にアインズ様を讃える歌を唄う聖歌隊になれる様に、私もレッスンに付き合ってあげるからん❤︎ さあ……今日もい〜っぱい、元気良く唄いましょうねえん❤︎」

「お願い……お願いします……! もう……もう殺してくれええぇぇえええっ!!」

 

 フリードの哀願が『真実の部屋』に響き渡る。だが、ナザリックにおける救い()が彼に与えられる事は無かった———。

 

 ***

 

「ふっ!」

 

 アインズの剣が突進してきた猪型の魔物へ突き出される。自動車ほどの大きさもある猪の魔物は、突進した勢いのまま頭から深々と剣が突き刺さって絶命した。

 

「ヴェルヌ、やれ」

「はっ! “錬成”!」

 

 アインズの命を受け、ナグモは黒傘シュラークを地面に突き立てた。地面は次々と陥没して、小型の猪魔物の群れを落とし穴へと嵌めていく。

 

「ユエ」

「ん! “氷槍"」

 

 身動きの取れなくなった魔物達へユエの魔法が放たれる。人間の腕程の氷柱が雨の様に降り注ぎ、魔物達を次々に串刺しにしていく。小型の魔物達が絶命していく中、大型の魔物はまだ息があった。だが、ユエの魔法で手足を氷漬けにされて身動きが取れなくなっていた。

 

「せい、のっ!」

 

 そこに香織が跳び掛かった。大きく振りかぶったナックルダスターを叩きつけ、頭蓋を砕かれた大型魔物は絶命した。

 

「ふう……これで全部かな」

 

 髪の毛をかき上げながら香織が一息ついた。聖拳士として戦っている時は邪魔にならない様に三つ編みにしている銀髪が、太陽の光を受けて水面に映った月の様にキラキラと光った。

 

「モモンさん、こっち終わりました!」

「残敵ゼロ。付近に生命反応も無し……ミッションコンプリートです」

「んっ」

「ご苦労だった。これでクエスト完了だな」

 

 冒険者仲間という事になっている部下達に応えながら、アインズは剣を鞘に戻した。

 

 アインズ達こと冒険者モモンのパーティーは、ブルックを拠点にしながら破格の勢いで冒険者ランクを上げていた。アインズからすれば天職で付与した戦士職の慣らし運転のつもりだが、それでもトータスでは十分過ぎる強さだったらしい。あっという間に上から三番目である“黒”のランクまで跳ね上がり、今日はライセン大峡谷へクエスト依頼された魔物の素材採集に勤しんでいた。

 

「この猪達の牙が今回のクエストの採集物だったな? ギルドに渡す必要分は刈り取った後、余剰分はナザリックに送れ」

「かしこまりました。手配いたします」

「それなら、もう少し捕まえてきましょうか? 私もまだまだいけます!」

 

 命令に承諾するナグモの隣で、香織が提案する。香織の格闘技も大分様になってきた。もっと実戦を経て、アインズ達に役に立つ所を見せようと張り切っているのだろう。しかし、ユエが静かに首を振った。

 

「……それは駄目。ワイルドボアはチョウチンイタチの天敵。チョウチンイタチは繁殖し過ぎると、食べ物を求めて人里まで下りてくる」

「そうなの? ユエ」

「ん……そもそもギルドはそういった二次被害が出ないか判断してからクエストを出している。……クエストの規定を無視して大量に狩るのはマナー違反」

 

 へえ、そういうものか〜。と、アインズは内心で感心の溜息を吐いた。ゲームと違い、とりあえずたくさん魔物を倒せば良いという話でも無いらしい。

 

(確かブルー・プラネットさんも無計画な乱獲のせいで何種類もの動物が絶滅した、って嘆いていたよなあ。魔物といっても、この世界(トータス)じゃ動物みたいなものなのかもな)

 

 アインズの予想とは違って冒険者は未知を追い求める職業では無かったが、これはこれで奥が深い仕事だった様だ。

 

「まあ良い、これでクエスト完了だ。お前達、体力(HP)は大丈夫だろうが魔力(MP)の回復は怠るなよ。突発的な規格外の敵(レイドボス)に遭遇する可能性もあるからな。ギルドに帰るまでがクエストだと心得るのだ」

 

 「はっ」、「はい!」、「んっ」と三者三様に返事がされる。

 

(まるで遠足の引率だな)

 

 思わずアインズは内心で苦笑してしまう。ギルド時代にレベルがまだ低いメンバーの『新人教育』に付き合った事もあるが、ナグモ達の場合は見た目の若さもあって学生達の引率をしている気分になっていた。

 

(やまいこさんもこんな気持ちだったんだろうなあ……)

 

 現実で小学校の教師をしていたというギルメンの事を思い出してしまう。彼女も今のアインズの様に生徒の引率をしていたのだろう。

 

