きららファンタジア 断たれた絆と蘇る理想郷 作:伝説の超三毛猫
今回のサブタイは、まちカドまぞくの「あすへの決意!重いコンダラ止まらない」から。そこ!ダジャレとか言わない!
察した方もいると思いますが、サブタイは章ごとに登場する作品から取るように努めたいと思います(3章→GA、5章→ごちうさみたいな感じで)。それ以外の章(偶数章やオリジナル)では過去のきららアニメや仮面ライダー系からサブタイのネタをいただくのもありかなと思っています。
“本当に弱い人っていうのはね、罪から逃げるだけじゃなくって、誰かに着せようとするものなんだ。そして自分自身で、「僕私は悪くない」って本気で信じようとする。”
……木月桂一の独白
朝目が覚めたら、その直後にエマージェンシーコールが流れた。
それは、ランプに預けた通信機のコード999を誰かが押して発信したことに他ならない。
「早速出陣か…!」
エマージェンシーコールは、ランプでも呼べるようにした。電話の数字ボタンで特定の組み合わせのボタンを押すだけ。今回の場合は9を3回だから覚えやすいはずだ。まぁそれはイタズラに使いやすいことも意味してるけど、そんなことをする性格の子はメンバーにいなかったから、コレはマジの救援要請なんだろうな。
身支度と戦闘準備をしながらそんなことを考え、終わった瞬間すぐに魔道具・キメラのつばさでエマージェンシーコールが呼ばれた場所へ転移する。
転移して最初に見えたのは、ところどころ壊された街たち。そして人々を襲うウツカイ。
周りを見渡して見つけたランプ達に駆け寄り、声をかけた。
「ランプ! これはどういう状況だ!?」
「わたし達がここに辿り着いた時には、もう……!!」
「マジかよ…!」
ランプ達は、俺にエマージェンシーコールをするより先にこの街に足を踏み入れた。その時点で襲われてるってことは……!
こっちに来るウツカイや周囲の人を襲うウツカイに弾丸を浴びせながら考える。
「(…もしかしたら、何人かもう殺られてるかもしれないな……)」
ウツカイの攻めの手が緩んだときを見計らって、転移した時に気になったことを尋ねた。
「きららちゃんとタイキックさんは!?」
「きららは、街の人を助けに行った!」
「タイキックさんは、桃様やミカン様の助けに向かいました!」
桃?ミカン? そういえばって段階だったが、千矢ちゃんの後ろにリリスさんがいるじゃあないか。リリスさんの姿にせよ、今魔法少女の名前が出てきたことにせよ、何が起こっているんだ?
「どういうことだ?」
「実は―――」
ランプの説明によると、どうやら再び『オーダー』が使われたようだという。成る程、それで今回は桃やミカンの名前が出てきたり、リリスさんがいたりしてたのか。
だがシャミ子の名前が出てきていない。聖典『まちカドまぞく』はシャミ子が主人公じゃなかったっけか? と思った時。ランプから衝撃の事実が告げられた。
「………リリスさんがシャミ子を知らない、だと……!?」
普通ならあり得ない現象。だが、いくら話してもシャミ子のことを思い出してくれないのだそうだ。
しかも、桃やミカンが今シャミ子と戦っていると言うのだ。本来の聖典……もとい漫画では、シャミ子はそんなまともに戦えるほど物理的に強くないぞ!?
「…なぁ、リリスさん…………吉田良子、は知ってるよな?」
「あ、あぁ。もちろん知っておる。余のかわいい子孫だ」
「じゃあ、清子さんは?」
「知っているとも。良子の母だろう?」
「ヨシュアは?」
「知っている」
「シャミ子は?」
「……………………」
俺がした吉田家の質問は、シャミ子以外が明確に答えられていて、シャミ子だけがリリスさんの記憶から抜け落ちていた。
馬鹿な。こんな事がなぜ起こっている?
落ち着け。こういう時こそ、情報を集めろ。
考えても分からないのは、手がかりが単純に足りないからだろう?
