きららファンタジア 断たれた絆と蘇る理想郷   作:伝説の超三毛猫

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ハイプリスの過去は大体わかりましたが、現在の性格がまだ分かりづらいような気がします。具体的には、部下が失敗した時に強く責めずに「よくやった」と言うのは、アルシーヴちゃんみたいに「全部自分でやろうとする責任感が強く、賢者達の働きを認めているから」なのか、それとも「最初から部下を一切信用しておらず、どうでもいいから」なのかがまだ不明なんですよね。
 後者の場合、イイ笑顔で「(こいつ使えないから程良いタイミングで捨て駒にするか。まぁとりあえず)今回はよくやったね」と言っていても不思議じゃあありません。
 別作品の具体例を出すとDIOタイプ(悪を自覚し、己の為に生きる)なのか、プッチ神父タイプ(“正しい目的”の為に他者や部下すら使い捨てる)なのか、はたまたスカータイプ(彼らなりの信念・流儀があるが主人公とはなかなか相いれない)なのか計りかねているところです。どのタイプの悪にも一長一短ありますからね。現段階では、プッチ神父タイプが優勢でしょうか。少なくともディアボロタイプはなさそうだけども。

 今回のサブタイの元ネタは「仮面ライダーエグゼイド」より「I'm a 仮面ライダー!」です。ボディーガードが複数なので複数形に直しましたが。

“悪魔の証明を強制してくるような人間には従うべきではない。そいつは大抵、視野の狭い馬鹿か足を引っ張りたい無能だからだ。”
 ……木月桂一の独白


第18話:We're ボディーガード!

 ウツカイによる、スクライブ誘拐事件。

 俺はこの写本の街についてからしばらく、この事件について追っているが、だいぶマズい事になった。

 

 攫われるスクライブの数が圧倒的に増えてきたのだ。

 もちろん、俺も調査兼パトロールで結構な数のスクライブを救ってきたが、それ以上にいなくなる数が増えているのだ。

 俺が一人救ってる隙に別の二人が別の地点で襲われるというレベルのハイペースだ。人手のなさはルーンドローンやG型、メガネウルでカバーして、一人の拉致の時間稼ぎはできるが、それでももう一人は攫われる。圧倒的に人手が足りない。

 

 俺一人じゃあどうしても限界があることを知ってしまった。それに、ウツカイ達が俺を見るなり逃げ始めるようになった。つまりこれは「拉致を妨害する存在がいること」がバレた証拠に他ならない。俺と出会ったウツカイは一匹残らず始末しているから、そこから情報は伝達できないハズなんだがな……

 

 まぁとにかく、このままじゃあズルズルと現状が悪化するのみ。早いところG型の情報整理を行い、援軍を要請したいところだ。幸い……この街に、きららちゃん達が来ている事はメガネウルの報告から把握済みだ。戦力的に申し分ない。早いところ、アイツ等に会って協力を取り付けるか―――

 

 

「……ん、G型、どうした?」

 

 

 G型が一匹飛んできて、映像を路地裏の壁に映写する。

 それは………大通りの店前で、タイキックさんがウツカイ軍団相手に孤軍奮闘する姿が映っていた。

 

「なっ……! おい、どこだコレは!?」

 

 G型に尋ねると、位置情報が表示される。それを秒で暗記すると、即座にタイキックさんの下へとダッシュした。

 目的地に辿り着くやいなや、タイキックさんに襲いかかろうとしたウツカイに飛び蹴り!

 

「ウツーーーー!?」

 

「タイキックさん!」

 

「父上!?」

 

 父って言うな。そう思いつつも周囲を警戒し、追加のウツカイが現れないか確認。………どうやら、今蹴り飛ばして消滅してったヤツが最後のようだな。

 タイキックさんに事情を聞いたところ……どうやら、メディとうつつと買い物に行ったところ、店の出入り口に待ち伏せされる形で襲われたという。幸い、うつつとメディは店の奥に避難してたみたいで、タイキックさんが呼び出すと、二人が恐る恐るといったようにやってきた。

 

「お…終わったの?」

 

「あっ、師匠(せんせい)! どうしてこちらに?」

 

