きららファンタジア 断たれた絆と蘇る理想郷   作:伝説の超三毛猫

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お待たせしました。「きららファンタジア 魔法工学教師は八賢者」略して「きらファン八賢者」の続編―――第2部になります。
第二部の更新状況の都合上、本作の更新も大分遅れると思います。それでも宜しければ、ぜひ見ていってください。

今回のタイトルの元ネタは「スロウスタート」より『はじめてのどきどき』。イキナリ酷い改変ですが、宜しくお願いします。今作でも、きららファンタジアやきらら作品や仮面ライダーシリーズあたりからタイトルをとっていきます。


“皆が考える『優しい世界』ってなんだと思う?………あぁ、ただの興味本位だ。気楽に答えてくれて構わないよ”
 ……木月桂一の独白

2021/09/03:あとがきにて、タイキックさんの挿絵を追加しました。


本編・プロローグ:導かれし者(!?)たち
第1話:はじめてのタイキック


 ―――とある少女が、リニューアルされた神殿を見上げていた。

 

 彼女はムエタイ用の上着とトランクスを身に纏い、両の二の腕と額に青と白のハチマキのようなものをつけている。

 

 彼女は、記憶を持っていない。自身が何者なのか、どうしてこの世界に生まれたのか……全く分からない。気がつけば、港町のコテージで、アナウンスに導かれるまま…とある少女の臀部にキックをかましていた。

 

 周囲の奇異の目を一切気にせず、彼女は堂々と、あまりにも堂々と神殿に入ろうとして……衛兵に止められた。

 

 

「ま、待ってくれ。あなた…神殿への来訪の目的は?」

 

「……分からない」

 

「は?」

 

「記憶がないんだ。己の本名すら分からない。だが……何となく、ここへ来れば分かるような……そんな気がしたんだ」

 

「え、ええぇ……」

 

 

 衛兵は、このわけのわからない来訪者とこれ以上関わりたくなくなった。だがどういうわけか、目の前の珍妙な格好をした女性が、悪意を隠しているわけでも嘘をついているわけでもないことを何となく感じ取ることもできた。

 

 

「…あぁ、そうだ! あだ名くらいあるだろう? あなたは、どう呼ばれていたんだ?」

 

「私か? そうだな―――」

 

 思いついたばっかりの質問を衛兵からぶつけられた彼女は、一度空を仰いで、数拍。そして。

 

 

「―――タイキック。私は、皆にタイキックと呼ばれていた」

 

 

 彼女を知る者たちからの“愛称”を、名乗った。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 ローリエ・ベルベットは、八賢者である!

 ()()()()『きららファンタジア』()()()()()()()、8人目の賢者にして唯一の男性賢者である。

 知る人は俺を「黒一点の」八賢者なんて呼ぶ。まぁ組織の中の唯一の女性のことを「紅一点」なんて呼ぶことがあるので、それの男版だとは思うが、アプリで見た賢者達と同じように通り名的なナニカがつくのは嬉しいような、恐縮しちゃうような。

 

 俺はこれまで、八賢者として女神の呪殺未遂――そしてそれが原因で起こった女神封印事件の関係者として、情報を集めて回ったり、容疑者と戦ったり、真犯人の一味と戦ったりして、女神ソラ復活に貢献することができた。

 

 その件は一部を除いて、『ドリアーテ事件』として語り継がれることになったんだが。

 俺はこの後も、穏やかな気持ちで毎日を過ごしていたが、心の隅にあった不穏さや不安を完全に捨てきる事が出来なかった。その理由は、ドリアーテ戦での怪我の療養中、夢の中で会った男・木月のひとことだ。

 

 

『エトワリアは大人気を誇ったあの「きららファンタジア」の世界だ。私の死後、私ですら知らない新たなストーリーが更新されててもおかしくはない』

 

 

 ―――こんなこと言われちゃったら気になるに決まってるだろォ!!

