きららファンタジア 断たれた絆と蘇る理想郷   作:伝説の超三毛猫

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今回のサブタイは「仮面ライダーW」の「少女…A / パパは仮面ライダー」から取りました。




“人は平等だ。選ばれた人間になることは絶対にできない。……ただし、ウジ虫になれる方法はあるよ。おすすめはしないがね。”
 ……木月桂一の独白


第1章:まちカドまおう~新たな敵と禁呪の予感編~
第5話:少女…Y/ご先祖様はよりしろまぞく


 これは、私・ランプ・マッチの三人(二人と一匹かな?)が、新たに住良木うつつさんとタイキックさんを仲間に加えて、旅に出た直後の出来事だ。

 

 

「コード表はここに書いてある。ローリエは……20種類も用意してくれたようだな」

 

「に、20種類もですか!? そんなに覚えきれません…」

 

「一気に覚える必要はないよ。状況に応じてってことだろうしね。」

 

「マッチの言う通りだ。ランプは…そうだな、まずコレを覚えていてほしい」

 

 

 タイキックさんは、もう早速私達と話してくれた。内容は、ローリエさんが旅立ちの時にくれた、あの特殊な通信機のことだ。

 ローリエさんの言う事が正しいなら、番号の入力で私達をサポートしてくれるみたいだけど。

 

 

「…『ローリエ緊急招集』? なになに…『これを使えば、ローリエの通信機にエマージェンシーコールを送れます。ローリエを呼び出したい時に』……?」

 

「ローリエ先生のお助けってことですね!」

 

「彼の都合はあるが……基本的には、こっちを優先するそうだ」

 

 

 ローリエさんの緊急ヘルプですか……確かに、便利そうですね。

 そんな感じで、タイキックさんはランプやマッチと溶け込めてるんだけど…私はもう一人が、気がかりだ。

 

 

「…………」

 

 

 うつつさんは、私達のそれなりに後ろをとぼとぼ歩いている。話に加わってくる気配もない。

 

 

「ねぇ、うつつ!こっち来て話そうよ!」

 

「好きなモノとか、何でもいいです!だから、話してくれませんか?」

 

「え、えぇ……『何でもいい』がイチバン困るよぉ……」

 

「とにかく、もっとこっちに来ればいいじゃあないか。まともに会話もできないよ」

 

「……変な生き物、きらい」

 

「がーん!」

 

 

 あ、あはは。なんか、マッチってばうつつさんに嫌われてるね。なんでなんだろう?

 でも、別にうつつさんを困らせたいんじゃあないんだ。記憶がないのはタイキックさんだけじゃなくうつつさんもだから、何か思い出すきっかけみたいなのがあればいいなって考えもあるんだけど……

 

 

「……で、好きなモノだっけ? えーと………

 あれ? 何も思い出せない……好きなものがないとか、私終わってない?

 やっぱり、私って何の価値もないダンゴムシなんじゃあ……」

 

「何を言っている、うつつ。君は人間だろう」

 

「確かに生物学的には人間だけどさぁ……」

 

「安心しろ、魂も人間だ」

 

「うわぁっ!? ひ、引っ張らないでよぉ……」

 

 

 やっぱり何も思い出せないうつつさんに、タイキックさんはその手を取って引っ張っていこうとする。

 私は、それを止めた。

 

「ま、待ってよ、タイキックさん!」

 

「きらら?」

 

「うつつさんにはうつつさんのペースがあるんだよ。あんまり無理させると可哀想だよ」

 

「む。し、しかしだな……」

 

 注意をすると、タイキックさんは何か言いたげなまま、うつつさんを離してくれた。

 

「うぅ。なんで、私なんか引っ張って連れていこうとするのさぁ………」

 

「すまなかったな。だが、うつつを連れて先に進まなければならない……そうすれば私のこともウツカイとやらのことも分かると思うんだ」

 

「何を根拠にそんなこと言えるのよぉ……」

 

「根拠など単純明快だ。『そんな気がするから』…それだけだ!」

 

「単純すぎて明快じゃないよぉ~!」

 

 

 あ、あはは。

 タイキックさん、流石に『そんな気がするから』は私も分からないなぁ。でも、記憶がないはずなのに、そう言ってどんどん進めるのって、普通にすごいと思いますよ。もし私が記憶喪失になっても、そんな風にドンドン行動できそうにないし。

 でも、そんな空気は一変する。

 

 

「な、なんじゃこやつらはーーー!!?」

 

「「「!!!?」」」

 

 

 悲鳴だ! しかも、近くから聞こえる!