「………ランプ。俺は、きららちゃんとタイキックさんを探す事にする」
「せ、先生……!」
「この状況を正しく理解したいんだ。その為には……情報がもっと欲しい。
ここらのウツカイはもう一掃した。隠れてるのをもっぺん殲滅してから、動くことにする」
「はい…」
「千矢ちゃん!皆を任せてもいいか!?」
「うん!まっかせてー!」
『コール』で呼ばれたであろう、千矢ちゃんにランプ達を任せて、俺はウツカイを倒しながら、きららちゃんとタイキックさんを探す。
道中で倒したウツカイの欠片が身体に降りかかるも、そんなことに構ってられない。
街中を走り始めてから数分できららちゃんを見つけた。
ウツカイから人を守るように戦っている。『コール』を使って、クリエメイトの手を借りている事も忘れていない。だが、それでも明らかに人手が足りていない。
「きららちゃん!!」
「!!」
ウツカイ共に風穴をあけてからきららちゃんに駆け寄る。
ウツカイの反撃などで擦り傷を負っているらしき彼女の目つきは、これまでにない悲しみと怒りがないまぜになっていて、今にも零れそうであった。
「どうした!!?」
「ローリエさん………街の皆さんが…みんなが、ウツカイに………」
「詳しい事は後で聞こう。きららちゃん、傷を治すよ」
「え、き、傷?」
「気づかない程必死だったのか」
そんなになるくらい走り回って街の人達助けていたのか。
無理はし過ぎないで欲しいものだ。俺はホイミ程度の回復魔法できららちゃんの肌に手をかざした。
『シャミ子、タイキックー!』
「「………………」」
いやタイミングと音量ゥゥ!!
なんでこう静かになったタイミングで、地味な小音量で流れるワケェ!!?
もっと空気読めや! きららちゃん、今ので涙が引っ込んじゃったし! そこは別に良いんだけど、他の全部が台無しだァッ!!?
「……あの、いま、シャミ子さんがタイキックって…」
「………聞こえたな、うん」
すぐさまタイキック宣言のなった方へ駆け付けた。
辿り着く直前に、シャミ子のトンデモ音量の悲鳴が響いたのを聞いて、嫌な予感がしたと思ったら。
「ふぅ……」
「ほげ……ほげぇ………うぅ、おしりが割れる…」
「何を言う。尻はとうに割れているものだ」
「「「「「……………」」」」」
そこで目にしたのは、シャミ子から離れていくタイキックさん。そしておしりを抑えて痛みにうずくまるシャミ子だった。
あまりにもあんまりなタイキック後にしか見えない絵面に、桃もミカンも、ランプもマッチもうつつも絶句しているではないか。
激痛に悶えるシャミ子に当たり前のようにさらりと言ったタイキックさんに、誰も口を挟めなかった。というか挟めるかこんなの。
「ううぅぅ………こ、これで勝ったと思うなよ〜〜〜ッ!!」
涙目になりながら、お尻を抑えてシャミ子が逃げていく。それに伴って、生き残ったと思われる数少ないウツカイ達も情けない悲鳴をあげて逃げ去っていった。そのさまは、まさしく負け犬そのものだった。
俺は逃げようとするシャミ子に咄嗟にG型を投げつけてから、桃達に向き直った。
「さて……今の状況を説明してくれないかい?」
きららちゃん達全員と『まちカドまぞく』の3人と合流できたこのタイミングで、全員にそう尋ねた。
ランプとマッチは言った。この街に辿り着いた時には、桃やミカンがシャミ子と戦っており、ウツカイ達が人々の聖典を狙って襲っていた、と。
きららちゃんは言った。すぐに『コール』を使って千矢と宮ちゃんとトオルを呼び出し、街のみんなを救うために走り回ったと。
リリスさんは言った。凄まじい戦闘だった、もしかしたら余はあのまぞくに味方するべきだったのではないかと。
タイキックさんは言った。桃もミカンも、シャミ子の事を全く知らない様子であったと。