 

 というのも、このローリエには前世の記憶がある。木月桂一という一人の男の人生の記憶がそのままある訳だが、その中に『きららファンタジア』というスマホアプリの記憶があった。今まではその記憶を使ってソラちゃんやアルシーヴちゃんの助けになっていたのだが。

 俺の知っている『きららファンタジア』のストーリーは、「女神の呪いは解け、平和が訪れましたとさ」というハッピーエンドの所までだ。つまり、仮にその先のストーリーが本当に存在していたとしても、俺はその内容を知ることは出来ない。何故ならストーリーの更新が来る前に、前世の俺は死んだから。

 

 まぁ、どんな危機が迫ろうとも、俺は二度目の人生で得たかけがえの無い仲間達を守る為に全力を尽くすだけだ。

 

 

「せ、先生!」

 

「…お? ランプ、急にどうしたんだ?」

 

 俺の研究室に飛び込んできた赤髪を二つにまとめた、セーラー服風の衣装を着た小柄な少女はランプ。俺の生徒の一人だ。常に女神の書く聖典*1を持ち歩く、聖典マニアの生徒だ。お陰で聖典学とそれ以外の学問の成績に差ができてる問題児でもあるが……

 

 

「門前に、変な人がいて、皆さんが対応しているんです! 先生も来てください!!」

 

「変な人? 変質者か!!?」

 

「いえ、その……文字通り変な人と言いますか…」

 

「? どういう事だ?」

 

 

 突然の変質者襲来に立ち上がる。も、ランプの言っていることが要領を得ない。そこで俺は、突然現れた『変な人』とやらの正体を探るべく、変質者が現れたという正門前へ向かう。すると、そこには………

 

 

「…あのですね、今の状態では戸籍を発行できないんですよ。まず名前が分からないって何ですか」

「私はタイキックだと言っているだろう」

「それ、何らかの通称ですよね。本名は?」

「…確かに私は本名を知らない。だが私はタイキックだという確信がある。それで良くないか?」

「…駄目に決まっているでしょう…」

 

 

 見覚えのある人がいた。というかタイキックさんだった。

 流石に前世で見た年末番組に出てきたタイキックさんとは、性別も年齢も髪色も違うが、両腕とおでこに巻いたハチマキ、ムエタイ用の上着とトランクスを着用していて、完全にタイキックさんだった。

 見た目年齢17、8くらいの、真っ赤な髪色と桃色の瞳をしたタイキックさんは、至極真面目に、堂々と「自分はタイキックだ」と述べ、セサミを困らせている。

 

 

「仮に本名がタイキックさんだったとして、です。貴方、経歴は?」

「むぅ……ほぼ覚えていない。特に港町のコテージにいた時より前からはさっぱりだ」

「ちなみに、それはいつ頃の事でしょうか?」

「2ヶ月前だ」

「………」

 

「さっきからずっと、あんな感じで、皆不思議そうにしてるし、セサミや他の事務員さんは困ってるしで……先生?どうしたんですか?」

 

「………何でもない」

 

 

 何でもない訳がない。心当たりあり過ぎる現象が、姿をもって現れるとは普通思わねぇよ。

 港町のコテージといえば、ソラちゃんがまだ呪われてた時期、セサミときららちゃんが戦った場所だ。その際、セサミに渡した本の一部に『KIRARA(きらら) THAI(タイ) KICK(キック)』って書いたけれども、アレを誰かに悪用されたのか?詳しくは知らんが。

 

 ともあれ、ゴリ押しでセサミを困らせてるタイキックさんをどうしようかと思っていると、どうやらタイキックさんは俺を見つけたらしく、セサミの制止を振り切って俺に向かって歩いてくる。そして、俺の前で止まったかと思うと。

 

 

「………………」

「お、おーい? どうした?」

 

 そのまま、マジマジと俺を頭から爪先まで見つめて。

 

「……………貴方が、私の父上だろうか?」

「は??」

 

 

 理解不能な質問をぶつけたと思えば―――

 

「な、な、な―――!!

 う…『ウォーターバインド』!!!」

 

「えっ!?!? ちょ、セサミさん!!?」

 

「ローリエが子供を拵えた……!?

 き、緊急会議!!八賢者とアルシーヴ様達を交えて緊急会議を〜〜〜〜〜ッ!?!?!?」

 

「セサミさーーーーーーん!!!?」

 

 

 セサミが真っ赤になりながら俺を魔法の水で縛り上げ、そのまま神殿内へ逃げ帰ってしまった。しかも『緊急会議』とか言いながら。

 

 

「先生……まさか、本当に?」

 

「心当たりがない。君は?」

 

「私か? いや……なんだか、“そんな気がした”から問うたのだが…ひょっとして、迷惑だっただろうか?」

 

「迷惑……………じゃないけどさ。人違いって線はないのか?」

 

「あぁ…成る程……そういう線も………?」

 

「…え、ホントにどういうことですか?」

 

 

 その後、俺とタイキックさん(とついでにランプ)は、衛兵やクロモンやコリアンダーによって、会議場である大広間まで連れて行かれたとであった。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 セサミによって水のロープで縛られた俺がその後見たのは、会議とは名ばかりの、裁判というか混沌とした光景だった。

