きららファンタジア 断たれた絆と蘇る理想郷   作:伝説の超三毛猫

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今回のサブタイの元ネタは「銀魂」より「ジャンプの次号予告は当てにならない」からです。


“土地に明るいものの協力を得られなければ、地の利は得られない。”
 ……『孫子の兵法』より

2022/08/05:あとがきにて、シュールとシュナップの挿絵を追加しました。


第3章:げいじゅつのみやこ~対リアリスト共同戦線・始動編~
第24話:キャラットの次号予告は極まれに当てにならない


 メディとの夜会話の翌日。

 きららちゃん達は、次の街への旅支度を進めていた。

 何でも、次の行き先は“芸術の都”へ行く予定なんだそうだ。

 

 

「成る程ね……長旅になるぞ。馬車を使っても10日はかかるかも」

 

「めっちゃ時間かかるじゃん…その間お風呂とかどうすんのよぉ……?」

 

「あ、そこは大丈夫。こっから芸術の都まで中継地点にいくつも宿屋あるから、ほぼ野宿はあり得ないと思ってくれ」

 

「ならまぁ………10%くらいはマシなのかな…」

 

「おぉ、随分成長したじゃあないか。前は2%くらいだったのに」

 

「うるさいなぁ、タイキック………これ以上怖い目に遭いたくないの、分かるでしょ?」

 

「それもあるが……私の場合、それ以上に記憶の手がかりが一切見つからないのが謎だな。かつて私が何をしていたかを知っている者はここにもいなかった……」

 

「あ………ご…、ごめん」

 

「謝るな。うつつは何も悪くないだろう?」

 

 

 うつつが宿の心配をしていたので衛生上の心配を解決するために中継宿について話していたら、タイキックさんが話に混ざってきて、互いの手がかり談義になった。

 なんでも、うつつはクリエメイトかもしれない……そうじゃなくても、別の世界から来た存在の可能性が高いということが、メディとのやりとりでなんとなく分かったそうなのだが、タイキックさんの方の手がかりは一切掴めていないそうなのだ。

 

 

「何か掴めたら言ってくれ。どんな些細な事でもいい。何なら、毎日定期報告でも良いぞ」

 

「あ、あはは……でも、そうですね。何か分かりましたら、お伝えします」

 

「行ってきます、先生!!」

 

 

 手を振りながら、写本の街から旅立っていくきららちゃん御一行を、メディやフェンネル、アリサと共に見送ってから―――オッサンとエイダはいつの間にか帰っていやがったが―――俺はとある連絡先に通信を試みた。

 

 今回の事件、人手があまりにも少なすぎた。結果、スクライブをより多く攫われ、あまつさえ30人以上も敵の手に渡してしまった。これは非常に痛い。遺跡の街での大金星は、マジのラッキーパンチだったという事を痛感させられた以上、人手を確保しなければならない。

 幸い……俺には、『ツテ』に心当たりがある。関わりがあって、多くの人々がいて、そして戦力も存在する。そんな、組織の存在を。

 

 

「きららさん達、行ってしまいましたね…」

 

「俺も俺でアイツらに協力仰がないと」

 

「協力者ですか? それは…どなたに連絡するおつもりで?」

 

「ユミーネ教」

 

「「「!!!?」」」

 

 

 ―――そう、ユミーネ教の事である。

 ユミーネ教とは……言ノ葉の樹・根本の街で生まれた新興宗教のことだ。『オーダー』で布田裕美音ちゃんが召喚され、彼女がそこでBLを布教したことで誕生。ノンケどころか腐の理解者さえも引くレベルで爆発的に信者を増やし、今や大きな教団と化している。

 俺はそんな腐った宗教とどんな関係かと言うと、神殿内とユミーネ教の橋渡しを担っていたりする。『オーダー事件』で色々あった結果、裕美音本人からBLの保護を頼まれてしまい、断るワケにもいかなかったので、保護せざるを得なくなった。その結果、ユミーネ教徒からはかなりの信頼を得ることに成功した。

