きららファンタジア 断たれた絆と蘇る理想郷   作:伝説の超三毛猫

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今回のサブタイトルの元ネタはまちカドまぞくの「スポ根ですか!?万物は流転する」から。



“物事は、常に起こる前に対処の手を打つべきだ。それで人々に知られることはほぼないが、だからといって仕事しているアピールの為に放置していたら大抵は手遅れになる。”
 ……木月桂一の独白


第3話:裏社会ですか!?万物は流転する

 『コール』の研究が終盤に差し掛かったある日。

 俺は、八賢者会議にて、珍しく出席したカルダモンから気になる報告を受けていた。

 

 

「不穏な動き?」

 

「そうだね。『聖典は信頼できない』という噂が流れているんだよ」

 

 

 それは、エトワリアで一番のスラム街・ジャンクビレッジにて聖典に対する不信感が目立ち始めているというものだ。

 俺の知るゲーム内でのエトワリアには、当然ジャンクビレッジもスラム街もなかった。だが、こっちに生まれ直して実情を知るとなんだか世知辛いな。

 

 

「元々、あそこは聖典についての信仰が薄い地域ですわ」

 

「信頼性など無い法螺話でしょう」

 

「妄言の類」

 

「そもそもさー、なんでソラ様の聖典にそんなこと言うんだろうねー」

 

 

 フェンネルを筆頭として、カルダモンの折角の報告にそんなことを言う。

 気持ちは分からんでもないが、何も調べない先からそんなこと言っていいものか。たとえ些細な情報であっても、精査するべきだ。ネット社会である現代社会でそれをやるにはかなり骨が折れるが、この世界でソレをサボってたら情報に置いてかれるだろうに。

 俺は……この情報、見過ごせないと思っている。今まで、聖典に否定的かつ悪質な噂が流れたことなんてなかった。エトワリアの歴史書にも載っていなかったことだ。木月桂一のこともあって、俺は、この話がよからぬ出来事の前兆にしか見えなくなっていた。

 

 

「ねー、カルダモン。その話、俺ちょっと調べに行きたいんだけど…いいかな?」

 

「ローリエ。君はこの話、どう捉えてるの?」

 

「うーん、いやな予感がするんだよね。反乱分子か何かだと思うんだよなぁ」

 

「なんですか、ローリエ? 貴方にしては随分弱腰ですね。それとも、アルシーヴ様やソラ様が信頼できないとでも?」

 

 

 カルダモンに気になる事を言ったら、フェンネルから煽られた。

 アルシーヴちゃんやソラちゃんが信頼できないとか違うわ。なんで仲間を煽ってんだ、このアホは。

 ただ、信頼と妄信は違うし、余裕と慢心は違うってだけだっての。

 この程度で煽るってんなら、こっちも考えがある。

 

 

「信頼しているから動くんだよ、未だにゴーヤが食べられないフェンネルさん」

 

「なっ!?!?!?!?!? ど、どどどどどうしてそれをっ!!!!」

 

 

 この前たまたま見ちゃった、ゴーヤを避けてサラダを皿に盛りつけるフェンネルの光景が覚えてたから4割ハッタリで言ってみたが、どうやらビンゴみたいだな。好き嫌いは良くないぞ。

 

 

「えー、フェンネルったら、ゴーヤ食べられないの〜?」

 

「貴方にだけはそれを言う権利はありませんよシュガー。好き嫌いは貴方が一番多いです」

 

「そ、そうです!ソルトの言うとおりですわ!そもそも、元凶は関係ない話を振ったローリエでしょう!」

 

 あ、フェンネルこの野郎、こっちに話投げ返してきやがった。

 他のメンバーの顔がこっちに向いた。

 

 

「ローリエ! 貴方だけ無傷で帰ろうと思っておりませんわよね?」

「ローリエには好き嫌いはないでしょう……フェンネルに言ったくらいですからね?」

「どうなのー?おにーちゃん、好き嫌いあるのー?」

 

 うーわめんどくせぇ。

 関係ない話を振るなっつったのはフェンネルだろうに、なに膨らませてんだ。ここは全員スルーしてさっさと次に行くか。

 

 

「……じゃあ、ジャンクビレッジの調査の件は俺とカルダモンが調査するって事で良いな?」

 

「あっ、この男逃げましたよ!」

「えー!話してよー!」

「当然ですね。今はまったく関係ありません」

 

 