そして―――その桃とミカンは、『オーダー』による異世界召喚をあっさりと受け入れた後こう言った。
「「シャミ子って……誰? さっきまで私達と戦ってたのは魔王シャドウミストレス(だ)よ?」」
「…………」
…やっぱり、三人からシャミ子の記憶が消えている。
軽く自己紹介等をした後、この現状を更に確認するため、魔法少女二人にはいくつかの質問に付き合ってもらう事にした。
「桃ちゃんから聞くか。えー……『片手ダンプ』。この単語に聞き覚えはないか?」
「え、ない……けど、おかしいな。初めて聞いた気がしない…」
「もう一つ。リリスさんとどうやって知り合ったか覚えてるか?」
「確かに、シャミ先との初対面も覚えてないかな…」
「じゃあ次、ミカンちゃんね。君が奥多魔の桜が丘に来たきっかけは?」
「えっと…桃がメッセで『まぞくに血を取られた』って…」
「じゃあ、そのまぞくが誰だか分かるか?」
「えーっと………あれ? 誰だったかしら……桃?」
「えっ……そもそも私、血を取られてたの?まずくない??」
どうやら聞いた限り、シャミ子の存在とそれに関連した部分が虫食いの様に抜け落ちてしまっているようだ。
こうなると、パスにも何か影響があるのかもしれない。きららちゃんに聞いてみるか。
「きららちゃん、ちょっと聞きたいことが―――」
「………」
「……きららちゃん?」
「あ、はい。何ですか?」
俺の呼びかけにワンテンポ遅れて返事をしたきららちゃんは、いつもと違って血の通っていないかのような白い顔をして笑顔を向けた。そのさまは、比喩でもなんでもなく、無理をしている証拠なのだろうか。やっぱり……俺が来るまでの間に、何かあったな。
「…桃ちゃん。ランプ達のこと、お願いできるか?」
「え。ローリエさんは、どうするつもりなんですか?」
「きららちゃんだけど―――ちょっと二人で、話がしたい。頼む」
今回の一件……きららちゃんのこの状態を早く何とかしなければマズい気がする。
シャミ子の異変は、俺も気になる。だが、それで焦って俺達が倒れたらそれこそ異変を解決できなくなる。『医者の仕事はまず自分が死なない事だ』という言葉もあるように、自分自身が力尽きては誰も助けられなくなるだろう。
だから、きららちゃんが今抱えているものの正体を、出来るだけ早く見抜かなければならない。そんな気がしてやまなかった。
◇◆◇◆◇
桃さんやミカンさん、ランプやうつつと距離を離され、私はローリエさんと二人きりになった。
街の一部だったちょうどいい大きさの瓦礫にローリエさんが座ると、空いたスペースに座るように促される。私は、それにならって座ることにした。
でも、私と二人になってまで話すことって………
「言いたくないなら答えなくても良いが……きららちゃん、単刀直入に聞こう。
「―――ッ」
―――やっぱり、そういうことですよね。
私は、遺跡の街の人々がウツカイ達に襲われていると知った瞬間に動き出し、目の前の人達を救おうとした。
でも…私は、みんなを救う事ができなかった。誰かを救う度、誰かが犠牲になった。その事実が、心に重くのしかかって、動けなくなるくらいに苦しくなって……
「……覚えて、いません……!」
絞り出すように出した答えは、現実逃避みたいだった。
いや、みたい、というより半ばそうなのかもしれない。
決して少なくない。一方を助けた瞬間にもう一方が犠牲になったこともあったし、駆け付けた時には全滅してた場所もあった。
あの悲惨な光景は、正直言って忘れたかった。目を背けたかった。今思い出そうとすると、胃酸が込み上がって吐き出してしまいそう。
「そんなにか………」
「私…私……っ、みんなを助ける事ができなかった…!