「ちょうど巡回中の魔道具がウツカイと戦うタイキックさんを見つけてな。まぁ…助太刀は要らなそうだったけど」

 

「そうでもない。ローリエ、ギルドへの連絡はできるだろうか? 先程の件を報告しておきたくてな」

 

「OK、ちょち待ってろ」

 

 すぐにギルドにいるフェンネルに連絡すれば、「すぐに帰ってきてください」と連絡があり、その通りに俺達4人は帰還する。

 

 

「うぅ……ごめんなさい、みんな…」

「? どうして謝るのですか?」

「だって、私がいたから皆も襲われて―――」

「お前が呼び出したんじゃあないのだろう?」

「え……そ、そうだけど…」

「なら良い。お前はただの被害者だ。少なくとも、悪いヤツではない気がするよ」

「…………へんなやつ…」

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

「スクライブの誘拐数の増加ですか…」

 

「私のいないところで、そんな事が…」

 

「そ。今回はタイキックさんのお陰でどうにかなったがな」

 

 

 さっき起こった出来事と最近増えてる事件を合わせて報告したフェンネルとアリサは、難しい顔をした。

 ちなみに今、緊急的に集まった中には俺やメディやタイキックさん、うつつの他に、きららちゃんやランプ、マッチもいる。オッサンはというと、「部外者がメンドくせぇ会議に首ツッコむ訳ねーだろ」とどっかへ行ってしまった。同じ理由でエイダもいない。う~~~~む、相変わらず協調性のないオッサンだ。

 

 

「メディは一応ギルド長だ。攫われるのはマズいから、ボディーガードを追加するべきじゃないか?」

 

「ボディーガード? あの、私達は何をすれば…?」

 

 

 いまだ飲み込めてないきららちゃんに、今の写本の街の現状を伝える。

 4日前、スクライブの行方不明事件が発生しだしたこと。その正体が、ウツカイによるスクライブ誘拐事件だったこと。今日あたりから、攫われるペースが増えた事。お陰で……街にいる全スクライブの10%弱が、既に消息不明になっていること………。

 そこで、ギルド長のメディに新たにボディーガードに就いて欲しいという打診だ。既にフェンネルがボディーガードになっているが、その追加という形になる、と言う事も伝える。

 

 

「ボディーガードって言ってもまぁ…メディと行動を共にしてくれればいい。いざって時は力を借りるけどさ。

 細かいとこで質問があるなら、フェンネルやアリサに聞いてくれ」

 

「分かりました」

 

「二人も、それで良いか?」

 

「はい。つまり私はこれまで通りって事で良いんですね?」

 

「…………」

 

 あれ、アリサは快諾してくれたけどフェンネルからの返事がない。

 なんか不満かな?

 

「…わたくしには、承知いたしかねます。

 きららは構いません。ランプやマッチもまぁ……肉壁くらいにはなるでしょう」

 

「「肉壁!!!?」」

 

「ですが―――」

 

「ひっ!?」

 

「フェンネルさん!?」

 

 

 突然、ランプとマッチに辛辣なフェンネルがレイピアを抜いて剣先でうつつを示しながらプレッシャーを放ったではないか。

 刺さったらどーすんだ、危ねーぞ。だが、そんな事よりも、フェンネルの次の言葉がより辛辣に残った。

 

 

「住良木うつつ。貴方がメディア様にお近づきになる事自体、わたくしは認めるつもりはありません。アリサさんを付ける方がマシに感じます。

 単刀直入にお尋ねしますが―――貴方、ウツカイの仲間ではありませんか?」

 

「―――っ、」

 

「フェンネルっ!!」

 

 住良木うつつはウツカイと通じてんじゃないか―――

 その言葉にうつつ本人は息を詰まらせ、ランプがフェンネルを批難するように声を上げる。そして……フェンネルとうつつに割って入った人物が、ひとり。

 

「フェンネル…だったか。うつつが怯えている。剣を下ろせ」

 

 タイキックさんだ。普段の穏やかさを感じない凛とした顔つきで、フェンネルに警告した。

 

 

「…タイキック。貴方も記憶喪失、でしたわよね」

 

「そうだ。だがその前に……うつつはウツカイの仲間ではない。ただ狙われているだけだ!」

 

「タイキック…」

 

