ありふれてないオーバーロードで世界征服   作:sahala

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 ようやく引っ越し作業も一段落してきたので、投稿します。でもそうこうしている内に、アニメのオバロでは王国が……(汗)。


第八十二話「真の支配者」

「アインズ……ウール・ゴウン……」

 

 ガハルドは目の前の玉座に座るアンデッドの名を掠れた声で復唱した。

 ここに至って、相手が人間でないなど些末な事でしか無かった。むしろ人間ではないからこそ、これ程までに桁外れな存在なのだと納得してしいた。

 

「———無礼者」

 

 ふいに氷の様に冷たい声がかけられた。玉座の横にいる翼を生やした美女が、美貌を不快げに歪めていた。

 

「下等生物の分際でアインズ様を呼び捨てにするなど……デミウルゴス」

 

 

 呼び掛けに応じて、スーツを着た蛙顔の化け物が進み出た。

 

「『平伏したまえ』」

 

 次の瞬間、ガハルドの身体は膝を地に付けていた。両手も付き、更には額を地面に擦り付けて目の前のアンデッドに土下座した。

 

(ぐぅ!? なんだ、これ……!? 身体が、動かねえ!?)

 

 ヘルシャー帝国の皇帝として暗殺や闇魔法による洗脳などを防ぐために魔除けのアミュレットなどを装飾品に織り交ぜていた。ヘルシャー帝国軍専属の魔法師達の粋を集めた装備品を身に付けた今のガハルドを害するのは、熟練の魔法師が十人掛かりで襲い掛かっても難しいだろう。

 だが、そんな対魔法防御を嘲笑うかの様にガハルドの身体は見えない力によって強制的に地に伏せられていた。ガハルドの後ろから、くぐもった呻き声が聞こえる。呪言による強制力で振り返る事は叶わないが、確認しなくとも部下達が自分の様に地に伏せているのだろうとガハルドは察した。

 

「アインズ様、聞く姿勢が整ったようです」

「うむ———頭を上げさせてやれ」

「『頭を上げる事を許す』」

 

 耳に心地良い男の声が響いた途端、ガハルドの身体は頭だけ自由になった。拝謁する様にガハルドはアインズを見上げる。

 

「さて、本来ならば一国の王に対して行う扱いではないが、そのまま聞いて欲しい。今回、君達がフェアベルゲンへ攻め入った件についてだ」

 

 やはりそれか! とガハルドは心の中で舌打ちする。同時に強い恐怖が湧き起こった。これ程までの力を持った相手の機嫌を損ねたであろう事に。

 

「今、フェアベルゲンは私が復旧の支援を行なっている。これはフェアベルゲン代表のアルテナ・ハイピスト嬢から正式に依頼された事であり、我らナザリック地下大墳墓が全面的に取り組む事項だと思っている」

 

 ナザリック地下大墳墓という言葉に覚えは無いが、ガハルドはフェアベルゲンが帝国より先にアインズの支配下に治まったと瞬時に理解した。自分達はそうとも知らずに、この恐ろしいアンデッドの支配地に軍を差し向けたのだ。

 

(クソがぁ……! そうだと知ってりゃ、もっと穏便にこのアンデッドに近付いたのに……! 亜人族共はどうやってこんな化け物を味方につけやがったんだ!?)

 

 フェアベルゲンの代表から正式に依頼されたという事は、力づくで支配したわけではないのだろう。それどころか侵攻した帝国軍の生き残りの証言通りならば、亜人族はアインズと積極的な協力関係ないし心から従属を誓っている事になる。

 

「そのフェアベルゲンへそちらが進軍して来た為、降り掛かる火の粉を払わせて貰ったわけだが……君達は、どんな意図を持って侵攻したのか聞かせて欲しい」

「そ……れは……!」

 

 未だ頭以外は自由に動かない身体で、ガハルドは真っ青な顔になる。自分の野望の為にフェアベルゲンを———この死が具現化した様な怪物が支配する土地に侵攻したなど、口にしたらどうなるかなど言える筈もなかった。

 

「どうした? まさか何者かから精神支配でも受けているのか? ふむ———デミウルゴス」

「はっ! 『包み隠さず全て話したまえ!』」

 