 誰だかは知らないけど、助けなくっちゃ!!

 

 

「ランプ!マッチ!」

 

「はい!」

 

「分かった!」

 

 今まで旅をしてきた相棒と、悲鳴の元へと駆け付ける。

 

「えぇ…そんなの見捨てればいいのに……」

「言っている場合か!行くぞ!!」

「うわぁ!? お、降ろして!」

 

 二人の声を後ろに聞きながら。

 ……後になって思うと、うつつさんとタイキックさんには悪い事しちゃったなとは思いますけど…緊急事態でしたし、仕方ないと思います。

 

 

 

 

「いやぁ~、誰だかは知らぬが、助かったぞ!

 余はこちらにきたばかりで、右も左も分からなかったのでな!」

 

 

 悲鳴の主は、リリスさんだった。それも……『コール』で呼ばれたリリスさんではなく、『オーダー』で呼び出された方の、だ。ウツカイに襲われそうになっていたところで、私とタイキックさんで助けたんだ。

 それで、リリスさんが『オーダー』で呼び出された方のリリスさんだと分かった理由だけど、私達を覚えていなかったからだ。『コール』で呼び出されたリリスさんは、私達と過ごしてきた思い出がある。それに、今まで『オーダー』で呼び出されたクリエメイトのパスとおんなじものを感じた。

 しかし、ここで、私達は未曽有の異変と直面することになった。ランプの何気ない質問がきっかけで……

 

 

「それで、リリス様。桃様やシャミ子様とは一緒ではありませんでしたか?」

 

「……シャミ子? 誰だそいつは?」

 

「え?」

 

「桃はわかるぞ。だがシャミ子というのは聞いたことがないな。

 そんなへんてこりんな名前のやつの知り合いは知らんな」

 

 

 ―――そう。リリスさんが、シャミ子さんのことを忘れていたんです。

 

 

「シャミ子様―――吉田優子様はリリス様の遠縁の子孫なんですよ!! まぞくの活動名はシャドウミストレス優子様! 思い出せないんですか!?」

 

「えっマジィ!!? 余、そんなの初耳だぞぉ!? まだ耄碌しきったつもりはないんだけどなぁ……」

 

「そのシャミ子ってやつも、影が薄すぎて忘れられたんじゃあないの…?」

 

「何を言うんだうつつ。赤の他人ならまだしも、子孫を忘れるなんて異常だ」

 

 

 タイキックさんの言う通り、忘れるなんて異常事態です。

 私の知るシャミ子さんとリリスさんは、仲の良い子孫とご先祖様です。どう間違えても忘れるはずがありません。

 それなのに、ランプが一生懸命呼びかけても、リリスさんはシャミ子さんのことを「知らない」と言い続けている。まる1日かけてお話したというのに……まったく思い出してくれません。

 いえ、思い出してくれない、というより……まるで最初から、そんなことを知らないかのような……

 

 

「どうしてこんな事が起こってしまったんでしょう…」

 

「きららさん、他の方のパスは分かりますか?」

 

「うん。あっちの街にいるのを感じるよ…2つ、だけど」

 

「2つ………」

 

「あっちの街ってのは………遺跡の街か。行ってみるとするか」

 

 

 でも今のリリスさんは、シャミ子さんだけを忘れています。桃さんとミカンさんは覚えているのに………。

 ひょっとしたら、桃さんやミカンさんにも同じような異変が起きているかもしれない。私達は、逸る気持ちのままに、街の方向へ走り出した。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 ……遺跡の街で見たものは、信じられない光景でした。

 

「聖典燃やすべし、神殿つぶすべし…!」

 

「フレッシュピーチハートシャワー!」

 

「サンライズアロー!」

 

 

 壊された建物、逃げ惑う人々、それを追いかけるウツカイの群れ。

 そして……変身した桃さんとミカンさんが、シャミ子さんと戦っている光景でした。

 

 

「なに…これ……!?」

 

「シャミ子様!!?」

 

「うわぁ~~~! もう侵略されてるじゃんんん~!

 もうだめだ……私ここで殺されるんだぁ~!