「どうしてそこまで断言できますの? 証拠でもお持ちで?」

 

「そんなものはない。私がうつつを信じる理由はただひとつ………『うつつは絶対に悪いヤツではない』『うつつはウツカイと同じなどではない』―――そんな気がするからだッ!!」

 

「え、えぇ〜……そんな理由で庇うのっ!?」

 

 

 フェンネルに根拠を問われても、ただただ己の意志を貫く一種の開き直りを前に、フェンネルやアリサはもちろん、疑われている本人のうつつでさえもドン引いている。

 当たり前だ。タイキックさんの理論は、理論ですらない、個人の感情だ。どの国の法曹でも証拠になり得ない。まぁ、それをここまで堂々と言えるのはあらゆる意味で立派だとは思うケド。

 

「……お話になりませんわね。住良木うつつがウツカイの仲間ではない根拠を、存在しないと断言するとは!」

 

 だが、フェンネルもフェンネルで少々頭に血が上っているようだ。俺からも、きららちゃん達の援護射撃をしなければな。

 

 

「落ち着け、フェンネル。『やってない証明』なんか出来る訳ないだろう?」

 

「何ですって?」

 

「うぅ……どうせ私なんて、裁判が始まる前から有罪……いや、死刑確定よ……」

 

「イヤ違うよ? うつつに限った話じゃあなくって、誰だろうと『やってない証明』『仲間ではない証明』なんか出来ないんだよ。その手の証明は『悪魔の証明』って言われてて、基本的に無理ゲーなんだ」

 

「「「「「「「!!!」」」」」」」

 

「本当にうつつがウツカイの仲間かどうかを確かめるには、()()()()『うつつがウツカイの仲間だ』って()()()()()()()()

 例えば……そうだな。たった今からうつつのボディーチェックをして、荷物からウツカイを呼び出す魔道具とかが出てくれば一発なんだが」

 

「先生ッ! あなたまでうつつさんを―――」

 

「疑っちゃいないよ。今のはただの例えだ。

 『現在進行形でうつつがリアリストの仲間だって証拠』が出てこない限り……俺は信じるつもりだ。

 ―――『疑わしきは罰せず』……法治国家(ほうちこっか)の基本原則だ」

 

 

 リアリスト共は確定的に有罪の証拠が出てきたから敵対するだけだ。ヒナゲシは他の仲間の名前・容姿、また過去の作戦について話してくれたからな。それも立派な証拠だ。ヒナゲシ自身の罪の立証準備も整っている。もちろん、それらが不当に処分・隠蔽されないような手も抜かりない。

 でも、うつつにはそれがない。証拠はまだないし、記憶もないから証言もできない。今判明しているのは、「うつつがウツカイに狙われている事」だけ。それだけでうつつを敵と立証することは不可能だ。

 

「ほうち……って何ですか?」

 

「アリサ、そこに引っかからんで良いぞ」

 

 まぁ、とにかく、だ。

 うつつの立場がはっきりしない以上、何とも言えないのだ。

 俺はうつつに向き直って……ちょっと、ビクッてしないの。何も取って食ったり(意味深)しないよ。君はまだ未熟なんだから。二重の意味で。

 

 

「うつつ。色々言ったけど………つまりだな。

 フェンネルの信頼を勝ち取るために必要なのは、()()だ。」

 

「行動…………」

 

「口だけじゃあダメってこと。まぁ…この手の説明は、俺達が行動で示した方が早いかなってね。」

 

「できるかなぁ……できる気がしない……うぅ、このまま貝になりたい…」

 

 

 伝わっているのかいないのか分からないな、ネガティブすぎて。でも、伝わってくれるといいが。いざって時にほんの一瞬でも、今の言葉を思い出してくれると助かる。

 そう思っていると、タイキックさんから声がかかる。

 

 

「ありがとうな、ローリエ」

 

「タイキックさん…何か、手がかりは見つかったのか? 自分の正体の」

 

「いや……さっぱりだ。だが、きららやランプ、うつつとの旅はなかなか有意義だぞ」

 

「おい、僕は!?」

 

「勿論マッチも大事な仲間だ。それに…こうして旅を続けていけば、少しずつ私の真実に近づいていくことができる……そんな気がするんだ」

 