 

 ………正直、嫌なコネクションだと思ったが…人生、どこで何が役に立つか分からないな、オイ。

 

 

「まさか……そんな巨大な組織から協力が得られると!?」

 

「果てしなく壮大なお話ですわね…」

 

「メディとフェンネルは確か、近いうちに写本の街を離れるんだってな?」

 

「はい。スクライブの警備を強化してから、になりますが…」

 

「そういう事なら……神殿に通信機で応援を要請すると良い。メディのネームバリューなら速攻でアルシーヴちゃんかソラちゃんに繋げるはずだ」

 

「い、良いんですか? 師匠(せんせい)……」

 

「勿論だ。もしかしたら、また奴らがスクライブを狙ってくるかもしれないしな………そう言っておけば、二人とも納得してくれるだろう。

 それに、会談は写本の街で行われる以上、しばらく俺も街に留まれるから、会談後ならちょっとは手伝えるかもしれない」

 

 

 メディとフェンネルはスクライブの警備強化の為にしばらく街に残り、その後は奥義書の真の秘奥義を手に入れるために街を離れる。スクライブの警備には………しばらく俺もいるが、その後は神殿から応援を送って貰おう。シュガーソルト辺りが割り当てられるだろうか?

 俺は俺で、協力者予定の組織を出迎える為に、予定の整理をしなければ。今日はまる1日『レント』の実験に使うとして………

 

 

「アリサ、お前はどうする?」

 

「えっ?」

 

「スクライブの見学でここに来たとは言ったけどよォー、あんな事があった以上それどころじゃなくなっちゃったんじゃあないか?」

 

 

 アリサの予定を聞いてみた。

 彼女はもともと、スクライブの職業見学に来ていたのだが、こんなことになっちゃって、予定もさんざん狂ってしまったことだろう。

 アリサはその問いに対して、ちょっと悩むそぶりをしてから、こう答えた。

 

 

「じゃあ、先生のその会談に参加してもよろしいでしょうか?」

 

「…いいのか?」

 

「レポート自体はもう完成しているので、あとはアルシーヴ様に通信で送ればいいんです。

 ですので、同行する事を報告さえしておけば、許可は出してくれると思います」

 

「……そうですわね。ローリエは単独行動が制限されているので、アリサがいてくだされば心強いですわ」

 

「フェンネルお前、俺のことをなんだと思ってるの?」

 

「あらゆる女性を毒牙にかけようとする世界の敵、でしょうか」

 

「ひどくない!!!!?」

 

 

 フェンネルからすごく不名誉な風評被害を貰ったこと以外は順調そうだ。今回、代表者が写本の街まで来てくれるとの事なので、アリサがドタバタになる必要はない。まぁ、ちょっとは気楽に待てるかもな。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇◇

 

 

 

 

 

 ―――翌日。

 俺はアリサ・メディ・フェンネルと共に、街の入口にやって来たユミーネ教の協力者を出迎えた。

 

 協力者の姿を説明しよう。

 まず…子連れの夫婦。奥さんは紫がかった黒の髪を背中の真ん中辺りまで伸ばし、糸目と柔らかそうなもち肌のほっぺについた一筋切り傷、そして泣きぼくろが特徴的な、おっとりした清楚な人だ。

 旦那さんの方は、うすい金色?の髪を後ろで縛ったショートに近い髪型をしており、3歳くらいの娘を抱きながら笑う姿は、何となく頼りない印象を与えた。でもまぁ、三人とも()()()()()()()()()

 で、その後ろについていた、三人のお供は………なんというか、説明したくない。少年の髪型と言い、残り二人についてる犬耳やアヒルのような口と言い、おそらく新入りだろうが、既視感が………やめよう。藪蛇はゴメンだ。

 

 と、とにかく、知ってる方を紹介するとこから始めよう。

 

 