 理性的な判断をしてくれたソルトのお陰で話を修正する事が出来そうだ。

 ちなみに、俺も嫌いな食べ物がない訳じゃあない。今言ってやる意味がないだけだしな。例えば、俺が木月桂一だった頃に貰ったバロットだけはどうしても受け付けなかった。

 良い子は調べちゃダメだぞ。絶対後悔するからな。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「―――というわけで、俺はジャンクビレッジの調査を行いたいから許可貰いに来た」

 

「…別に構わんが、食べ物の好き嫌いのくだりは必要あったか?」

 

 

 今回の会議の議事録とともにアルシーヴちゃんに問えば、あっさり許可をくれた。まぁプライベートは親密だけど、仕事である以上報連相はしっかりせんとね。

 

 

「ついては、誰かと一緒に行きたいな~って思うんだけど。いちおう、あそこは治安が悪いし、何があるか分からないから」

 

「…分かった。変装はしておけ。裕福な街出身だとバレたらややこしい事になる。それと、カルダモンにも声をかけておけ」

 

 

 アルシーヴちゃんのアドバイスを受け、カルダモンと共にジャンクビレッジに転移した俺は、小汚くみすぼらしい、浮浪者風の変装を施していた。

 

「けっこう本格的にやったね、ローリエ」

 

「カルダモンこそ、そのままでいいのか?」

 

「あたしはいいの。調停官として、顔が利いてるからね」

 

 カルダモンは普段から、紛争地帯の調停や貧困地域の調査・救済を行っているからか、俺とはまったく違い変装せずにジャンクビレッジに行くようだ。

 ホントはコリアンダーあたりも誘って調査に巻き込みたかったが、病み上がりで仕事が溜まってると断られてしまったのだ。

 

「合流地点は街の外の林の中。ビレッジ内では個別行動ね。何かあったら通信機の緊急スイッチを押すこと」

 

「了解。じゃ、行きますか……!」

 

 今の俺は浮浪者にしか見えない。そんな人物が変装ナシのカルダモンと一緒にいたら関係を疑われるため、別行動をせざるを得ない。だから通信手段を持ってから、街の門をくぐる。

 

 そこは、迷路のように入り組んだ家の数々と、積りに積もった土埃が目立った、明らかに荒れていると思しき街だった。路上には、布っぽい何かを敷いてそこに寝転がってるヤツもいる。どうやら、この街においては屋根のある建物で寝られる事自体がそこそこの贅沢のようだ。

 俺は、早速情報収集を開始することにした。

 のだが………

 

 

「あ〜……くそ、いきなりババ引いちまった」

 

「ぐふぅ……」

「てめ……なに、もん……だ…」

「つ…強す、ぎる……」

 

 

 気がつけば、俺は路地裏でごろつき4人をブチ転がしていた。

 一応経緯を話しておくと、俺は最初、吹き溜まりのスラム街に相応しくない褐色美少女を見つけて声をかけようとしたのだが、そのタイミングでごろつきが美少女を取り囲み、何故か俺までその少女の連れだと思われて、喧嘩を売られてしまったのだ。

 その後少女は俺を囮に逃走した上に、ごろつき共は俺を見逃してくれる雰囲気じゃあなかったため、俺はコイツ等の喧嘩を買わざるを得なくなったのだ。当然、フルボッコにしたけどな。

 しかし、盛大な時間の無駄になってしまった。しょうがないからコイツ等から話聞くかな。そう思った時だ。

 

 

「……驚きね。まさか1対4でここまで速やかに勝つとは」

 

 

 なんと、最初に声をかけようとした超絶美少女が戻ってきたのだ。

 そこで改めて彼女を見たが……珍しい。髪の色が左右で銀と黒に分かれている。それに、琥珀色の瞳も、水着のような薄着、そして三日月のガントレットと髪飾り。そこらのモブとは違う風格を醸し出していた。

 

 だが、浮つくのはまだ早い。極めて……極めて冷静に振る舞うんだ。

 

 

「おや………さっき俺を見捨てたレディではないか。

 いまさら何か御用かな? 落とした礼儀を拾いに来たか?」

 

「そんな所よ。先程はとんだ失礼を。戻ってきたのは、非礼の詫びと提案のため」

 

「…まぁ、戻ってきたなら好都合。俺も聞きたいことがあるんだ。え〜〜〜と……」

 

「ヘリオスよ」

 

「そうか。俺はバロット。バロット=ネエロだ」

 

 

 恐らく、お互いが偽名を名乗る事で始まったこの会話が、重要なことになるのを、この時の俺はまだ知らない。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「200!」