(こうして見ると、やんちゃな生徒達ばかりだけどやり甲斐のある仕事だと言ってたやまいこさんの気持ちも分かるなあ。ユグドラシルにログインしてくれなくなったのは……まあ、仕方ないよな。俺はナグモ達の三人だけだけど、それでも結構大変だし……)

 

 少しだけ寂しく思いながらも、アインズはやまいこがユグドラシルを辞めてしまった事を納得した。やまいこはユグドラシルよりも自分の仕事(生徒の教育)に熱意を注ぎ込んだだけだ。それを否定する権利など、アインズ(鈴木悟)には無いだろう。

 

(何だろうな……以前なら、何で皆で作り上げたナザリックを捨てられるんだ! って八つ当たり気味に考えていたけど、最近は仕方ない事だよなと納得できる様になったというか……)

 

 元々アインズとて辞めていったギルメン達を憎んでいたわけではない。あの日は自分が半生を注ぎ込んでいたユグドラシルのサービス終了が決まってしまい、それがショックでログインしてくれなくなった彼等に恨み言が思わず出てしまっただけだ。

 

 しかし、最近のアインズはある程度自分を客観視できる様になった。ギルドを辞めたのは、皆それぞれに理由があったからだ。誰かが悪かった、というわけではない。

 

(まあ、でも。もしかしたらギルメンの誰かがトータスに来てる可能性もゼロじゃないから、ギルメン探しは継続するけど)

 

 少しだけ、今までよりも吹っ切れたアインズはそう思える様になった相手をチラッと見る。自分に字を教えてくれる代わりにギルメン達の事を少しずつ話す様になった金髪の少女は、渡されたMP回復ポーションをコクコクッと飲んでいた。ふと、アインズの視線に気付いてユエが振り向く。何故かアインズは気恥ずかしい気がして、咳払いしながら視線を慌てて切った。

 

「ん、んんっ! そういえば、このライセン大峡谷にも大迷宮があるという話だったな!」

「はっ、ニューロニストの()()()()によるとその様です」

 

 それまで香織に戦闘後の体調などを聞いていたナグモは、アインズ達に振り返りながら頷いていた。

 

「オスカー・オルクスの隠れ家への裏口もこの近くにあった事を考えれば、解放者同士で連絡を取り合える様に別の解放者が隠れ家を作っていた可能性は高いです」

「ふむ……しかし、大峡谷と一言で言っても範囲が茫洋としているな。それにこの魔力の集中を阻害するフィールドエフェクト……探知系魔法で探すのも難しいか」

 

 ライセン大峡谷は魔力の結合が分割され易く、かつては落ちれば魔物達に喰われて生きては出られない処刑場として使われていた時代もある。

 とはいえ、アインズ達にはあまり問題にならない。ここにいるのは、ユグドラシル(神話の世界)から飛び出した死の支配者とその従者達。魔力が霧散する以上の大魔力で発動させれば、魔法の使用そのものには問題ない。ただ、いつもより魔力の消費が大きいというだけだ。とはいえ魔力で広域探索を行う様な探査系魔法の効果が薄くなるのは迷宮探索に問題がありそうだ。

 

「そうですね……いっそシモベ達による人海戦術で探し出すという手段もありますが、あまりスマートとは言えませんね」

「あ、それでしたら私に考えがあります!」

 

 少し考え込む様に眉根を寄せたナグモの横で、香織が手を上げた。

 

「ちょっと新しく出来る様になった能力で試してみたい事があるんですけど、やってみても良いですか?」

「ほう? 新しい能力か……面白い、やってみると良い」

 

 ナグモ特製のキメラ・アンデッドの香織はアインズから見れば未知の異形種とも言える。ユグドラシルには存在しないモンスターである香織の新能力とは何か、アインズは興味があった。

 

「はい! ナグモくん、この辺りに人は居ないよね?」

「ああ、確認済みだ。正体が露見する心配は無いぞ」

「うん、それじゃあ———」

 

 スッと香織が目を閉じる———すると、髪の毛が伸び始めて生き物の様にうねり始めた。髪の毛が何本か纏まると何匹もの白銀の蛇の群れとなり、毛先がブチッと一人でに切れた。

 

「貴方達、この辺で怪しそうな場所を探して来てくれる? 例えば、そう……洞穴みたいなのとか」

 

 「シュッ、シュッ」と短く鳴くと、蛇の群れは地面を這いずりながら四方八方へと散っていく。それを見ながらアインズは分析する。

 

召喚魔法(サモン・アニマル)……いや、どちらかと言うと低レベルの分身か? 驚いたな、香織はまだその身体になってから日が浅いのにこんな事まで出来る様になっていたのか」

「はい! ナグモくんがくれた身体のお陰です!」

 

 それに……と、香織は何故か意味ありげにナグモに微笑む。

 

「分身を動かす練習にたくさん付き合ってくれたので♪」

「………」

 

 ナグモは何故かフイッと目を逸らした。その顔が微妙に赤い気がするのは気のせいか。

 

(………マジで何やってたの、お前達?)