 

 

「会議の必要などないでしょう! 未婚であるにも関わらず母親不明の子供を拵えるなど言語道断! 私達のみで対処可能!子供もろとも追放する!!」

 

「ならば私が派手にぶっ飛ばしてやろう。誰よりも派手にお星さまにしてやるぜ。もう派手派手だ」

 

「あーあ。なんてかわいそうな男なんだろうね。もう生まれてきたこと自体が可哀想」

 

 

 フェンネルは俺をすぐさま追い出そうとし、ジンジャーは指を鳴らしてやる気マンマンで、カルダモンはナチュラルに俺の生まれすらディスるという毒舌を発揮した。

 何なんだお前ら、そんなキャラじゃなかっただろ。違う何かに憑依されてないか?具体的には大正時代の剣士あたりに。

 

 ……おっと、話を進める前に『八賢者』について説明しないといけないな。

 賢者というのは、エトワリアにおいて筆頭神官の補佐を務める幹部の事だ。8人いるから『八賢者』と呼ばれ、その中に男は俺一人だから俺は『黒一点の』八賢者なんて呼ばれているが……さておき。

 他のメンバーは、『甘い』八賢者・シュガー、その姉の『計算高き』八賢者・ソルト。

 筆頭神官の秘書の『思慮深い』八賢者・セサミ。

 各地を巡り争いを止める調停官の『迅速果断な』八賢者・カルダモン。

 『剛胆で豪快な』八賢者のジンジャーは、神殿のお膝元の言ノ葉の都市の市長でもある。

 そして『真面目で誠実な』八賢者のフェンネルと『寡黙で古風な』八賢者のハッカ。これで8人だ。

 

 ……まぁ、さっそく「セサミが全然思慮深くねーじゃねえか」ってツッコミもあるだろうが…そこは許してやってくれ。「父上」なんて呼ばれたら関係を疑って当然だ。相手が俺なら尚更。だって………

 

 

「私とて、信じたくありません。しかし……あのローリエならあり得ない話ではありません。女性に絡むことに定評のあるローリエなら、私達と出会う前に事をしでかしていたと考えれば……!」

 

「ええぇぇぇーーーっ!!? ホントにおにーちゃんに子供がいたのッ!?」

 

「衝撃の事実」

 

「いつなのです!? いつの頃作った子ですか!!」

 

「イヤ、いつってフェンネルお前な……」

 

「覚えがないと!!? それほどヤッたのですか!!? 見下げはてた男だとは常日頃から思っていましたが、ここまでとは!!!」

 

「違うってーの」

 

 

 セサミの深読みを思い切り信じてしまうシュガーとハッカちゃん。そして勘違いをヒートアップするフェンネル。

 だが、勘違いをするのもそこまでだ。早速切り札を使わせてもらう。

 

 

「―――お前ら、落ち着け。

 あのな、俺はまだ20だぞ? サバ読みでも枕詞に『永遠の』がつくでも何でもない、正真正銘のハタチだ。それが……見た目10台後半の娘を作れると思うか?」

 

「「「「「「「!!!!!」」」」」」」

 

 

 そんな事、人間にできるわけがない。できたら、それはもう別の生命体だ。

 暗にそう伝えたこの切り札の効果は言うまでもない。皆が一斉に黙ってしまった事がそれを雄弁に物語っている。

 

 そして、皆が黙り込んだこのタイミングで、二人分の足音がした。大広間に、二人の人物が入ってくる。

 

 

「ローリエの言う通りだ。彼の年齢は私が保証する。外見から考えても、ローリエの実子と考えるのはいささか早計だな」

 

 そう言ったのは、筆頭神官のアルシーヴちゃん。桃色の髪をまとめ、神官の制服を着こなし、赤い瞳でこちら全体を見渡す。

 

「そうね。ローリエは女の子を口説くことはあっても、一線を越えるなんてことはないわ。それに、そっちの子にも話を聞かなきゃいけないと思わない?」

 

 そう言うのは、もう一人の参加者・女神ソラ。代々受け継がれてきた神殿のトップ「女神」に現在就任している人で、聖典を書いている人でもある。

 この二人……アルシーヴちゃんとソラちゃんは、実は俺の幼馴染な為、プライベート的な仲は他の賢者よりも良い自信がある。ソラちゃんは俺と聖典の話をする仲でもあり、アルシーヴちゃんは公私を分けるタイプの人間ではあるが、二人との間には強固な絆がある。

 

 とりあえず……二人のお陰で助かった。俺と俺を急に「父上」と呼んだこのタイキックさんとの誤解を解くことができるかもしれない。

 