 また蛙顔の化け物が言葉を発した途端、ガハルドの口は自分の意思とは無関係に開いていた。脳の中に命令をひたすら聞く器官が出来た様な感覚を覚えながら、ガハルドは自分の思っている事を話し出していた。

 

「こ、今回の侵攻は、俺が、トータスを支配する為の足掛かりを得る為だ……! 俺は、トータス全ての王になる為に、フェアベルゲンを征服しようとした……!」

「…………は? トータス全てを、支配? 何故?」

 

 目の前のアインズから、まるで予想だにしなかった事を聞かされた様な意外そうな声が上がったが、ガハルドはそれどころでは無かった。自分の死刑宣告状を読み上げてる様な気分で、背筋に冷たい汗を感じながら口だけが勝手に動いていく

 

「俺は……帝国を、王国や聖教教会の影響下から脱却できる様に、国を強大にしたかった……! 王国と聖教教会が魔人族との戦争にかかりきりになっている今なら、フェアベルゲンを容易に植民地にできると思った……! だから、軍を送った……!」

「………ああ、うむ……つまり、君は自分の意思でフェアベルゲンへ軍を進めた、という事か? その、なんだ……神の啓示が頭に浮かんだとか、教会から何か言われたとか、そういう事は無かったと?」

()え……! 俺の意思で軍を動かした……!」

「………私の事について、何か知っていたとか……」

「知らなかった……! あんたの様な、強大な魔物がいるなんて知らなかった……知っていたら侵攻などしなかった……!」

 

 ああ、言ってしまった。目の前が真っ暗になりそうな絶望を感じながら、ガハルドは後悔で息を呑む。もしもアインズの言う通り、誰かから提案されたのであれば、責任を全てその人間に押し付ける事も出来ただろう。

 しかし、ガハルドはいま自分の口で全くの自由意思でアインズの支配地を侵した事を証明してしまった。言い訳など決して出来ぬ様にあの化け物は呪言を用いたのだ。容赦なく行われた仕打ちに、戦場で勇猛さを誇ったガハルドも恐怖で震えた。

 周りの魔物達や段上にいるアインズの配下達の目が冷たく突き刺さるのを感じる。物理的な力すら感じそうな殺気に、ガハルドは首に絞首刑の縄がかけられたのを感じていた。

 

「そうか……うむ。……そっかぁ………」

 

 アインズはどこか迷う様な声を上げていたが、死の恐怖に打ちのめされたガハルドには、目の前の獲物をどう痛ぶって殺すか? と悩んでいる様にしか見えなかった。

 ふとガハルドの耳に嗚咽を漏らす様な声が聞こえた。振り向く事は叶わないが、自分の部下達が絶望の余りに泣き出しているのだろう。それでもこんな事態に陥る羽目になった原因であるガハルドを罵倒する声は一切聞こえない。聞こえてくるのは、末期の祈りや遺されるだろう家族への謝罪だ。

 

(お前ら……! 済まねえ……!)

 

 せめて自分の首だけで済ませて貰える様にどうにか出来ないかとガハルドは頭を必死で巡らせ———。

 

「まぁ……なんだ。自分の意思でやった結果というならば、仕方ないか……デミウルゴス、解除してやれ」

「かしこまりました、アインズ様。『自由にして良い』」

 

 ふいに見えざる重力が消えた。身体を縛っていた力が無くなり、ガハルド達は床に崩れそうになった身体を何とか支えた。安堵より先に戸惑いの表情を浮かべるガハルド達に玉座から深く落ち着いた声が掛けられる。

 

「……ガハルド・D・ヘルシャー殿。遠方より来られた貴殿に対して、大変失礼な振る舞いをした。どうやら私の想定とは異なった様だ。謝罪しよう」

 

 スッと玉座に座ったまま、骸骨の頭がガハルドに下げられた。突然の事態にガハルド達はおろか異形の配下達もざわめき出した。

 相手の非につけ込む絶好のチャンスだが、ガハルドにはもはやそんな気概すら萎えていた。

 

(何が謝罪する、だ……! この化け物は、今までの遣り取りでどちらが強者かはっきりさせやがった……! あえて飴を与える事で、鞭を振るわれるのとどちらが良いかと示しただけじゃねえか……!)