「メディ、アリサ、フェンネル。こちらは、ユミーネ教直属の傭兵団の団長である、シュール・ストレミング。そしてこっちが、その旦那で傭兵団副団長のシュナップ・ストレミング。娘はアンシーと言う。

 シュール、シュナップ、こちらはそれぞれ、スクライブギルド長のメディア、八賢者のフェンネル・ウィンキョウ、そして俺の助手のアリサ・ジャグランテだ」

 

「シュールです。こうして面と向かってお会いするのは初めてですよね。よろしくお願いします」

 

「初めまして、スクライブギルド長のメディアです。この度は師匠(せんせい)……ローリエさんの応援要請を受けて下さり、ありがとうございます」

 

 シュールが優雅に、そして物腰柔らかくメディに握手を求め、それにメディが笑顔で応じる。

 

「しゅ、しゅ、シュナップです! 妻と娘共々、よろしくお願いします!!」

 

「こんちはー」

 

「緊張なさっているのですか??」

 

「はーい、こんにちわー」

 

 シュナップの握手に応じたのはフェンネルだ。緊張でガチガチになった手をフェンネルが取った。シュナップの奴、いちおう結婚してやる事やってるハズなんだけどな。この動揺はなんなんだ。

 その一方で、アンシーの小さな手を笑顔で取ったのはアリサだ。子供相手だということを理解しているのか、壊れ物を扱うように慎重に、優しく手を繋いだ。

 

 この3人……シュールさんとシュナップさんは、俺が神官だった頃……八賢者になる前からの知り合いだ。何でも、お互い傭兵で、戦場で知り合ってからスピード婚に漕ぎつけたらしく、俺が出会った時にはもう夫婦だった。両親のベルベット・パートナーズの仕事を通して知り合って以降は、文通やら何やらで交流のある人たちだ。久しぶりに元気な姿を見る事が出来て嬉しいぜ。

 

 

 

 その後、立ち話も何だからとスクライブギルドの応接室に6人を通して、話を始めようとしたところで。

 

「ところで…そちらの3人はどなたなのでしょう?」

 

 恐れ知らずのフェンネルが、俺にとってはデジャヴしかない3人についてシュールに話を振りやがった。

 俺としては出来れば触れたくなかったが、触っちゃったモンは仕方ない。止めるワケにもいかず、俺はシュールの返事を待った。

 

 

「彼らは数年前に入団した団員です。古株と遜色ない実力の、新進気鋭の精鋭なんですよ。3人とも、自己紹介を」

 

「はい、わかりました!」

 

「イヤー…イヤーイヤンヤン駄目駄目駄目ダメだめだぁめェ!」

 

 シュールの声に促され、真ん中の少年が声を上げた。そして、少年が残り二人とも目配せをする。全体的に跳ねっけのある髪型と、彼の背負う鍵……つまり昭和・平成の金属鍵を彷彿とさせるような、特徴的な剣が目に入った時点で、もう嫌な予感しかしなかった。

 

 

「初めまして、皆さん。ダイチです!」

 

「アウトぉ…」

 

 続いて、少年―――ダイチより背の高い、犬耳の青年が一歩前に出た。獣人族なんだろうが…背負ってる武器が盾しかないのは何故だ? わざとか?わざとなのか?

 

クーシィーだよ!」

 

「ツーアウトォ…!」

 

 最後に、杖を引っさげた、背の小さめなアヒル口の少年が前に出た。その小生意気な表情と雰囲気といい、腕から手にかけて出ている、鳥系の獣人族の特徴たる白い羽といい、もう狙ってるようにしか見えない。

 

ロナウドさまだ!」

 

「スリーアウトッッ!!」

 

 もうチェンジしてくれコイツら!!!

 だーーーーめだってコレ、やりすぎだと思うよ!?

 流石の俺もキン○ダ○○ーツは『レント』してねーぞ!? 思いつかなかったのもあるが、思いついてもやらなかったと思う!