「……そんな気がするだけか?」

 

「あぁ、そうだ」

 

 

 まぁ、タイキックさんの方は「そんな気がする」くらいでちょうど良いか。

 彼女も一応、証拠がないという点ではうつつと同じ立場の筈だが、その気配を一切感じさせないのは何なんだろうな。

 何はともあれ、信頼に値するかどうかを判断するには材料が要る。うつつにはきららちゃん達と一緒にボディーガードのサブミッション的な事をやらせてみるか。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 ……気が付いたら、きららと一緒にメディアとかいう超陽キャのボディーガードにされてた。

 その翌日から、メディアと一緒に行動して、ウツカイから守っている……けど、冗談じゃあない。フェンネルとかいう怖い人はまだ私を疑ってるし、そもそも私戦えないから守られる側の人間のはずなんだけど……。

 

 そうして行動している間、メディアがなんか妙に絡んでくるようになった。タイキックがなんだかんだ地味に気遣ってくれてるのか、急に近づかれることはないけど…それでも、なんか興味持たれてる。好きな食べ物は何ですかとか、好きな動物は何ですかとか、そんな事聞いてなんになるのってくらいの事を、四六時中、夕飯時でさえ、いっぱい聞いてきた。

 ……タイキックがいなかったら、メディアの質問の圧に潰されていたかもしれない。

 

 そん中で、メディアが気になる事を言っていたのを、寝る前のベッドの上で、まどろむ頭で考えていた。

 

『ひょっとしたら、聖典に書かれていないってことは、ソラ様の知らない世界かもしれません!』

 

 

 …もしかしたら、私の帰る世界、ちゃんとあるのかな…?

 私の…私の家………私の居場所……

 

 

「ねぇ…あんたに居場所があると、本気で思っちゃってるわけぇ…?」

 

「ふぇ? だ、誰……?」

 

 気が付くと、周りが真っ暗だった。そして、目の前に私と瓜二つの誰かがいた。そいつは見れば見る程私にそっくりで、でも目だけは別人みたいで。

 

「私は私。ねぇ、分かってるんでしょ?

 あんたの帰る世界なんて、ないんだって……」

 

 影から生まれたような私は、底冷えした声でそう言い放った。

 

「や、やめてよ……なんで、そんなこと言うの?

 ちょっと……ほんのちょっとでも、期待しても、信じてもいいかなって、思えたのに……!」

 

「ダメじゃん。信じたりなんかしちゃあ。そんなことしても、バカをみるだけなのに。

 周り…見てみなよ。あんたの行く先に道はなくて、誰も隣にいてくれやしない…」

 

 そう言われて周りを見る……けど、誰もいない。

 記憶がなくて、旅に出たときから一緒にいたみんなさえも、いない……!!

 

「あれ……? き、きらら?ランプ?変な生き物?タイキック? みんなどこぉ?置いていかないでよぉ……!!」

 

 やめて。やめてよぉ…

 これ以上、現実を突きつけないでよぉ…

 そんな事を思っても言葉に出来なくて。

 影の私が、呆れたようにため息をついて、こう言った。

 

「そりゃ、あいつらには帰る場所があるから。でも…あんたは違う。

 あんたの行きつく先は――――――ただの無よ。」

 

 

 いや。いや。イヤ。

 いやだ。そんなの、ぜったいに―――

 

 

「セイヤァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

「「!!?」」

 

 え!? ひ、人が降ってきた!!?

 気合い入りまくりの掛け声と共に降ってきた()()()は、私と影の間に着陸し、砂煙をあげる。

 もうもうとした砂煙が晴れた後に出てきたのは、タキシード姿のローリエと、露出度マシマシなバニースーツを着たメディアだった。なんでそんな服着てるのあんたら。

 

「なんなのよあんたら…勝手に割り込―――」

 

「メディ!」

「はい!」

「「レッツ・スペクタクル!!!」」

 

「聞きなさいよぉ!?」

 

 私ともうひとりの私を思いっきりスルーした二人は、手から何か丸い何かを上に放って………

 ………うわぁ!!? ど、どでかい舞台を召喚してきたっ!?