 

 ちょんちょん、とユエがアインズの背をつつく。

 

「………聞かないであげるのが優しさかと」

「う、うむ。そうか」

 

 ユエの全てを悟り切った様な目を見て、アインズは詮索を止めた。部下の私生活まで細かく報告させるとか、鬼畜上司にアインズはなる気はない。

 

「んん、ゴホン! ま、まあ香織の新能力の御披露目になってちょうど良かったです!」

「うむ、そうだな……お前が前より表情豊かになって、私は嬉しいぞ」

 

 誤魔化す様に咳払いするナグモをアインズは生暖かく見る。この姿をじゅーるに見せたい物だ。

 

「まあ、とはいえ香織の分身による探索でも少し時間はかかるでしょう。今後はライセン大峡谷へ頻繁に赴く様にして———」

「———え? それ、本当なの?」

 

 香織がコメカミに手を当てながら、突然呟き出した。まるで何かと通信している様な仕草だ。驚いた表情のまま、香織はアインズを見た。

 

「アインズ様。いま、分身の子達が報告してきたんですけど……大迷宮の入り口、見つかったそうです」

「……………マジか」

 

 ***

 

 それは、大峡谷の地の底。大迷宮の奥深くに作られた部屋に彼女はいた。

 

「さっきのやつ……何だったのかなあ? この辺じゃ見かけない種類だし、あの蛇は誰かの使い魔かな?」

 

 人間の子供ほどの身長で、黄色のローブを着た彼女は首を傾げながら疑問を口にした。

 だが、その疑問に応えてくれるものなどいない。

 

「誰だろうなあ、私達の意志を継いでくれる人かな? それとも教会のクソヤロー達の手先かな? 人間かな? 亜人族かな? それとも魔人族?」

 

 カタカタと球体関節を動かしながら、彼女は疑問を口にしていく。彼女は人間ではなかった。人の形をした無機物———すなわちゴーレムの身体で、ニコちゃんマークの様なペイントが顔に施されていた。

 

 そのペイントも、長い年月で掠れてよく見えなくなっていた。

 

「私達の意志を継いでくれる人なら嬉しいなあ。うん、でも……()()()()()()! あのクソヤローを……エヒトを殺してくれるなら!」

 

 バッと彼女は壁に振り向いた。その動きは、まるで壊れた人形の様だった。

 

「オーくん、ナッちゃん、メル姉、ヴァンちゃん……他のみんなも、待たせたね。ようやく来たよ……ようやく人が来たよ! 待ったよ、千年間……うん? 二千年? もっと長かったっけ? あはははは、長過ぎて忘れちゃったや!」

 

 その壁には、額縁に飾られた一枚の写真があった。

 

 だが———ボロボロに風化して元の写真が何だったのか、分からなくなっていた。

 

「あはは、あはははははははははははははははははははははははははは!!」

 

 ————誰もいない大迷宮の底。永い年月で心を擦り減らした少女の壊れた笑い声だけが、闇の中で木霊していた。

 




>フリードさん

 何か字数が足らんなあ……せや、フリードの拷問シーン書いたろ!
 そんな鬼畜ぶりな発想から近況を書いて上げました! 妹は国に帰れたのにね……うぷぷ。

>アインズ様、多少ギルメン達に整理がつく。

 まあ、彼とてギルメン達を憎んでいるわけではないと思うんですよ。そもそもギルメン達もユグドラシルに飽きたというより、生活環境が数年で変わってログイン出来なくなった人が多いそうですから(wikiで調べたからソース不明)。
 だからアインズの思い出話を聞いてくれる相手がいれば、多少は落ち着くかなぁ、と。

 まあ、荒れていた時の想いの一部を設定改変と共に打ち込まれてしまったかもしれないNPCがどう思っているか、知りませんけどね。

>香織、索敵と出来る様になる。

 初期案は蛾の触覚を生やした蛾娘とか、蝙蝠娘になって超音波探索とかやる予定でした。というか設定を考える為にモン娘のイラストを見ていたら、モン娘で●●●させるの良くない? とか考え始めた駄目作者なのでありましたとさ。

>ミレディ

 闇堕ちミレディ。略して闇レディ。もしくは病ミレディ。
 千年や二千年以上の時を経ても、こうならなかったのが原作ミレディの魅力ですけどね。逆に原作ミレディはそんな永い年月、来るかどうか分からない相手をよく待ち続けられたな、と思います。でも、自分の作品ではどうしてもこうする必要があったんですよ。だってホラ、原作そのままならアインズには絶対に協力しないだろうし。

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