きららファンタジア 断たれた絆と蘇る理想郷   作:伝説の超三毛猫

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 今回のサブタイの元ネタは、再び「銀魂」より、「天然パーマに悪い奴はいない」からです。

“弱者は時に、己の弱さを理由に、強い奴の内面を無視して、叩こうとする。”
 ……木月桂一/ローリエ・ベルベット

2022/08/06:あとがきにて、ロシンの挿絵を追記しました。


第25話:ツンデレショタに悪い奴はいない

「いやぁぁぁぁぁあああああ!?!?!? で、出たぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「うるさいわよシュナップ、ゴキブリくらい何よ、ただの虫じゃない」

 

「なんでそんなに平気な顔してんの!!? だって…だってゴキ―――」

 

「喧しい。作業の邪魔だから引っ込んでろ。Gなら俺が始末する」

 

 

 ユミーネ教との会談の後。

 早速始めた、廃屋のリフォーム作業中にシュナップさんが悲鳴をあげ、黒い虫がカサカサと床を走る。シュールさんは平気な顔して作業を進め、俺は仕方なくG叩き棒を即席で作り、それを持って振り下ろす。蠢く虫をあの世に送った。

 

 ―――何故リフォーム作業をしてるかというと、俺の仕事斡旋の準備として、使われてなかった建物を『ユミーネ教管轄の新聞社支部』にするためだ。

 シュールさんに付き従ったユミーネ教徒達やダイチ達、夫妻やアリサ、メディにフェンネルまで手伝ってくれて、あっという間に完成間近にまで漕ぎつけたのである。ちなみに、アンシーちゃんは先に備え付けたベッドでお休み中だ。

 

 そこで黒光りするGが現れて、さっきの光景となる。

 まったく、情けないったらないぜ。本当に既婚者かよ?

 

 

「だ、だってぇ…無理なものは無理なんですもん…」

 

「い、意外でしたね…シュナップさん、虫苦手なんですか?」

 

「一般的な女子が苦手なモノは全部駄目って思ってくれていいわよ」

 

「シュールッ!?!?!?!?」

 

「だって事実じゃない」

 

 

 …そうなのだ。シュナップさんは、本当に傭兵団の副団長なの?ってくらいに、苦手なモノが多いのだ。

 虫全般は当然ながら、お化けも駄目、見た目グロテスクなやつも駄目、血も駄目ときた。傭兵団なら血は慣れてるんじゃ、とは思うが、本人曰く「何度見ても慣れる気がしない」とのことで。

 

 

「しかし、これ全部印刷機ですか……良いんですか、メディア様?」

 

「大丈夫ですよ。ここは写本の街。印刷関係のモノはひととおり揃っていますし、埃をかぶっているモノも多いのです。それを教団の方々が使ってくださるとなれば、それは道具にとっても嬉しいんじゃないかと思います」

 

 最後の印刷機(俺が想像するような現代的なヤツじゃなくって、いわゆる活版印刷って呼ばれるヤツだ)が搬入されて、部屋が完成する。

 あとは人が入って営業が始まれば、新聞社の完成だ。

 

「ところで、シュールさん」

 

「なに?」

 

「新聞社の名前、決めてたりしますか?」

 

「いいえ、まだだけど…?」

 

「俺も一応考えたので、ちょっと見るだけ見てみてください」

 

「なになに……『文々。新聞(ぶんぶんまるしんぶん)』…『花果子念報(かかしねんぽう)』…『NERV(ネルフ)』…『サイファーポール』……

 ねぇ、ローリエさん。貴方、ネーミングセンスが独特だって言われた事ない?」

 

「ないな」

 

 シュールさんに、新聞社名案で版権ネタを振り、どれか採用してもらえるように粘ったが、あえなく全部ボツになってしまい、社名も無難に『エトワリアン・ニュース』になってしまったけど。……残念だ。