 ……あぁ、殺されるくらいならいっそ自殺を…縄とかあれば…」

 

「落ち着けうつつ! 私ときららから離れるな!」

 

 

 理解ができなかった。シャミ子さんが、どうして桃さんやミカンさんと戦っているのか。どうして……あんな何かを憎むような目で攻撃をしているのか。

 私達は、わけもわからないまま戦闘態勢に入らざるを得なくなりました。

 

 

「『コール』! お願い!力を貸して!」

 

 

 桃さんとミカンさんからはパスを感じるのに、シャミ子さんからは全くパスを感じない。

 それがどうしてなのかっていう疑問を、むりやり頭の隅っこに寄せながら、『コール』を使った。

 来てくれた千矢さんにランプとマッチとうつつさんを任せ、私はトオルさんと宮子さんと共に近くにいたウツカイに攻撃していく。

 

 

「ハァァァァァァ!!」

 

「「「!!!?」」」

 

「助太刀に来た! 要らないかもしれないが…!」

 

「…ううん、助かるわ!」

 

「構わないけど、ピンチになっても助けられるか分からないからね!」

 

「勿論だ!」

 

「新手か…!」

 

 

 タイキックさんは、桃さんとミカンさんの隣に立ち、シャミ子さんが放った魔法弾を蹴りの風圧でかき消しながら助太刀に入った。

 私も、呼び出したクリエメイトの皆さんと一緒に、ウツカイに襲われている街の人々を救おうと走り出しました。

 

 

「ウツー!」

 

「うわああああああ!」

 

「助け…たすけてえええええええ」

 

 耳を塞ぎたくなるような阿鼻叫喚の中、人々を襲うウツカイを薙ぎ倒していく。

 どうやらウツカイ達は、人々が持っている聖典を奪おうとしているみたいだ。でも当然、大事なモノだから渡そうとはしない。それに対して、ウツカイは暴力を振るって人々を襲っているみたいだった。私達は、せんしのクラスの力を得たクリエメイト2人と共に、ウツカイ達を倒して、人々の聖典を守ろうとする。

 でも、どうしても……あまりにも、襲うウツカイの数が多くって。

 

「「ウツーーー!!」」

 

「ひぃぃぃぃいいい!」

 

「わああああああ!!」

 

 私の目の前で、男の子とおばあさんが同時に襲われる。

 トオルさんも宮子さんも、手分けして皆さんを助けに行ったから、呼びよせるには時間がかかる。それじゃあ、今にも襲われそうな二人を助ける事はできない。

 でも、私の身体はひとつだけ。どっちかを助けに行けば、もう片方は助からないかもしれない。迷っている時間はない……!

 

「えいやああああ!」

 

「ウツー!」

 

 咄嗟に、男の子を襲おうとしたウツカイに魔力を解き放った。それと同時に、おばあさんがウツカイに頭から齧られたのが見えた。

 

「―――っ!! その人から、離れて!!!」

 

 血の気が引いていくのを感じた。男の子を襲おうとしたウツカイが消え始めたのを確認するやいなや、おばあさんを齧るウツカイにパワー効果の乗った全力攻撃をぶつけた。

 

「はああああああああ!!」

 

「ウツーー!?!?」

 

「はぁ…はぁ……あの、大丈―――ッ!!!!?」

 

 

 もう一方のウツカイも撃退して、襲われたおばあさんを助け起こそうとした時。

 嫌でも、目に入ってしまった。おばあさんの喉元から中心に、赤黒い液体が広がっていくのが。彼女のしわだらけの喉に、ハッキリと、ウツカイの歯形が残ってしまっていることに。そして、その両手は生の炎が消えてもなお、聖典をがっしりと話さないで抱えていた。

 それらの事実が、私の心を避けようもない石の鎖で締め付ける。

 つまり、私が助けに入れなかったから、この人は…………っ!!

 

 

「…………ごめん、なさい――――――!!!」

 

 

 駆け付けるのが遅れてごめんなさい。

 助けに入ることができなくってごめんなさい。

 ……痛くて苦しい思いをさせて、ごめんなさい。

 あらゆる感情がごちゃ混ぜになった「ごめんなさい」を、小さく、でもその人に届くように口にしてから、私は顔を上げて、次のウツカイを探す。

 これ以上、あの人のような犠牲者を出さないために……私は、この足を動かす!!

 

 

 でも。

 さっきの男の子とおばあさんみたいな場面には、何度も出くわして。 

 そんな状況はたいてい、私に悩んでたり両方を助けようとする時間をくれなくって。

 そんな場面に出くわした私達は、一人で、時にはクリエメイトと最善の手を打った。

 

 それでも。

 全員は助けることができなくって。

 誰かがほぼ必ずと言っていいくらいに、私の目の前でウツカイ達に命を奪われた。酷い時には、力尽きた街の人達だけが残っているような………間に合わなかった場面がいっぱいあった。

 

 

「……どうして?」

 

 

 私は、そう問わずにはいられない。

 こんな惨劇を作り出したまだ見ぬ張本人に。

 シャミ子さんがこんなことするはずがない。だから……その裏にいるかもしれない、その人に。

 

「どうして……こんなことするの?」

 

 ここに住んでいる人達が、あなたに何か悪いことしたの?