 いくらなんでも、こんな、こんなパクリの化身みたいなのオ○エン○ルラ○ドの人たちにバレたら99.99%訴えられるだろ!?

 世界の根源を揺るが(れんさいつぶ)す気か!!!

 

 

「…先生、大丈夫ですか? 顔色が真っ青ですよ?」

 

「………大丈夫だ、問題ない」

 

「問題ないって顔じゃないわよ、ローリエ。

 ドリアーテ事件の時みたいにまた一人で黙って無茶してるんじゃあないでしょうね?」

 

「悪かったってシュールさん。

 あの事件は終わるまで箝口令が敷かれてたって言っただろ?」

 

 

 シュールさんに口酸っぱく、抱え込んでいるのを注意されたが、ドリアーテの一件はそうせざるを得なかったくらいにはヤバい事件だったのだ。

 女神が呪われるなど、そう簡単に言えるものか。だから、全てが終わってからでしか話せなかったのだ。きららちゃんにギリギリセーフな方法で伝えられたのが例外だからな。

 

 

「それで、あの………僕たちを呼んだ理由は何なんです?」

 

「! そうだなシュナップさん、それが用件だったな。

 良いですか、皆さん。これから話すのは、今起こっている事件の事なんだが―――」

 

 

 シュナップさんが軌道修正してくれた事を切っ掛けに、俺はストレミング夫妻とアウトな3人衆に、今回の事件について話せる所を話した。

 聖典を否定する集団があること、ソイツ等が「リアリスト」と名乗りテロを行った事、遺跡の街と写本の街における被害、そして……

 

「トップと幹部候補はコイツ等になる」

 

「…随分と多いわね。もしや、もう既に全員分の情報が手元にあるというのかしら?」

 

「あぁ。と言っても、写真を用意できたのが5人だけな上、他のメンバーは名前と外見、そして二つ名しか判明してないのが申し訳ないが……」

 

「ちょっと待ちなさい、ローリエ。わたくし、聞いておりませんわよ? リアリストの全員分の素性がとうに割れているなんて……」

 

「まだ説明の途中だ、フェンネル。

 このうち、ヒナゲシ………この少女はもう逮捕済だ。こうやって出した情報も、ヒナゲシから聞き出したモノだ。捜査協力で減刑を考えてやるって言ったら、アッサリ教えてくれたよ」

 

 

 本当は飯テロ拷問で得た情報だけどね。

 尚、裏は取ってある。というか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。だから、リアリストのトップと幹部の情報をはじめ、ヒナゲシから得た情報にウソはない。

 

 

「情報の正確性は?」

 

「俺の魔道具を仕込んである。ウソや誤魔化しを探知出来るヤツな。当然、ヒナゲシ本人は知らない」

 

「…成る程。それなら大丈夫そうね」

 

「またこの男はわたくしの知らぬ間に何か仕込んで……」

 

「さて、本題に移るんだが……シュールさん、シュナップさん。貴方がたには……このリアリストを倒す為に力を貸していただきたい。

 具体的には、傭兵団の皆さんには、リアリストの襲撃予想地への諜報活動、そして戦闘発生時の出撃。教団の方々には、情報収集と発信をお願いしたいのです」

 

 

 そう。ユミーネ教や傭兵団には、情報収集及び諜報活動をやってもらいたいのだ。

 戦いにおいて情報とは、重要なファクターなのだ。『孫子の兵法』でもさんざん取り上げられ、地球上の歴史において勝利の美酒を味わい、天下を獲った武将たちは皆情報戦を制していたと言っても過言ではない。

 まぁ…リアリストが現段階で直接蜂起したとかではないのだが……それでも、今のうちに手を打っておくことに間違いはないはずだ。

 

 

「質問いいかしら?