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 新聞社の内装が完成した後。

 シュールさんが、転移魔法でどこかへ転移していった。

 先生曰く、ここで働く仲間を連れてくるんだって。

 そう言われたので待つこと数時間。シュールさんが、多くの人々を連れて写本の街に戻ってきた。みんなが皆、シュールさんの頼みでやって来た人々なんだそう。

 

 

「皆さん、お忙しいでしょうに、ありがとうございます、なんか……」

 

「良いのよ。こいつら仕事が見つからなくてニートしかやれなかったような連中だから」

 

「そりゃないっすよシュールさん!」

「そうだそうだ!」

「私は軍資金が欲しいだけですって!」

 

「…メチャクチャ言ってますが?」

 

「問題ない。金が欲しい奴には金を渡せば良いんだからな。労働報酬で」

 

 

 先生がこんなところで気前が良いのは意外だ。

 傭兵団やユミーネ教徒の方々に、どうしてそこまで手厚くするのか尋ねてみたところ、「オタクはとにかく金がかかるし、人は俗物だ」……とのことで。オタクってのが何か分からなかったけど、確かに人は俗物なのかもしれない。

 シュールさんの呼びかけで集まったのは、先生と同年代かその上下の女性の方々が多かった。ユミーネ教徒の方々は勿論、傭兵にもちらほら男の人がいたとはいえ女性が多かった。シュールさん曰く「みんな同じものを好む腐人(どうし)よ」とのこと。詳しく聞こうとしたら、先生とフェンネルさんに止められた。

 

 とにかく、シュールさんが呼んできた助っ人の方々は大人な人が多かったんだ。だから、その中に私と同年代くらいの男の子が混じっていたら、目立ってすぐに気づくのは当然だった。よく見ると、あの男の子は狐耳の生えた髪を二つに分けた額の真ん中に、何か宝石が埋め込まれているのが見えた。

 

 

「ねぇ、シュールさん、先生。あの男の子…」

 

「おー、ロシンも来てたのか」

 

「えぇ、『私の力になりたい』なんて言ってね。あの子はもっとこう、同年代の子がいいと思うのにね…」

 

 先生とシュールさんは、あの男の子について何か知っている様子だ。

 

「お二人とも、知ってるんですか?」

 

「あぁ。ロシンって言ってな。

 俺がまだ八賢者になる前、シュールさんと一緒に助けた宝石獣(カーバンクル)の獣人だ」

 

「カーバンクル……授業で聞きました。

 かつて、額の宝石目当てに乱獲されて、絶滅が心配されている種族だって。数年前に宝石獣(カーバンクル)の里で乱獲があったって事件は衝撃的でした」

 

「そうだ。アイツはその生き残りだよ。

 言っておくけど、その辺の話題は振るなよ? ロシンにとっては、何よりも忘れたい地獄だ」

 

「わかってますって」

 

 

 流石に初対面の人の地雷を踏みに行くようなマネはしませんよ。

 山奥の呪術師の頃に養った、人当たりの良い笑みを浮かべながら、ロシン君に近づいていく。

 

 

「こんにちわ! 貴方も、シュールさんのお手伝いに来たの?」

 

「!? ……おう。まー、そんなところだ」

 

「私、アリサって言うの。よろしくね」

 

 

 手を差し出して、握手を求める。

 いきなりあいさつをされて、目を見開いていた彼は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――ばちんと、私の手を払いのけた。まるで、ハエでも追い払うように。

 

 

「よろしくする気はねぇ」

 

「は……………はぁ~~~っ!?!?」

 

 なにこの人!ムカつくんですけど!?

 いきなり人の手を払ったロシンは、そのままどっかへ行ってしまった。

 初対面のリアクションに信じられなかったけど、何をされたか理解していくにつれ、腹が立ってきた…………今度アイツに会ったら、風魔法でもブチ込んでやろうか!?