誰かを助けようとしたら、他の誰かが襲われたり、間に合わない場面に出くわしたりで………もう、疲れました……!」
「きららちゃん……」
こんなこと、ランプには言えない。マッチにもだ。
今まで、ランプやマッチは私を頼りにしてくれた。もちろん、『オーダー』を巡る旅の道中ではランプの知識に助けられたし、フェンネルさんに石化された時にそれを解いてくれたのがランプであることはマッチから聞いたから、頼られるのは私だけじゃないことは分かってる。
でも、こういう戦いの場面ではどうしても私が頑張らないといけない。ランプやマッチや、うつつさんを守りながら、街の人たちも守らないといけなかったのに。
こういう言い方は卑怯だけど……この手の弱音は、ローリエさんになら吐ける気がした。
「君は悪くない。本当に悪いのは、ウツカイ達と裏でそれに指示している奴らだ」
「………」
「―――と、言うのは簡単だ。だが、それで納得するタマじゃあないだろ。君も俺も」
「ローリエさんも、ですか…?」
最初は、私も分かっているつもりの正論を述べたローリエさんの、「納得できないだろう」という言葉。しかもローリエさん自身も正論だけじゃあ納得できないとの発言に、目を見開く。どういうことだろう?
「俺は昔、大切な人を守れなかった事がある。一度じゃあない。二度もだ。俺は、守れなかった子たちを、どうしても忘れることができない」
「……何があったのか、聞いても良いですか?」
「小さい頃にな、アルシーヴちゃんとソラちゃんと一緒にいた時、山賊に襲われた時があったんだけどな……俺は、怖くて真っ先に逃げ出したのさ。俺は助かったが……ソラちゃんは攫われ、アルシーヴちゃんは山賊に大怪我を負わされた」
「そんな事が…………」
「その後は色々あって2人とも助かったけどな。……この件、悪いのは人攫いを企んだ山賊以外ありえない。けどな……俺は、逃げ出したあの日ほど自分の馬鹿さ加減に後悔した日はない」
あまりに衝撃的な過去に言葉を失いました。
小さな子供にとって、山賊の怖さは想像なんてできません。私には、想像も出来ないくらいには怖かったんだろうなとしか、考える事が出来ませんでした。
何より、現在は勇敢で、ドリアーテ事件の時にも色々活躍したらしいローリエさんからは想像も出来ない過去だった。
「だが、俺は前を向いて生きる事にした。開き直ったとかじゃない。罪を自覚して、背負って、それでも前を向くことにしたんだ」
「ローリエさん…」
「後ろを振り向きたくなる時もあった。立ち止まったりもした、と思う。でも、後ろばっかり向いたり、立ち止まり続けることはしなかった。そうしたら、俺が俺じゃあなくなる気がしたから」
強い人だなぁ。
彼の独白を聞いて、最初に思った感想だった。
そして、どうすればそこまで“強い考え方”が出来るんだろうとも、思った。
「ローリエさんは、強いですね」
「そう……だろうか? ただ罪を数えて、背負って生きてるだけだぞ?」
「その、罪を数えるって言うのは……?」
「んー…俺なりの確認作業、かな?
1つ、戦う覚悟を固めなかった事。
2つ、自分自身の中の恐怖に負けた事。
3つ、そのせいで
―――みたいに、数えて確認したら、あとはそれを背負って生きていくんだ。同じ過ちを2度と起こさないように気をつけてな」
「なるほど……」
それがローリエさんなりのやり方なんだろう。
彼がここまで強く見える理由が、ちょっとだけ分かったような気がする。
人間、間違えない人はいない。それを覚えて背負っているから、強く見えるのかもしれませんね。
「きららちゃん。君が何を見てきたのかは、君自身がよく分かると思う。
もし、完全に心が折れていないのなら……まだ『挫けそう』って段階なら……あえて、こう言わせてもらうよ。
―――お前の罪を数えろ」
ローリエさんは優しく諭すように、しかしきっぱりと私に告げた。
罪…私の罪、かぁ。
私の犯した罪は…それこそ今日救えなかった人の数だけありそうな気がするけど……
「まぁ、最初は数えるのが難しいかもしれないから、先に俺が思った事を言っておく。
……さっきの君の悩み事、俺より前に他の誰かに話したか?」
「え………は、話してません……」
「じゃ、それが1つ目。
―――『1人で悩みを抱え込もうとした事』だ」
ローリエさんが人差し指を立てた。
そして、更に言葉を続ける。
「そして2つ目―――『誰にも頼らなかった事』。
俺は、ランプの緊急招集でここに来た時、君はもう街の人達を助けに行ってたね?」
「は、はい……」
「きっと、君の目の前で失われようとしてた命があったんだろう。それを助けようとした事は否定しない………けど、ひとりで出来る事は限られている。」
「…そうですね。だから、私は『コール』を使って―――」
私は全力を賭してみんなを助けようとした。
『コール』を使ってクリエメイトの方々を呼び出して、人手を増やした。
そう言おうとして……ローリエさんにマントの襟を掴まれた。
「自惚れるな、きらら」
それは、今までに見たことのない厳しい表情でした。
「確かに、君は『コール』を使える召喚士だ。
でも……それでも、ただ一人の少女でしかない!」
声を張り上げて、ローリエさんは私をまっすぐ見つめた。
その、初めて見る姿にあっけに取られて目を逸らす余裕すらありませんでした。
「たった一人で何でもできる道理なんてない!