 

「ぐえっ!?」

 

 しかももうひとりの私が降ってきた舞台に潰されたーー!!?

 どこからともなくドラムロールが流れだす。何が起こるかてんで予想がつかない私に、メディアがウインクしながら微笑んできた。眩しすぎる。

 

 メディアがスティックを振るい、舞台のカーテンレールが開いた。するとそこから出てきたのは私とそっくりで意地悪な事を言う私自身ではなく、銀色のタマネギのような姿をしたナニカだった。ただ、目に宿る嫌な雰囲気だけはそのままに。

 

【挿絵表示】

 

 

「……??????????」

 

 何が起こっているのかが分からない。夢だから?

 だとしたらなにこの夢。疲れたから?疲れたからこんな夢見てるのかなぁ?

 

「な…なによこれぇぇぇ!!!?」

 

「お前は何もワカッていない……」

 

「も、元に戻しなさいよぉ!!」

 

「居場所とは…そこに辿り着くべく進む道とは、元々あるものじゃあなく、自分で切り拓くものだ」

 

 まったく噛み合わない会話を始めるローリエ。

 イヤ、言いたいことは分かるけど、私のそっくりさん(今は銀色たまねぎになっちゃってるけど…)の言葉にまるで返事をしていない。

 「道は切り拓くもの」って言ったローリエは、どこからともなく剣を取り出して、大上段に構えた。

 

「な、何をする気なの…?」

 

「お前には今から見せてやるよ。『道を切り拓く手本』ってヤツをなぁ…!!」

 

「イヤ!! ちょ、待っ―――」

 

大・魔・神・斬・り!!!!

 

 

 ズガァァァァァン!!!!

 ……と、空間すべてが震えるような一撃が放たれた。

 揺れが収まってからローリエを見ると、銀色たまねぎにされた私のそっくりさんは影も形も消えて、ローリエの目の前からまっすぐに、地面の破壊跡みたいなのがまっすぐ続いているだけだった。

 

 

「―――とまぁ、てめーをブッ飛ばした後に道ができるって寸法だ。よかったよかったってな」

 

「わ、私の偽物が死んだーーーー!!!!? ……ひゃう!?」

 

 

 そもそもアレは生き物なのかウツカイの仲間なのか、はたまた別のなにか違う何かなのか知らないケド、こんな事ある!!?

 困惑しまくる私の足に、いきなり冷たい感覚が襲う。その原因を見てみれば、さっきの銀色たまねぎが三匹積み重なったような魔物だった。でも気の抜けるような顔をしているから、なんだか怖くなさそう。

 しかも、落ち着いてよく見たら、なんか銀色の魔物がいっぱいいない!? ドロドロしたやつだったり、無駄にデカくて王冠かぶってるやつだったり………

 

 

「お、うつつ! そいつらレアキャラじゃあないか!」

 

「レアなの……よくわかんない……」

 

「倒せば経験値がたんまり手に入るモンスターだ!」

 

「経験値……?」

 

 

 こんな私でもレベルアップできるのかな? こんな、レベル1を下回ってマイナスに突入してるような私が?

 でも、この手の経験値モンスターって、倒すのムズくなかったっけ? 足が速くて、簡単に逃げられそうな気が……

 

 

「あぁぁぁぁぁ!!! メ○ルキ○グーー!!

 逃げるな! 逃げるな卑怯者ォォォォォォォォ!!!」

 

「そりゃ逃げるでしょ…」

 

「仕方ない、狙いを変えて………食らえ魔神斬り!!

 ―――しゃあ!! 会心の一撃ー!!!」

 

「ま、また逃げられてしまいました……ごめんなさい師匠(せんせい)!」

 

「大丈夫だメディ! 今そっちに行くから援護は頼む!

 一匹でも多くうつつの経験値にするぞ!!」

 

「はい!」

 

「……………」

 

 

 目の前で銀色モンスター狩りが始まっていく。

 私は動けない。怖さとかじゃなくって、単純に目の前で起こっている事の意味が1ミリも理解できなくて、どうすれば良いのか分からない。

 え、ホントにどうすればいいの? 手伝えばいい?っていうか手伝えることってある? そもそも、これは夢?現実?