 教団員には情報収集と発信をお願いしたい、と言ってましたけれど……具体的な方針は決めていますか?」

 

「新聞社を作ってもらいます。

 我々や傭兵団が集めた様々な情報……それを発信するための拠点として、新聞社という形をとり、リアリストの機密を始めとした情報を執筆・発行・印刷をして欲しいのです。

 こうすることで、奴等の侵略や反社会的行動をいちはやく察知できると思ったんだ」

 

 

 教団員の具体的な仕事の方針に、頭に手を当てて考え込むシュールさんとシュナップさん。これには、更に教団側にはメリットもあるのだ。

 ―――教団員の中に一定数いる、定職のない人々への職業の斡旋だ。働く意欲さえあれば、彼らの報酬は期待できる。

 

 

「あの、ローリエさん。

 報酬とかって、何か用意はしていますか?」

 

「そうだな……まず、新聞社の収益の九割。これは、リアリスト対策以外での、普通の新聞の売り上げも含めます」

 

「き、九割!?」

 

「あー……やっぱり足りませんよね、シュナップさん。

 分かりました、それとは別に、報酬の支払いを神殿から行えるように交渉します。それと、交通費と武具の調達にかかる費用についても―――」

 

「そうじゃありません!

 ここまで良心的な条件は聞いたことがないんですよ!」

 

「え?」

 

 

 報酬に不安はあったが、ダメ元で出した報酬に良心的と言われた事で、理解するのに時間がかかってしまった。

 そ、そんなに譲歩した覚えはないぞ、俺?

 戸惑いながらフェンネルやメディに目配せをすると、フェンネルが口を開いた。

 

 

「あのですね、ローリエ。傭兵とは、言ってしまえば『金で買うことのできる戦力』なのですわ。金を払えば仕事をしてくれるとは言いますが、より多くの金を積んだ方に裏切る傭兵なんて当たり前。社会的な信用は、決して高くはありません。

 傭兵団に仕事を斡旋する上に、その収益から1割ほどしか頂かないなど、破格にもほどがありますわ」

 

「そうなのか……だが、俺はこの条件を撤回する気はない。

 それに、今回のリアリストの一件だが、ユミーネ教にとっても決して対岸の火事ではないんだよ」

 

 

 傭兵の意外なる信用のなさに内心驚きながらも、最初に出した条件を撤回する気はないし、ユミーネ教についても重要な話であるのだ、今回の交渉は。

 奴らは『聖典の破壊』……つまり聖典の思想を否定して破壊しようとテロを企てた。現にヒナゲシは「聖典なんか嫌いなの(意訳)」って言って、ウツカイ共に殺戮と略奪をしてたしな。もし、このまま奴らが力を持って、権力を取ってかわられた場合、何が起きるのかということだ。

 

 

「アイツらが目指すのは聖典が否定された世界………つまり、聖典を燃やすような世界なんだ。

 シュールさん、ユミーネ教の教祖・ユミーネ様の本名って何だい?」

 

「それは勿論、布田裕美音様…………! 成程、そういう事ね…!」

 

「え? え? シュール?」

 

「団長、つまり、どういうことなんですか?」

 

「せ、先生…これはどういう流れなんですか?」

 

 

 シュナップさんやダイチ、アリサはまだ分かっていないようだが、シュールさんは俺の言わんとしていることが分かったようだ。他にも、メディやクーシィー、フェンネルも察しが付いているといった様子だった。

 

 

「ユミーネ様の教えも弾圧される………その可能性を示唆したいのね」

 

「その通りです。聖典から生まれた思想ですからね……彼女を崇める事自体が悪とされてしまうかもしれません。最悪、そこから生まれたBLというジャンル自体が弾圧されることでしょう。

 そんな時代になったが最後、腐女子たちの生命がどうなるかなど、想像に容易い。焚書に拷問、無秩序な処刑………それが当たり前に繰り返される地獄が生まれる」

 

 

 その実例は、このローリエ(木月桂一)の頭の中に、歴史の記憶として残っている。

 秦の始皇帝による儒家への焚書坑儒、ネロ帝によるキリスト教徒大虐殺、徳川幕府に反抗した島原の乱……俺のいた地球の例を挙げだしたらキリがない。

 俺の予知みたいに断言した最悪の未来図に、シュールさんとフェンネル以外の面々が青ざめる。

 