俺だってそうだ。一人だったらドリアーテを倒すなんてできなかった!
あれだってランプの聖典と、ソラの転送魔法があったから出来た事だ!!
他の皆だって誰かが欠けてたら、俺はここにいなかったかもしれないんだ!!」
「!」
「君の周りには仲間がいるんじゃあないのか?
それとも、その仲間が皆、頼りなく見えるのか!?」
「!!!」
そこまで言われて、ハッとした。
そうだ。『コール』にどんな意味があると思っていたんだろう。
さっきの行動……街の人達を救う事に目を向けすぎて、ランプやマッチに頼らなかった。
「仲間は新しく増えただろ。うつつにタイキックさん。
直接戦えない人もいるかもしれない。でも、それが君一人で背負う理由になっていいわけがない!」
そうだ。
私はひとりで戦っているんじゃないんだ。
隣にはいつもランプやマッチがいたじゃないか。
今ではうつつやタイキックさんもいる。旅を始めて短いけど、頼ってもいいのかな。
「そっか……私……」
「分かったようで何よりだ」
「じゃあ、3つ目は……『1人だけで頑張った結果、皆で頑張れば助かったかもしれない命を救えなかったこと』……ですかね?」
「…自覚したなら、それを背負うんだ。そして前を向いて歩く。できるな?」
「………はい。みんながいれば、きっと!」
ローリエさんの言ったことは、決して優しい言葉じゃあない。むしろ自分自身を追い詰めているような、厳しい内容の言葉だった。
でも、そのお陰で私のやるべき事が決まった。
私は……さっきの戦いで犯した間違いは背負って生きる。
今度は、ランプやマッチやうつつやタイキックさんと一緒に進んでみせる。
喪った人々がいるのは心苦しいし、私が救えなかった人がいる事実は直視しづらいけれど。
それでも、前を向いていかないとね。
ランプ達の元へ駆けていく。
「みんな!聞いて下さい!」
「「「「「?」」」」」
「あの、私、これからの異変は……みんなで解決していきたいんです!だから……力を、貸してくれますか?」
「―――っ!! もちろんです、きららさん!」
「任せてくれ、きらら!」
「もちろん」
「魔法少女の力、存分に頼ってちょうだいね!」
「偉大なる余に任せておくがいい!ハッハッハッハ!」
「えぇぇ……私でいいのぉ? めっちゃ気が進まないし、私の力なんて借りてもたかが知れてると思うけど…」
「任せろ、きらら。立ち塞がる敵は、このタイキックが全員蹴とばしてみせよう!」
改めてお願いした私に対して、みんなが十人十色に返事を返す。
その雰囲気が温かくて、とても心地が良かった。
◇◆◇◆◇
―――きららとローリエが二人で会話をしていた頃。
「ねぇ…なんで、きららは他の人を助けようとしたの?」
「え?」
「他の人なんてどうでも良くない……?見捨てれば良かったじゃん」
「うつつ、君は――」
「な…何てことを言うんですか!」
「ひっ!? 怒らないでよぉ……ただちょっとそう思っただけじゃん…」
「ランプ、落ち着け。うつつに悪気はない。ただ疑問に思っただけなんだろう?」
うつつが街の人を助けようとしたきららに疑問を向けると、ランプは火のように声を荒げて起こる。
完全にうつつの言い方が招いた問題だが、すぐにタイキックが間に入って仲裁を始めた。
「ぎ、疑問っていうか、分からなかったと言うか……」
「つまり、うつつに悪気はない。矛を収めてくれ、ランプ」
ランプを説得する口の良さに、内心感心しているマッチ。ランプも、タイキックにそう言われたのではと引き下がる他なかった。