「750!」

「300!」

「500!」

「375!」

「450!」

「「425!!」」

「買ったッ!!!」

「へへへ、まいどあり〜」

 

 

 大事な話は、外で世間話でもしてるかのように振る舞うと言って、自称ヘリオスをベンチに座らせた俺は、現地のミルク麦コーヒーを店主との値段交渉の末に最初の半額以下で買ってきた。あのジジイ、二人で1000とか絶対ぼったくりだろ。

 

「半額以下で買ってきた」

 

「交渉が手慣れている……けど、あそこ普段は一人100ゴールドで売ってるわよ。銀貨1枚で事足りる」

 

「あんのクソジジイ………」

 

「それで…私をここに座らせて話とは何なの?

 つまらない話だったら帰るわよ」

 

 色々急かす彼女を見て、俺はすぐに話題に入らなきゃならないと考える。

 

「噂を聞いた。聖典が信頼できないって噂を」

 

「!」

 

 話を切り出すと、彼女は目を見開いた。

 それは、常にクールな印象だった彼女が、初めてその仮面にヒビが入ったようで、俺にも衝撃だった。

 なんだ……?なぜ、たった一言でここまで動揺している?

 

「それに対して…貴方はどう思うの?」

 

 まるで探りでも入れるかのような質問。ここは、冷静に答えないといけない。もしかしたら、思わぬレア情報が手に入るかもしれないぞ。

 

「………何とも言えないな」

 

「それは、なぜ?」

 

「噂しか聞いてないからだ。今の聖典に思うところはある。だが、俺はついさっきここに来たばかりでな。この街で詳しく情報を集めようと思ったんだ」

 

「……」

 

 

 自称ヘリオスが黙り込む。

 ど、どうだ? 表情はさっきのクールなそれに戻っちゃったし、駄目か?

 

 

「そう。じゃあ、その噂について軽く教えるわね。

 今の女神が書く聖典は欺瞞に満ちている。それを変えるための動きがあるの」

 

 お…!いけた!

 

「欺瞞?」

 

「あそこに書かれている絆は…薄っぺらいまやかし。綺麗なところしか書いていない。だから聖典を破壊して、真実を掴むべき。」

 

 彼女から聞いた情報に、俺は耳を疑った。

 聖典が……あのきらら漫画の数々が、欺瞞? それを破壊して、真実を掴む?

 確かに、漫画ってのはフィクションだけど……この女が言っているのはそう言う事じゃあない。

 理不尽極まりない論理に、不信感や仄暗い嫌悪感を抱かずにはいられない。

 

「君が、そこまで断言する理由って何だい?」

 

「例えば、そうね……女神が聖典を書いているって言われているけど、その内容が真実である証明など誰にもできない。女神が話の内容を捏造していない保証なんて誰にもできない」

 

「ほう」

 

「それに、聖典の信仰が浅い地域では餓死者や貧困が多いの。これは、神殿含めた中層部が不正に財を蓄えている証拠よ」

 

「なるほど」

 

「それなのに奴らは手を打たない。この現実が見えていない……だから聖典を手放すべきなのよ。本に食い入るように目を移しても、目の前の荒んだ景色は見えないわ」

 

 

 感情を抑えながら、彼女の言う事を聞いていく。

 俺を引き込めるとでも思ったのか、洗脳でもするかのように次々と己の持論を話していく。

 そして、ひとしきり喋った後に、彼女はこう問うた。

 

 

「これだけは聞かせて、バロット……貴方にとって、聖典は何?」

 

「ただの小説だ」

 

「!?」

 

 

 何となく予想のついた問いを即答したことで、再び衝撃を受ける自称ヘリオス。

 俺には、彼女の思想を更に深くさぐるための考えがあった。

 

 

「確かに……この世の教科書と言うには、あの聖典の数々には疑問に思える箇所がある。

 だが……俺は別に、聖典が嫌いではない。アレが全てではありえないだろうが……ただの物語として嗜む分には暇つぶしになる」

 

 

 それは―――中立派に対する反応だ。

 どうやら彼女は、そうとう聖典を嫌う派閥に属しているらしい。「欺瞞に満ちている」と断言するあたり、それは彼女の本心なんだろう。

 ならば、彼女の属する団体………そこでは、中立派はどうなのか?ランプやソラちゃんみたいな聖典大好き人間と目の前の褐色美少女のような聖典を「欺瞞」と断ずる人間…………その中間の意見を即興で編み出したつもりだ。