 

「ソラ様の言う通りです。まずはこの人からお話を聞きましょう! あの、すみません!お名前とか、自己紹介とかしてくださっても良いですか?」

 

「ん、私か。……タイキックだ、よろしく」

 

 ランプがソラちゃんのいう事を実践するべくタイキックさんに自己紹介をお願いしたところ、タイキックさんは実にシンプルな………シンプル過ぎて他に言う事ないの?ってくらいな自己紹介をしてくれた。

 

「「「「「「「…………」」」」」」」

 

 静寂が大広間を支配する。

 全員が思っていることは同じだ。顔に書いてある。……だが、全員黙り込んだせいで話を切り出しにくい。仕方ない、俺が沈黙を破ってみるか。

 

 

「…………他に言う事ないのか?」

 

「む? ないぞ」

 

「どんな仕事してるんだ?」

 

「わからん。強いて言うなら、アナウンスで流れた人物の臀部を蹴ることか」

 

「それは仕事じゃないだろ……」

 

「年齢や誕生日は?」

 

「わからない」

 

「今まで、どこで何をしていたの?」

 

「港町のコテージでキックをしていた」

 

「……ちなみに、それいつ位の話?」

 

「2か月前だ」

 

「それ以前は?」

 

「覚えていない」

 

「「「「「「「………………」」」」」」」

 

 

 俺に引き続き何人かが質問をするが、思っていたよりもタイキックさんは自分の事を知らないご様子だった。記憶喪失とほぼ変わらない現状が明らかになり、途方に暮れてしまう。

 

 

「じゃあ、なんでここに来たの?」

 

「シュガー?」

 

「タイキックのおねーちゃん、自分のこと何も分からないんでしょ?

 だったら、なんで神殿に来たのかなって思ったんだ。どうして?たまたま?」

 

 

 すると、シュガーの質問がタイキックさんに投げかけられる。

 それは、情報を聞き出せず手詰まりになりかけていた現状を確かに変えた。

 タイキックさんは、目を見開き、顎に手を当て考える素振りをしてから答えた。

 

 

「……確かに、私は自分が何者か分からない。

 だから、手がかりを探していたんだ。そして…ここに来れば、何か分かるかもしれない………いや、何か分かるような気がする。そう思ったからこそ、ここに来た。」

 

「何か分かるような気がする、か……

 俺を『父上』なんて呼んだのも、『そんな気がしたから』か?」

 

「そうだ。まさしく、『そんな気がしたから』だ。

 しかし、周りの話を聞く限りだと、どうやら私の勘違いだったらしい。非常に申し訳ない事をした」

 

「いやいや、頭を上げてくれ。そっちこそ、記憶がなくて大変だっただろうに」

 

 

 なんだかんだあったが、「タイキックさん=俺と孕ませた誰かの娘」という誤解は綺麗さっぱり消えたようで良かった。

 しかし、そうなるとこのタイキックさんはなんで記憶喪失になったんだ? 親とか、そこら辺も全く謎だし、『タイキック』って単語をどこで知ったのかも気になるな。

 いずれにせよ、タイキックさんの謎はまだ解けた訳じゃあなさそうだな。

 

 

「あれ、ランプー? どこに―――」

 

 

 話がまとまりかけたところで、きららちゃんが部屋に入ってきて……そして、タイキックさんに目が移ったところで固まる。

 な、なんだ? きららちゃん、タイキックさんに見覚えでもあるのか?

 

 

「わ……」

 

「わ?」

 

「私を蹴った人だーーーーーーーーーーーー!?!?!?」

 

「「「「「「「えええええええええええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!?!?」」」」」」」

 

 

 ……この後、きららちゃんとタイキックさんを中心にもうひと波乱があったことは言うまでもない。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 某日・某所にて。

 闇に蠢く複数の人物がいた。

 

 

「ハイプリス様。準備が整いました。いつでも開始できます」

 

 

 左右で髪色が黒と銀に分かれている、褐色の少女が玉座に座る少女に跪いて声をかけた。

 ハイプリス様と呼ばれた少女は、黒髪の両サイドに白のメッシュが入っていて、角の生えた魔物の頭蓋骨のような冠を被っている。

 

 

「ありがとう、サンストーン。皆は、各位置についたのかい?」

 

「はい。芸術の都にはリコリス、遺跡の街にはヒナゲシが……そして、他のメンバーも定位置についております。あとは、ハイプリス様の号令一つで……」

 

「よくやった。それでは、『オーダー』の準備を始めよう。サンストーン、こっちに」

 

「はっ」

 

 

 褐色の少女・サンストーンは、ハイプリスに従って奥へと歩き出す。

 彼女は『オーダー』の準備と言った。それはこの世界において禁忌の術である筈。この地で再び何が起ころうと言うのか?