「うつつ。君の疑問だが……答えを出すのはとても難しい」
「どうして?」
「この手の疑問は、君自身が納得する答えを見つけなければいけない。
私が今ここで答えてもいいが……それではうつつが完全に納得することはできない。……そんな気がするんだ」
「また『そんな気がする』なのぉ…?」
「タイキックさん、そのフレーズ、気に入ったんですか?」
「気に入った………というより、この言い方がしっくり来る。そんな気がする」
「めちゃ気に入ってるじゃないの」
一応うつつの説得もやってのけたタイキック。
このようなやり取りがあったことは、ローリエもきららも、まだ知らない。
キャラクター紹介&解説
ローリエ
ランプの緊急招集を受けて、即座に転移しきらら達と合流した拙作主人公。ウツカイをバラバラにしながらきらら達を探した他、きららが人々を救えなかったことを受けて、それでも前を向くことの大切さを説いた。説得内容は「仮面ライダーW」に似通っている部分があるが、ちょっと意識した程度でしかない。
きらら
お前の罪を数えた召喚士。これからはそれを背負って事件解決に臨み、罪を数えさせる側に回る。原作「きららファンタジア」でも、主人公の中では唯一戦える存在であるため、自分で責任を背負い過ぎていそう。『コール』でクリエメイトを呼べるから自覚症状もないかもしれない。拙作ではタイキックさんの存在に加え、ローリエの説得でこのことを自覚して、少しはマシになれるかもしれない。
ランプ&マッチ&うつつ&タイキック
きららと二人でお話している間、不穏な言い争いっぽいものが起きたパーティメンバー。うつつとランプで衝突が起こりそうだったが、タイキックの仲裁で事なきを得る。
千代田桃&陽夏木ミカン&リリス
いまだにシャミ子を思い出せないクリエメイト。ローリエに記憶確認のためいろいろ質問をされた。
そもそもリリスはシャミ子がごぜんぞスイッチを押したことで体に乗り移った経緯で桃と知り合ったため、シャミ子とのパスがムリヤリ切られたら出会った経緯を思い出せなくて当然である。
片手ダンプ
片手でダンプカーを止めること。『まちカドまぞく』のシャミ子と桃の出会いのシーンにて、ダンプカーに轢かれそうになったシャミ子を助ける為に桃がダンプカーを物理で止めた結果、このワードが生まれた。
さぁ、お前の罪を数えろ
『仮面ライダーW』に登場する主人公・左翔太郎&フィリップが、風都を泣かせる悪党に問い続ける名台詞。相手だけではなく自分自身にも問いかけていて、特別な意味を持っている。
余談だが、もしこの台詞をリアリストたちに突きつけたなら、全員口を揃えて「わしは悪くねェ!!!」って言いそう。
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ローリエ「立ち直ったきららちゃんとその仲間と共に、シャミ子が逃げた秘密基地を探すことにした俺。」
ランプ「先生、G型投げてませんでした?」
ローリエ「そうだ。それで秘密基地を特定して突入しようとしたが……行く手を凄まじく巨大なウツカイに阻まれる!!」
桃「それを裏で操る女の子も姿を見せた。ランプの言う通りなら、シャドウミストレスの正体がこれで分かるらしいけど……」
次回『蠢く
桃「次回もお楽しみに。」
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