 

 

「…………そうですか。

 残念ですね。どうやら、私達の同志にはなりえないようだわ」

 

 

 …答えは、断固とした否だった。

 この世の何かに絶望したような諦念と、温度に現れそうな冷酷な目が、俺に突き刺さる。

 

「確かに残念だ。俺は生来、一人で自由気ままが好きなのさ。

 仲間集めのつもりならお生憎様だ。他を当たってくれ」

 

「ええ、そうするわ。でも…貴方もいつかは分かる。

 真に真実を見据えているのがどちらかを」

 

 

 どうやら、彼女はだいぶ過激な思想をお持ちのようだ。

 浮浪者らしいちゃらんぽらんな返答を返せば、最後に宣戦布告でもするかのようにそう告げて踵を返した。

 不思議な髪色と格好をした、妙に記憶に残る、「ヘリオス」と自称した少女は、そのまま背を向けて立ち去っていく。

 俺は、彼女の小さくなっていく無防備な背中を、じっと見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(―――ここで殺しておくか?)」

 

 

 

 ―――久しぶりの、機械的で無機質な瞳で。

 あの女は危険だ。あの目は理想の為ならどんなことでもする人間の目だ。俺には分かる。俺が日本に生きてた頃に鏡で飽きるほど見た目だ。あの時の木月(おれ)と同じ目だ。

 放っておけば、この先何かとんでもなく悪いことが起こるかもしれない。俺の勘が体内で注意報を鳴らしている。

 

 かつての木月桂一の基本方針は、問題が起こる前に原因を排除すること……すなわち、先手必勝だった。俺を蹴落とそうとする悪徳政治家の弱みを真っ先に握り、世間にリークしたことなどその筆頭だ。情報を集め、相手の次の一手を予測し、罠に誘導させて自滅させる。木月桂一は、そうやって多くの敵を地獄や牢獄に送ってきた。

 その方針に従うのであれば、今すぐ彼女を排除すべきだ。ニトロアントに彼女を尾行させ、基地に戻った時に爆破すれば、()()()()()()()()()()()()()()()として仲間ごと始末できる。

 

 

「(最小の犠牲で、最大多数の幸福を守る。最も合理的な選択だ)」

 

 

 でも……しかし、だ。

 

 

「(ダメだ……それはただの人殺しだ。今のところ、彼女は何もしていない。心変わりする可能性があるし、直接武力で訴えたり、世界の危機を招こうとしたりしなければいいんだ。あと、俺の勘がただの勘違いである可能性もある)」

 

 

 今の俺は木月桂一なんかじゃない。ローリエ・ベルベットだ。前世の過ちをもう一度犯す必要なんて、どこにもないはずだ。

 それに。

 

 

「(……みんなにバレたら、怒られるじゃ済まなそうだ)」

 

 

 思いついたのは、みんなの顔。

 アルシーヴちゃんやカルダモンがこの場面を見たら、間違いなくブチ切れそうだ。

 きららちゃんやソラちゃんが地獄のような事後報告を聞いたら、泣いてしまうかもしれない。

 他のみんなだって、この合理的な選択に良い顔をする訳がないだろう。

 

 

「………かーえろっと」

 

 

 この街に流れる、聖典の不信感の噂の正体がなんとなく分かった俺は、この吹き溜まりの街から出てカルダモンと合流しながら帰還することにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その夜のことだが。

 

「えー、今回の対応につきましては誠に残念であり、遺憾の意を表明します」

 

「バフォッ!!?」

 

 木月が夢に出てきやがった。

 こいつ、ドリアーテ戦の後からまれに夢に出るようになったんだよな。魂が20年かけて修復されたからだと予測している。

 

「木月…その胡散臭い政治家特有の言い回しやめろや……!」

 

「政治家だからね。ところで、気付いたかい? 昼間のあの子、詭弁しか話していなかった。先日私が告げた『邪魔者』の典型的な特徴だ。……本当に良かったのかい? 彼女…ヘリオスを始末しなくて。」

 

 

 俺の前世である木月桂一ではあるが、厳密な性格の違いがあるため、100%同一人物というわけではない。とはいえ、性格以外がまったく同じ存在であるため、記憶や技術の共有がある分違う意味で面倒であるけども。

 

 

「……俺は八賢者だ。殺人鬼じゃあない」

 

「私だって殺人鬼じゃあないさ。ただ、不幸な事故で危険分子が減る機会がなくなっちゃったけどいいのかい、って聞いただけさ」

 