 

 

「コラ、ロシン!! 待ちなさい!」

「ごめんなさいアリサちゃん!大丈夫!?」

 

 

 シュールさんとシュナップさんがやって来る。彼女がロシンを叱るが、彼の去る足は止まらない。

 私の手を取り、はたかれた部分を見ているシュナップさんに続いて、先生もやってきた。

 

 

「あらら……アイツ、まだ『友達』は作れねぇか」

 

「本当にごめんなさい……ロシンは悪い子じゃあないんですけど…」

 

「…私、久しぶりにロシンをシバき倒してくるわ」

 

「シュール!?……あぁっ、行っちゃった……」

 

 

 シュールさんが険しい顔でロシンを追いかける。

 シュナップさんと先生が何か話しているが、私は彼への興味を失ってしまった。

 だって、あんな失礼な人だと思わなかったんだもん!

 私、山奥に住んでたものだから、都会の常識とかつい最近慣れたばっかりだけど、なにをどうしたら握手を求めた人の手を払うようなマネができるの!?

 流石にアレはどんな人でも怒っていいと思う!!

 

 

「早速はねのけられたな」

 

「あんな失礼な人だとは思いませんでした!!」

 

「まったく、俺と出会った時と変わんねーな」

 

「…そうなんですか?」

 

「おう。俺とロシンの初対面は酷かったからなー。殴り合いのケンカに発展したし。まぁ俺が叩きのめしたけど」

 

「…………仲良くする気ありました?その時」

 

「…仕方ないよ。ロシン君は…乱獲の時、友達に裏切られてるんだから」

 

 

 先生とロシンの初対面の挨拶(肉体言語)の話をブッ込まれて、なんで今仲良く出来てるんですかと訊こうとしたところで、シュナップさんから気になるワードが出てきた。

 狩りに遭ったってのはさっき聞きましたけど、友達に裏切られたって何ですか?

 そう尋ねると、シュナップさんは悲しそうな顔で教えてくれました。

 

 

「彼ね………誰にも見つからない秘密基地に、家族や仲間を匿ってたんだって。

 そのままなら見つからなかった筈らしいけど、基地の存在を知ってた当時の友達が、命惜しさにその情報を話しちゃったそうなんだよ。『アイツ等を差し出すから、俺は助けてください』って具合にね。

 そのせいで彼は、家族と仲間を失った」

 

「それは…」

 

 

 確かに、裏切られたと思われてもおかしくない話だ。

 信じていた友達から情報を聞いた乱獲者が、よそ者が知り得ない秘密基地に攻めてきたとあっては、「自分は売られたのか」と思っても不思議じゃあない。

 

「ひどい……その人は、自分ひとりが助かる為に、仲間の命を差し出したって言うんですか?」

 

 メディア様が、その話を聞いて涙を目に貯めながら、そんな事をシュナップさんに問うた。

 そういう言い方だと、確かに友達が許されない事をしたように聞こえ……いや、確かに許されない事をしたんだろうけど。

 

「でも、メディア様。その友達って、ひょっとしたら『それしか生き残る道がなかったから』そうせざるを得なかったんじゃないですか?」

 

「それしか生き残る道が…?」

 

「例えばその人が剣の達人だったり、魔法に才能があったりしたら、それで戦う事も出来たはず。でも、そういう事が出来なかったから、逃げる事すら叶わなかったから、そうするしかなかった………そうは考えられませんか?」

 

 ロシンの友達というくらいだから、たぶん宝石獣(カーバンクル)だろう。

 だとしたら、乱獲者に追い詰められたその時に…もし何もしなかったら、確実に殺されていたに違いない。命乞いをしても、聞いてもらえたかわからない。

 だから……生き延びる為には、誰かを犠牲にするしかなかったんじゃないだろうか?