 

 もはや自分達は目の前の化け物が手に持つ鎖に繋がれた奴隷も同然だ。主人の気分次第で、いつでも鞭が飛んでくる為に機嫌を損ねない様に立ち振る舞うしかない。今まで奴隷(亜人)達に鞭を振るっていた身だからこそ、ガハルドは即座に目の前の化け物の狙いを看破した。

 

「い……いや。知らぬ事とはいえ、()殿()が懇意にしているフェアベルゲンへ軍を進めたのは事実。こちらこそ謝罪しよう」

 

 背後でほんの小さくだが、配下達の驚く声が聞こえた。「弱肉強食」を国是とするヘルシャー帝国の国家元首として、ガハルドは常に強気な態度で相手へ接していた。相手がハイリヒ王国の国王や聖教教会の教皇であっても一歩も引かない姿はともすれば不敬ともとられたが、「強い王」という姿を見せるのは格下の国家として侮られない為に必須であった。

 だが、ガハルドは今回ばかりは横柄な態度は見せない。何故なら————自分よりも「強い王」の前では、虚勢にすらならないからだ。

 

「ふむ、そうか。こちらの謝罪を受けて貰って感謝する、ガハルド・D・ヘルシャー皇帝よ」

「いや、ガハルドで構わない。アインズ・ウール・ゴウン殿」

「そうかね? ならば私もアインズで構わない。立場こそ違うが、我々は共に王という立場にいるのだからな。ガハルド殿と私は対等だろう」

「ああ……その通りだな」

 

 あれ程の力を見せつけておきながら対等などと、皮肉にも程がある。ガハルドは内心で毒づきながらも、どうにか笑顔で対応した。

 

「さて、ガハルド殿がフェアベルゲンへ侵攻したのは知らなかったが故の過失であり、我々に敵対する意思があっての事ではないと証明された。故に今回の戦争も出来る限り穏便な落とし所を見つけたいと思う。そこでだが……現在、貴殿の国に亜人族の奴隷はどのくらいいるのだろうか?」

「亜人族の……奴隷だと?」

 

 戦争の落とし所と言われ、巨額の賠償金や領地の割譲を求められると思って身構えていたガハルドだが、意外な所をつかれて思わず鸚鵡返しに聞き返していた。だが、即座に頭を切り替えて背後のベスタに振り返った。視線を向けられたベスタは目を白黒させながらも、主の意を汲んでしどろもどろながらも答える。

 

「え、えー……亜人族の奴隷は、その……帝国による奴隷狩りの他にも、奴隷商人が個別で調()()するケースもあり、奴隷が産んだ子も労働に従事させているので正確な数は把握していませんが……我が国の人口の一割以上にはなるかと」

「その亜人族の奴隷達だが、私に譲って貰えないだろうか」

 

 「なっ……!?」とガハルド達が驚く中、「無論……」とアインズの言葉が続く。

 

「謝礼はしよう」

 

 スッとアインズは手に持っていた七匹の蛇が絡まった様な杖を地面に向けた。

 

「———<生成魔法・不死の軍勢(アンデス・アーミー)>」

 

 途端、地面に複雑な紋様の魔法陣が浮かび上がる。それは、数多の戦場を駆け抜けてきたガハルドでも知らない魔法だった。魔法陣から黒い光が漏れ出て、そして———。

 

「な………なんだこれはぁ!?」

 

 ベスタから金切り声に近い叫び声が上がった。謁見の前で完全に礼を損なう態度だったが、ガハルドや他の従者達はそれを咎めなかった。

 何故なら、ガハルド達もそうしたかったからだ。

 

 身長二メートルを超す骸骨の剣士がいた。

 長い年月で色褪せたローブを着た死者の魔法使いがいた。

 首の無い馬に跨った幽鬼の様な騎士がいた。

 その他、ガハルド達が知るアンデッド・モンスターとは明らかに格が違う魔物達が、続々と魔法陣の中から現れてきた。

 

「見ての通り、私はアンデッドならばほぼ無制限に召喚できる。彼らと亜人族の奴隷をトレードする、という事でどうだ? アンデッドはいいぞ? 彼らは疲れを知らず、一日中働き続けても不平不満などは言わない———」

 

 アインズの口から「アンデッドを奴隷にしたら、どんなメリットがあるか?」と次々と語られたが、ガハルドの耳にはほとんど入っていなかった。

 

(こ、こんな……こんな強力な魔物を、無制限に……だと? ふざけんじゃねえ!?)