 こうでもしないといけない事情があったの?

 そうであったとしても、人の聖典や命を奪うほどのことなの?

 

人の命を…聖典を……何だと思っているのッ!!

 

 許せない。

 皆の営みを嘲笑うかのように踏み潰すウツカイ達が。

 そして、ウツカイ達にこんなことを指示している人が。

 

「はぁぁぁあああああッ!!!!」

 

 だから、私は手を伸ばす。

 もう、私の前では誰も死なせたくないから。

 ウツカイに奪われる命や聖典を、一つでも減らしたい。減らせるって、信じたいから。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 きららがいっぱしの少女の身で人々を救おうと奔走しているのとほぼ同じ頃。

 タイキックは、千代田桃と陽夏木ミカンと共に、シャミ子と戦っていた。

 

 

「おりゃー! あちょー!」

 

「これでどうだっ!」

 

 

 ……歴戦の魔法少女達とシャミ子が渡り合えている。桃とドラゴンボール顔負けの肉弾戦を繰り広げており、ミカンの狙撃を軽々と躱している。そこにタイキックが冴え渡る足技で援護をするも、戦況は硬直していた。

 タイキックは、昨夜ランプから聞いた聖典の内容と全く違う現実に違和感を覚えていた。リリスに説明していた彼女から、シャミ子たちが登場する聖典『まちカドまぞく』の物語はあらかた聞いていた。だから、シャミ子の特徴も大体は分かっているつもりだった。

 

 

「…なぁ、ミカン。どうなっているんだ?

 アレは私の耳にしたシャミ子の特徴とだいぶ違うぞ」

 

「シャミ子………ってあんたねぇ。

 アレは…魔王シャドウミストレス。凶悪な魔王よ。そんな可愛いあだ名のレベルじゃあないわ」

 

「凶悪な魔王………か……」

 

 タイキックは、ミカンの「あんた何言ってるのよ」と言っているような台詞を反芻しながら考え込む。

 何故このような事になっているのか。少なくとも、目の前の桃とシャミ子―――シャドウミストレスの激戦と、二人の認識は間違いなく現在進行形では事実なのだろうと考える。

 だが、タイキックは、既に異変を見抜いていた。

 

「何よ?」

 

「いやな…あのシャドウミストレスとやらだが……アレは真実ではないだろうな」

 

「どういうこと?」

 

「何者かの手によって、不当に歪められ、おかしくされている。そのせいで、本来ありえない力を得ているのだろう」

 

「…あなた、何か分かったの?」

 

「いいや? 『そんな気がした』だけだ」

 

「えぇ………」

 

 

 その言葉は、ランプの語りを信じるがゆえなのか、それとも他に確固とした信じるに値するものを持っているからなのか。

 あまりにも意味不明な言葉に困惑するミカンだが、タイキックはそれを言うとミカンの方を振り返らず、そのまま桃とシャドウミストレスの間に躍り出る。

 

 

「あなたは…!?」

 

「また貴様か!うっとうしい!」

 

「お前達! こんなことをしていて良いと思っているのか!」

 

 

 タイキックは、言葉で説得を試みる。

 だが、それをすぐに桃が止めた。

 

 

「馬鹿! 凶悪な魔王に、説得が通じるワケない!」

 

「……そのとおりです」

 

「!」

 

「他者を不幸にする聖典なんていらない! それをじゃまする魔法少女はすべて薙ぎ倒すんです!!」

 

 

 桃の慌てた口ぶりにシャドウミストレスは憎悪を目に宿して同意した。

 聖典への、明らかな敵意と憎悪を感じ取ったタイキックは、理解ができなかった。

 ランプが語った『聖典』に、そんな描写はなかった。きららとマッチがランプの聖典オタク具合を保証していたから、何か忘れている可能性も低い。

 何か裏があるな、と思った。そして、現段階では説得はできないだろうと考えを改めた。完全には諦めていないが、トリックを破らなければならないと。……そんな気がした。

 

 

「分からず屋のわがまま魔王め………そんな貴様は、()()()()()で頭を冷やしてもらおう!!!」

 

「「!!!?」」

 

 

 タイキックの意味不明な宣言。そして。

 

 

デデーン

 

シャミ子、タイキックー!