 

「…うん。僕もローリエもその可能性については話したんだ。でも、ロシン君の理解は得られても、納得はさせてあげることは出来なかった。今は当時よりも割り切れてるみたいだけどね…」

 

「…ちなみにですけど、裏切った張本人はどうなったんです?」

 

「……死んだよ。結局、乱獲者は彼を見逃しはしなかったようだ。僕がこの眼で見ているから、間違いない」

 

 

 ……結局、そのロシンの友達の、許されざる禁忌を犯してでも助かりたいという思いは、実らなかったようだけど。

 私は、ロシンの友達がやっていたような、『弱いから選択肢がなかった』という状況に覚えがある。

 ………まだ兄さんが生きていた頃、私が知らず知らずのうちに人質になっていたことだ。

 

 当時の私は、兄さんが新しい仕事で帰りが遅くなったなぁ程度にしか認識がなかった。

 人質にされていた、という自覚さえなかった。もし兄さんがドリアーテに逆らっていたら、私の命がなかったかもしれない事を知りもしなかった。

 ……私は、弱かったが故に、『無自覚な人質でいるしかなかった』のだ。しかも、それが判明したのは…兄さんがドリアーテに殺された後だった。

 

 悔しかった。悲しかった。こんな事を押し付けてきた、ドリアーテがものすごく憎かった。

 ……自分が弱いままでいる事が、たまらなく嫌だった。

 

 ひょっとしたら、彼もおんなじ気持ちになっているのだろうか?

 

 

「…私、もう一度ロシンに会ってきます」

 

「またあしらわれるかもしれないぞ?」

 

「それはないでしょ。シュールさんにしこたまシバかれてるんじゃあないですか、今頃」

 

 

 先生にそう言ってから、またあの宝石獣(カーバンクル)の少年を探しに行った。

 案の定、怒り心頭のシュールさんと、頭にたんこぶを作ったロシンをすぐに見つけ出せた。

 

 

「シュールさん!」

 

「あら、アリサちゃん……ロシン!逃げようとしない!!!」

 

「………ッ」

 

 

 私を見るなり逃げだそうとしたロシンだったけど、シュールさんが叱り飛ばして足を留めてくれた。

 もしかして、私にブッ飛ばされるとか思っているんじゃなかろうか? そうしたい気持ちもやまやまだけど……というか、そうされるのがイヤだったら、初めからあんな失礼なあしらい方しなきゃ良かったのに。

 

 

「…仕返しなんかしないよ。私はただこれから…仲間としていい関係を築きたいだけだから」

 

「………なんで俺だ?」

 

「ロシン」

 

 私が仲良くなろうとする理由を疑心の篭った様子で尋ねる彼を、シュールさんが咎める。

 けど、良いんです。私は、彼の過去をシュナップさんから聞きました。だから、この問いには、答えてあげないと。

 

「貴方が…私と、ちょっと似ているからです」

 

「似てる、だと?」

 

「かつて、自分自身の非力さのせいで家族を失った。それがイヤで…自分自身の強さを求めている。そう思ったからです」

 

「…!?」

 

 ロシンが目を見開く。

 それは、初対面の時の、意識の外から声をかけられた時のような驚きとは、その大きさが違う。

 やがて……ロシンは、震える口で、やっと言葉を出した。

 

 

「お前も…家族を…?」

 

「えぇ…兄を、真性の悪党に。当時の私は人質だったから……自分の非力さを呪った日は数えきれない。

 だから私は強くなりたいと願った。少なくとも………自分の命惜しさに、誰かを犠牲にするような弱い人のままなんて嫌ですから」

 

「!」

 

 

 ロシンの驚きの表情が更に明確になった。

 言っておくが、いま私が言ったことは全部本音だ。ロシンの過去をちょっぴり聞いて、少しズルい言い方はしたけれど………基本的には、嘘は一切ない。

 私は…もう大切な人を失いたくないから。

 

 

「…変なヤツ。そんなことを言ったのはお前が二人目だ」

 

「二人目? 一人目は?」

 

「ローリエさんだよ。あの人も似たようなことを言ってな。そんで『強くなれ』って言われて……シュールさんの下で修行を始めた」

 

「……殴り合いのケンカになったって聞いたけど」

 

「そ、その後だよ! ボコボコにされて、腹が立ったけど、言い返せなくって……」

 

 

 ロシンは、そのことを詳しくされたくないのか、そこで言葉を切って、私をまっすぐ見て、こう言った。

 

 

「……とにかく! ひとまずは信用しとく事にするよ。…あと、さっきは手を払ったりして悪かった」

 

「大丈夫だって」

 