 

 見た目だけのハッタリだと思いたかった。そんな願いを込めてベスタに目線をこっそり向けるが、何度もアテにしてきた“鑑定眼”を持つ側近は、泣きそうな顔で首を横に振った。

 

(う、嘘だろ……本当に……? 本当に、無制限だというなら、こいつは強力な兵隊をいくらでも揃えられるという事に……!)

 

 しかもアインズの戦力は召喚しているアンデッドの兵団だけではない。今もガハルドの周りを取り囲んでいる魔物達の集団、そして段上にいる側近達。そもそも帝国に来た魔人族らしき使者一人に皇宮の守備兵達は全滅しているのだ。アインズの持つ戦力は最早ガハルドが想像できる範疇すら超えている。絶望の余りに卒倒したくなったが、ガハルドは何とか気力で持ち堪える。

 

(これは脅しだ……! 言う事を聞かねえなら、この魔物達の軍勢で帝国を滅ぼすという脅しだ……! そもそも亜人族の奴隷の代わりとして、魔物を奴隷にするなんて出来るわけが無え! これを呑めば、あの化け物の軍勢が帝国内に居座る事を許す事になるじゃねえか!?)

 

 それを分かっていて、アインズは提案しているのだろう。どちらを取っても、ガハルドは苦しむ羽目になる。かつてバイアスが奴隷達を玩具同然に嬲っていた事を思い出し、それの意趣返しなのだとガハルドは悟った。

 

(どうすれば……どうすれば良い? どうすれば、帝国はこの化け物から身を守れる!?)

 

 ガハルドは必死に頭を回転させ———そして、思い付いた。

 

「………亜人族の奴隷達は、速やかにフェアベルゲンに返還しよう。しかし、代わりの奴隷は不要だ」

「へ、陛下!?」

 

 ベスタが驚いた声を上げたが、あえて無視した。アンデッド奴隷のメリットを語っていたアインズは「む?」と意外そうな声を上げた。

 

「ふむ……亜人族の返還はありがたいが、ガハルド殿が損をするだけでは無いのか?」

「ああ、そこでだが……帝国と同盟を組んで貰えないだろうか?」

「はあ? 従属の間違いじゃありんせ、うぎぃ!?」

 

 段上にいた銀髪の少女が嘲笑を混じえながら口を挟み、すぐにミシリという音と共に悲鳴を上げた。銀髪の少女は涙目になって足を押さえながら、隣にいた仮面の魔人族の少年を睨む。

 

「あなたさぁ———」

「騒々しい———静かにせよ」

 

 堂々とした振る舞いで、アインズは手を振るう。それだけで、ピリッと空気が引き締められた。

 

(……分かっちゃいたが、アンデッドとして長年生きてるだけに風格も段違いみてえだな。くそ、こいつこそが本物の魔王じゃねえのか? ……いや、それはねえか。もしもこいつが聖教教会が神敵と定めている魔人族の王なら、人間族はとっくの昔に全滅だ)

 

 この場所は魔人族の国であるガーランドから離れ過ぎているし、聞けば魔人族も亜人族は虫ケラ同然に扱っているという。どう考えても伝え聞く魔人族の王と、目の前のアンデッドの王は人物像が一致しなかった。

 それ故に———()()()()()()とガハルドは判断した。

 

「フェアベルゲンで亜人族達を纏め上げ、アインズ殿を王とした国を造る。とても良い考えだと思わねえか? 俺達帝国は、そのバックアップをして建国の手伝いをしようと思う」