 

 

 再び、神殿でウツカイを蹴散らした時のアナウンスが、何の前ぶりもなく流れた。

 

 

「い、今のは……!?」

 

「え。ちょ、ちょっと待て!シャミ子ってなんですかその気の抜けたような名前は!!

 あとタイキックって!! 私を蹴るつもりか! そうはさせんぞ―――」

 

「「「「「「くーーーーーーーーーーー!!」」」」」

 

「「!?!?!?!?!?!?!?」」

 

 

 それと同時に、どこからともなく様々なクロモン軍団が現れる。

 それらは魔王シャドウミストレスの元へ集まり、彼女へたかりだす。

 

 

「うおっ!? 待て!待ってください!!放せ! 多勢に無勢は卑怯だぞー!」

 

「そっちだってウツカイを連れて、人の命を脅かしていただろう」

 

「命を脅かす!? そんなおそろしげなことしてません!私が命じたのは聖典を奪うだけ―――」

 

「問答無用ッ!!」

 

 

 大小様々なクロモンに掴まれて動けないシャドウミストレスの背後に、タイキックはゆっくりと回る。そして、片足をぶらり、と下げたかと思えば、キックの体制を整えた。

 

 

「歯を食いしばれ、吉田優子ッ!!」

 

「え!? な、なんで私の本名―――」

 

「セヤアアアアッ!!」

 

 

 無防備なシャドウミストレスの尻に向かって、タイキックはそのまま、キックを炸裂させた。

 

 ―――ドムッッッ、という鈍い音が、破壊された街の戦場に響いた。

 

 

 

「ア゛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!?!?!?!?!?」

 

 

 タイキックさん、二度目のタイキック。

 その餌食になったのは、なりゆきで魔王になってしまった、まぞくの少女であった。

 のちに彼女は、この出来事をこう語る。

 

 

辛い想いとか、苦しさとか、モヤモヤとか……ぜんぶ吹っ飛びましたよ!!

 代わりにおしりが痛くて痛くてずーーーーっと目汁が止まりませんでしたけど!!!

 

 




キャラクター紹介&解説

きらら
 街の人々の命を救うため、孤軍奮闘していた原作主人公。千矢にランプ達を任せ、ひたすらウツカイから人々を救い続けていたが、単純に手が足りなすぎるため、何人か取りこぼす。この物語では、この章で初めて人の死に触れることとなった。

うつつ&マッチ&ランプ
 きららがコールした千矢に守られていた非戦闘員一同。三人の様子は次回描く予定だが、三人も三人で街の惨状を目にすることとなる。

タイキック
 きららが積み上げたシリアスを、一瞬で破壊しつくしたムエタイキックボクサー。桃とミカンと合流し、魔王シャドウミストレスと戦った結果、彼女をタイキックした。リリスと初めて合流した時にまる一日かけて聖典のことをランプから教わったため、シャミ子の本当の姿とのギャップを最初に味わうことになっている。だがタイキックだ。

シリアス「ば、バカな…俺が、タイキック一発程度で…」
ギャグ「無駄ァ!!」
シリアス「グワアアアアあああああーーーーーっ!」

リリス
 原作でもきらら達が一番最初に出会ったごせんぞまぞく。ランプにまる一日説明を受けても、ついぞシャミ子のことを思い出せなかった。

千代田桃&陽夏木ミカン
 『オーダー』で呼び出され、魔王シャドウミストレスと戦った魔法少女たち。タイキックの助太刀を受けて戦いの負担は減ったが、最後の最後でタイキックを目撃することになり、心理的な負担が増えた。

魔王シャドウミストレス
 何ストーンにパスを断ち切られて、何ゲシに洗脳された姿のシャミ子。ヒナ何某のウソをそのまま信じて聖典を憎むようになる。が、拙作ではタイキック第2号の餌食に。どうしてこうなった。





△▼△▼△▼
ローリエ「緊急コールを受けて転移した先にあったのは…破壊された街と、喪った人々を見て失意に沈むきららちゃんだった。そこにうつつが余計なことを言って……あぁもう、早速空中分裂の危機かよ!」

ローリエ「そんで、タイキックさんは? ……え、シャミ子にタイキックした!?何してんの!? え、マジで、何してるの!!?」

次回『あすへの決意!想い足取り止まらない』
ローリエ「次回もお楽しみに!」
▲▽▲▽▲▽
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