「…名前、言ってなかったな。ロシン・カンテラスだ」

 

「アリサ・ジャグランテです。今度こそ、よろしく」

 

 

 ちょっと気になる発言だったけど、さっきの失礼な態度の謝罪もあったし、素直に受け取ることにした。

 そうして、さっきは出来なかった握手を交わすことができた。

 

「言っとくけど、いざって時は俺が生き残る為に動くからな」

 

「ねぇぇー、仲直り出来たと思った矢先にそういう事言うかなー普通!?」

 

 ……やっぱりちょっとムカつくわ、この人。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「ごめんなさいね、ローリエ。

 ロシンがまた、迷惑かけちゃったみたいで」

 

「大丈夫だって。俺との初対面に比べたらマシだ」

 

 ロシンとアリサの握手を見ていると、俺もアイツとの初対面を思い出す。

 確か、アリサに語ったように、はねのけられるだけじゃ飽き足らず、殴りかかってきたからな。それを受け止めて、俺が殴り返したらケンカになったんだったか。

 

『人を殴るって事はよ…「殴り返される」危険性を常に「覚悟」しなくっちゃあならないんだ。ロシン…お前、ケンカしたことないだろ? それなのに一方的に殴れると勘違いするから、こうなる』

 

『う…ぐ…ぐ……』

 

 俺も、彼の一族が乱獲された現場に行って、救出作業をしてきたものだから、アイツの境遇はなんとなくわかったし、その後立ち直らせる方針もある程度は立てることができた。

 

『なぁ、ロシン……お前、強くなってみないか?』

 

『…なんでお前なんかの言う事を…』

 

『聞かなくても良いよ。その結果、お前は弱いままだろうけどな。自分の命を守る為に、友人か仲間かを差し出すようなヤツになりてーってんなら、俺は止めない』

 

『この野郎―――ッ』

 

『世の中の理不尽の一つってヤツだ。「弱者は時に、己の弱さを理由に、強い奴の内面を無視して、叩こうとする」……強い力を持つというだけで暴力をふるうことを正当化する。自分が弱いというだけで、何をしても許されると思っている。俺は…そんな奴は認められそうにない。

 ロシン、もう一度聞くぞ。お前は「強さ」を身につけるか?それとも、「卑怯さ」を身につけるか?』

 

『…………』

 

 亡くなってしまったロシンの友達を死体蹴りするようで申し訳が立たなかったが……当時のロシンは今よりも精神が不安定で…いつ壊れてもおかしくなかった。家族・仲間・友達……それらを一気に失ったんだ。すぐさま壊れなかっただけでも奇跡だろう。そんな彼が悲しみから立ち上がるには、「何か」が必要だった。悲しい、死にたい、楽になりたい………そんな弱い感情が吹き飛ぶくらいの何かが。

 だから俺はロシンに「強さへの渇望」を植え付けた。憎しみのようで、憎しみではない、そんな感情を。結果、ロシンは神殿に入る事をせず、シュールさんの傭兵団に入っていったのだ。

 

 

「あいつの…ロシンの傭兵団での様子はどうだ? シュールさん」

 

「魔法は並み以下だったけど…剣の腕は優秀よ。タイマンなら、シュナップやダイチの次に強いんじゃないかしら。

 でもね、あの子……仲間と距離を置くのよ。私やシュナップ以外の団員には、心を開かなくってね。そこがちょっと心配だわ」

 

 

 それ以降、傭兵団では仲間を作る事はしなかったものの……生き残ることができているようだ。イジメられてないか? と心配になるけど。

 だから、今回のアリサとの交流をきっかけに、俺やシュールさんご夫妻以外にも、心を開けるようにしてほしいものだ。例えば、そうだな……同年代の女の子相手に、恋でもしたら、変わるんじゃあないかな? 俺の知り合い何人か紹介したいわ。

 

 

「あ、あのロシンが!!? ちょ、想像できな……ブフッ!!!!」

 

「俺そんなに変なコト言いました?」

 

 