「うぅむ……しかし、ガハルド殿。先程も言ったが、私はフェアベルゲンに復興の支援などを行っているだけであって、フェアベルゲンの代表は別にいるが……」

「いや、いや。それは良くねえ……じゃなかった。良くない、アインズ殿。トータスじゃ、亜人族は聖教教会の教義的に被差別種族だ。そのハイピスト、とかいう奴が代表だとしても誰にもフェアベルゲンの王だとは認められねえ。俺達みたいに、亜人族だからと侮って突っ掛かりに行く馬鹿がまた出てくる」

 

 ここが正念場だ、とガハルドは唾を飲み込む。

 

「だが、アインズ殿の様な強大な王がいるなら話は別だ。アインズ殿程の王がいるという事実は、それだけで抑止力になる。聖教教会や教会にドップリな王国は魔物であるアインズ殿を王として認めないだろうが、帝国は別だ。「力こそ千の言葉に勝る」という諺があるくらいだからな、アインズ殿という強者を王として認めるのに何ら異論は無い。フェアベルゲンをアインズ殿の国として帝国が保証し、帝国は将来を見越してアインズ殿という強者の王の国と友好関係を結ぶ……どうだ?」

「ふむ………」

 

 玉座の肘掛けに頬杖を付き、アインズは考え込んでいた。その姿はさながら頭の中で全てを解決できるという安楽椅子探偵の様で、いまこの瞬間にも様々な可能性を考慮しているのだろうとガハルドは想像していた。

 

「……一つ聞くが。魔物である私を国の王として認めるというのは、聖教教会に背を向ける事に等しいのではないかな? ガハルド殿は、聖教教会———あるいは、彼らが崇める()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「ああ、全く構わねえ。俺達帝国が信じるのは単純明快な力だからな。祈り屋共なんかに従う道理は無え」

 

 ガハルドは迷う事なく頷いた。帝国にも聖教教会の施設は無いわけではないが、施設の維持費として莫大な寄附金を納めなくてはならない事をガハルドは嫌い、教会の影響力を積極的に削いできた。そのお陰で帝国は人間族の国でありながら、エヒト神への信仰心が一番低い国と揶揄されている。

 

(祈り屋共が崇めてるエヒト神がなんだって言うんだ……そもそも、目の前に人智を超えた化け物が存在している時点で、全知全能な慈悲深い神様とかフカシだろうがよ)

 

 あるいはこんな怪物の存在を容認するくらいだから、エヒト神というのは人間が恐怖する様を見て愉しむ様な良い性格をしているのかもしれない。聖教教会の人間が聞けば、斬り捨てられても文句が言えない事をガハルドは考え込んでいた。

 

「ふむ、貴殿の気持ちはよく分かった。同盟を組むとしよう」

 

 あっさりと———あまりにもあっさりと頷かれ、ガハルドは一瞬呆気に取られた。

 

(従属を要求しねえ、だと? 何故だ?)

 

 あるいはわざわざ従属など口にしなくても、どうとでも出来るという自信があるのか。傲慢とも呼べる考えも、この強大なアンデッドならば至極当然の振る舞いだろうとも思えた。

 

「では、これからよろしく。ガハルド殿」

「あ、ああ、こちらこそよろしく。アインズ殿」

 

 ぎこちなく笑みを浮かべるガハルドに対して、アインズはまるで全てお見通しだったと言う様に、最後まで堂々とした態度で応じた。

 

(これこそが……真の支配者、というわけか……)

 

 どうして自分はこのアンデッドの王がいる時代に生まれてしまったのだろう。

 ガハルドは信仰心のカケラもないエヒト神に対して、呪いの念を送りたい気分になった。




>生成魔法・不死の軍団

 トータスの生成魔法と位階魔法の合わせ技。無機物を変質させる魔法が組み合わさって、アインズは一定レベル以下のアンデッドを死体無しでも時間制限無しで召喚できる様になった。
 ……何故、アインズの召喚するモンスターに生成魔法が有効かは、その内に。

>今回のアインズ様

アインズ(帝国にいる亜人族の奴隷をいきなり引き抜くとか、下請け社員がごっそり居なくなる様なものだから大変だよなぁ。だから代わりに召喚したアンデッドを奴隷労働に使ったら? と薦めたのに……俺の営業トークが悪かったせいなのかな?)
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