「『事件』だろ、白々しい…」

 

 その爆発事故の爆弾を誰が起爆すんだって話だよ。いくらエトワリアが捜査技術に劣るからって、ニャル子理論(バレなきゃ犯罪じゃないんですよ)を実行していいワケねーだろーが。

 

「そっか。なら、君の意見を尊重するよ」

 

「引き際が早いな」

 

「今は君の人生だからね。……ただし、乗り掛かった舟だ。

 君が本当に危なくなったら動くことにするからね」

 

 最終的な意見は俺に譲ってくれたが、意味深なことを言い残して木月は去っていく。

 翌朝、睡眠不足で二度寝したのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ヒナゲシ、帰ったわよ」

 

「あっ、サンストーン…どこ行ってたの?」

 

 

 某街のアジトにて。

 黒と銀の髪を左右に分けた褐色肌の少女が、入り口の扉から帰還する。それを出迎えたのは、一人の少女だ。

 年齢はランプやアリサと同じくらいなのに、どういうわけかその年頃の活気というか、元気というか……そのような陽気さが彼女にはない。代わりにあるのは野生の小型動物にあるような怯えようだ。自分の命やそれに準ずる大事なモノだけを守るためのような臆病っぷりは、茶髪に飾られた花飾りやオレンジの衣装がくすんで見える程だ。更に、左腕と左足の包帯が実に痛々しい。

 

 

「今回の作戦を始めるにあたって、必要な物資を持ってきたの。

 リコリスは今こちらに来れないし、貴方ひとりでやってもらうわよ」

 

「わ……分かったの。お姉様がいなくっても、がんばるの…!」

 

 

 褐色の少女・サンストーンはヒナゲシと呼ばれた少女に物資を渡した。 

 だが……今のこの二人は考えもしていないだろう。

 もし、ローリエが違う決断をしていたら、このアジトで原因不明の大爆発が起き、二人は最低でも命に重大な危篤が訪れる程の大怪我を負っていたかもしれないということを。

 

 

 

 

 

 




キャラクター紹介&解説

ローリエ/バロット=ネエロ
 浮浪者に変装して最大のスラム街ジャンクビレッジを調査した八賢者。いきなりごろつきに絡まれるも、これまでの経験と戦闘力によって一方的にぶちのめす。その時、彼にとっては確実に運命が動く出会いを果たした。

カルダモン
 ジャンクビレッジの「聖典は信頼できない」という噂をいち早く耳にした八賢者。ローリエと共に別行動で情報収集を行った。

ヘリオス
 変装したローリエに対して、反聖典派のことを教えてくれた少女。彼が仲間に加わることを期待してのアピールだったが、彼が中立派だと分かった途端離れていった過激派だった。一体何ストーンなんだ………?

木月桂一
 ローリエの前世である男性。総理大臣でありながら、きらら漫画を中心にサブカルチャーにも深い理解があった。というかオタクだった。しかし、危険を招くものと判断した人物に対しては割と容赦のない一面も持っている。




ヘリオスの詭弁
 作中でサンストーンヘリオスが言っていた事だが、そのほとんどが詭弁である事に気付けただろうか?実は、現代日本でも使われている言葉のトリックなのである。詭弁にはいくつか種類があり、作中で登場したものを例にあげると……
①数ある原因のひとつを唯一の原因の様に語る
②自分に有利な将来像・IFを予想する
③第三の要素を無視して語る
 (例:『アイスの売り上げが伸びると、熱中症が増える。アイスの食べすぎが熱中症の原因だ』→「夏は暑い」という要素がすっぽ抜けてる)
④陰謀であると力説する
⑤相手の意見ではなく人格を批判する
 ―――といったところか。騙されないためには、どのような詭弁があるかを知った上で、相手の言葉を鵜呑みにせずに吟味する姿勢が必要だ。




△▼△▼△▼
ローリエ「突然、きららちゃんとランプが見知らぬ女の子を連れて神殿にやってきた!」
ソラ「彼女の名前は住良木うつつ……やっぱり、この子も聖典に載ってないわ……」
アルシーヴ「タイキックといいどうなっているのだ……しかも、新たに襲い来る新型の魔物が!」
ローリエ「なんだこの自殺しそうな魔物は!気持ちワリィ!寄るな!!」

次回『ワタシがうつつでクリエメイト』
ソラ「次回を楽しみにね♪」
▲▽▲▽▲▽
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