 

「………そんな世界はよろしくないわね。私の推し…じゃない、信仰が破綻する。

 断固反対しなくてはならないわね」

 

「そう言う事です。…どうでしょう、シュールさん。

 報酬の話も出しましたし、共通の敵を倒すため、どうか手を組みませんか」

 

 

 俺のさし伸ばした腕で、握手を求める。

 シュールさんはそれを見て………俺の握手に答えるように手を取った。

 

 

「分かりました。お互いの明るい未来のため、我々ユミーネ教は、力をお貸しするわ。

 …言っておくけど、提示いただいた報酬が破格なのは事実よ?」

 

「ありがとうございます、シュールさん…………ありがとう」

 

「もう、畏まらなくたって良いのに……私達と貴方の仲なんですから」

 

 

 同盟の完成に、素直にお礼の言葉が出た。

 清楚な顔を人懐っこい笑顔にして、シュールさんは俺にそう呼びかけたのであった。

 

 

「…………ローリエ、貴方まさか、人妻に…」

「フェンネル、えっちな妄想はそこまでだ。俺はNTR(ねとり)に興味はない」

「えっちな妄想をしてるのはどっちですか!!まったくもう…」

「シュールは僕の妻ですからね」

「そう言う事。俺が初めて出会った時から夫婦だったんだよね。確か初対面が5年前だから…それ以上か」

 

「あ、あの、シュールさん、シュナップさん!お二人は何年前にご結婚を!?」

「そうねぇ…7年は経つんじゃないかしら?」

「今年で9年目だよ、シュール」

「キャー! そ、そんなに経ってるんですね! あのあの、夫婦生活とか聞いても良いですか?」

「あ。ずるいですアリサさん! 私も聞きたいですよ!」

 

 

 ……なぁ、メディ、アリサ。君ら地味に結婚生活に食いつくじゃあないの。恋バナか?恋バナのつもりなのか?

 

 なお、この後はシュールやシュナップ、ダイチ達との交流を深める時間と相成ったのであった。

 

 

「シュールさん、ユミーネ教に所属しているってことは…」

「あら、気になる? ユミーネ教は教徒募集中ですよ。メディア様も見ますか?」

「シュールさん、子供に過激なモノを見せないでください」

「あら、つれないわねぇ。ちょっとくらい良いじゃないの」

 

「…!!? ………!?!?!?」

「フェンネルさん、どうしたんですか。信じられないものを見たって目で妻を見て」

「え、えと……シュナップさん、シュールさんは……その、BLを好む、のですか?」

「ええ、もう。結婚しているのにハマって、娘もできたのに活動に積極的ですからね………教団内からは『貴腐人』なんて呼ばれちゃってます」

「き、ふ、じん―――????????」

 

 

 シュールさん、腐女子趣味をメディに見せるのは止めてくれ。純粋なアリサも見てるでしょうが。

 あとフェンネル、どんまい。シュナップさんの言う事に間違いはないからな。俺も『ドリアーテ事件』後にBLにハマったシュールさんの事を手紙で知った時は今やってるみたいな宇宙猫の顔をしたもんだ。

 

 

「あ、そうそう。ダイチにクーシィーにロナウドって言ったっけ?

 あのさ、一応…ホントに一応聞くだけなんだけど……君達の知り合いに、ネズミの王様とか、いないよね?」

「え? …いや、いないけど」

「何言ってんだ、オマエ」

「そんなピンポイントな事聞くなんて、面白いね」

「…そっか……覚えがないなら、いいんだ…」

 

 

 ちなみに、例のアウトすぎる三人衆だが、キングオブアウトは犯していなかったようだ。ダイチ君のキー○レー○っぽいヤツも、贔屓にしている鍛冶師に打ってもらった力作だそう。

 この三人にやばすぎる既視感を持っているのは俺だけのようだし、気にしすぎない方が良さそうだ………うん。

 

 




キャラクター紹介&解説

ローリエ
 文通でやりとりしていた知り合いと、久しぶりに対面で会えた拙作主人公。シュールやシュナップとは前作の時点でもう知り合いだったが、話に一切出てこなかったのは最近生えてきた設定だから………ではなく、アルシーヴに箝口令を敷かれていたから。真っ先に口止めをされた以上、事件関係者以外にドリアーテの件を話すワケにはいかなかったのだ………ホントダヨ?