 年代的にランプかシュガーあたりがいいんじゃないかなと言ったんだけど、シュールさんは何故かツボにはまって盛大に笑いだし、アリサとロシンに遠目で「何で笑ってんだあの人」みたいな目で見られる羽目になってしまったのだった。

 

 




キャラクター紹介&解説

アリサ・ジャグランテ
 ロシンとの初対面を果たした女神候補生兼呪術師。ロシンの冷たい対応に頭にきたが、シュナップとローリエとの会話を通してロシンの境遇を考え、彼に「弱いが故に選択肢がなかった」という共通点を見出して少し歩み寄ろうとする。

ローリエ
 原作開始前に宝石獣(カーバンクル)の乱獲現場に行って、ロシンを保護していた原作主人公。八賢者になる前に肉体言語と「生きる目的の感情」の発掘を通してロシンと仲良くなっていた。初対面の相手に暴力を振るわなくなっただけロシンは成長していると思っている。だが、それだけじゃなく彼の幸福も望んでおり、タイミングを見計らって教え子とのお見合いのセッティングも企むダメ教師。

ロシン・K・カンテラス
 ユミーネ傭兵団に所属する、宝石獣(カーバンクル)の獣人である少年。不当な狩りに追われていたところを、シュールとシュナップ、ローリエに助けられた過去を持つ。だが、その過程で友達だと思っていた同族に裏切られた為、一時期は人間不信に陥っていたが、ローリエの助力で立ち直り、幼いながらに傭兵団に名を連ね、実力を身につけていった。
 過去の事件からまだ完全に立ち直ることは出来ていないようで、人を簡単に信用しない性格で、常日頃から「いざという時は自分の命を最優先にする」と決めている。ただ、シュールとシュナップには懐いており、また説教されたら謝ることが出来るくらいには成長した。
 本名は「K」が入るが、自己紹介の時は言いやすさ重視で「ロシン・カンテラス」と名乗っている。
 イメージCVは石○静香。名前の由来は「ケロシンカンテラ(灯油のランプ)」から。

【挿絵表示】


シュール・ストレミング
 アリサ視点からでは分かりづらいが、失礼なマネをしたロシンをシバき倒して、物理的に仲直りを掛け持った貴腐人。その裏には、ロシンにまっすぐ、マトモに生きて欲しいという願いがこもっている。

シュナップ・ストレミング
 アリサにロシンの過去を話した傭兵団副団長。彼もシュール同様ロシンの成長を見守っているほか、彼に幸多き人生が待っていることを切に願っている。アリサにロシンのことを話した後は、アンシーの世話に行った。



宝石獣(カーバンクル)
 拙作オリジナルの種族で、頭部には動物の耳が生えており、文字通り体内(特に額)に輝く宝石を持っている。戦闘力の高い種族ではないが、一説には体内の宝石を使った秘術が一族に伝わっている、なんて話もある。
 かつては高価で取引されたそれ目当てに乱獲が行われたが、アルシーヴが筆頭神官になる前から、倫理的な視点で宝石獣(カーバンクル)の乱獲への非難の声が高まり、全国的に狩猟が禁止された。しかし、「バレなきゃ犯罪じゃあない」と考える密猟者による被害が後を絶たない様子。



△▼△▼△▼
ローリエ「ロシンお前さぁ…面と向かって『いざって時は見捨てる』って言うヤツがあるかよ」

ロシン「…ダメなのか?」

ローリエ「駄目に決まってんだろ。100%気分を害する台詞だからねソレ」

ロシン「そっか…じゃあ密かに考えるだけなら良いのか」

ローリエ「いいワケねーだろ、バカか!……っと、話が逸れた。新聞社が本格的に活動を始めるみたいだが……早速、社員が大戦果を挙げたようだぜ?」

次回『新聞はナメたら命取り』
ロシン「次回もお楽しみに。」
▲▽▲▽▲▽

オリキャラを増やす事についてどう思う?

  • 私は一向にかまわんッッ
  • やっても良いけど、背景しっかり描写して♡
  • もうお腹いっぱいだわ!
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