 

 ………とりあえず、一つだけ分かったことがあるとするなら。

 それは、この二人に一応は助けてもらった………ってことだと思う。多分。

 




キャラクター紹介&解説

ローリエ
 フェンネルとうつつ&タイキックの間に入って、冷静に考えることを促した拙作主人公。現代日本の法曹の鉄則を用いてフェンネルに必要以上に疑うのを諫めたり、うつつが信頼を勝ち取れる方法を教えたりした。その一方でうつつの夢の中でメタル狩りをするなど、ボケキャラとしての地位を確立しつつある。

フェンネル
 うつつを現時点で信じていない八賢者。ひとえにメディアのため、ひいてはアルシーヴとソラの為だが、あやうく悪魔の証明を押し付けて無駄にうつつを疑うところであったことを思い知る。

メディア
 スクライブのギルド長を担う合法ロリ。師匠(せんせい)たるローリエへの好感度は高めだが、この後うつつに寝取られる(大嘘)。現実世界ではギルド長としての仕事をマジメに全うするだけだったが、うつつの夢の中でメタル狩りをするなどなかなかはっちゃける。あの先生にこの生徒ありといったところか。

住良木うつつ
 本来の悪夢のシーンは重要な場面のはずなのに、意味不明なギャグの洗礼を受けた子。自分自身の影を勝手にメタルキャラに変えられた上に倒されたことで経験値が入り、レベルアップ(笑)した。

タイキック
 フェンネルの疑惑に真っ正面から立ち向かったムエタイキックボクサー。自分自身もうつつにも根拠はないが、「そんな気がする」という感情だけで彼女を庇った。ローリエの心配にも大丈夫と返したりと、本作で割と重要な位置づけになりつつあるかもしれない。読者諸兄は今回の台詞をCVあやねる(クールのすがた)で再生できただろうか?

きらら&ランプ&マッチ
 読者諸兄おなじみの人の良さから、うつつを仲間と信じ切っている原作主人公トリオ。うつつの悪夢にいちはやく気付いて対処するが、まさか夢の後半が愉快な事になっているとは夢にも思っていない。



うつつの悪夢
 現実サイドは次回補足説明する予定。うつつ本人サイドから語ったが、どう考えても何者かの介入があった。
 原作ではうつつの悩みが影となって襲ってくるシーンの筈だが、作者の思い付きの為にうつつの陰には犠牲になって貰った。

スペクタクルショー
 ドラゴンクエスト9及び11に登場する連携技。敵全体を確率でメタル系スライムの群れに変身させる。この技で出てきたメタル系は逃げにくく、魔神斬りや一閃突きで倒しやすい。ただし、失敗してメタルハンター系に変わることもある上に、当然ボスには通用しない。
 きららファンタジアでは『ローリエ』と『メディア』、そして『きらら、ランプ、アルシーヴ、ソラ、うつつのうち誰か1人』がゾーンに入っていると使用可能(妄想)。

メタルブラザーズ
 『ドラクエ9』から登場した、メタルスライムがだんご3兄弟よろしく三匹積み重なったようなモンスター。経験値が多い。

はぐれメタル
 『ドラクエ2』から登場した、とろけた水銀のような姿をしたモンスター。経験値が超多い。

メタルキング
 『ドラクエ4』から登場した、メタルスライムの王様。経験値がウルトラ多い。

逃げるな卑怯者
 「鬼滅の刃」で主人公・竈門炭治郎が言う迷台詞。昨今ではとにかく逃げるヤツ相手に言うことが多い。



△▼△▼△▼
ローリエ「憑き物がひとつ落ちたみたいなうつつとメディ、距離が近づきつつあるみたいで何よりだ。オッサンも修行が捗ってると喜んでいた。だが、メディの演説中にウツカイが襲ってきやがった!」
うつつ「うわぁあぁぁぁぁ!こんなの逃げるしかないー!!」
きらら「襲い来るウツカイに対処する私達だったけど……それすら、敵の狙いだったなんて……!」

次回『スイセンの策謀』
きらら「次回もお楽しみに!」
▲▽▲▽▲▽

メディうつにタイキックさんを入れたことについてどう思う?

  • メディうつだけの方が良い
  • 新たな形になってて良い
  • 男だったら即死だった
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