メディア&フェンネル
 もうすぐ写本の街を離れるが、その前に写本の街の警備を整える必要があったため、ローリエとシュールの会談に立ち会うことができたスクライブギルド長&八賢者近衛兵。メディアはシュールやシュナップと仲良く出来たが、フェンネルはシュールのBL道の貫徹っぷりが理解しきれずに宇宙猫と化す。

アリサ・ジャグランテ
 前作のローリエのタッグが復活した現女神候補生。前作までの境遇の都合上大人びてはいるが、人妻の結婚のいきさつが気になるくらいには少女である。結婚願望は人並みにあるが、じゃあ誰ととなると、まったく決めていない。だって周りにマトモな男の人がいないから。

シュール・ストレミング
 ユミーネ教直属傭兵団の団長を務める女騎士。フェンネルのキリッとした印象とは正反対に、おっとりとして清楚な雰囲気を持っており、細目・紫がかった黒髪・泣きホクロを特徴としている。その一方で、結婚して出産も経験しているにも関わらずBL活動を積極的に行い、こよなくそれらを愛する様子から、教団員と傭兵団員の中では『貴腐人』と尊敬されている。そのため、見た目に反するカリスマに満ちている。
イメージCVは茜○日○夏さん。名前の由来はご存知シュールストレミングから。

【挿絵表示】


シュナップ・ストレミング
 シュールの夫にして、ユミーネ教直属傭兵団の副団長。頼りない第一印象そのままに、臆病でヘタレ。結婚したことで少しはマシになったそうだが、根っこの弱虫っぷりは健在。傭兵として生き残れたのも、運が良かっただけだと思い込んでいる。妻の趣味に理解を示しているが、別にBLは好きではない。
イメージCVは石○陽○さん。名前の由来はシュールストレミングの生まれた国で生まれた酒・シュナップスから。

【挿絵表示】


アンシー・ストレミング
 シュールとシュナップの娘。現在3歳で、両親と共に暮らしている。傭兵団の皆とも仲良くしているが、たまにBLへの情熱が怖すぎて泣いてしまうことも。

ダイチ&クーシィー&ロナウド
 どうあがいてもアウトな姿をした、ユミーネ教直属の傭兵団員。新進気鋭で実力は確からしい。ただ、別にBLが好きとかではないようだ。名前のモデルは言わずと知れたキングオブ著作権のゲームの主人公&その仲間たち2人。今回のボケの為だけに生まれたキャラと言っても過言ではないので、これ以降ガッツリ話に関わるかは不明。
イメージCVは少なくとも入野さんと宮本さんと山寺さんではない。



△▼△▼△▼
シュール「同じ敵と戦うもの同士、よろしくね。仲良くしましょ、アリサちゃん」

アリサ「はい、こちらこそよろしくお願いします」

シュール「新聞社を作るってなった以上、写本の街に拠点を作る必要があるわね。他の団員を呼んでくるわ」

アリサ「あれ? あそこにいる男の子、額に宝石をつけてますけど…」

シュール「……あぁ、彼ね。ウチのメンバーよ。悪い子じゃあないんだけど…ね」

次回『ツンデレショタに悪い奴はいない』
シュール「次回もお楽しみにね♪」
▲▽▲▽▲▽

オリキャラを増やす事についてどう思う?

  • 私は一向にかまわんッッ
  • やっても良いけど、背景しっかり描写して♡
  • もうお腹いっぱいだわ!
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