 

 

「しかし、ハイプリス様。随分遅いスタートでしたが、良かったのですか?」

 

 サンストーンが言う。

 彼女自身、疑問に思っていたことだし、彼女の仲間にも、せっかちな人間がいた。そういった人間は、計画開始の遅さをぼやいていたこと、それを宥めるのにも苦労したと思いながら。

 

 

「君が疑問に思うのももっともだ。実は……女神ソラを呪殺するために誰か忍ばせようとしたんだけど……」

 

「女神ソラの呪殺? 聞いておりませんが……」

 

「アルシーヴが『オーダー』を乱発して世界を巻き込んで自滅してくれる計画だったんだけどね。

 直前に、先客が来てしまってね………計画がおじゃんになってしまった」

 

「先客、ですか?」

 

「私達以外にも女神ソラの命を狙う者がいたのさ。今となっては、調べようがないが………おそらく、先日神殿を騒がせたドリアーテとやらが犯人だろう」

 

 ハイプリスの予想は当たっている。しかし、当事者ではない分その情報はやや不正確だ。

 正しくは「ドリアーテがソウマを利用してソラを呪った」のだが……彼女にとって、その程度の些細な違いなど、どうでもいい。

 

「まぁ、私達のこれからの計画に支障はない。『オーダー』で呼び出して、君の剣で『パス』を断ち切り、『絶望のルーン』を集めて、聖典を汚染する。」

 

「はい。遺跡の街はヒナゲシが担当しています」

 

「分かった。さぁ……欺瞞に満ちた聖典を、破壊しようか」

 

 

 ハイプリスは不敵で神秘的な笑みを浮かべて、歩き出した。

 誰も知らぬところで、新たな悪意が牙を剥こうとしていたのであった………

 

 

 

*1
女神は、異世界を観察できる能力を持ち、それを利用して聖典という異世界の出来事を書いている。要はきらら漫画の世界を描いた本である。




キャラクター紹介&解説

ローリエ
 1部に引き続く主人公。相も変わらぬ女癖の悪さであるが、今回はそのせいでタイキックの父親で、誰かと寝たと勘違いされてしまう。

アルシーヴ&ソラ
 ローリエの無実を証明した幼馴染。流石にローリエの元に妊婦が来たら擁護しきれなかったが、来たのが10代後半だった為さすがにおかしいと気付き、八賢者たちの誤解を正した。

シュガー&セサミ&カルダモン&ソルト&ジンジャー&フェンネル&ハッカ
 セサミが「ローリエが子供をこさえた」と勘違いを起こし、そこから広まった噂を信じた賢者たち。このまま既成事実を作った(誤解)ローリエを処そうとしたが、上司達のお陰で事なきを得る。

ランプ&きらら
 主人公コンビ。ランプはタイキックの奇行をローリエに報告し、滅茶苦茶な緊急会議()にも参加した。きららはきららで、かつて己の尻を蹴った人物との再開に戦慄している。

タイキックさん
 神殿に訪れた、記憶喪失の少女。己の特技と愛称以外の記憶を持っておらず、当然だがどの聖典にも載っていない。記憶が無いことを特に悲観しておらず、「いけそうな気がする」「そんな気がする」という理由だけで行動に移せる、行動力の化身な性格。うつつと身の上が非常によく似ているため、うつつと絡ませる予定。

【挿絵表示】


ハイプリス&サンストーン
 今回の敵。第4章では「聖典を汚染することで破壊し、世界を破壊する」事によって「世界の絆を断ち切る」事が目的である事が判明した。また、この時点でハイプリスの部下が七賢者以上にいることが判明した。彼女達の目的次第でラスボス及びオリジナル展開が大幅に変わる。



△▼△▼△▼
ローリエ「タイキックさんとの騒動が一息ついて、だ。俺は兼ねてからきららちゃんを調べたかったんだよね〜」
ランプ「き、きららさん…私の後ろに」
ローリエ「何勘違いしてんだ馬鹿野郎。俺は『コール』を研究したいの!」
きらら「あ、なるほど…でも、どうして?」
ローリエ「きららちゃんの力でな…やりたい事があるんだよ」

次回『召喚士がコールを使えるのは“なぜ”か』
ローリエ「次回もお楽しみに!」
▲▽▲▽▲▽
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